跳びガエル現象 (leapflog、リープフロッグ型発展)
最近、新興国で製品ライフサイクルを1巡飛び越して最先端の製品/サービスが普及する現象が起きることがあり、「跳びガエル現象 (leapflog、リープフロッグ型発展)」と呼ばれています。Wikipediaや日経コンピュータ2019.7.11などで紹介されています。
最近の講義で、この現象を説明する機会があったのですが、いい図が見つからなかったので自作しました。
ご参考までに載せておきます。
最近、新興国で製品ライフサイクルを1巡飛び越して最先端の製品/サービスが普及する現象が起きることがあり、「跳びガエル現象 (leapflog、リープフロッグ型発展)」と呼ばれています。Wikipediaや日経コンピュータ2019.7.11などで紹介されています。
最近の講義で、この現象を説明する機会があったのですが、いい図が見つからなかったので自作しました。
ご参考までに載せておきます。
今月の月刊 最新、ビジネス方法特許の登録状況に少し書きましたが、先月、アスタリスクという会社がユニクロを特許侵害で訴えました。ユニクロの新型セルフレジが、アスタリスクの保有するRFID読取装置関連特許読取装置及び情報提供システム(特許6469758号)を侵害しているという主張です。
ファーストリテイリング側は、この特許に対する無効審判(無効2019-800041)を請求しています。特許庁のページの口頭審理・証拠調べ・巡回審判期日の中の「巡回審判期日一覧表」を見ますと、明後日(10/29)火曜の午後に大阪で口頭審理が行われます。東京で行われるのでしたら聞きに行きたかったのですが、大阪では行けません。残念です。
アパレル業界の多くの企業ではRFIDタグを活用してゆく傾向ですので、この特許の侵害訴訟・無効審判の結果が注目されます。
昨日(9月4日)、経済産業省別館1階 第1審判廷で行われた特許無効審判の口頭審理を傍聴してきました。私は、時々特許庁の口頭審理・証拠調べ・巡回審判期日のページを見ていまして、ビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)関連の審判を見つけた際は、都合がつけば聞きに行くようにしています。
昨日の無効審判は、株式会社コムスクエアの特許の情報管理方法、情報管理装置及び情報管理プログラム(特許5075201)に対して、TIS株式会社が特許無効化を請求した事件です。一般に「ペイ・パー・コール」と呼ばれている機能で、ネット広告に電話番号を載せて、利用者がその電話番号に電話をかけた場合に課金する仕組みに関してでした。請求人側(TIS)が、この特許とほぼ同じ仕組みの先行技術を見つけていて、請求項1・4・7の取消しを請求しています。昨日聞いた範囲では、この審判の争点は、「情報が表示されてから一定期間」(先行技術)と「(情報管理サーバから)情報が送出されてから一定期間」(本特許)とを同一と見なしていいかという点でした。請求人側は、当業者からみてほぼ同じ意味というような主張をしていました。被請求人側は、実験的証明などを提出して同一ではないと主張していました。ディベートを聞いているようでした。
私の感想ですが、最近のネット広告詐欺の問題として、スクロールしないと見えない箇所に広告枠が設けられているような場合があることを請求人側が提示したほうがいいと思いました。そのような問題があるように、先行技術の文献で、広告出稿側が「表示」と書いていても、実は利用者の端末では表示されてない場合があり、広告出稿側は情報を送出することを「表示」と書いていると思われます。そのような点を主張に加えると、より説得力が増すのではないかと私は感じました。
なお、この無効事件と並行して侵害訴訟も行われているとのことでした(ダブルトラック)。ですので、無効にできる否かは請求人側にとって大きいでしょう。
コムスクエア側はTIS株式会社の提供する「Callクレヨン」サービスに対する 特許権侵害差止等請求訴訟の進捗のご報告というリリース等を昨年出していますが、無効審判を起こされている件は発表していません。
別件ですが、小著eビジネスの教科書に誤りがありました(ご指摘いただきました)。単純な用語の誤りです。6.7 に「ソーシャルレンダリング」とありますが、「ソーシャルレンディング」が正しいです。出版社の正誤情報のページにも記載される予定です。ケアレスミスで申し訳ありませんでした。また、ご指摘いただいた方に感謝いたします。
特許庁の口頭審理・証拠調べ・巡回審判期日のページを時々見ているのですが、電子チケット関連の技術の特許に関して、無効審判が起されていることを最近知りました。無効2016-800102と無効2016-800103です。
電子チケット発券アプリのtixeeboxを提供しているLive Styles株式会社が保有するチケット処理方法およびプログラム(特許第5362134号)とプログラム(特許第5436718号)という特許に対して、ファンクラブ運営・電子チケット技術のEMTG株式会社が無効審判を起こしています。
Live Stylesの特許のページには、上記の2つの特許の概要が示されています。アプリに届いたチケットをもぎるだけで入場が可能となる技術に関する特許です。その他、「チケット処理方法およびプログラム(特許5256372号)も有していることが示されています。
EMTG株式会社も同じようなビジネスを行っているようですので、Live Stylesから警告されているのかもしれません。
来週火曜(5/23)に経済産業省別館1階の第一審判廷で、この無効審判の口頭審理があるのですが、授業が入っていて聞きにゆけません。結果がでてから、詳しく解析したいと思います。
先週、約1週間の間、ローマに行ってきました。航空会社はアリタリア航空を使ったのですが、アップグレード入札制度を使って、行き帰りともプレミアムエコノミー席にアップグレードできました。市場原理でアップグレードの価格が決まるということで、興味深い仕組みでしたので、入札してみました。数万円ならいいかと思い入札したところ、フライトの前日に落札できたというメールがきました。なお、調べてみると、アリタリアだけでなく、他の航空会社でも同じような制度を取り入れているところがあるようです。
私がこの制度を知ったのは、出発の10日前にアリタリアから次のような英語のメールがきたためです。
"Get an Upgrade on your Alitalia flight to Rome. Make a bid!"
Dear guests,
Your current flight itinerary is eligible for an upgrade to our Business Class. Enjoy all the allure of Italian style. Relax in the utmost comfort and let us spoil you with our wide range of services and our all-Italian hospitality.
そのメールで示されたリンクから入札を申し込むサイトにゆくと、メーター(offer strength)で、どの位の入札額ならば落札できそうかの目安が示されました。ビジネスへのアップグレードも入札できましたが、かなり高くないと落札できそうになかったので、私はプレミアムエコノミー席に入札してみました。なお、入札時にクレジットカード情報の入力を求められ、アップグレードできた時点で入札金額が引かれることが示されて、冷やかしでは入札はできないという感じでした。
このような入札方法は、見た目はプライスライン社で航空券やホテルを逆オークションで予約するName Your Own Priceの仕組みによく似ていると思いました。しかし、アップグレード入札制度は1つの会社の中で閉じた入札制度であるのに対し、プライスライン社の逆オークションは複数の航空会社やホテル会社に逆オークションをかける仕組みですので、全く違う仕組みです。なお、プライスライン社の逆オークションは、特許化されていることでも有名で、以前このブログでその特許が日本でも成立したことを報じました。その逆オークション関連のプライスライン社の最初の特許出願は1996年ですので、既に出願から20年経っていて権利期間が終了しています。早いものです。
昨日(12/10)、政策研究大学院大学で行われた第184回知的財産マネジメント研究会(Smips)に出席しました。
今回、この研究会の中の法律実務(LAP)分科会のテーマが、「FinTech関連の知的財産について、ビジネスモデル特許の今後のあり方について」というものでしたので、ビジネスモデル特許(ビジネス方法特許)に関して、特許関連の方々(特許庁・弁理士・企業内の特許実務の方)のご意見が聞けそうと思い参加しました。
まず、議論のとっかりとして、フィンテックで特許訴訟 中小向け会計ソフト巡りという先週の日経新聞の記事を元に、クラウド会計ソフトのfreee(フリー)が、同業のマネーフォワードが自動仕訳の技術の特許を侵害したとして差し止め請求訴訟を起こしたことが報告されました。そして、その特許の請求項をチェックするなど、議論を進めました。
そのFreeeの特許とは、会計処理装置、会計処理方法及び会計処理プログラム(特許5503795号)という特許で、私は以前から知っていました。問題になるかもしれないと思っていた特許の1つで、私のeビジネスの教科書のビジネス方法特許の章で、金融分野の特許の例としてあげていました。
その研究会では、侵害にあたるかは微妙なのでないか、というご意見の方が多かった感じです。今回の差し止め請求は、営業的な狙い(差し止めの可能性があると利用者がマネーフォワードを使うのを躊躇するのでは)といったご意見も出ました。
オーガナイザーの特許庁の足立昌聡さんからは、米国ではビジネスモデル特許の出願が減少傾向という点、海外サーバの場合などの域外適用の問題、この分野での均等論適用の問題などのお話をお聞きすることができました。
最近のビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)からみの企業間の争いについてです。今月、ドワンゴ、FC2を提訴 動画コメント特許侵害を主張という報道がありました。動画コメント関連特許を侵害されたとして、ドワンゴがFC2などを提訴した件です。
このようなビジネス方法特許関連での提訴はあまり多くありませんが、この数年間で4件も特許権侵害訴訟が起こされた特許について、取り上げます。それは、発明の名称が「Web-POS方式」という特許による特許権侵害訴訟です。この特許の最初の出願は1998年(特願平10-13546)ですが、分割出願により第4世代まであり、成立特許数は計6件です。
特許権の売買があったらしく、第3世代の特許(第4491068号)の権利者は米国の「ジーピーシー アジア パシフィック アソシエイツ インク」となっています。その特許権の専用実施権者である「株式会社ジーピーシーコリア」が、2013年に千趣会と楽天に対して特許権侵害訴訟を起こしています。
その後、第4世代の特許(第5097246号)の権利者である日本の「Ada ZERO株式会社」が、カクヤスとアスクルを訴えて、今年、知財高裁の判決が出ています。
これらの裁判では、特許侵害は認められていません。理由は均等論の話になり、かなり専門的ですが、なぜ特許侵害にあたらないかは、日本弁理士会が出しているパテントという月刊誌の中の解説(2 均等侵害)などをご覧ください。
裁判を嫌がる企業も少なくないので、警告されて少ない額の特許料であれば、支払ってしまった企業もあるかもしれません。特許権はあと2年位ですので、それまではこの特許による警告や訴訟は続くかもしれません。
なお、小生は企業から特許権侵害に関する相談を受けることがあります。担当の弁理士さんが、このような技術分野にあまり詳しくない場合など、お手伝いできるかもしれません。
他のソフトウェア特許の判例については、河野特許事務所-ソフトウェア特許判例紹介などをご覧ください。
先月、ヤフー(Yahoo! JAPAN)がショッピング事業専用の広告商品「PRオプション」の特許を取得というリリース発表をしました。ヤフーは国内で、年間に数百位の特許を登録しているのに、これまであまり特許成立について発表していませんでしたので、先週発行された特許公報(特許第6009485号)を見てみました。なお、公開公報は、配信装置、配信方法および配信プログラム(特開2015-179469)です。
PRオプションを出稿する際、料率を指定しますが、特許によると、料率で優先度を決めるのでなく、商品価格を乗じた販売促進費で優先度を決めています(それ以外にも、検索連動型特許のようにCVRやCTRなども考慮されています)。例えば、同じ商品を、A店で10000円、B店で12000円で販売していた場合、A店が料率を8%、B店が料率を7% と指定すると、料率は低いのにB店の商品のほうが優先されることになります。こんな点に気を付けたほうがいいかもしれません。
なお、この方法はヤフーの利益を最大化するのには適しているかもしれませんが、利用者側からみると少し疑問に感じます。CVRやCTRなども考慮されるので、結果としては安い方が優先されるのかもしれませんが。
ヤフーが特別にリリース発表した理由ですが、ショッピング事業担当の執行役員が発明者の1人になっていたためかもしれません。
ビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)に関して、国内で企業間の争いが表面に出てくるのは少ないですが、特許庁の口頭審理・証拠調べ期日 審判事件 平成28年7月分のページを今日たまたま見たところ、レコメンド技術に関して、無効審判が起されていました。
サイジニアの特許レコメンド装置、レコメンド方法、レコメンド媒体の生産方法、及びプログラム(特許第5800926号)に対して、シルバーエッグ・テクノロジーが無効審判を起こしています。両社とも、レコメンド技術/サービスを提供する企業です。この特許は、紙にレコメンド情報を印刷する仕組みであり、パーソナライズカタログのようなサービスを可能にする仕組みです。パートナー制度も発表しています。シルバーエッグ・テクノロジーも、レコメンドのそのような活用場面を狙って無効審判を起こしたと思われます。または特許侵害がらみかもしれません。
来週月曜(7/25)に経済産業省別館の第一審判廷で、この無効審判の口頭審理があるのですが、予定が入っていて聞きにゆけません。結果がでてから、詳しく解析したいと思います。
昨年成立したビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)の中から、実際のビジネスに関連していると思われるものを、10件ほど紹介します。楽天以外にも早期審査を申請するところが多くなり、特許公開の前に成立する特許が増えてきました。
・アマゾン 商人に在庫充足サービスを提供するためのコンピュータ実施登録(特許5628941) --- 訳が不適切なので分かりにくいのですが、マーチャント(出品者)に在庫のフルフィルメントサービスを提供する上での特許です。特許5227810 が既に成立していましたが、その出願を分割して出願し特許成立したものです。複数のマーチャントの商品をまとめて顧客に出荷する仕組みの請求項も特許になりました。
・アマゾン メッセージベースの購入のためのシステム及び方法(特許5400132) --- メール等を使ってアマゾンから商品を購入する際の仕組みのようです。
・楽天 ポイントシステム、ポイントシステムの制御方法、ポイント管理装置、プログラム、及び情報記憶媒体(特許5525117) --- 楽天スーパーボイントを実店舗でも貯めたり利用ができるように、実店舗では携帯電話上にバーコードを表示して会員証を読み込ませる仕組みが特許成立しました。この出願を分割した出願の特許5562500、特許5566552、特許5566551も成立しています。
・楽天 情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム、及びそのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記録媒体(特許5400962) --- 楽天アフィリエイト「友達にメールを送って共有」で推薦メールを送る仕組みが特許になりました。
・ハンズ 商品毎の二次元コードを利用するショッピングカートシステム(特許5601645) --- ショッピングカートサービス「e-shopsカート2」の機能の中のバスケットQRの仕組みのようです。
・DeNA 電子商取引装置、電子商取引プログラム、及び電子商取引方法(特許5507747) --- 店舗配送便のサービスと配送センター便のサービス。商品情報を、配送方法がそれぞれ異なる第一配送便と第二配送便による商品の両方が購入可能であるように、顧客端末に表示するもの。西友ネットスーパーでDeNAが提携した仕組みのようです。配送方法の違いに基づくメリットの情報(急がないなら配送センター便を、など)を表示することが特許になりました。
・DeNA サーバ装置、プログラム、および、システム(特許5604605) --- 爆笑画像に加工し5秒で消える画像メッセンジャー5sec snapsの仕組みのようです。
・グーグル デジタルコンテンツ投稿の換金化(特許5592546) --- YouTubeで収益化拒否する場合の仕組みの特許。動画のオリジナリティを自動的に判定するようです。
・freee(フリー株式会社) 会計処理装置、会計処理方法及び会計処理プログラム(特許5503795) --- クラウドコンピューティングによる会計処理において、勘定科目を変更するためのメニューを持ち、自動仕訳を行う際、取引の取引内容の記載に対して、複数のキーワードが含まれる場合にキーワードの優先ルールを適用し、優先順位の最も高いキーワードにより、対応テーブルの参照を行う仕組みが特許化。
・寺田倉庫 保管依頼品寄託方法及び寄託システム(特許5578581) --- 寺田倉庫のminikuraという保管サービスの仕組みのようです。
なお、今年度中に今年成立した特許もチェックする予定で、重要と思われる特許は「eビジネスの教科書」の次の版に載せたいと思っています。
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