オープンソースコミュニティはどのような知的財産制度を望んでいるか?
先週、LPI-Japan(Linux技術者認定試験を実施しているNPO)は、知的財産権に関する新たな研究を支援する目的で、九州大学大学院法学研究院 寺本研究室へ奨学寄附金を行なうことを発表しました。LPI-Japanは、オープンソースコミュニティの一種ですが、認定試験の収益があるので、その収益をオープンソースに役立つ何らかの研究に寄付したい、ということなのでしょう。九州大学の寺本振透教授は、「対立の知的財産権法から相互信頼の知的財産権法へ。閉鎖的な知的財産の利用からオープンな知的財産の利用へ」という指針の理論的な根拠を示すような研究をしようとしているようです。これは楽しみです。
海外では4月に、Free Software Foundation(FSF)が、ソフトウェア特許に反対するためのドキュメンタリー映画「Patent Absurdity」(特許とその不条理さ)を公開しました。Bilski事件の判決を前にして、オープンソースコミュニティからの意志表示といったところだったでしょう。SourceForge.JPの記事があります。Patent Absurdityというサイトからその動画をダウンロードできます。
また、オープンソース製品を提供している米Red Hatは、昨年、ソフトウエアのアルゴリズムを特許の対象から除外するよう求める意見書を、米最高裁に提出しました。その意見書には、"most open source software developers view software patents as hindering innovation" と書かれています。
このように、オープンソースコミュニティはソフトウェアの特許(独占排他権)を望んでいません。オープンソースでは、特許がなくてもイノベーションが進みますし、逆に特許がオープンソース活動では障害になってしまうためです。つまり、オープンソースではソースコードを公開しているため、中の仕組みが分かってしまい、特許を侵害しているかがすぐに分かってしまうという弱点があるのです。
なお、約1ヶ月前に、ビジネス方法特許に関するBilski事件の対する判決が米最高裁から出ました。ビジネス方法の特許対象についてあいまいさを残した判決であったため、ソフトウェア特許反対の観点から最高裁に意見書を提出していたSoftware Freedom Law Centerは判決に関する声明文を発表し、「思考とプロセスは特許可能とすることで肝心の部分を取り扱っていない」と遺憾を表明した、とのこと。SourceForge.JPの記事があります。
[追記] (2010/8/21)
「知的財産」という用語に対してもストールマン氏は批判しています。「知的財産」だって?そいつは砂上の楼閣だという文書を見つけました。
また、以前Amazonが1-click特許でBarnes&Noble社を訴えた時には、Amazonをボイコットしようという不買運動さえ行なわれたようです。

![幡鎌 博: eビジネス・DXの教科書[改訂版]-デジタル経営の今を学ぶ-](https://m.media-amazon.com/images/I/41Wvx3vQg4L._SL75_.jpg)



Recent Comments