June 28, 2014

欧州発明家賞と発明協会「戦後日本のイノベーション100選」

 先週、発明の評価に関して2つのニュースが報じられました。

 1つは、デンソーウェーブの QRコード開発者、原氏他が日本人初の欧州発明家賞を受賞したというニュースです。ポピュラープライズという賞を受賞しました。デンソーウェーブは、QRコード関連の特許を開放していて、ホームページ上でJIS/ISOの規格に準拠したQRコードは誰でもご自由にお使いいただけますとしています。このような特許開放の方針も評価されたのでしょう。なお、特許開放だけでなく、デンソーウェーブはQRコードを利用した他社特許の無効化を行っている点も注目すべきでしょう。私は以前、デンソーウェーブが起こしたジェネスの特許第3207192号「認証方法および装置」への無効審判の口頭審理を聞きにゆきました。結局、この特許は取り消されました。

 もう1つのニュースは、発明協会が、戦後日本のイノベーション100選を発表したというものです。内視鏡・新幹線・ウォークマンなどが選ばれましたが、事業に関してのイノベーションも選ばれていて、ヤマハ音楽教室が選出されたことが中日新聞に取り上げられています。ヤマハ音楽教室は、ピアノの音楽教師が音楽教室を開けるようにしたというだけでなく、発表会などを通してピアノの販売にもつなげるビジネスモデルとなっていて、その点では確かにすごいイノベーションといえるでしょう。

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November 03, 2012

イーグルバスが日本イノベーター大賞2012の優秀賞を受賞

 今週水曜(10/31)、日経BPから日本イノベーター大賞2012の発表がありました。日本イノベーター大賞のページにもこの情報が出ています。大賞は炭素繊維の東レ複合材料研究所でしたが、私は優秀賞をとったイーグルバスのほうを注目したいです。国内のサービス企業としては、この賞の受賞は初めてかもしれません。

 イーグルバスの取り組みは、サービスイノベーションの分野ではかなり有名です。運行ダイヤ最適化や路線最適化などです。私も以前、サービス・イノベーション人材に関するシンポジウムで、お話を聞きました。最近では先月、日経産業新聞に取り上げられていました。

 イーグルバスは、ITをしっかり利用して、思い切った運行の改善/改革を行い、利用者の満足度を上げる努力をしていると思います。なお、関連する特許出願としては、2000年に「バス乗車方法及びシステム」(特開2002-056498)が出願されていますが、特許は成立しませんでした。

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November 02, 2011

書評「Business Model Generation」

 Business Model Generation(A. Osterwalder & Y. Pigneur, 2010)という本をご紹介します。前半はだいたい読み、後半は飛ばし飛ばし読みました。この本は、ダイヤモンドオンラインの先読み!人気のビジネス洋書にも紹介されていて、「ビジネスモデルを創造するたくさんのヒントが隠されています」と評価されています。実際、この本で提唱されているBusiness Model Canvasと呼ばれるビジネスモデルを記述する図(テンプレート)は、多くの企業で使われているとのことです。私も、これまでビジネスモデルを記述する図をいくつか見たことがありますが、このBusiness Model Canvasは分かりやすく、かつ、ビジネスモデルを細かく記述できて、実用的と感じました。

 私は、先週の大学院の授業(情報戦略特論)で、この本の中の「1. Canvas」の最初の部分と、「2. Patterns」の中の「Multi-sided Platforms」と「FREE as a Business Model (Freemium)」の部分を読みました。それぞれのPatternの中には、いくつか事例が示されているため、この辺りを読み議論することで、ビジネスモデルについてある程度理解してもらえた感じでした。今後、学部のゼミでも少し読もうと思っています。

 この本は、是非とも翻訳してほしい本です。翻訳してもらえれば、ゼミで一通り輪読したいですし、今後「ビジネスモデル開発演習」のような科目を学部に設けたいと思っているのですが、そのような科目のテキストとして使えそうです。

 なお、この本の副題は、「A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers」です。日本には、Game Changer(業界のルール自体を変えてしまおうとする戦略家)を目指す若者が欧米よりもずっと少ないと思います。このような本を参考にして、是非とも、ビジネスのゲーム自体を変えてしまおうという野心を持ってもらいたいものです。

[追記] (2012/3)

 やっと翻訳本がでました。ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書という本です。よかったです。

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June 23, 2011

梅棹忠夫と日本語版Wired再創刊号

 6月5日夜にNHK教育テレビで放映されたETV特集 暗黒のかなたの光明 ~文明学者 梅棹忠夫がみた未来~の中で、梅棹忠夫は、科学というものはコントロールできないことを指摘続けていたことが取り上げられていました。今回の原発事故の背景を深く考えるのに役立つ番組でした。例えば、梅棹忠夫の著書の中から次のような文章が引用されていました。

いま 現存する科学知識を全部消滅させることができても人間はまた おなじことを やりはじめます。
真実をあきらかにし 論理的にかんがえ 知識を蓄積するというのは人間の業なんです。(「未来社会と生きがい」1970年より)

 それ以外にも、私のほうで調べてみたところ、次のような文章もありました。


 科学というものは一般に理性的な営みと考えられているけれど、そうではなくて、科学をつき進めてゆく力はむしろ一種の衝撃 ― 知的衝撃というものだと思うんです。はね返りのことはあまり考えない。
(中略)
あとでゆっくり整理してみたら、はね返りがあったということもわかるし、それをコントロールすることもできるけれども、いまやっている科学を進めている力は、あまり分別くさいものではない。むしろ盲目的衝動に近いたちのものじゃないでしょうか。
(中略)
 私がいいたいのは、生活上の欲求から課されたさまざまな課題があって、それをみたすために科学が生まれたのではないということです。もっとなにか、科学を生み出す生命的な欲求の方が、先にある。それが根底にあるものだから、科学はさっきからの話のように、じきに日常体験から離れたところにいってしまう。常に迂遠なところに走ってゆくという性質をもっているんです。
人間にとって科学とはなにか (湯川秀樹・梅棹忠夫 著、中公新書、1967)より。

 このような考え方は、梅棹忠夫だけの意見ではなく、技術の哲学という本の中には、ハイデガーも、技術のコントロールができないことを指摘している(まだハイデガー本人の本は未入手)と述べられています。

 関連する話として、今月、日本語版Wiredの再創刊号が出版されましたが、その中に、世界はすでにコンピューターに支配されているという記事がありました。既にもう人間がすべてをコントロールすることはできない世界になっていることが実感されます。しかし、ある程度は人間がコントロールできないといけないわけです。政策的な課題として、いろいろと頭をひねる必要があるでしょう。

[追記] (2011/6/25)
 上記のWiredの記事ですが、出版前に人工知能に詳しい人(AI専攻の大学院生など)にチェックしてもらったほうがよかったかと思いました。用語の訳の変な箇所が何か所かあります。明らかな誤訳もありました。世界はすでにコンピューターに支配されている(3/3)に「ルンバは、部屋にある障害物をすべて把握しないし」とありますが、原文では、"which doesn't initially know the location of all the objects in a room" です。ルンバは、部屋の中を回って掃除しながら障害物を学習しているはずです。ですので、「最初は把握していない」と、正しく訳して欲しかったです。

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February 24, 2011

クロスカンパニーの接客マニュアル

 2月11日のNHKニュースウォッチ9で、クロスカンパニーが取り上げられていました。この企業は、全社員を正社員として採用し、さらに社員の9割を占める女性が働きやすいような制度を充実させていることで有名なアパレル企業です。earth, music & ecology という店を展開しています。昨年はテレビCMに宮崎あおいを起用したことでも話題になりました。私の授業でも、加賀屋やルミネなどとともに従業員満足度を重視するサービス企業として紹介しています。そのクロスカンパニーのホームページには、教育制度が一覧されています。また、日経情報ストラテジー 2007年2月号には、クロスカンパニー 「全員社員」の接客力で急成長,先輩がもてなし教育を厳しくという記事があります。このように教育制度も充実しています。

 2/11のNHKニュースウォッチ9ではクロスカンパニーの接客マニュアルが映されていました。これは貴重な資料と思いましたので、録画した番組から接客マニュアルを書き写しておきたいと思います。一番最初の項目のみ行が途中までしか映っていませんでした。そこで、「メ」というのは、「メイク」であると推測しました。


1~2工程 ※指導者=新人社員
工程=1
・ブランドイメージに合わせた着こなし、メ(イク?)
・笑顔(待機中。接客中に口角をあげる)
・声だし(館内一の元気の良い挨拶)
積極的なお客様への声がけ、接客
・店内美化(清掃、商品整理)
・基本動作(お迎え~お見送り)
・社会人としての言葉づかい/マナー
・電話対応(基本、名指し人不在時)
・担当SV、ブランドMGの名前を覚える
顔を上げてのタタミ、商品整理

工程=2
・商品知識(サイズ、素材など)の把握
スピード(機敏な行動・スピードのある店出し)
・入荷商品の検品、店出し
・正確な金銭授受
・パンツのお直し対応
・お取置き、客注、通販対応


3~4工程 ※指導者=ミドル社員
工程=3
・個人売上予算達成への意識を持つ
 ①キャリアUPシステムの把握
・お客様の動向を追った声がけ
 ①タイミングの良いファーストアプローチ
 ②動向を追ってのセカンドアプローチ
・確実な報告、連絡、相談
備品発注

工程=4
・ニーズチェック、リフレイン、共感
・お褒めの言葉が言える
・コーディネイト提案、販売
 (それぞれのお客様に合った提案)


5~6工程 ※指導者=ベテラン社員
工程=5
・自店の在庫バランスの把握、販売
・お客様優先を考えた行動
店売上達成意識を持つ(時間別売上の確認、報告)
状況対応(返品、交換、クレーム)
15日本社便の発送

工程=6
・個人売上げのクリア
・1~6工程の継続ができている


 このマニュアルには、接客の詳細は書かれていません。これらの項目について、シスター制度などで指導する先輩社員がいろいろとノウハウを伝授するのでしょう。たとえば、声がけで「ファーストアプローチ」は難しくないと思いますが、お客様の動向を追って「セカンドアプローチ」を行うのには、いろいろとコツがいるでしょう。客の動きから、何を探しているかや、何が好みかなどを推測する必要があるでしょう。客の年代や今着ている服なども参考にするかもしれません。

 また、このNHKの番組のなかで取り上げられていた短時間勤務制度も興味深い制度でした。6時間の場合で、給料は8割出るなど、従業員が働き続けるためにこのような優しい制度まで作っているのは他の企業も参考にすべきです。

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December 03, 2009

経済産業省の「サービス産業生産性向上支援調査事業」が事業仕分けで廃止に

 先月行なわれた事業仕分けで、私の研究に関連した経済産業省の事業が廃止と評価されました。その事業は、最終日(11/27)に評価されたサービス産業生産性向上支援調査事業(事業番号2-65)です。私は直接関わっているわけではありませんが、私もサービスイノベーション促進のための研究をしているため、この事業の報告会などに何度か足を運びました。そのため、事業の感じはだいたい分かっています。

 私としても、この事業は廃止になってもいいように感じていました。十数億円をかけても、その分に見合った効果はないかと思います。このサービス産業生産性協議会が、サービス産業でのベストプラクティスを選ぶハイ・サービス日本300選はいい試みかと思いますが、関連する研究者を募って調査させ、手弁当で議論させ、ネットで公表すればいい程度でしょう。そうすれば、ほとんど予算は使わなくてもいいでしょう。また、セミナーや統計調査などもそれほど必要とは思えません。一部のITベンダー・コンサル企業や大手サービス企業にはありがたい事業かもしれませんが、サービス産業の中小企業が強く求めている活動とは思えないのです(この事業の報告会に出てみて、そう感じました)。それよりも、イノベーション促進のためには、インセンティブをもたらす制度(私が提案しているサービス産業向けの知財制度等)を考案するなど、イノベーションが自然と進むような政策を考えることが重要でしょう。

 廃止と評価されたことを契機に、経済産業省の担当者のみなさんが、サービスイノベーション促進に向けた進め方を再考いただけることを期待しています。

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March 14, 2009

ヤマト運輸のサービスイノベーション

 サービスイノベーションを継続的に創造している企業を1社あげろと言われれば、私は「ヤマト運輸」をあげます。

 サービス産業生産性協議会が、ハイ・サービス日本300選(来週月曜に開かれるサービス産業生産性協議会「SPRINGシンポジウム」2009で詳細を聞けます)を選んだりしていて、いろいろな事例を知ることはできますが、一番のベストプラクティスをよく知ることも重要です。

 ヤマト運輸のイノベーションとしては、まず個人向けの宅配の分野でいろいろなサービスを開発したのが有名です。
 ・クール宅急便、往復宅急便、時間帯お届けサービス
 ・宅急便 メール通知サービス(2002年2月)
 ・宅急便 お届け通知サービス(2004年7月)
 ・e-お知らせシリーズ、宅配ロッカー発送サービス(2005年11月)
 ・店頭受取りサービス (2006年2月)
 ・会員専用の端末コンビニ導入(2008年2月)

 宅配する商品を広げるためのビジネスとしては、まず、ネット書店にも早くから参入しました。ブックサービスというサービスでは、注文された後に出版社を回って本を集荷して、早くしかも効率よく届けようとするサービスでした。ただし、2007年4月から筆頭株主は栗田出版販売へ変更になっています。
 その他BtoCでは、nekore(ファッション雑誌deお買い物)という買い物代行サービスも行っています。雑誌に載っている商品などを代行して購入してくれるサービスです。その発展形として、間もなく「クロネコお使い便」の提供を始めるようです。

 ネットショップやネットスーパーの裏方のビジネスもしています。ネットショップに対してのToday Shopping Service (TSS) は、24時間365日稼動のオートメション化された倉庫システム「オートピックファクトリー」に商品をあらかじめ預けおくと、注文したその日に出荷するというサービス。日経ネットマーケティング2008年12月号によると、マルイウェブチャネルが利用しているそうです。
 ネットスーパーに関しても、昨年ネットスーパーサポートサービスを開始しています。
 通販のネット決済の代行も行っています。(これは、日通や佐川も行っていますが)

 BtoB(企業間)では、ヤマトインポートダイレクトという海外の生産拠点から国内の店舗まで商品をダイレクトに輸送するサービスを今年1月から始めています。危機管理向けサービスとしては、リコール代行サービスを2007年8月に始めています。
 また、ヤマトオートワークスは、ヤマト運輸グループのトラック整備会社ですが、24時間稼働の整備工場を持つことで、顧客から預かった車両を夜のうちに整備が可能で、顧客の車両の稼働率を落とさないようにできるという強みを持っています。

 このように各種のサービスイノベーションを継続的に生んでいますが、そのためには組織的な取り組みが必要です。ヤマト運輸は、サービス企業の中では珍しく、組織的なイノベーションマネジメントができていると感じています。この辺りは、日経情報ストラテジー2008年8月号の「主張するCIO ヤマト運輸 金森均氏」というインタビュー記事でうかがい知ることができます。一部、引用します。

 新サービス開発で我々が一番考えなければならないのは、「こういうのがあったらいいな」とか、「お客様が喜ぶだろうな」という気づきです。全員が感度を上げて徹底して追求しなければならないのです。時には今あるサービスについても考え直す必要に迫られます。
 こうして思いついた新サービスを少しでも早く対応した会社が強くなるわけです。とにかく実現までのスピードが求められます。経営陣から求められていることの中で一番重要視されています。システム構築に必要な工数を積み上げた期間ではなく、サービス開始時期から逆算して考えるように求められています。

 ヤマト運輸には、このような組織的なイノベーションマネジメントの体制ができているからころ、いろいろな新サービスが次々と生み出されているのだと思います。

[追記]
 2011年10月20日に放送されたテレビ東京「カンブリア宮殿」物流イノベーション!進化し続ける『ヤマトのDNA』で、ヤマト運輸の組織的なイノベーション創造(ムカデ経営)について詳しく解説されました。

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February 18, 2009

[書評] 顧客はサービスを買っている

 顧客はサービスを買っているという本が先月出ました。私はソフトウェアジャパン2009のサービスサイエンスフォーラムでこの本の著者の話を聞き、さっそく買って一通り読みましたが、サービスに関連している方には是非お勧めしたい本であると感じました。
 この本の著者の諏訪良武氏は、オムロンフィールドエンジニアリングでフィールドサポート(コールセンターや現場)のサービス改善を実践された方であり、そのご経験を元に、サービス改善手法をサービス業全体に利用できるような形に本にまとめたものです。ですので、とても説得力があります。最終章には、約20ページほどさいて、オムロンフィールドエンジニアリングでの具体的なサービス改革事例も載せています。なお、オムロンフィールドエンジニアリングは、機器のフィールドサービスの分野でサービス改革した企業として、NECフィールディングやダイキン工業とともに有名です。

 そのような位置付けの本ですので、サービスの現場にはとても役立ちそうな感じがします。製造業でのTQCの手順書のように、サービスの現場で改善するためのテキストのように利用できそうです。

 この本の中から、少し抜粋します。

[サービスメニューの分解](2章より)
 モノ提供サービス
 情報提供サービス
 快適提供サービス(安心、楽、自己実現)

[サービスのプロセスへの分解とサービスの評価方法](3章より)
 プロセスに分解すると、サービスの改善点が見えてくる。
 分解したプロセスを「見える化」する。
 サービスを「コアサービス」「付帯サービス」「臨機応変サービス」に分解する。
 サービスの評価を「成果」と「プロセス」に分解する。
 サービス品質を6つの評価に分解する。
  正確性・迅速性・柔軟性・共感性・安心感・好印象
  (成果品質←---------→プロセス品質)

[サービスの定義](6章より)
 人が構造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するものを「サービス」という。

[顧客満足について](6章より)
 顧客満足の絶対値は存在しない。
 顧客満足は、事前期待の達成度を評価尺度としたサービスの総合品質。
 事前期待による顧客セグメンテーション。

 上記のような考え方/分類は、サービス業の中での細かな業種によって少し異なってくるかもしれませんが、検討するための出発点として、とても有用だと思います。
 
 とてもいい内容だとは思いますが、7章のタイトル等で事前期待が「だれも気づかなかった」というのは、少し独善的に感じました。米国のサービスマネジメントの教科書には、ギャップモデルというものがあります。事前期待の重要性は、これまでも多くの人が理解しているはずです。

 また、サービスサイエンスの本というのであれば少し物足りなく感じました。具体的なデータ収集/分析方法(VOCの活動方法、アンケートなどのデータ分析方法・テキストマイニング)のことも触れてほしかったです。また、経営的な面(ポジショニングや、新サービスビジネス/イノベーションをどのように考え出すか)といった点の記述もあるとよかったと思いました。

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December 09, 2008

革新的なサービス企業の事例を聞きました

 先週金曜(12/5)午後、都心へサービス・イノベーション人材:科学技術関係人材の新たなフロンティアというシンポジウムを聞きに行きました。産業技術総合研究所が主催で、サービス産業生産性協議会や筑波大が共催したシンポジウムでした。そのシンポジウムでは、積極的にITを活用している2つの企業(イーグルバス、がんこフードサービス)の事例が聞けました。両社とも、経済産業省による「ハイ・サービス300選」で選定された企業です。

 まず、イーグルバスは、川越市を中心とするバス会社ですが、旅行会社出身者が興した会社で、最初は介護バス・送迎バスから始め、観光バス、路線バスへと展開。路線バスは、赤字バス路線を再生すべく、住民へのアンケートやIT活用を積極的に行なっています。イーグルバスのCO-EDOシステムは、バスの総合運行管理支援を目的としたシステム。最近取り組んでいるダイヤ効率化システムは、GPSで停留所の位置を捉え、車内に設置したセンサーによって停留所で乗降する人数をカウントし、区間ごとの乗車密度を取得することによってダイヤの効率化を測定する、というもの。バス会社でこのような積極的なIT活用は初めて聞きました。

 がんこフードサービスは、外食業務の工程管理をかなり厳密に行なっています。原価管理では、「材料費」にとどまらず、「調理」「配膳」「接客」「洗い物」等、全工程の原価計算がレシピを組むだけで行えるシステムを開発して、ビジネス面の意思決定や改善を行なえる体制を取っています。また、利用客の情報共有を徹底して、無駄のない業務を行なっています。

 その後パネルディスカッションもあり、私には役立った内容でしたが、このシンポジウムの参加者はかなり少なく、50人程度でした。国がサービス・イノベーションの旗を振っても、なかなか積極的になってこない感じです。サービスといっても広いので、細かな業種毎に推進しないといけないでしょうか?

 人材育成としては、MOTのように、問題意識が高く業種特有の課題が分かっている社会人に対して、サービス業務・ビジネスを改革できるようになるための教育プログラム(社会人大学院など)を提供することが有効ではないかと感じました。

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June 01, 2008

アマゾンとアップルのイノベーションに対する姿勢は対照的

 この春、アマゾン・アップル・任天堂などでのイノベーションに関して、雑誌記事がいろいろ出ました。

 まず、BusinessWeekが選ぶ革新的企業50社というランキングが、2008年4月28日号にカバーストーリーとして載りました。1位はアップル、2位グーグル、3位はトヨタ自動車。意外だったのは、6位のタタ・グループで、任天堂の上に来ました。

 アマゾン創業者のベゾスCEOが語るは、同じBusinessWeekの号の記事(Bezos On Innovation)の翻訳。このインタビュー記事で、アマゾンがマーケット重視のイノベーションを志向していることが分かります。

事業領域の拡大を考える時、「我々はその分野で全く技術を持っていないのに、なぜそれをやらなければならないのか」と企業は手始めに考えてしまう。その考え方では企業は限界に直面する。世界は変化し、かつて最先端だった技術も今や顧客にとって無用の技術になっている。「顧客が何を必要としているか」を問うところから始めることで、はるかに手堅い戦略になる。その後で技術的に不足している点を検討すればよい。
When [companies] think about extending their business into some new area, the first question is "why should we do that—we don't have any skills in that area." That approach puts a finite lifetime on a company, because the world changes, and what used to be cutting-edge skills have turned into something your customers may not need anymore. A much more stable strategy is to start with "what do my customers need?" Then do an inventory of the gaps in your skills.

 次に、Fortune誌2008年3月17日号のWhat Makes Apple Goldenというアップルに関する記事の翻訳「アップルはなぜ金のリンゴになったのか」が、月刊アスキー2008年6月号に載っていました。この記事で、アップルが、利用者の求めるものを作る、というよりも、自分達が利用者をリードしてゆくタイプのイノベーションを志向していることが分かります。また、先進的な技術やデザインで常に自分自身を変えていく姿勢がうかがえます。

「アップルにとってひとつの鍵は、自分たちが本当に夢中になれる製品を作ることなんだ。」とジョブズは言う。
"One of the keys to Apple is that we build products that really turn us on," says Jobs.
アップルはマイクロソフトのような企業を一気に抜き去っただけでなく、米国実業界に黄金律を打ち立てた。ブランドを創り、それを変身させ、破壊的イノベーションの時代に合うように生まれ変わらせるという、全く新しいビジネスモデルである。
Apple not only has upstaged the likes of Microsoft but has set the gold standard for corporate America with an entirely new business model: creating a brand, morphing it, and reincarnating it to thrive in a disruptive age.

 ところで、アップル(ジョブズ)に関しては、Inside Steve's Brainという本が4月に発売され、池田信夫ブログなどで話題になっています。Wiredの編集者が書いた本らしく、ジョブズについて宗教など様々な面を取材して頭の中を解剖したような本のようです。私は、そのような内容の本を、洋書では読み気はしません。和訳本が出てから読みたいと思っています。

 ということで、アマゾンとアップルのイノベーションに対する姿勢は対照的であることが、これらの記事で再確認できました。

 任天堂については、オープンイノベーションの姿勢が強まっている感じです。The Tom Sawyer of InnovationというNewsweek (May 19, 2008) の記事は、Wiiのリモコン(WiiMote)の仕様がハックされて、いろいろな用途に利用され始めていることが取り上げられています。一種の「再発明」(Rogersの本を参照のこと)と言えるでしょう。
 BusinessWeekのOpening Up The Wiiという記事は、独立系デベロッパー向けのWii用ソフトウェア開発サービス「WiiWare」について取り上げていて、"win-win for both Nintendo and game designers" と評価しています。

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