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October 28, 2011

プライスラインの逆オークションの特許が日本でも成立

 10年位前に話題になった米国プライスライン社(Priceline)の逆オークションの特許が最近日本でも成立しました。今週、その特許公報が発行されました。審査請求が遅く、さらに審判になったので、今頃になって成立しました。その特許とは、条件付購入申込管理システム(特許4803852)です。プライスライン社は、普通の旅行予約の機能のほかに、航空便・ホテル・レンタカーへの指値(name your own price)の機能も提供していて、それが売りになっています。その指値の仕組みを特許化したものです。

 日本で成立した特許を、米国特許と比べるみると、請求項に「所定期間内に前記顧客が提出した前記条件付購入申込の数が前記所定期間内に提出可能な条件付購入申込の数を満足しているかどうかを判断」という構成が加わっています。これは必須ではないかもしれませんが、普通にはありえる構成でしょう。ですので、回避はできるかもしれませんが、すごく簡単という感じではないでしょう。なお、この特許の和訳には変なところが多くあります。審査官の方は読むのに苦労されたと思われます。

 ついでに、ここ1年位に成立したビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)の中から、実際のビジネスに利用されていそうなBtoBものを 3つほどご紹介します。

 旅行関連では、エムオーツーリスト株式会社の特許旅行者所在地情報通知サーバー及び旅行者所在地情報通知システム(特許4553543)は、BTM(Business Travel Management)に関する特許で、旅行者所在地情報を旅行者の家族等が閲覧する場合のパスワードの管理も含む構成になっています。この特許は、エムオーツーリストのBTMベタープラン(BeTTER PLAN)サービスの中の、 危機管理支援システム「いまどこ検索」の仕組みの特許と思われます。

 大手企業としては、大和ハウス工業の特許で、土地仲介システム,土地仲介方法,及び土地仲介プログラム(特許4625191)が成立しました。土地需要条件に合致する土地供給情報を選別する土地仲介システムに関する特許です。この特許は、土地オーナーとテナント企業を仲介するLOC事業の仕組みに関するものと思われます。大和ハウスは、LOCのような仕組みでユニクロなどの郊外店の展開を支援しています。

 三菱東京UFJ銀行とNTTコミュニケーションズとの共同出願の電子記録債権消込支援システム及び電子記録債権の消込支援方法(特許4550156)も昨年成立。この特許は、三菱東京UFJ銀行が設立した日本電子債権機構(JEMCO)が運営する電子手形サービス電手(でんて)の仕組みに関する特許と思われます。

 というように、重要と思われる特許がいろいろと成立しています。

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October 21, 2011

ITpro EXPO 2011のセミナー受講(日経デジタルマーケティング読者向けのセミナーなど)

 遅くなりましたが、先週金曜(10/14)に、ビッグサイトで開かれたITpro EXPO 2011に行ってまいりましたので、備忘録がてらご報告いたします。
 その展示会の会場で行われた日経デジタルマーケティング読者向けのセミナースマートフォンが拓く次世代マーケティングを聞くのが主な目的でした。

 まず、トヨタマーケティングジャパン 高田社長による「ネットを通じた顧客の声を次なる商品開発へ、トヨタが描く将来ビジョン」を聞きました。若者の車離れ対策として、ソーシャルパワーをとらえることを狙っていることが興味深かったです。これからの若者向けアプローチとして、お客様を楽しませる仕組み <SNS×コンテンツ> を提供してゆく方針とのことです。この辺りは、従来のマーケティングとはかなり変わってきました。世界の大企業トヨタまでも、コトラーの「マーケティング 3.0」の考え方を参考にしていたのも驚きでした。なお、トヨタ自動車本社の方によるトヨタがクラウドとソーシャルに賭ける理由というインタビュー記事もあります。

 次に、ニッセンのWEBマーケティング部モバイルチームのマネージャー、神徳氏による「スマートフォンで若年層を開拓、ニッセンのモバイル戦略」を聞きました。既に、2010年度の売上の15%(188億円)はモバイルからの売上で、今年はさらに増えそうとのこと。「ケータイサイト限定セール」や「メールでクチコミ検索」といった機能で、サイト来訪者の増加を図っているとのこと。
 特に、スマートフォンからの売上は、今年上期には昨年上期と比較して11倍に急増しているとのこと。スマホ稼働者属性としては新規率が高いため、新規顧客のチャンスと見ているとのこと。スマホからの購入者対策としては、次の点をあげていました(この辺りの話の時に居眠りをしてしまったのでよく覚えていませんが)。
  [操作性の向上] 買い物がしやすくなる → 注文成約率が上がる
  [画質・情報量の向上] 商品画像が見やすくなる → 返品率が下がる 
  [通信速度の改善] 閲覧商品数が増える → 注文点数アップ
 スマホアプリは「カタログ・ネットの補完的な役割」と見ていて、スマートカタログとバーチャルコーディネイトルームというアプリを提供。
 今後の課題としては、モバイルOneToOneの推進、カタログとスマホの融合、の2点をあげていました。この辺りは、これまでのカタログ通販企業としての強みを生かしたいということでしょう。

 その他、いくつか無料セミナーも聞きました。

 スーパーホテル 山本会長による1円当たり顧客満足度日本一のホテルを目指して~自律型感動人間を育てる社員教育とその環境づくりも興味深かったです。IT化で徹底的にコスト削減・効率化はするが、社員は自律型感動人間として育てる方針とのこと。当日泊まりに来るリピーターのお客様の情報を事前にITで確認(思い出し)して、用意する部屋や備品を配慮するといったことも行っているとのこと。このようなことは、星野リゾートのような高級ホテルでは行われていますが、スーパーホテルのような低価格のビジネスホテルで行っているというのは驚きでした。また、データウェアハウスを利用した自由分析ができるようにしたとのこと。

 町田市役所の情報システム担当部長 坂下氏による中・大規模自治体での「自治体クラウド」の標榜では、ディザスタ対策のために、庁外クラウドを共同利用しましょう、と他の自治体に呼び掛けていました。関連する情報がないかWeb検索してみたところ、町田市 2011年度 総務部情報システム担当部長の「仕事目標」と、NTTデータの町田市の事例を見つけました。

 最後に、野村総合研究所の方によるクラウド時代のID連携 ~ビッグデータ、SNSから共通番号・国民ID制度まで~は、最近増えてきたネットでのOpenIDによるID連携や、今後の社会全体でのID連携基盤の話でした。私も、将来は国民ID制度が必要と思っていましたので、参考になりました。

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October 20, 2011

アマゾン、年内にも日本で電子書籍?

 本日の日経新聞1面に、アマゾン、年内にも日本で電子書籍という記事が載りました。いつかは日本にも上陸してくるはずとは思っていましたが、それは年内かもしれない、という内容でした。

 アマゾンは、米国の電子書籍市場で圧倒的に強いです。キンドルでは、書籍代の中にその書籍をダウンロードするための通信費を含める、というような斬新的な手法を用いて、利用者を一気に集めることができました。通信に関しての契約が要らないので、利用者は安心して利用できるためです。日本でも、そのような手法を用いるかが、キンドルと電子書籍が成功するかの大きなポイントになるでしょう。それと提供する和書の電子書籍の冊数もポイントになるでしょう。

 アマゾンの電子書籍の強さに関連する解説記事をいくつか載せておきます。

まもなく「日本を追い越す」米国の電子書籍市場 王者アマゾンを「いつもの顔ぶれ」が追撃(日経ビジネスONLINE)

電子書籍戦争は終結、本はアマゾンのものになった(小関 悠)

199ドルのAmazon Kindle Fire原価は209.63ドル~「Amazonにしかできないビジネスモデル」(Internet Watch)

 また、ジェフ・ベゾスのリーダーシップに関するHBRの文献もあります。たゆまぬ挑戦を生む企業文化の秘密 アマゾン・ウェイ(HBR 2007年10月号、DHBR 2008年2月号より)です。アマゾンはベゾスのワンマンな企業ではなく、「シニア・チーム」が事業の状況を踏まえながら戦略の検討に当たるという体制のようです。その検討の中では、さらに先のことをじっくり考えたり、議論したりする時間を取っているとのことです。このような体制によって、他社が考えもつかないイノベーションを生み出すことができているのだと思います。

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October 07, 2011

スティーブ・ジョブズは発明家というよりもデザイナー?(米国特許41件)

 アップルのスティーブ・ジョブズ会長が一昨日お亡くなりになったことから、彼が生涯でどのくらい発明しているか知りたくなり、だれか調べていないか、まずはネット検索してみました。すると、ロケットニュース24というサイトに生前の特許は317件! スティーブ・ジョブズ氏が残した数々の功績というニュース記事がありました。しかし、その元ネタのNew York Timesの記事を見ると、"design patent"(日本でいうと「意匠」)のことのほうが中心に取り上げられています。

 そのため、しかたなく米国特許商標庁で特許検索してみたところ、スティーブ・ジョブズ氏の米国の成立特許は現時点で41件でした。つまり、「特許が317件」というのは誤りで、意匠のほうがずっと多いのです。なお特許は、"Steven P. Jobs" の名前で29件 (うち1件はNeXT社時代)、"Steve Jobs" の名前で12件でした。その中でも、特にユーザインターフェース関連の特許が多かったです。なお、日本では今のところ成立特許はなく、出願(公表)されたものが少しある位です(日本ではユーザインターフェース関連の特許が成立しにくいためでしょう)。

 つまり、スティーブ・ジョブズ氏は発明家というよりもデザイン(ユーザインターフェースやビジネスモデルのデザインを含む)の面で、イノベーションに大きく貢献した人物といえるでしょう。特に、デザインによってキャズム越えを何回も実現してきたことは、他の人ではなかなか真似できないことでしょう。

 以下、米国特許の検索結果を載せておきます。

(IN/Jobs-Steven-P ANDNOT APT/4): 29 patents.
1 8,032,843 User interface for providing consolidation and access
2 8,000,736 User programmable switch for portable data processing devices
3 7,996,792 Voicemail manager for portable multifunction device
4 7,958,441 Media management for groups of media items
5 7,890,778 Power-off methods for portable electronic devices
6 7,860,536 Telephone interface for a portable communication device
7 7,797,643 Live content resizing
8 7,788,604 Three state icon for operations
9 7,650,137 Account information display for portable communication device
10 7,607,102 Dynamically changing appearances for user interface elements during drag-and-drop operations
11 7,574,672 Text entry interface for a portable communication device
12 7,545,392 Dynamic guides
13 7,526,738 User interface for providing consolidation and access
14 7,479,949 Touch screen device, method, and graphical user interface for determining commands by applying heuristics
15 7,458,025 User interface for presenting media information
16 7,434,177 User interface for providing consolidation and access
17 7,349,203 Computer controlled display device
18 7,318,196 User interface for presenting media information
19 7,315,984 User interface for presenting media information
20 7,136,280 Computer controlled display device
21 7,111,240 User interface for presenting media information
22 6,957,395 Computer interface having a single window mode of operation
23 6,850,256 User interface for presenting media information
24 6,825,861 Three state icons for operation
25 6,819,550 Computer controlled display device
26 6,686,938 Method and system for providing an embedded application toolbar
27 6,538,665 User interface for presenting media information
28 6,262,724 User interface for presenting media information
29 5,146,556 System and method for managing graphic images

(IN/Jobs-Steve ANDNOT APT/4): 12 patents.
1 7,956,272 Management of files in a personal communication device
2 7,889,497 Highly portable media device
3 7,878,326 Packaging
4 7,710,409 Method and apparatus for use of rotational user inputs
5 7,710,394 Method and apparatus for use of rotational user inputs
6 7,667,124 Graphical user interface and methods of use thereof in a multimedia player
7 7,593,782 Highly portable media device
8 7,560,637 Graphical user interface and methods of use thereof in a multimedia player
9 7,521,625 Graphical user interface and methods of use thereof in a multimedia player
10 7,345,671 Method and apparatus for use of rotational user inputs
11 7,166,791 Graphical user interface and methods of use thereof in a multimedia player
12 7,165,362 Glass support member

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