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July 28, 2011

Tokyo Disaster Fantasies(大災害があっても日本人がある程度冷静でいられる理由)

 本日は、Newsweekのサイトで見つけたTokyo Disaster Fantasies(Newsweek Mar 28・Apr 04号)という記事を紹介します。震災直後に書かれたもののようです。

 この記事を今週のゼミ(3年生向け)で読みました。私のゼミでは、グローバル時代に対応できるように、ときどき英語も読ませます。この学期は2回通り学生に発表させることにしていたのですが、それは今月前半で終わり、少し時間が余ったので、今月後半は1回でだいたい読めるような短い英語を読ませることにしました。このような場合は、学生が興味を持ちそうなテーマの英語の記事をWiredや国際的なビジネス雑誌などから探しています。

 このTokyo Disaster Fantasiesという記事は、今年の日本の震災に関連して、日本人の災害意識についてポップカルチャーの面から考察したものでした。学生も興味を持ちそうに感じたので、この記事にしました。

 今回の震災と原発事故について、海外のメディアは、日本人が落ち着いてパニックにならずに行動していたことを高く評価した、と伝えられています。海外から見ると、災害に対しての日本人の行動は冷静で何か違うと感じるのでしょう。この記事の著者は、その要因を、AKIRA・ゴジラ・日本沈没・宇宙戦艦ヤマト・ウルトラマンといった日本のポップカルチャーから探ろうとしています。

 もともと日本は地震が多く、さらに第二次大戦では大規模な空爆を受けたり原爆投下されたりと、国土の荒廃を何度も経験しています。そのため、怪獣が都市を破壊したり放射能汚染が広がり世界が危機におちいるといったフィクションの物語や映像を見ることで、日本人は起こり得る大災害を頭の中で想像し、今後実際に起こる災害に備えている、というのがこの文献の著者(日系人でゴジラの本を書いている大学教員)の主張です。ちなみに、同業の5号館のつぶやきさんも福島原発の事故からゴジラを連想されていました。日本にいると気がつきませんが、海外の人からみて、日本人ほど災害ファンタジー作品を見る国民はいないというのが、この記事の著者の主張の根拠です。こんな文まで書かれています。

In the years since World War II, fictional disaster has been visited upon Japan — and especially its capital city, Tokyo — more frequently than any other place on the globe.

 さらには、災害ファンタジー作品を見ることは、カタルシスの面もあることと、日本人が大災害に直面してもあまり悲観的にならない理由の1つとして解釈できる点を主張しています。確かに、福島原発事故の直後に留学生が大量に帰国したことを考えると、日本人がある程度冷静でいられるのはこのような理由があるのではと思われます。

 ゴジラ・ガメラ・ウルトラマンなどの怪獣作品を子供の頃に多くみてきた世代としては、うなづけるところがありました。もしも、福島原発事故の放射能のせいで何らかの動物が怪獣に変わり、それが東京を襲い始めた、といったニュースがテレビで報じられても、日本人はそれほどあわてないかもしれません。

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July 18, 2011

中国の技術輸出入管理条例「改良技術は改良した企業のもの」

 一昨日(先週土曜)のNHK 週刊ニュース深読み「"新幹線"特許を中国が申請!?」という番組の中で、 中国には「改良技術は改良した企業のもの」という制度があると報じていました。その制度のせいで、日本が提供した技術が中国のものになってしまった例がある、という話でした。

 気になったので、少し調べてみましたところ、この制度は、技術輸出入管理条例(このリンクは、中国 唐山市日本事務所による日本語訳)というものでした。第27条に上記のような規定があります。これは、中国がWTOに加入する際にもうけられた制度で、知財に関して中国企業に有利な条件の制度です。つまり、知財について自国企業を防衛するための国策的な制度と思われます。

 この制度があるために、技術提供には十分な注意が要るということです。中国進出を支援する法律事務所などが、この制度について注意を喚起しています。また、中国本土を避ける方法もあります。例えば、特許に力を入れている中小企業の大成プラスは、台湾の企業としかパートナーシップを組まないという方針で、自社技術を守っているとのことです。

 ところで、中国の鉄道技術が外国で特許をとれるかどうかですが、すごく単純な改良のレベルと判断されれば、進歩性(非自明性)の面で拒絶されるかもしれません。そうなると、中国も技術の輸出の厳しさを今後感じることになるでしょう。この辺りも、今後注目したい点です。

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July 13, 2011

Androidはタダじゃない

 先月から今月にかけて、Androidベースのスマートフォン/タブレットPCメーカーが、次々とマイクロソフトとの間で特許ライセンス契約を締結しています。最近4社とライセンス契約を結んだと報道されています。昨年10月に、MicrosoftのBallmer CEOがAndroidはタダじゃないぞ―われわれに特許料を払えと主張しましたが、その時点でライセンス契約を結んでいたのはHTC 1社だけだったので、まだマイクロソフトの本気さは見えませんでした。しかし、最近、特許ライセンス交渉の成果が出てきたようです。マイクロソフトはグーグルを訴えずに、端末メーカーと交渉しています。これはPCのWindowsのライセンスともからめて、うまく(ずるがしこく)交渉しているように思えます。なお、Samsungとも交渉中とのことです。ただし、今月ライセンス契約を結んだオンキョーについては、3年前にマイクロソフトと特許クロスライセンス契約を結んでいたので、少し意外でした。そのクロスライセンスの条項の範囲内ではなかった、ということなのでしょうか?

 また、今週、オラクルもAndroid端末メーカーにライセンス料を請求かというニュースが報じられました。以前書きましたように、AndroidのJava相当のソフトウェア部分で問題になっているためです。オラクルからもライセンス料を請求されれば、Android端末メーカーはさらにコスト的に厳しくなりそうです。

 関連する話として、Android端末のアプリ開発が自由じゃなくなるというBusinessWeekの記事もあります。グーグルは「Androidのプログラムを好き勝手に改変する行為を禁じる」方針を伝えている、とのことです。このような点も、アンドロイドのOSSとしての魅力を損なうものでしょう。

 Androidの将来が心配になります。しかし、スマートフォン/タブレットPCでもマイクロソフトのOSで独占状態になってしまうことのほうが、ずっと恐ろしいでしょう。

[追記] (2011/7/26)
 自分でこれらのマイクロソフトの特許を見てみようかと思っていましたが、既に、テックバイザージェイピー代表/弁理士の栗原潔さんが、Androidで抵触しているマイクロソフトの特許を解説してくれていました。
  マイクロソフトの値千金の特許を分析する(1)(2)(3)
 このような特許で、1台ごとに5ドルのロイヤリティ収益(HTCの場合)というのは高すぎるように思えます。マイクロソフトのライセンス交渉のうまさ(Windows提供会社の強みを生かした交渉力か)を感じます。

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July 02, 2011

ロボットを活用したKiva Systemsの通販向け倉庫管理システム

 今日は、Wired日本語版の再創刊号にも出ていたKiva Systemsの通販向け倉庫管理システムを取り上げます。以前どこかで読んだことはあったのですが、YouTubeの動画 "Robotic Distribution" を見て仕組みと有効性がよくわかりました。

 Kiva Systemsの倉庫管理システムでは、ルンバのようなロボットが、倉庫の中を多数動き回って、ピッキングする人のところに商品を載せた棚を運んできてくれます。多数が同時に動くので、自動倉庫よりも効率がよさそうです。また、ロボットが直接商品を持ったりしないので、商品がロボットによって傷つけられることもないでしょう。自動倉庫の発想から言うとちょっとローテクな感じもしますが、通販向けの倉庫のシステムとしてとても期待できるシステムだと感じました。現に、米国では、トイザラスやザッポスなど、多くのネット販売企業で利用されているとのことです。

 技術的な文献としては、IEEE Spectrumのサイトに、Three Engineers, Hundreds of Robots, One Warehouseという解説があります。IEEE Spectrumには、Warehouse Robots at Workという動画もあります。

 人気のある商品はピッキングする場所に近いところに置くようにする、などの調整をしているとのこと。このような制御は既に自動倉庫でもおこなっている仕組みでしょう。ユニークなのは、中央コンピュータ(自律分散型ではなさそう)が、多数のロボットをぶつからないで動かすなどのトラフィック制御をしていることです。ロボットは、棚を運んでいない時には、棚の下をくぐって動くことができるなど、かなり自由な動きができるようです。


[追記] (2011/8/13)

 日本でも、ジー・イー・エヌという北九州の物流システム開発企業が、AGV(無人搬送車)を開発中とのこと。日経産業新聞2011/8/9で紹介されていました。AGVの隊列運行制御の動画があります。こちらは、自律走行で、相互に情報をやりとりして動作するようです。

[追記] (2012/3/27)

 アマゾンが、Kiva Systemsを買収することを発表しました。

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