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August 06, 2010

産業革新機構によるライフサイエンスに特化した「知的財産ファンド」

 今週水曜(8/4)の朝日新聞の朝刊の1面に、大学に眠る特許、世界に売り込め 知財ファンドに集約へという記事が出ていました。官民でつくる産業革新機構が、ライフサイエンス(生命科学)に特化した国内初の「知的財産ファンド」を立ち上げるそうです。ファンドの運営は、「知的財産戦略ネットワーク」が行うとのこと。

 本日正式発表があり、Yomiuri Online等で報道されていました。投資ファンドの名称は「エルシップ(LSIP)」だそうです。

 私は、以前、インテレクチュアル・ベンチャーズのビジネスの根本的な問題点というエントリーの中で、発明の本当の価値は、発明が実施されて初めて、利用者への便益として発生するため、発明への投資は望ましくないと説明しました。この産業革新機構の知的財産ファンドについても、知的財産への投資であれば反対です。ただし、ベンチャー企業への投資の中の付加サービスとして、必要な知的財産の調査や、ライセンスまたは購入の交渉の代行を行うのであれば、問題は少ないでしょう。ライフサイエンス分野で起業しようという者が自分の持つ技術だけでは事業化できない場合、そのように知的財産を扱うファンドが助けてくれれば、起業しやすくなるでしょう。ただし、そのベンチャーの事業がうまくいかなかった時に、購入して集めた知的財産を別な企業に売る、といった事態が起こるかもしれませんが、それはしかたないでしょう。

[追記] (2010/8/8)
 発表内容をよく読むと、純粋な「ファンド」という感じではありません。製薬会社数社が出資するようなので、実質的には、特許を使う側が共同で特許を購入するような感じにも見えます。その際、その資金の一部は、産業革新機構(政府系ファンド)から出るというものです。ですので、パテントプールに似ています。このような狙いの運用であれば、あまり問題は生じないかもしれません。

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