May 03, 2012

「Do Needs」と「Be Needs」

 たまっていたテレビ番組の録画を見ていたところ、4月13日にNHKで放送された東北発未来塾 星野佳路さん 第2週「観光客を呼ぶためには」の中で、消費者のニーズのとらえ方として「Do Needs」と「Be Needs」が紹介されていました。何か行動したいというのがDo Needs。その背景にある「健康になりたい」などの心のニーズがBe Needs。観光事業を企画する上では、Be Needsのことまで考える必要があると、星野氏は説明していました。

 この「Do Needs」と「Be Needs」はいろいろな製品/サービスの企画の場面で実際に役立ちそうに感じたため、だれが言い出した理論かを少しネットで調べてみたところ、マーケティング実務コンサルタントの梅澤 伸嘉氏が提唱する未充足ニーズ理論に出てくる用語であることが分かりました。新しい商品/サービスを検討する上で、消費者ニーズの深層「基本ニーズ(Be Needs)」まで考える必要があるという理論です。なお、この梅澤氏は、昔サンスターでトニックシャンプーを企画した人とのことで、少し親近感を感じました。

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February 17, 2012

ソーシャル時代のキャラクター活用では狙う年代を考慮する必要

 宣伝会議2012年2月15日号の特集は、「ソーシャル時代のキャラクター活用」でした。SNSでも利用者に親しみを感じてもらうためには、キャラクターの活用が重要でしょう。これまで人気のブログキャラクターとして、上野松坂屋のさくらパンダブログがありましたが、最近は、ブログよりもフェイスブックページ(さくらパンダ)のほうが更新が頻繁になっています。企業のキャラクターのページは、交流のしやすさの点から、だんだんとSNSに軸足が移っている感じです。

 そのようなSNS向けのキャラクターは、利用者の年代のことを考えたほうがいいようです。日本ではFacebook利用の中心は40代という調査結果が今週発表になりました。若者ではない、というのがポイントです。フェイスブックで人気になっているハム係長という伊藤ハムのキャラクターは、毎朝弁当を作っている30~40歳台の主婦向けという感じです。そのように、少し上の世代に親近感を感じてもらえるようなキャラクター設定がフェイスブックでは必要でしょう。

 他方、日経産業新聞2012/2/6「ソーシャル×企業 (上) 流れを変えろ」によると、若者層と交流したいと考えたパナソニックは、グリーと組み、ゆるきゃら「ぴこりん」で10代~20代の若者約30万人の友達登録を獲得した、とのこと。やはり、若者をターゲットにするなら、グリーやミクシィ上でキャラクターを打ち出すのがいいのでしょう。

 そのように、SNSでキャラクターを活用する場合、どの年代を狙うかで、どのSNSにキャラクターを出してゆくかを変える必要がありそうです。

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January 31, 2012

AISASベースの統合モデル

 だいぶ前に、ネットのマーケティングの考え方のAISASについて、AIDMAからAISAS/AISCEASへ(2005)AISASに対応する4P(2007)AISASと普及理論との関係(2007)といった書き込みをしました。Attention → Interest → Search → Action → Share というAISASの購買行動モデルの考え方は、ネットの口コミや評判を考慮したマーケティングを考える上で欠かせなくなってきました。その後、あまり触れませんでしたが、電通の本の中に、AISASの実用的な話が出ていましたので、ご紹介します。

 ネットの広告やプロモーションが広く普及してきましたが、マスメディアと併用したほうが、効果を出せるでしょう。場合によっては、クロスメディア広告が効果的な場合もあります。そのため、AISASだけでなく、ブランドとレスポンスの統合、マスとWebの統合などが課題になります。電通ダイレクト・プロジェクトによる先頭集団のダイレクトマーケティングという本の中に出てくる「AISASベースの統合モデル」は、そのようなマスとWebの統合の仕方を分かりやすく表していると思います。

Aisas

 なお、電通の椎名昌彦氏によるAD STUDIES Vol.35 日本のダイレクトマーケティングを総括するにも同じような図が出てきます。

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November 17, 2011

A/Bテストは普及するか?

 A/Bテストについて、2年前に少し取り上げましたが、たまたま先週、2回ほど目にしましたので、再度取り上げます。

 なお、A/Bテストの意味については、日経BPのネットマーケティング・キーワード「A/Bテストとは」をご覧ください。

 まず、先週月曜、Web担フォーラムにA/Bテストの生事例を14パターン一気紹介という記事が載りました。このような具体的な事例は、ネット上ではあまり見たことがなかったので、ありがたい情報です。また、A/Bテストが普及していることがうかがい知れます。

 また、先週水曜午前、IBMのBusiness Analytics Forum Japan 2011に出席し、イェール大学 イアン・エアーズ氏によるWhy Thinking-by-numbers is the new way to be Smartという講演を聞きました。この講演は、彼の著書その数学が戦略を決める(Super Crunchers)の筋とほぼ同じで、回帰分析と無作為抽出テストの話が中心でした。無作為抽出テストの話の中で、A/Bテストの事例がいくつか出てきました。"Super Crunchers" という本のタイトルも、A/Bテストで決めたとのことです(当初、本人は別なタイトルを考えていましたが、"Super Crunchers" のほうがクリック率が高かったとのこと)。なお、この本の98~103ページに出てくる「オファマティカ」社は、数年前にOmniTureに買収され、Test & Targetという名のA/Bテストを利用した自動ターゲティングツールとして日本でも販売されています。

 クリック率を高めることで、コンバージョン率が上がることが期待できますので、これからA/Bテストはさらに普及すると思われます。

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March 15, 2010

「WOMマーケティングに関するガイドライン」は期待外れ

 先週金曜(3/12)に、WOMマーケティング協議会は「WOMマーケティングサミット2010」というイベントを開催し、その中でWOMマーケティングに関するガイドラインを発表しました。ブロガーに記事を書いてもらうようにお願いするといったクチコミマーケティングに関してのガイドラインです。この件は、ITMediaや、cnetなどで報道されています。

 このガイドラインは、昨年の春から検討されていたもので、昨年7月に公表の予定が延び延びになっていました。しかし、先週金曜に発表されたガイドラインは、時間をかけて検討された割に、全く具体性がありません。米国のFTCの広告ガイドライン(Web担の「タレントがブログで商品紹介すると100万円の罰金!?」 や、日経ビジネス2010/1/18号 p.102を参照のこと)がかなり細かく規定しているのに対して、WOMマーケティング協議会のガイドラインは、WOMマーケティング事業者に「関係性明示の原則」と「社会啓発の原則」に関して抽象的な目標を課すものでした。私は、クチコミマーケティング事例をいろいろと集めていますが、消費者にとって自然なクチコミか否かが分かりにくいものも多くあります。また、週刊朝日2009.6.19号には「ネットのクチコミ情報にご用心!消費者目線とは聞こえがいいけれど、実は”やらせ”だったという落とし穴」なんて記事もあります。そのため、具体的なガイドラインが望まれるところです。

 また、WOMマーケティング事業者に対してだけでなく、広告主(正確には、販売促進主)の企業に対してのガイドラインも望まれます(この協議会だけではできないかもしれませんが)。サンプリングの実施については、企業の新商品発表のリリース文に載せることがよくあります。それと同様に、ブロガーに試供品を使ってもらってブログへの書き込みをお願いしたことなどを、企業のリリース文の中(最後のほうにでも少しだけでも)に正直に示したほうがいいでしょう。消費者はだれもが、その企業のサイトをよく調べれば、クチコミマーケティングをしたことが分かる、ということが望ましいです。クチコミマーケティング実施に際して、WOMマーケティング事業者にだけ関係性明示を要求するのでなく、広告主の企業にも透明性を求めるべきでしょう。

* 広告主の企業のリリース文の例

(前半は商品の説明や仕様など)
マーケティング方法: 本商品を消費者のみなさまに広く知っていただくために、テレビCMや雑誌広告の他、一部のブロガーの方々に試供品を試用していただき、ブログに記事を書いていただくようお願いいたしました。ただし、記事内容については何も指定や制限はお願いしておりません。

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November 13, 2009

Twitter(ツイッター)のメディア論・マーケティング活用

 Twitterを自分では使う気にはなれないのですが、注目はしています。メディアとしてみると、ブログ/SNSとはかなり違う使い方がされています。リアルタイム性が高く、フォロアーになることでいち早く関心のある人の行動や意識を知ることができます。

 マーケティングツールとしては、メルマガと企業ブログの中間的な情報発信ができそうです。楽天トラベルのつぶやき娯レンジャーや、デル、福助などが情報発信しています。リアルタイム性を活かした事例としては、今週火曜(11/10)のソフトバンクモバイルの新商品発表会で、発表会の様子がTwitterで実況されました。なお、その実況を行うのに、書き込み役3名を放送作家が指揮したとのことです。そこまでの体制で行ったため、この日Twitterには1万2千人の視聴者がいましたが、先月のauの新商品発表会の実況の時のような問題(Twitter上で苦情が殺到)は起きなかったようです。また、ブログ検索/分析するのと同様に消費者の意識を知ることができますが、Twitterのほうがよりリアルタイム性が高いです。

 しかし、これまでの使われ方を見ていると、Twitterがブログ/SNSのように万人まで普及するとは思えません。情報を誰よりも早く手に入れたい、といったイノベーター・アーリーアダプターのタイプの人は使いこなしていくでしょうが、それら以外の人々にはあまり使われないかもしれません(私のようなコミュニケーションがあまり好きでない者は全く魅力を感じません)。ブログ/SNS程度のコミュニケーションで満足する人が多いでしょう。ただし、GPSとの連携機能(場所的に近くにいる人のつぶやきを知る機能など)や、ブログ/SNSとの連携機能が充実してくれば、もっと使われるかもしれません。なお、私は学生にはTwitterをあまり勧めていません。それよりもブログ/SNSで長文を書く(つまり思考する)習慣をつけることを勧めています。

 以下、Twitterのマーケティング利用に関する雑誌やネットの情報で主なものを載せておきます。

特集1 Twitterの可能性 注目度急上昇! メルマガを超える集客ツールになるか?、日経ネットマーケティング 2009年11月号

特集 Twitter(ツイッター)のネット販売活用術、月刊 ネット販売 2009年10月号

・津田大介 Twitterが持つ6つの特徴とマーケティング活用、Markezine Day 2009リポート

・藤代裕之 時間を手に入れた「ツイッター」がもたらすパラダイムシフト、日経IT Plus「ガ島流ネット社会学」より

・山崎秀夫 進むつぶやき型の動的ミニブログ『ツイッター』のマーケティング活用、日経BizPlus 連載企画:「Web2.0時代が演出するマーケティングトレンド」第40回 (エコノミスト2009/8/25号にも、「リアルタイムが社会を変える ツイッター革命」という山崎秀夫さんの記事あり)

リアルタイム・ウェブの底力  ネット業界次なる大金脈か?、BusinessWeekより

テレビマンが感じたTwitterの可能性、Internet Watchより

・枝 洋樹 ビジネスパーソンのための「Twitter」論 秒単位で人の思考を検索できる、日経ビジネスオンライン

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October 02, 2009

Web担当者Forumミーティング WAIS JAPAN 2009を聞きに行きました

 本日午前、ベルサール神田で開かれたWeb担当者Forumミーティング WAIS JAPAN 2009を聞きに行きました。

 最初の基調講演「Hondaのウエッブ戦略2010 ~企業ウエッブサイトの役割と活用事例」がやはり興味深かったです。ホンダは、2006年に既に、企業ホームページは21世紀のPOSと言っていました。昨年には、ウェブはマーケティング・ダッシュボードと言っていましたので、今日はどんな話が聞けるか楽しみでした。

 今日も上記のような話も聞けましたが、新しく聞けた話で印象的だったのは、次の3つの話。

 自社ホームページを「メディア」にしてしまおうという話。実際、既に大手新聞社の6~7割程度のユニークユーザを集めているとのことでした。
  「強力な自社メディアはマスメディアとなる」
  「メディアは買うから生成する時代へ」

 ネットによって宣伝効果が可視化できて、リアルタイムマーケティングが可能となる。例えば、テレビで流したインフォマーシャルのうち、どれがアピールしたかを、ネットのアクセス数で確認できるなど。
  「ネットはメガメディア時代のハブ」
 関連して、ネットと他メディアとの使い分けやクロスな使い方をいろいろと実験しているのも印象的でした。

 さらに、10年先を見据えての取組みも始めたとのこと。
 自社ウエッブサイトの2020年への提言4点
 ・自前メディアの実現
 ・顧客とのダイレクト(双方向)なコミュニケーション手段の確保
 ・ネット時代でのプレゼンス
 ・マーケティングの進化

 最初に、購買プロセス毎のコンタクトポイントの話もありましたが、この話に出てきた図は、どこかの雑誌かで見た記憶があります。

 なお、私は、ホンダなどの事例を、「eビジネス/eコマースの動向と技術」の中にネットマーケティング事例として集めています。先月、だいぶ追加しました。

  ところで、本日MarkeZine Day 2009も行なわれたようです。似たようなイベントを同じ日にやってほしくないですね。同じ日に開催するなら、歩いて数分程度の近隣の会場で行なってほしいものです。

[追記](2009/11/21)
 宣伝会議の2009年11月15日号の「巻頭: 自社メディアを開発する企業の狙い」に、ホンダの他、三井不動産レジデンシャル/三洋電機/ブラザー販売/富士フイルムの自社メディア事例が載りました。

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May 07, 2009

Webアクセス解析ツール「なかのひと」

 私のホームページでは今月から、ユーザーローカルという企業が提供しているなかのひとを使い始めました。無料ですが、結構便利なWebアクセス解析ツールです。ホームページの左下に小さな日本地図のブログパーツのようなものが表示されていますが、その画像とともに「なかのひと」のタグを入れています。

 その専用のタグをHTMLに入れておくと、アクセスしてくれた人のIPアドレスが記録されて、それが企業名(または大学名)に変換・集計されて、カウンタ付きの一覧にしてくれます。そして、企業を選んでクリックすると、その企業の地図と衛星写真も表示してくれます。

 私のサイトは、大学からの利用が多いと思っていましたが、今のところ企業(IT企業以外も)からの利用のほうが多いことが分かりました。今週中はまだ休みの会社も多いようなので、来週末くらいにまたチェックしてみようと思っています。

 無料で便利なのですが、1サイトあたり、約1日1万PV、月間30万PVの上限があります。それ以上のサイトの場合は有料のツールを利用してください、というビジネスモデルのようです。

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March 31, 2009

クチコミマーケティング事例(食品業界・化粧品業界など)

 昨年8月のエントリーの続きですが、SNS・ブログ等のコミュニティサイトを利用したクチコミマーケティング事例をCGMのページに追加しました。

 事例が多くなったので、業種別に分けてみましたが、特に、食品業界や化粧品業界でクチコミマーケティング活用が増えてきたのが分かります。

 食品では話題性が重要なのでしょう。SNSを利用して利用者によって商品企画をしてもらったり、考案したレシピを投稿してもらう企画も一般的になってきました。

 化粧品は、一度その人にあった化粧品にブラッドスイッチしてもらうことができれば、永く使ってもらえるわけです。一方向的なCMよりも、他の利用者の意見を参考にして選んでもらうことで失敗も少なくなるわけです。そのためクチコミが重要になるのでしょう。

 また、企業内のCGM活用も情報をかなり加えました。企業内でSNSやブログを活用する例も多くなりました。

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September 13, 2008

MarkeZine Day 2008 を聞きにゆきました

 昨日、神田のベルホールで開かれたMarkeZine Day 2008を聞きにゆきました。だいたい知っているような内容でしたが、知識に漏れがあってはいけませんし、全体の傾向や世の中の関心を感じるために行きました。
 各セッションの話の内容は、おいおいMarkeZineのサイトに出てくると思いますので、特に強く感じた2点について書きます。

 まず、A/Bテストについて、4つものセッションで話題/資料に出てきたのは興味深かったです。Omnitureの製品にはこのような機能があることは知っていましたが、SEM(アウンコンサルティング)、レコメンデーション(ブレインパッド)、メールマーケティング(アルトビジョン)のセッションでも、A/Bテストの話が出てきました。例えば、メールマーケティングで、10万人に送信するメールの場合、AとBの2つのバージョンを用意しておいて、まず1万人にA、別な1万人にBを送信。その反応を見て、翌日、反応の良かったほうのバージョンを残りの8万人に送る、といった手法のことです。
 企業でのデータ分析/活用の事例を多く集めた、分析力を武器とする企業や、その数学が戦略を決めるというような本でも、このような実験的な手法の重要性が言われています。特にネットでは、利用者の反応をすぐに取り込んでマーケティングに活かすことが、当たり前になりつつある感じです。

 また、オムニチュアのセッションでは、SiteCatalystと他社のアプリケーションを連携させるOmniture Genesisが興味深かったです。この日最初の湯川鶴章氏の講演でも取り上げられていました。SalesForceがSaaSのオープン化で成功したように、オムニチュアは他社との連携に力を入れている感じでした。具体的には、まず、ダブルクリックのClickM@ilerと連携して、10月からメール広告とWebサイトアクセスを関連付けた効果測定を可能にするとのこと。この連携については、日経BPのニュースや、9/12の日経産業新聞に記事が出ています。メールを開封あるいはクリックした後に、リンク先である広告主のサイトをどのように閲覧し、買い物などをしたかまで追跡できるようにするとのこと。
 Omniture Genesisは、つまりマッシュアップ的なことを可能とするツールのようであり、興味深かったです。

 朝10時から夜7時までだいたい聞きました(少し船をこいでしまいました)が、最新の考え方や手法の再確認ができたので、聞きにいってよかったです。今月下旬から、「eビジネス」という授業を始めるのですが、2コマくらいかけて、e広告やネットマーケティング(クチコミマーケティングを含む)を解説する予定ですので、参考になりました。

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