May 06, 2008

[書評] 「顧客の時代がやってきた 売れる仕組みに革命が起きる」

 連休中に、「顧客」の時代がやってきた 「売れる仕組み」に革命が起きるという本を読みました。

 この本を一言で表わすとすると、次のような本と言えるでしょう。
 ネット化などにより「売り手主導型市場」から「顧客主導型市場」へと変化している中で、「リアル企業」がどのように対応すればいいか、ということを米国の動向から考えるための本。

 まず、この本が問題提起しているは、従来の「売り手主導型市場」(P.28) から、「顧客主導型市場」(P.29) への変化のことです。この「顧客主導型市場」は、「マス・ニッチ・マーケット」であると指摘していますが、ロングテール理論における「豊穣の経済」のことといえるでしょう。消費者から見ると「豊穣」に見えますが、売り手から見ると「顧客主導型」と見えます。
 アンダーソンのロングテールの本では、主にデジタル商品を対象にしているため、通常のリアル流通業の「売り手」が、このような 「顧客主導型市場 (豊穣の経済)」にどのように適応すればいいかの方法論について、ほとんど取り上げていません。他でも、リアル流通業に対してそのような方法論を提示した本は見かけませんので、この本の意義を感じます。

 内容としては、米国のスーパーストアや通販企業で、顧客主導型市場に生き残れるような優れた事例を紹介しています。さらに、先進事例として、8章では「エクスペリエンス・デザイン」を実践する企業の事例、9章では顧客のライフスタイル設計を支援する小売業(著者は「ライフスタイル・マーケター」と呼ぶ)の事例を紹介していて、興味深かったです。

 難を言うと、2章以降は図が少なくて少し分かりにくかったです。また、米国の先進事例と日本企業との違いについて、もう少し説明が欲しかったところです。

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March 31, 2008

試供品や体験を通した口コミマーケティング

 今月下旬にeビジネス/eコマースの動向と技術というWebページを一通り更新していましたが、やっと本日、更新作業が完了しました。

 特に、追加した情報量が多かったのは、CGMのページでした。SNS/ブログの利用やそれらを広告やマーケティングに活用する様々な動きが目立ちます。基本的には最新情報の追加でしたが、「CGMを利用したマーケティング/販売」の中に試供品や体験を通した口コミマーケティングという項目を追加しました。昨年8月に、バズマーケティングのために試供品配布というエントリで少し紹介しましたが、試供品を配るだけでなく、ブログや掲示板に書いてもらおう、という傾向が強くなってきたためです。この項目には、サンプル百貨店、モラタメ、Buzz Max、モノフェローズ、TRY TREND、バズポスト といったサービスへのリンクや簡単な説明を載せました。

 全体的に「eビジネス/eコマースの動向と技術」の更新では、最新のデータに変更する作業がたいへんです。また、サービスが終了してしまったものもあるので、気がついたものは削除したりしています。特許の情報も適宜追加しています。授業期間中も情報収集は続けていますが、忙しくてページの更新はできそうにないので(特に、6~7月は他の大学で教えたり、学会発表もあるため)、次の更新は8月になると思います。

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December 20, 2007

行動ターゲティング広告の動向と問題点

 Yahooジャパンの行動ターゲティング広告が効果的(クリック率が3倍とも4倍とも言われる)で、広告主に評判はいいようです。そのため、他の企業も次々と行動ターゲティング広告に乗り出しています。

楽天、「インフォシーク」で「楽天市場」の閲覧履歴にもとづく行動ターゲティング広告の表示を試験的に開始(2007年12月から)
カカクコム、行動ターゲティング広告を販売開始(2007年12月から) --- 日経産業新聞2007/12/18に詳しい解説あり
マイクロアド(CA子会社)、クリック課金型の行動ターゲティング広告「MicroAd行動ターゲティング」の販売を開始(2007年11月から)
cciグループ、広告ネットワーク「ADJUST」で行動ターゲティング広告サービス「高精度ビヘイビアターゲティング広告」を開始(2007年11月から)

 Yahooジャパンは、さらに「カスタム行動ターゲティング広告」という広告商品を先月から提供し始めました。広告主が利用者層を自由に設定して出稿できる広告で、料金は既存の行動ターゲティング広告の4~5倍以上に設定しているようで、まず日本航空が採用とのことです。Yahooジャパンのポータルとしての強さから、広告メディアでも抜きん出ることになりそうです。メディアレップ大手のオプトの海老根CEOが絶大なる販促効果を持つメディアにどう対抗するかという心配をしているのもうなづけます。

 海外では、Facebookが新たに始めた広告は、ユーザーのプロファイルデータに基づいて展開される「Facebook Ads」というSNS内の行動ターゲティング広告。是非を問われるSNSの新たな行動ターゲティングという記事によると、プライバシー問題から、市民活動グループが、Facebook内で広告への抗議グループの署名運動を行っているようです。また、EUでは、消費者が企業の巧妙なマーケティングによってだまされたり、企業によって操作されることを防ぐための法律「Unfair Commercial Practices Directive」を、2008年初めから(英国では4月から)実施することを発表している、とのこと。

 このように、行動ターゲティング広告はプライバシー問題などの問題が起こりかねないので、ネット企業は注意が必要です。

 11月後半から多忙でブログの更新ができなかったのですが、明日の補講でやっと年内の授業が終わりなので、これからはブログの更新ができそうです。失礼しました。

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November 13, 2007

クチコミマーケティングの3つのタイプ

 数年前からネット上でいろいろな種類のクチコミマーケティングが行われています。それらをどのように分類すればいいかと考えておりましたが、すっきりとした分類を見つけました。

 廣告社の「くちコミマーケティング」のページに載っている3つのタイプです。
 ・体験談提供型
 ・話題提供型
 ・ベネフィット訴求型

 なお、この内容については、廣告社の人が中心に書いている『くちコミニスト』を活用せよ!お客さまがお客さまにススめるマーケティングという本にも出てきます。

 現在行われているネット上の様々なクチコミマーケティング手法を、この3つのタイプに分類してみます。

体験談提供型
 このタイプには、宣伝したい製品の試供品をブロガーに送り、実際に使った上で評価や紹介をブログでしてもらう、という口コミ効果を狙うサービスが該当するでしょう。モバイルファクトリーのTRY TRENDや、エルゴ・ブレインズ等によるバズポストなどです。

話題提供型
 このタイプは、とにかくまず話題になればいいので、ブログに書くだけで報酬をもらえるサービスが該当するでしょう。また、CGCM(企業が提示したCMテーマに沿って利用者がCMを作成し動画投稿サイトへ投稿)など、動画のネタが利用者の関心を集めることを利用したクチコミ手法も、このタイプに該当するでしょう。先月このブログで紹介したように、エニグモはこの2つをうまく組み合わせています。
 米国でFacebookが始めたFacebook Adsでは、商品のキャラクター等に関する話題が友人たちへとフィードを通じて配信される仕組みを持つようです。Coca-ColaがSpriteブランドのキャンペーンに活用しているようです。このような仕組みも、話題を広げる仕組みとしておもしろそうです。

ベネフィット訴求型
 このタイプは、専門家の意見を活かすような手法が該当するでしょう。例えば、オールアバウトとサイバーエージェントによるAll Aboutタイアップ with AmebaPRが先週発表されましたが、このサービスのように、ある程度信用される人が関わることで、ベネフィットの訴求ができるようになるでしょう。

 米国のSociety for New Communications Research(SNCR)による調査で、広告とマーケティング業界、ブログの広告投資を重視へという傾向が出ています。現在、エージェンシーの多くがカンバセーショナルメディアに費やす予算を「全体の2.5%」としたが、2012年にはこの比率を既存メディアよりも多くする計画、とのこと。ブログやSNS等のCGMを活用したクチコミ広告は、ますます盛んになりそうです。

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October 26, 2007

「I.M.press Live!」にてエニグモのクチコミマーケティングサービスのお話を聞きました

 昨夜、アイエムプレスによる第25回「I.M.press Live!」に参加し、エニグモの代表取締役 共同最高経営責任者 須田将啓さんのお話を聞いてきました。

 エニグモが展開しているクチコミマーケティングサービスの、掲載料を払って多くのブロガーにブログ上で企業からの掲載依頼を取り上げてもらうプレスブログや、CGCM(CM用の動画をネットで広く公募し動画サイト等で公開)サービスのfilmo(フィルモ)のお話を聞きました。

 興味深かったのは、プレスブログとfilmoのサービスを組み合わせることで効果を出せるということです。つまり、filmoに投稿されたCMの中から訴求力や話題性が高い動画CMを選び、それをプレスブログによりクチコミで広める、という方法です。
 企業からの直接的な掲載依頼ではなく、利用者が作ったおもしろい動画CMですので、「やらせ」的な色は出ずに、自然なクチコミが広がり、最終的にはその動画CMに含まれている企業からのメッセージが広く伝わる、ということです。これは、理想的なクチコミの広め方といえるでしょう。クチコミを無理に作り出そうとする手法(電通の3Dコミュニケーション等)は、操作をしているという感じが強いですので。

 エニグモでは、そのような組み合わせ方によるrollmio(ローミオ)というサービスを米国で始めたということです。CREATORとPROMOTERともに利用者というのがミソです。

Rollmio

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September 24, 2007

口コミの発生を狙う広告代理店の大衆操作

 先週水曜(9/19)の日経産業新聞で、電通による「3Dコミュニケーション」が取り上げられていました。これは、口コミを発生されやすい広告のテクニックについてでした。
・まず、宣伝したいコンセプトや用語について、ネットや特別な雑誌(ファッション誌)で事前に意味を伝えておく。
・しかし、一般消費者に見せるテレビCMでは、わざと意味が分からないように伝える。
・そうすると、ネットやファッション誌などで事前に知っていた人から、口コミが発生しやすくなる。

 というようなテクニックを用いた広告手法を電通では実施していて、「3Dコミュニケーション」 と名付けたとのこと。

 具体例としては、大塚製薬のファイブミニをアピールするためのレタモンについて、まずネットで詳しく紹介。次に、テレビCMでは、レタモンをほとんど説明せずに登場させた。そうすることで、事前にネットでレタモンについてよく知っていた消費者から、テレビCMを見た消費者へと、「実はあれはね」という口コミの流れを生み出そうとした。

 そのような手法でのテレビCMは、ティザー広告(じらし広告)のように見えますが、知っている人には分かる内容、ということなのです。その情報差を利用して自然と口コミが誘発される、という仕組みです。先月このブログで取り上げたシーディングによく似たテクニックです。

 これは、複数のメディアを活用した広告戦略を提案できる大手広告代理店ならではのサービスと言えるでしょう。ネット大手(Yahoo等)やメディアレップにはできないことです。

 しかし、これは新たなタイプの大衆操作(これまでは、単にマスコミの利用)といえるでしょう。様々なメディア(マスコミやネット情報/CGMなど)への広告メッセージの出稿の仕方を工夫することで、大衆の中で関心と情報差を生じさせることで、「口コミの誘発」を狙う手法です。従来よりもずっと凝った大衆操作と言えます。単に商品の広告に使うのならば許せますが、政治的な宣伝にはこのようなテクニックは決して使ってもらいたくないものです。

 ところで、この「3Dコミュニケーション」 というネーミングはよくないですね。一見すると、セカンドライフ等での広告手法のように思えてしまいますので。

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August 31, 2007

ペルソナを用いた設計とペルソナ・マーケティング

 「ペルソナマーケティング」といった言葉が最近流行っていますが、元になったのは、Microsoftのユーザー・リサーチ・マネージャのJohn S. Pruitt他によるペルソナ戦略という本です。DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー2007年7月号には、その本の概要をまとめた高ユーザビリティ製品を開発する ペルソナ:顧客経験のデザインという文献もあります。

 私も20~30歳代にはソフトウェアの開発をしていまして、その頃はよくユーザビリティの向上策に頭を悩ましていました。ソフトウェアの使い勝手を向上させるには、利用者全員から要望をもらって、それをすべて取り入れればいい、というものではありません。コンピュータ利用については個人差が大きいため、全員に対して使い勝手が最高、ということはありえません。また、利用者全員の要望を開発者間で共有することは難しいですし、すべての要望を取り入れようとすると、シンプルさや統一性が無くなり、かえって煩雑さを増してしまうことにもつながりかねません。実際、多くの利用者の要望を取り入れようとして失敗した製品もありました。

 そのような状況から、Microsoftでは「ペルソナ」という考え方が生まれたわけです。「数多くのユーザーをユーザーを満足させようとするよりも、たった一人のために設計・開発したほうが成功する」という考え方です。典型的なユーザ像を仮想的に「ペルソナ」として作成し、そのペルソナが満足できるように設計するものです。ブログを検索したところ、ビズ・ナビ&カンパニーのビズナビホットラインというブログの中で、マイクロソフト社がWindows Vistaの製品プランニングにおいてペルソナの概念を用いて開発を行っていることについて、具体的に述べられています。ソフトウェア開発においては、「提供したいシナリオをペルソナを用いて書くことによって、開発者の独りよがりの発想による実装を避けることができる」ということがポイントなわけです。

 そのような「ペルソナ」の考え方が、ソフトウェア等の設計だけでなく、汎用的なマーケティング手法として広まりつつあります。日経BPによると、南都銀行は、サービス改善のために「ペルソナ」を作成した事例。プロフィールや価値観が伝わるようなエピソードまでペルソナに書き込み、その顧客に関連する担当者全員で共有することで、サービス改善につなげようという試みです。南都銀行については、personadesign.netによる事例解説もあります。日経情報ストラテジー 2007年10月号 特集1 究極の顧客像を構築せよ 「ペルソナ」マーケティングという特集には、大和ハウス工業・日立アプライアンス・横浜デジタルアーツ専門学校の事例が載っています。それらは、ペルソナを作って社内で共有することで、販促やサービス改善などに取り組んでいる事例です。なお、大和ハウス工業・日立アプライアンスの事例は、Pruittの本(訳本)に国内の応用事例として追加されています。

 マーケティング面でペルソナを作って広く企業内で共有することは、担当者間の意識合せや、マーケティングの方向合せで効果的と考えられます。また、個人情報保護法の問題から、特定の個人の情報を企業内で広く共有することはできないわけですが、「ペルソナ」にしてしまえば広く共有できるわけです。ただし、ペルソナを作る際に、個人を識別できるような情報を使うようであれば、「いただいた個人情報は、ペルソナを作るために利用させていただきます」というような注意事項を入れる必要があるでしょう。

 John S. Pruittの書籍では、主に製品設計の手法としてペルソナが提案されていますが、ナレッジマネジメント活動としてペルソナを作成・共有することにより、効率的なマーケティングにつながると期待できます。なお、サービス向上のためには、VOC(Voice Of Customers)活動も同時に行ったほうがいいでしょう。その場合、「顧客の声」の優先付けにペルソナを利用するのがいいでしょう。

 ところで、明日から1週間ほど、旅行などによりネットが利用できないかもしれません。メールやこのブログへコメントをいただいても返信が遅れてしまうと思います。ご了承くださいませ。

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August 26, 2007

バズマーケティングのために試供品配布

 バズマーケティングのために試供品を配ることが盛んになってきました。いろいろなところで、いろいろな配り方をしていますので、まとめてみました。

 ネットプライスが運営するmonopediaのクチコミ広場では、利用者は送料のみの負担で商品のモニターになれるというもの。日経MJ 2007/5/28「ネットプライス 商品レビュー、詳細・正確に」によると、送料はケレジットカードで徴収することで、偽名を使って複数応募する人などを減らせる見込み。商品レビューでは、良い点・悪い点と、具体的な評価(五百字以上)を記入する必要があるとのこと。企業からレビュー数に応じて収入を得ることができ、monopediaのクチコミ情報を充実させることもできる、という狙いのようです。

 女性専用コミュニティ「キレイナビ」のキレイストアでは、いろいろな商品の無料モニタを募っています。そして、当選した人が、試した後で、キレイナビのレビューに感想を書くと、ポイントをプレゼントしています。このように、クチコミを引き出そうとしています。また、アットコスメでは、プロデュースメンバー限定のモニター募集といったサンプル配布も行っています。

 モバイルファクトリーの体験型クチコミプロモーションサービスTRY TRENDは、案件ごとに、BloMotion会員等の中からブロガーをリクルーティングして応募を受け付ける方法。Venture Nowの記事によると、参加者がブログに記事を掲載する際にはモニター記事である事を明記する必要があり、また、モバイルファクトリーが掲載ブログのチェックまで行うとのこと。先週発表されたサイバー・バズとニフティによるクチコミマーケティング支援サービスMegaBuzz(メガバズ)も、商品特性に合致したブログ・インフルエンサーを抽出して、体験型クチコミサンプリング・イベントへの参加を促すことで、クチコミマーケティングを支援するもの。

 バズマーケティングとエルゴ・ブレインズによる、ブロガー向けサンプリング総合ソリューションバズポストは、ブロガーがブログに書いた感想記事を、「クチコミedita」で自動収集、コンテンツ化し、クライアント企業に自社サイトのコンテンツとして使えるような形で納品。秀逸なブログ記事をエルゴ・ブレインズが運営するメールマガジン「ブロ通」で紹介。こちらのほうが、「TRY TREND」よりも口コミ活用の点まで工夫されています。

 一企業が独自に、ブログに書いてくれるブロガーを募って試供品等を配るところも出てきました。

 コカコーラの「ミニッツメイド朝ゼリー」1ケース プレゼントは、感想や写真をブログに書くことが条件になっています。8月27日まで募集しています。私も応募してみましたが、ブログのurlやアクセス数まで書かされました。抽選で決めると書かれていたのに、アクセス数は必要なのか疑問に感じました。

 隠岐諸島のひとつ中ノ島・海士町の住民グループによる全国のブロガー、この島に集まれ!という企画は、島おこしの一環として、島内2泊3日無料体験ツアーにブロガーを招待するというもの。自分のブログを持っている(継続している)か、動画投稿できる人という条件が付いています。島の自然などを楽しんでもらい、それぞれのブログなどで情報発信してもらうのが狙い。ITMediaでも取り上げられました。

 その他、日経MJ 2007/3/7「セレブはタダで使う」という記事によれば、企業が無料で有名俳優などのセレブに商品やサービスを提供し、セレブが自発的に使う姿をメディアを通して発信するという「セレブマーケティング」も米国は行われているようです。この場合、セレブが自分のブログに書くことは要求していないようです。セレブはよく報道の対象になりますので、「使っている」ことがテレビや雑誌などのメディアや口コミで伝わる効果を期待しているもの。

 ONEDARI BOYSは、ブロガーのほうから、商品の提供を「おねだり」するもの。その際、自分が試したいと思ったものだけレポートを書き、レポートの中では企業から商品の提供を受けていることを明記。BPnet ネットマーケティングに解説があります。

 どこも、「やらせ」的なクチコミではなく、自然なクチコミの発生を狙った工夫をしているように感じます。

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August 17, 2007

AISASと普及理論との関係

 ネットのマーケティングでは、AISASというモデルが受け入れられつつあります。
   Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(購入)→Share(共有)
という消費者のプロセスモデルです。従来のAIDMA(アイドマ)モデルは、各消費者の行動モデルでしたが、AISASの考え方では、SearchとShareで他者とのインタラクションを含むため、各消費者の購買行動プロセスとして見るだけでなく、消費者間のインタラクション(相互作用)のモデルとしても使えます。

 ガーラの村本理恵子さんによるWeb2.0時代のネット口コミ活用bookという本の中でのAISASの記述部分(P.45)では、SearchとShareが「ネット口コミ」を通してつながったり、最後のShareと最初のAttetionをつないでループ上に表しています。このように、AISASでは消費者間のインタラクションをイメージしたほうがいいでしょう。しかし、この図でも物足りなかったので、私自身で少し考えてみました。

 革新的な商品の普及については、Rogersの普及理論の中に当てはめて考えることができます。イノベーションは、イノベーター(革新的採用者)→アーリーアダプター(初期少数採用者)→前期多数採用者→後期多数採用者の順に採用され、採用者数の累積がS字カーブになるという理論です。なお、普及理論については、最近イノベーション普及過程論(青池著)といういい本が出ました。

 その普及理論の視点で見ると、アルファブロガーと呼ばれる影響力のあるブロガーは、インフルエンサー・オピニオンリーダーであり、イノベーター(革新的採用者)と見ることができます。アーリーアダプター(初期少数採用者)は、アルファブロガーといえないまでも、ネットで積極的に新しいネタを探して発信しているブロガーが相当するでしょう。そのようなイノベーターやアーリーアダプターの口コミが、前期/後期多数採用者にネットで伝播してゆくことを、AISASを使って下図のように簡略化して描くことができます。

Aisas_adopt

 イノベーターはShareすることが役割であり、前期多数採用者は主にネットでSearchして情報を入手します(なお、まだ後期多数採用者は、ネットよりも従来のようにリアルの口コミに影響されるでしょう)。最初はブログやSNSでの伝播が主でしょうが、前期/後期多数採用者になると掲示板の情報がよく検索されるようになると考えられます。

 口コミを広めようとする側でも、普及理論の考え方は重要です。
 シーディング(口コミの促進のために、キャンペーンについての情報を限られたブロガーと共有)の手法を得意とするロカリサーチは、「アーリーアダプター」を意識したシーディングをしているようです。Excite WebAD Timesのインタビューで、バイラルCMのシーディングについて次のように語っています。

―― 「人の噂も七十五日」と言いますが……口コミにも飽和点があるとは面白いですね。
 ネットの場合は3週間ぐらいですね。それぐらい経つと、バイラルCMがある程度ネットには広まっています。ブログでも「今さらなんですけど……」という取り上げられ方になっていますね。我々は適宜ブログを巡回して、どう書かれているかをチェックしています。そこで「今さら感」トーンを察知したり、視聴回数が落ちてきたりするタイミングが、口コミの飽和点。そのタイミングでマスに打ち出すんです。
――ネットとマスメディア、両面作戦的なプロモーションが有効な気もしますが、そうじゃないんですね。
 アーリーアダプターとフォロワーを分けた打ち出しが必要なんですよ。ブログで取り上げてくれるようなインフルエンサー、アーリーアダプターは、常に先頭にいたいんです。情報を一斉に流したら、アーリーアダプターからフォロワーへと情報が流れなくなってしまいます。
 ネット内でもそう。やはり、二次効果、三次効果で盛り上げてもらうのがバイラルCMの狙いですから。メジャーなポータルサイトに「面白いCMを作りました!」なんて掲載したら、口コミは死んでしまいます。どんなに面白くて紹介しようと思っても、「みんなが知っているだろう」ネタはなかなか取り上げづらいでしょう。「自分だけが知ってるCM」をどう面白く取り上げて、反響を呼ぶか。そこがブロガーのポイントですからね。

 確かに、少し古い話題だと「なにを今さら」と書き始めているブロガーが多いです。そんな「今さら感」トーンを調べることも口コミの広め方では重要ということです。

 関連した話ですが、私が作成/更新している「eビジネス/eコマースの動向と技術」の中のCGMのページを本日、約3ヶ月ぶりに更新しました。CGMに関する動きが早いので、今回は数割位、内容を追加しました。「消費者行動(クチコミやネットの利用)」、「CGMマーケティング事例」、「口コミ効果の測定・口コミマーケティング手法」、「CGCM (消費者作成コマーシャル)」という項目を追加しましたし、既存の項目でもかなり内容を追加しました。

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August 12, 2007

音楽ネット配信2社の体験型プロモーション

 現在、音楽ネット配信の大手2社が、体験型のプロモーションを行っています。

 Napsterは、明日(8/13)まで24時間無料開放というプロモーションをしています。このプロモーションは、あまり広く宣伝していないようです。私は、大学近くの屋外広告で知りました。ターゲットを絞って宣伝しているようです。Napsterのようなサブスクリプション(定額で聞き放題)サービスは、やはり体験してもらうのが一番と考えているようです。さらに、24時間無料開放をした人の中からタワーレコードギフト券をプレゼントするとのことで、タワーレコード(日本でNapsterを立ち上げた)の利用者にも体験してもらいたいようです。タワーレコードでは、社内に「音楽の蟻地獄を作る」という言葉があり(日経ビジネス2006/12/11「タワーレコード 店もネットも売りは『死に筋』」)、リアル店舗でロングテールに誘い込む販売戦略を採用。ネットでは、次から次へと新しい音楽との出合いに引きずり込むのに、サブスクリプションサービスが向いているとして、日本でNapsterのビジネスを開始。Napsterで聞いてもらっても店舗で視聴してもらってもいいし、パッケージが欲しくなった場合はCDを店舗やタワーレコードのサイトで買ってもらう、というような融合的な戦略をとっています。実際、Napsterでアルバムを検索していると、「このアルバムを@TOWER.JPで探す」というボタンも出てきます。私が体験した感想ですが、聞き放題というのは、24時間だけでもいろいろと聞けて満足でした。また、「ほかのメンバーはこんな曲も聞いています」といったレコメンデーションがでるので、どんどんと蟻地獄(テール部分)へと入りこんでゆきます。体験してみると、予想以上に魅力的なサービスに感じました。

 また、AppleのiTunesでは、コカコーラとタイアップして、コカコーラに付いているシールでiTunesの曲が当たるキャンペーンを行っています。この春に「三ツ矢サイダー ミュージックダウンロードキャンペーン」が行われていましたが、似たような企画です。

 両方のプロモーションとも、利用者が曲を再生するのに、専用ソフトをインストールして、自分のアカウントを作らなければいけませんでした。ですので、両方とも準備に30分以上かかりました。iTunesのほうでは、英語の画面が出たりしました。ですので、途中で止めてしまう利用者も少なくなかったでしょう。しかし、専用ソフトを多くの利用者にインストールさせることで、利用者の音楽配信利用の「障壁」を無くすことができるわけですし、曲の検索を体験してもらって多くの曲をネット配信できることを知ってもらえるため、このような体験型のプロモーションは利用者を増やすのに効果的と思われます。ただし、洋楽の曲数は多いですが、国内の曲はまだそれほど多くないようです。私自身の感想としては、両社とも意外にクラシックの曲も多く提供しているのに驚きました。iTunesでは、10分以内ならば多くの曲が150円で入手でき、私はM.RegerのMozart変奏曲のフーガの部分(9分強)をコカコーラの景品として入手しました。

 ところで、今月1日のニュースですが、iTunesの音楽ネット配信が30億曲を突破したとのこと。いつの間にか、そんなにも増えてきたのですね。

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July 31, 2007

マーケティング分析コンテスト

 ネットではあまり話題になっていないようですが、今月から、宣伝会議とNRIとのタイアップによるマーケティング分析コンテスト2007というデータ分析コンテストが始まりました。11月1日までエントリを受け付けていて、分析結果の応募は明日から11月15日までです。
 このコンテストでは、「媒体接触と商品購買を“同一人物”から収集することにより紐づけたシングルソースデータ2000サンプル」が参加者に公開されます。媒体接触にはWebも含まれます。ですので、AIDMAがAISASに変わってきたのかの探求など、いろいろと実データで検証できるかもしれません。分析方法は、生データが提供されますし、Webベースの簡単な集計としてNRIのInsight Signalデータサービスも利用できる、とのこと。

Mac2007

 これまで、このようなデータ分析コンテストとしては、OR学会などによるデータ解析コンペティションというPOSデータなどの生データを分析するコンテストが毎年開かれています。しかし、今回の宣伝会議/NRIによるコンテストのように、媒体接触も含むデータが公開されるのは、聞いたことがありません。

 このコンテストはどのような狙いかと思いましたが、やはりWikinomicsの考え方(私のブログでも先月紹介)によるものでした。Insight Signalデータサービスの編集者ブログに、次のように書かれています。

我々が狙っているのは、集合知を活用して、新しいマーケティングデータや分析手法を創造していこうという点である。概念としてはドン・タプスコットとアンソニー・D・ウィリアムズが提唱した「WIKINOMICS(ウィキノミクス)」という言葉が的確に言い表している。

 私自身も、どの程度時間を割けるか分かりませんが、エントリーしてゼミ生とともに分析してみたいと思っています。

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July 26, 2007

ロングテール型のマーケティング戦略

 最近アイエムプレスによって開設されたマーケティングブロガーズ.jpからリンクしていただいたので、月刊「アイ・エム・プレス」の最新号(2007年8月号)の特集「ロングテール型ビジネスの成功の秘訣」に関連した話題を今日は取り上げます。

 既に、ロングテールについては、私のブログでいろいろと取り上げています。
  ・BtoBでのロングテール
  ・リアル店舗のロングテール
  ・ロングテール理論の全体像
  ・ロングテールの訳本の翻訳の問題点
 また、ロングテール理論の中の「フィルタ」機能を提供するレコメンデーションについても、動向意識調査について、取り上げています。
 
 今回、アイ・エム・プレスの特集記事の中で語られている「CRMを意識したテールの品揃えが重要」という問題について考えてみたいと思います。

 ロングテール型のマーケティングでは、まず、品揃えの多さこそが、顧客を集客し、ロイヤルティを維持し、競争優位の源泉になると考えられます。ですので、最初はとにかく品揃えを増やすべきでしょう。ただし、テールの部分でもある程度の利益は得たいので、アマゾンのe託販売のような在庫コスト(テールの回転率は低いので)に見合う利益率をもたらす仕組みを考えるのがいいでしょう。

 CRM的な発想をすれば、「優良顧客の集客・維持のためだけのテール商品に絞ったほうがいい」という考え方もできます。しかし、同じ商品分野でロングテール型ビジネスを行っている企業が他にいる場合、それでは競争力がガクンと落ちてしまう危険性が生じます。一般顧客のクチコミが優良顧客を招いてくれることもあるわけですので。
 ですので、ロングテール型のマーケティングでは、CRMで追求するような利益率の高さを求めるべきでないでしょう。高利益率を追い求めたいのであれば、一休のように高級商品のみ揃えて、高級志向のブランド化を目指すべきでしょう。

 科学機器のカタログ販売でロングテール型ビジネスを行っているアズワンの事例(日経情報ストラテジー 2006年8月号)でも、 在庫効率よりも、品揃えの豊富さと即納の利便性を顧客にアピールすることで、顧客ロイヤルティを維持する戦略を取っています。

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June 19, 2007

AISASに対応する4P --- Product(商品)

 ネット時代になって購買心理過程はAISASに変わってきました。そこで、マーケティングの4P(Product,Place,Price,Promotion)は、どのようにAISASに対応するべきかを、しっかり分析したいと考えています。とりあえず、4Pの中の「Product(商品)」についてまとめてみました。

 その商品の話題をネットで口コミによりShareしてもらえるように、Product(製品)に話題に仕込む(または埋め込む)ことが重要といえるでしょう。どんな商品がネットで話題になっているかを調べると、定番商品(例えば、メリットシャンプー等)は、ほとんどネットで話題にならないことが分かっています。話題になるためには、何らかの驚き(ギャップ)が必要です。

 今月に行われたNET Marketing Forumでのユニリーバの講演によると、3月に日本市場に投入したスプレータイプの男性用香水「AXE(アックス)」は、「AXEを使うと女性にモテる」というシンプルな効果をアピールしたためか、話題が広がったようです。男性としては関心のある点ですので。

 少し古い話ですが、昨年9月のWeb広告研究会によるWABフォーラムの中の「Web2.0時代のCGMについて」というトークセッションで、ネットで口コミの話題になるには「ネタの濃さ」が重要と、カレンの四家正紀氏は言っています。アサヒビールの横山和幸氏は、「企業が情報を操作するのではなく、顧客がCGMを使って伝えたいと思うような商品を作るべき」と言っています。これが本筋でしょう。

 また、定番商品でも何とか話題が広がるように、話題性を埋め込む例もあります。ピノという定番のチョコアイスには、あまり宣伝していませんが、願いのピノというの別な形(星型等)のピノを僅かに混ぜているとのこと。その星形のアイスを食べると、願い事が叶うといわれているなんて、噂を広めようとしているようです。「願いのピノ」とブログ検索すると、確かにネットで話題になっているのが分かります。なぜか、星形のピノは「幸せな気分」を演出してくれるようです。

 製品に関連したキャラクターを使ってネットで話題にする方法もよく行われています。商品自体でなく、キャラクターについてネットで話題にしてもらう手法です。コカコーラの「コークスキー」や、ファイバー美人大学の「美人大学警備員」と「悪の親玉アクダマーキン」が、今月のNET Marketing Forumで話にでています。

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June 07, 2007

日経ネットマーケティングの創刊発表

 今週、日経BPから、月刊専門誌「日経ネットマーケティング」が発表されました。10月に創刊とのこと。ネットマーケティングについては、月刊ネット販売アイ・エム・プレスといった雑誌がありますが、大手の日経BPからも専門誌を出してもらえると、情報収集で助かりそうです。

 日経BPは、昨年あたりから、ネットマーケティングというサイトを設けたり、NET Marketing Forumというイベントを催すなどしていました。それらを通して、市場調査をした結果、紙の雑誌としてペイできるという結果になったのでしょう。

 ちょうど、昨日(6月6日)から今日(7日)にかけて東京ミッドタウンでNET Marketing Forum 2007が開催されていました(行きたかったのですが、講義があり行けませんでした)。そこでの講演の概要が、NET Marketing Forum 2007 レビューのページにいろいろと出てきています。その中では、ネットマーケティングを積極的に実践している一般企業(日本コカ・コーラ、ユニリーバ・ジャパン、大塚製薬など)の講演に興味深いものが多いです。そのイベントは6日・7日両日ともすべてのセッションが満席だったとのこと。ネットマーケティングへの関心の高まりが感じられます。

 「日経ネットマーケティング」は、「専門誌」なので購読料は結構高く年間(12冊)で3万1500円です。分量も多くなくて、リリース文によると、各号は約36ページとのこと。なので、日経ニューメディアのような専門雑誌と日経ビジネスのような大衆誌の中間的な雑誌のようです。ただし、調査データのダウンロード料も含まれるようなので、それを考えると高くないかもしれません。しかし、どの程度の調査データをダウンロードできるかを早く知りたいです。ネット広告やeマーケティングに関するネット上の情報源が多いので、ネットに出ないような質の高い情報(ネットマーケティングのプロ向け)だけを載せるつもりだと予想されます。

 日経ネットビジネス(2003年1月号をもって休刊)のようには、ならないでほしいです。

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May 26, 2007

口コミマーケティングでギャップに着目したモデル

 今週、6月17日に経営情報学会の全国大会で発表する論文を書き上げて提出しました。「IT・ネットが生み出すサービス・イノベーション」というタイトルの4ページの論文です。

 いろいろと雑多な内容ですが、その論文の中で、ネットでの口コミマーケティングでギャップに着目したモデルを提示していますのでご紹介します。ただし、全くの私のオリジナルというわけではなく、サービス・マーケティング入門などに出てくるSERVQUALギャップモデル(サービス提供者/利用者間のギャップを表したモデル)と、ウェブ新時代の口コミ戦略(小池著)で提案された「口コミの四つの心理要因のモデル」を組み合わせたようなモデルです。

Wom_gap

 サービスに対して利用者が期待と知覚とのギャップを感じた際に、口コミで人に伝えたくなりがちです。その口コミが口コミコミュニティで増幅され、さらに他の人の期待につながる、といった流れを表現したモデルです。ネットでの口コミを早期にとらえ、知覚が期待を下回った場合のギャップから生じた否定的な意見を見つければ、企業側はその問題に対して素早い対応が可能となります。また、知覚が期待を大きく上回った場合の肯定的なギャップ(驚きや感動など)が生じた場合、それが口コミコミュニティの中で正のフィードバックループが回るように促進できれば、口コミでもサービスの期待が高まるため、バズマーケティングが成功するでしょう。そのようなことを表現するモデルです。

 また、先週は、7月1日に日本知財学会の大会で発表予定の「サービスイノベーションのための知的財産権の在り方に関する考察と提案」という論文を提出しました。昨年12月にイノベーション25への提案として考えた、革新的なサービスを保護するための新たな知的財産権「元祖権」などを発表します。こちらの論文の詳細については、学会発表した後で、学会での反応とともにお伝えする予定です。

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May 03, 2007

ウェブセンタリングマーケティングのためのクロスメディア広告

 3月に、クロスメディア広告(ウェブ連動テレビCM)に関して書きましたが、ネットに誘導するクロスメディア広告活用の狙いに関して、興味深い考え方を見つけましたので、ご紹介します。

 インプレスの「Web担当者Forum」というサイトの、変化するウェブサイトの位置づけとWeb担当者の役割というコラムの中で、日本インタラクティブ・マーケティングはウェブセンタリングマーケティング(WCM)という考え方を提唱しています。「企業全体のマーケティング活動のなかにウェブサイトを位置づける」というものです。マス媒体からウェブサイトに誘導することができれば、クリックストリーム分析により、消費者の関心や嗜好を正確に分析することができるのです。さらには、販売データとの関係も分析できます。(例えば、ホンダは、企業ホームページは21世紀のPOSと言っています。)

 このように、単に視聴者をネットに誘導して商品/企業の詳細情報を知ってもらったりブランディングを促進するだけでなく、マーケティング情報を詳しく知る手段として、クロスメディア広告をとらえることが重要です。

 なお、CNETのコラムクロスメディアとは、マスメディア販売のロジック?の中で紹介されていたデータですが、ある大手広告会社の社内調査によると、なんと、2006年10月のテレビスポットの38%に検索ボックスが入っていたとのこと。半年前のデータですので、現在はもっと増えていると思われます。

 月刊「アイ・エム・プレス」2007年5月号の特集は、「続きはWebで」クロスメディアの可能性でした。この中でおもしろかったのは、日清食品の事例でした。日清食品では、クロスメディア広告はあくまでもブランディングの手段と考えていて、サイトの評価指標としているのは「リーチ」と「滞留時間」。つまり、「どれだけ来てくれたか」と「どれだけ楽しんでくれたか」を重視しているとのこと。このような割り切り方で、楽しんでもらうサイトに仕上げることで、サイトの経験価値の極大化を狙っています。ただし、上記の「Web担当者Forum」のコラムによると、ウェブセンタリングマーケティングのような考え方で、調査にも使っているとのこと。カップラーメンのキャンペーンで、フタの裏側にQRコードを入れておいて、そこからケータイでウェブサイトにアクセスできるようにして、そのアクセスデータを分析することで、何時くらいに食べられているのかというデータが取れたとのこと。

 ともかく、日清食品はクロスメディアに手慣れている感じで、サイトはとても楽しいです。最近では、日清焼きそばUFOのサイトチキラー島が個人的にはおもしろかったです。ネットへの誘導にしても、電車内のUFOの広告には続きはネットか熱湯で!とひねった書き方をしていました。私は、このダジャレをすぐには分からずに10秒位考え込んでしまいました。熱湯に「ネットー」とルビを振ってくれていれば、考え込まずにすんだのですが。

[追記]
 5月5日に、ネット広告/ネットマーケティング(eビジネス/eコマースの動向と技術)のページを更新しました。

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May 01, 2007

リアル店舗のロングテールの秘訣(ジュンク堂とタワーレコードの共通点)

 昨夜のテレビ東京のカンブリア宮殿で、ジュンク堂が取り上げられていました。専門書を豊富に揃え「売れない本が売れた」という成功の秘訣について、レポートされていました。その成功のキーワードは、「社員任せ」でした。「どんな本を仕入れるのか、棚にどんな本を置くのかなど、書店の鍵になる部分は、 全て社員に任せている。」ということでした。興味深いことに、このようなやり方はタワーレコードにも共通しています。(日経ビジネス2006/12/11「タワーレコード 店もネットも売りは『死に筋』」)。

 ロングテールをリアルの店舗で成功させるためには、数をそろえるだけでなく、店で来店客に多くの本/CDを見て/聞いてもらう工夫が大切ということでしょう。そのために、「社員任せ」が適した方法なのでしょう。売り場の担当者が自分で選んだ商品だからこそ、客に勧めようという意欲が強まります。タワーレコードではPOP広告の嵐で客を蟻地獄に誘い込みますが、ジュンク堂では本の並べ方やレイアウトを工夫して、客に多くの本を見てもらうことに成功しています。そして、客単価を向上させることに成功しているのです。

 このような秘訣は、ネットショップでも参考になりそうに感じました。(具体的なアイデアはすぐには浮かびませんが。)

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April 15, 2007

GoogleはDC買収により革新的な広告商品や広告配信・管理ツールを生み出すことができるか

 4月13日、GoogleはDoubleClickの買収で合意に達したと発表しました。ITmediaCNETFujiSankei Business iなどで報じらています。

 この買収は、検索連動型/コンテンツ連動型広告とバナー広告とを両方出稿できる会社になるということよりも、ターゲティングや広告効果測定の面で、両者のサービスの有機的に組み合わせることができるようになるという意味のほうが大きいでしょう。Googleは、どんな検索キーワードが出稿されて検索されているかをリアルタイムに分かるだけでなく、この瞬間に、どんな動画が人々の興味を引いているかや、どんなバナー広告(製品)が関心を持たれているかまでも分かるようになるわけです。

 Googleのこの買収が成功するかは、上記のような情報を使って、検索連動型/コンテンツ連動型広告とバナー広告とを有機的に組み合わせた革新的な広告商品や広告配信・管理ツールを生み出して、広告代理店や広告主に提供することができるかに依るでしょう。

 ところで、日本のダブルクリックは、バナー広告(DART)・メール広告だけでなく、携帯電話へのキャンペーンなどの統合型モバイルマーケティングツールのMobileMKを2005年から始めていて、先月、ネクスウェイから携帯マーケティングASPサービスMO-ON(ムーン)事業の獲得を発表しています。こちらの事業も伸ばしてゆく方針のようです。Googleのサービスの一部になるのかもしれません。

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April 14, 2007

クチコミマーケティングサービスの広がり(女性向け、モバイル向けなど)

 利用者のブログ等に企業の商品情報やその評価情報を載せてもらうことで、クチコミで広めるマーケティング(バズマーケティングともいう)のサービスが広まっています。これまで発表されたサービスは、私のホームページにまとめていますが、今月になっていろいろと新サービスが発表されました。ただし、ウォークマンブログ事件など、露骨な「やらせ」はブログ炎上につながりますし、ミスキャンブログ事件のようにお金による報酬が疑われるだけでも炎上になることがありますので、クチコミマーケティングサービス提供企業はいろいろと工夫しています。

 サイバーエージェントは、企業が個人ブロガーに対して、新商品などについての記事掲載を直接依頼できるサービスAmebaPRを4月中旬に始めると発表しました。また、サイバーエージェントはブルーカレント・ジャパンとともにアメブロ・インフルエンサー・プログラムも始めました。(日経MJ2007/4/16によるとこの2つは別ものとのことなので、後で追加しました。)このサービスでは、企業の商品やサービスのブログ記事を書くことにより、ブロガー「クチコミ番付」にランキングされ、「クチコミ力士」の昇格やキャラクターを成長させたりできるというもの。それぞれの商品/サービスについての金銭的な報酬は発生しないですが、番付が幕下・十両・幕内と上がるにつれて「Ameba」オリジナルグッズを獲得できるようにする仕組みで、ブロガーにインセンティブを与えています。

 モバイルファクトリーによる体験型クチコミプロモーションサービス TRY TRENDのように、金銭的な報酬でなく、試供品を提供することで評価してくれるブロガーを集めようとするところもあります。

 クチコミマーケティングサービスでは、女性を主な対象とするものがいろいろと現れています。インフォプラントによる「口コミ」に関する生活者調査で、 「良いと思った商品やサービスがあったとき、あなた自身は誰かに伝えたいと思いますか?」の問いに、「伝える」と答えたのは、男性32.8%、女性54.2%と男女差が出ています。そのように女性のほうがクチコミに熱心ということから、女性を主な対象としたサービスが出てきたのでしょう。
 サイバー・バズとハー・ストーリィによる、主婦層を対象にオンラインとリアルの双方向クチコミ相乗効果を狙うMamaBuzzが、今週始まりました。また、デアトレという女性の口コミを狙ったマーケティングサービスも、今月から始まりました。Business iの記事によると、デアトレの登録者の中でも情報発信力が特に高いと認められた人は、表参道の「サロン」の利用が可能になる、とのことです。このサービスでも、金銭的な報酬ではなく、別な形のインセンティブを与えています。
 先月、ECナビによる口コミマーケティングサービスbuzzmoが始まりました。ブロガーに広告主の新商品やサービス、イベントについて情報を提供し、ブロガーが紹介記事を執筆した際に、ECナビのポイントで報酬を支払うもの。日経BPの記事によると、「このサービスでの登録ブロガーの7割が女性」とのことであり、このサービスでも主に女性を狙っています。「ECナビを閲覧する男女の比率は同じぐらいだが、実際に購入するのは女性が多い」、ということもあるのでしょう。

 モバイルブロガー向けのクチコミマーケティングサービスも始まりました。今週、アドウェイズとバジンプは、口コミマーケティングサービスBUZZIMP PRESSを、携帯電話向けブログサービス「Manblog」に導入すると発表しました。

 「やらせ」でなく、ある商品について良い評価をブログに書こうとした時に、クチコミマーケティングサービスで何かもらえるのであれば、それに乗るだけ、というような自然な使われ方が望ましいのでしょう。

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March 25, 2007

検索連動型広告での「品質」の考え方

 検索連動型広告でも、「品質」の考え方が広まってきました。広告料金を払う「顧客」は広告主の企業ですが、検索の利用者という「顧客」にとっての利便性を「品質」として重視する動きです。検索利用者の支持がなければ、検索連動型広告のビジネスも成立しないためです。

 Googleは、2005年8月に品質スコアの仕組みを導入しました。Googleは、飛び先ページの品質やクリック率などから品質スコアを求め、それを使用して各キーワードに最小入札価格を割り当てます(品質が低いほど、最小入札価格が高くなります)。渡辺隆広さんの解説によると、「MFA(Make for Adsense)サイトの排除」という狙いがあるようです。つまり、「安いコストで検索からユーザを誘導して、その広告費用よりもクリック単価の高いコンテンツ連動広告をクリックさせる」という、利用者にとって意味の無いビジネスを排除させたいためです。

 スポンサードサーチという検索連動型広告を提供しているオーバーチュア(米国ではYahooが吸収済み)でも、米国で先月に導入された新検索広告システム(Panama)で「品質インデックス」という5段階の指標を取り入れました。こちらも、飛び先ページ(ランディングページ)の品質などを評価します。ただし、こちらは、最小入札価格を上下させるのでなく、品質インデックスにより掲載順位を変動させます。式で表すと、
   入札価格×品質インデックス = 掲載スコア
 詳細は、Webマーケティングガイドのサイトのコラム新オーバーチュア「Panama(パナマ)」の実態や、米ヤフー 広告プラットフォーム兼製品担当上席副社長へのインタビュー月刊アスキー 4月号オーバーチュア代表取締役 副社長 竹尾直章氏へのインタビューの中などで解説されています。なお、日本での品質インデックスの導入は5~6月になる予定とのこと。

 私の感想としては、Googleのように品質に応じて最小入札価格を変動させる方法は、経済学的にMFAサイトを排除するのに有効かもしれませんが、品質の評価は検索サイトの物差しで行われるため、不満を感じる広告主が少なくないでしょう。オーバーチュアの仕組みは、検索の利用者にとって望ましいですし、広告主にとっても納得しやすいと思います。

 なお、このような検索連動型広告での品質対応により、広告出稿の仕方でも対応が要るのかも知れません。アイレップによるコラムリスティング広告の運用におけるロングテール依存への警鐘の中では、「スモールキーワードからの誘導機会が減少してしまう可能性」が指摘されています。

 また、検索連動型広告における「品質」評価において、商標などの知的財産の考慮も必要ではないか、と感じます。これから問題になるかもしれません。

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