「WOMマーケティングに関するガイドライン」は期待外れ
先週金曜(3/12)に、WOMマーケティング協議会は「WOMマーケティングサミット2010」というイベントを開催し、その中でWOMマーケティングに関するガイドラインを発表しました。ブロガーに記事を書いてもらうようにお願いするといったクチコミマーケティングに関してのガイドラインです。この件は、ITMediaや、cnetなどで報道されています。
このガイドラインは、昨年の春から検討されていたもので、昨年7月に公表の予定が延び延びになっていました。しかし、先週金曜に発表されたガイドラインは、時間をかけて検討された割に、全く具体性がありません。米国のFTCの広告ガイドライン(Web担の「タレントがブログで商品紹介すると100万円の罰金!?」 や、日経ビジネス2010/1/18号 p.102を参照のこと)がかなり細かく規定しているのに対して、WOMマーケティング協議会のガイドラインは、WOMマーケティング事業者に「関係性明示の原則」と「社会啓発の原則」に関して抽象的な目標を課すものでした。私は、クチコミマーケティング事例をいろいろと集めていますが、消費者にとって自然なクチコミか否かが分かりにくいものも多くあります。また、週刊朝日2009.6.19号には「ネットのクチコミ情報にご用心!消費者目線とは聞こえがいいけれど、実は”やらせ”だったという落とし穴」なんて記事もあります。そのため、具体的なガイドラインが望まれるところです。
また、WOMマーケティング事業者に対してだけでなく、広告主(正確には、販売促進主)の企業に対してのガイドラインも望まれます(この協議会だけではできないかもしれませんが)。サンプリングの実施については、企業の新商品発表のリリース文に載せることがよくあります。それと同様に、ブロガーに試供品を使ってもらってブログへの書き込みをお願いしたことなどを、企業のリリース文の中(最後のほうにでも少しだけでも)に正直に示したほうがいいでしょう。消費者はだれもが、その企業のサイトをよく調べれば、クチコミマーケティングをしたことが分かる、ということが望ましいです。クチコミマーケティング実施に際して、WOMマーケティング事業者にだけ関係性明示を要求するのでなく、広告主の企業にも透明性を求めるべきでしょう。
* 広告主の企業のリリース文の例
(前半は商品の説明や仕様など)
マーケティング方法: 本商品を消費者のみなさまに広く知っていただくために、テレビCMや雑誌広告の他、一部のブロガーの方々に試供品を試用していただき、ブログに記事を書いていただくようお願いいたしました。ただし、記事内容については何も指定や制限はお願いしておりません。
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