文部科学省、大学学部ごとに質を「三つ星」から4段階で評価へ
今月、読売新聞が大学学部ごとに質を「三つ星」から4段階で評価へという文部科学省の方針に関する記事を載せましたので、少し私の感想を記しておきます。小生は既に大学の常勤教員は退職しましたが、今も2つの大学で非常勤講師を務めており、大学生向けの書籍を執筆・改版(現在も新規に執筆中)しているため、大学での教育の今後の在り方への関心は強いです。
その読売新聞の記事によると、国公私立大学の学部ごとに、学生の成長や卒業後の評判などに基づき、最高ランクの「三つ星」から「要改善」までの4段階で教育の質を評価し、評価結果はウェブサイトなどで公開、という制度を文部科学省は考えていて、2030年にも導入予定とのことです。この記事の元ネタは文部科学省の教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキングクループの第9回の資料「新たな評価」制度の在り方について(案)と思われます。現在、既に大学教育に関しての認証評価制度はあり、大学関係者は気にする評価ですが、高校の先生や受験生やその父母は見ません。「三つ星」から「要改善」までの4段階で教育の質を評価して公開されると、多くの人が見て大学選びにかなり影響が出るでしょう。ですので、多くの大学は学生の成長を意識した教育改革に積極的になると思われます。文部科学省の資料の中で、成果の測り方として、学修成果の他、受けた教育・支援の満足度、DPに掲げる資質能力を身につけた人材を社会に輩出しその人材が社会で活躍・貢献している度合、も記載されています。そのため、今後は学生の満足度や実学の面も重視されるでしょう。
このような案は既に上記のワーキングクループで示されてきましたので、既に動きはあります。日本大学、全学生のスキルを見える化 エビデンスに基づく教育目指す 知の挑戦という日経の記事が今月出ました。学長の直轄組織である「教学DX戦略委員会」が主導し、約8万人いる全在学生のスキルや学ぶ姿勢を可視化。データのフル活用でエビデンスのある教育を目指す、とのことです。なお、日本大学が教学に関する情報を収集・分析するD-CASシステムのシステム構成(データウェアハウスや分析ツール等)については、日本大学FD研究の2025年の論文Google Cloudサービスを用いた教学情報収集・分析基盤の基礎構築に詳しく解説されています。
もともと、教育改善のためのデータ活用は大学IR(Institutional Research)と呼ばれ、その活動に熱心な大学は少なくないです。しかし、現状は多くの大学で情報システムが分断化(サイロ化と呼ばれる)しています。学生に関するさまざまな情報、教務データ(取得単位数・成績・休学・中途退学など)、授業提出物、出欠データ、図書館利用データ、学生アンケート(満足度など)、入試・入学時データ、資格取得情報、就職支援、OB情報など、は別々の情報システムで管理されていることが多く、情報の分析が容易ではありません。情報システムを連携する仕組みを作り情報を収集してからでないと、IRのための分析ができないのが現状です。私も少し経験がありますが、様々なデータを連携させて教育改善に使うのは大変でした。上記のように文部科学省が大学の教育の質を評価して公開するという方針をはっきり出しましたので、今後、各大学はサイロ化を克服しIR活動を積極的に取り組むようになるでしょう。
もう1つ気になる情報ですが、今月3日の「第5回 デジタル人材育成推進協議会」の資料1デジタル人材育成を取り巻く高等教育政策の諸動向についてという文部科学省の資料の中に、現在、約63万人いる大学進学者数は、2040年に約46万人まで減少すると推計。2040年における分野ごとの適正な大学進学者数として、理工農系 14万人(2024)⇒ 16万人(2040)、人社系 29万人(2024)⇒ 16万人(2040)、という数値を文部科学省は出しています。今後、人社系の学生数を大きく減らし、サイエンス系分野への学部等転換を一層強力に推進する方針とのことです(このような予測・方針は昨年11月に新聞で報道されていますので、その時点で文部科学省がどこかで公表したのでしょう)。そのため、文系に近いデータサイエンス学部がさらに増えると予想されます。

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