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March 27, 2012

アマゾンはサービスの垂直統合化とオープン化により規模の経済を追求

 先週、Amazon.comは、Kiva Systemsの買収を発表しました。このブログでも、以前Kiva Systemsのことをご紹介しましたが、多数のロボットを使った倉庫のシステムであり、ネット通販の配送業務の大幅な効率化が期待できます。

 アマゾンは、クラウドコンピューティングでそうでしたが、サービスを垂直統合化し、さらに、サービスをオープン化し、そのサービスだけでも収益化を狙っているようです。オープン化して他社にも使ってもらうことで、規模の経済を追求できるためです。

 Kiva Systemsの買収で、ネット通販の配送サービスでも、同じように垂直統合化とオープン化の戦略を進める意図がうかがえます。既に、FBAマルチチャネルサービスというサービスで、アマゾン以外の販売チャネルで受注した商品をアマゾンが配送するサービスを行っています(アマゾンに出品していることが条件)。アマゾンが在庫保管手数料と配送代行手数料を得る仕組みです。このような配送サービスでも、オープン化によりスケールメリットが出てくるでしょう。ロボットを使って効率化すればなおさらです。

 というように、アマゾンはサービスを垂直統合化し、さらにオープン化することで規模の経済を追求する戦略を取っているわけです。楽天の閉じた戦略(楽天経済圏)とは対照的です。

 もうすぐ、「eビジネスの教科書(第四版)」が出版されますが、この動きがもう少し早ければ、この本の中にアマゾンの戦略としてこの話を記述できました。残念です。次の版では必ず入れないといけないでしょう。

[追記] (2012/6)
 ここの内容を発展させてアマゾン・コムの戦略 -サービスの垂直統合と顧客中心主義-という論文にしました。

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March 09, 2012

データマネジメント2012での楽天とヤフーのビッグデータ活用に関する講演

 今週水曜(3/7)午後、データマネジメント2012 ~ソーシャル、クラウド、ビッグデータの時を勝ち抜く~というカンファレンスを聞いてきました。日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)が主催した企画で、私は、特に楽天・ヤフージャパン・トライアルカンパニーといったユーザ事例に興味があって、聞きに行きました。

 まず、「楽天におけるスーパーDBの活用事例、およびビッグデータへの取り組み」(楽天 グループ・コア・サービス部部長 景山 均 氏)の講演を聞きました。似たような楽天の別の講演を以前に聞きに行った知合いから、「楽天はすごい」という話を聞いていましたし、日経MJ(2012年2月24日)にはビッグデータで武装せよ――楽天、表示内容、会員別にという記事がありました。楽天では先月、ビッグデータ部という部署までできたとのことで、ビッグデータの分析に力を入れているようです。楽天スーパーDB(データウェアハウス)の情報をもとに、インフォシークのターゲティング広告を提供しているという話は以前から聞いていましたが、最近ではその情報をもとに楽天市場の画面をパーソナライズしていることが日経MJに出ていました。この日、楽天の景山氏は、そのようなパーソナライズの用途以外にも、事業部向けのBI提供、営業支援などでの活用について話をしてくれました。また、データウェアハウスとHadoopとの使い分けや、透過的インタフェースで両者を利用、といった仕組みについての話もあり、とても参考になりました。

 「ヤフー ビッグデータのマーケティング活用事例 お客様とのEngagementを目指して」(ヤフー株式会社 コンシューマ事業統括本部 マーケティング部部長 鈴木 勝 氏)の講演も興味深かったです。ヤフーでは、ターゲティングして、レコメンデーションするための考え方・手法・仕組みの話が中心でした。まず、レコメンデーションターゲティングプラットフォームは、3つの顧客価値(1.お客様に気付きの提供、2.利便性提供、3.ライフステージとの連携)をもたらすものとしていました。その仕組みは、Minerva(ユーザの行動履歴を解析して嗜好性の高いアイテムをレコメンド)とCoke(コンテンツのクリックデータを収集して相関性の高いアイテムをレコメンド)というコンポーネントを連携させることで、大きな効果が出るとのことでした。Minervaを使うことで一度も見られていないアイテム(テール商品)が減っていき、さらにCokeで効果的なレコメンドができるわけです。組織的な活用のために、ATOMというコンポーネントは全社員が利用できるようにして、分析レベルの底上げを図っているとのこと。

 楽天やヤフーの話を聞いていて、パーソナライズやレコメンデーションの仕組みは日々進化していることを実感しました。また、両社とも、データウェアハウスの授業のエントリーでご紹介したダベンポートの本を参考にしているのでは、と感じられる節がありました。特に、組織的な分析力を高めようという姿勢が見えました。

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March 02, 2012

ネット&モバイル通販ソリューションフェア2012でのCoTweetのデモと東急ハンズの講演など

 昨日(3/1)、池袋で開かれていたネット&モバイル通販ソリューションフェア2012に行ってきました。この展示会にはよく行っています。去年は行きませんでしたが、一昨年は良品計画のマルチチャネル販売に関する講演、3年前はユニクロのマルチチャネル販売に関する講演などを聞きました。

 今年は、まず、NTTコミュニケーションズが出展していたCoTweetというツールが興味深かったです。この製品は、アクティブサポートのツールとして、徳力基彦氏のコラムや、Twitterアクティブサポート入門という本の中などで紹介されていたので、どんなものかを知りたかったのです。会場でデモを見て感じたのは、TwitterやFacebookの利用者の発言に対して、企業のソーシャル担当者が対応(特にアクティブサポート)してゆくのを支援するツールとして、よくできていると感じました。対応しやすくするための機能(定型文の利用など)や、複数のソーシャル担当者が分担しやすくなるための機能(別な人が対応中・対応済かが分かる機能)など、いろいろと考えられています。また、発言者のソーシャルメディアにおける影響力の大きさ(Kloutスコア)を見ながら対応できるようにしている、というのも興味深かったです。影響力が大きい発言者への対応には特に気をつける、というのがソーシャルメディアのサポートでは重要とのことです。やはり、影響力の大きな発言者に「すごいサポート」と感じてもらい何らかの発言してもらえれば、費用対効果が高くなる、ということでしょう。利用者側から見ると、常にフォロアーの数やリツイートされる発言数を増やす努力をしていたほうが、よりよいサポートを受けることができるようになる、ということでしょう。ソーシャルメディア時代のソーシャルスキルの1つといえるでしょう。
 なお、Kloutスコアだけでなく、その企業にとっての優良顧客かどうかも分かった上で、対応できたほうがさらに望ましいでしょう。そのための仕組みですが、会員登録してもらう際にTwitterやFacebookのIDを登録できるようにすれば、ひもづけはできるでしょう。

 セミナーの中では、東急ハンズのITコマース部長 長谷川秀樹氏の講演が興味深かったです。マルチチャネル販売(クリック&モルタル)の事例でよく聞く話ですが、東急ハンズでも、ネットの売上をリアル店舗に計上するかどうかといった点が問題になっている、という話でした。当初、ハンズネット向けの商品は独自の倉庫を使っていましたが、倉庫の制約から1万点しか販売できなかったとのことです。倉庫を大きくしたいと言っても、ネット販売の売上は店舗の約1%しかなかったので、倉庫を大きくできなかったそうです。しかたなく、現在は、新宿店の店頭在庫(十数万点)からピッキングして配送しているとのことです。そうすることで、ハンズネットの売上は新宿店につくので、新宿店の人からの理解は得られているとのこと。ただし、他の店舗にハンズネットのチラシを置くことには、抵抗を受けているとのこと。そのため、ハンズネットの売上は、新宿店につけるのでなく、その購入者が普段使っている店舗につけることを検討しているとのことでした。このような話は、クリック&モルタルの企業では共通の悩みといえるでしょう。

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