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October 08, 2010

土生 哲也「経営に効く7つの知財力」

 この本は、土生弁理士による著作で、8月に出版されたものです。土生弁理士は、これまで知財関連の著作がいろいろありますし、知的財産検定試験(2級) 問題と詳細解説というページにも登場している方です。

 この本は、知財活用の入門的な本ですが、特許をどのように活用するべきかという点で興味深い指摘が多いです。詳細は、土生弁理士のブログ経営の視点から考える「知財発想法」をご覧ください。

 私が興味を感じたのは、次のような内容です。

知的財産によって、協力関係を結ぶ。p.78

特許、契約以上に重要なものは「顧客満足」 p.99

顧客との関係に知的財産のはたらきを活かす。p.105

「知的財産の力で勝つ」というダイレクトな発想ではなく、「知的財産の力によって勝てる環境が整備される」という発想。p.170

元祖として知的財産を持つ者には、それが企業の理念、企業の思いから生み出されたものであること、その理念や思いを顧客に伝えて、顧客の共感を得られる可能性があることこそが、他にはない強みとなるものなのです。

 米国での知財経営の方針として、「知的財産で武装して、売上や利益を最大化せよ」といった考え方があります。しかし、現実的には、知的財産だけで勝負するのでなく、他の要素も組み合わせた経営が効果的でしょう。この本では、上記のように、知的財産だけで考えるのではなく、経営の中で知的財産を活かすための考え方や手法を具体例を用いて示しています。ですので、特に中小企業の方にはお薦めできます。


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Comments

幡鎌先生

確かに、知的財産権以外にも「技術進化と市場拡大の速度と方向の制御手段」は色々とあります。それらを組合わせるという発想が重要と思います。

http://www.patentisland.com/memo261.html

Posted by: 久野敦司 | October 19, 2010 at 06:19 AM

久野さま
コメントありがとうございます。とても適切な分類と感じました。今後私が書く論文の中で、引用させていただくかもしれません。
私の感想としては、「何らかの制限を設けて、その活用を活用主体の個別最適のために制御」の中の、「(6) 知的財産権活用」がやはり難しいところでしょう。逆に、市場を拡大できない原因にもなりかねないでしょう。私は、パテントプールを強制化(発明の利益配分をルール化)し、独占できないようにする制度化ができれば、市場拡大に一番望ましいと考えています。そのような制度を、今後具体的に検討したいと考えております。
ありがとうございました。

Posted by: hatakama | October 19, 2010 at 10:46 AM

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