インテレクチュアル・ベンチャーズのビジネスの根本的な問題点
このブログに「インテレクチュアル・ベンチャーズ」のキーワードで検索して訪れてくれている方がかなりいるようですので、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV社)のビジネスの何が問題かについて、もう少し説明を加えたいと思います。
なお、これまでのIV社に関するエントリーは以下です。
・インテレクチュアル・ベンチャーズ社のビジネスモデルは規制が必要
・インテレクチュアル・ベンチャーズのビジネスは注意要
ハーバードビジネスレビュー2010年3月号に、IV社のCEOのミアボルドが、発明資本主義の誕生という論文を寄稿しています。その内容から、IV社は、特許を重んじているが、それは特許の価値を最大化するためであることがうかがえます。
下図に、一般的な特許の活用方法と、IV社の特許の活用方法の違いを示します。
図において、b(IV社が仲介する場合)で発明に投資する投資家は、発明の実施への投資はしません。特許にのみ投資するかたちであり、投資は発明の利用者(最終的に発明の便益を享受)とは全く関わらないところで行われ、IV社は特許の価値を最大化するために特許の権利を利用します。ですので、利用者にとって望ましくないこと(その発明を利用した商品やサービスの価格の高騰など)が生じる可能性が出てきます。
忘れてならないのは、発明の本当の価値は、発明が実施されて初めて、利用者への便益として発生することです。特許としての価値を最大化する、というIV社の姿勢は、金融企業としての姿勢です。本来、特許の独占排他権は、産業発展につながる発明の奨励のためであって、特許資産としての価値を最大化(金融商品としての高い利回りを生む)するためではないのです。そのため、IV社のようなインベンション・キャピタルのビジネスモデルは、制限されるべきと考えるのです。
Comments
優秀な大卒者と資金力、設備を与えればの感覚の大企業では改善的特許ばかりで革新的技術は生まれない中、資金力を持たない零細、個人技術者は世の中に伝える広める為の一つの手法に手立てに成るのでは、特に未知的革新技術は個人の能力ノウハウが生み出す過去での中、日本では特に猿まね風土的、未知技術の事に対しては学術で学んだ以外は考えられ無い感覚個性人種の日本でのIV社の新たな手法は正解ではないか、何であれ価値のある技術は実用利用されます。
Posted by: 今村義輝 | December 16, 2010 11:39 AM
今村さん
コメント、ありがとうございます。
IV社の新たな手法は正解ではないかというご指摘ですが、IV社は今月米国で特許訴訟を起こしています。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20101209/355039/
このように、IV社の別な顔として「パテントトロール」のような面も見えるのです。ですので、注意が必要だと私は考えております。
Posted by: hatakama | December 21, 2010 10:29 PM