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February 27, 2010

ネット&モバイル通販ソリューションフェア2010での良品計画のマルチチャネル販売に関する講演など

 今週木曜(2/25)に、池袋で開かれていたネット&モバイル通販ソリューションフェア2010に行ってきました。昨年は、ユニクロのマルチチャネル販売の話を聞きましたが、今年は良品計画のマルチチャネル販売と、アマゾンジャパンのマーチャント事業の話を聞いてきました。

 まず、基調講演の良品計画の方の話では、ネットからリアルへの誘導の話が興味深かったです。無印良品のサイトでは、リアル店舗の品揃え情報提供や在庫検索ができるとのこと。やはり、店で見てから買いたい顧客のことを考えるとこのような機能が望まれるのでしょう。また、モバイルサイトの場合には、在庫のある店へのルート検索もできるようにしているとのこと。店舗への誘導は重要ですので、この位の機能を提供するべきでしょう。なお、今月報道されたHISの例では、店頭チラシをiPhoneサイトに変換・配信し、ツアー商品の取扱店舗を地図上から検索できるようにすることで、ネットからリアル店舗に誘導しようとしているようです。リアル店舗を持つ企業のネットの機能として、リアル店舗と同じような商品の探しやすさとともに、リアル店舗への誘導が重要になりそうです。

 展示会では、リアル店舗とネットの連携を可能とするショップ構築パッケージもありました。コマース21というソフトは、ユニクロ・ライトオン・キタムラ・東急ハンズ・ローソン・ヤマハ・ミズノなどで利用されているとのことで、ネットとリアルの連携機能は充実しているとのことでした。

 アマゾンジャパンのマーチャント事業(モール)の話の中では、次の特徴が興味深かったです。
・SDP(Single Detail Page)
 同じ商品を複数企業が出品しても商品のページは1つ、という方針。
・WBB(Win Buy Box)
 上記のような場合に、複数ショップのショッピングカートの順位付けは、価格・リードタイム・評価スコアから自動的に決定。このような機能は、アマゾンの顧客志向のあらわれと言えるでしょう。

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February 10, 2010

インテレクチュアル・ベンチャーズ社のビジネスモデルは規制が必要(「知財の利回り」を読んで)

 知財の利回りという本を先月買いました。主にインテレクチュアル・ベンチャーズ社(IV社)について書かれた本です。ざっと読みましたが、IV社についてよく調べていると感じました。特に、1章は読みごたえありました。しかし、この本の著者は、問題の本質を深く突き詰めようとしていないように感じました。昨年、このブログに、インテレクチュアル・ベンチャーズのビジネスは注意要と書きましたが、この本を読んで、そのような懸念はさらに強くなりました。

 なお、土生弁理士は、この本の書評として「IVのビジネスモデルに近いのは、どちらかというと不動産の私募ファンド」と分析しておられます。株式よりも不動産への投資に近いというのは確かでしょう。

 まず、IV社のようなインベンション・キャピタルによって、次のような効果が期待できます。
 ・発明のための資金の回り方がよくなる。
 ・不要な特許を購入してもらえる。
 ・特許ポートフォリオを形成するので、パテントプールのようにライセンスしやすくなる。

 他にも、IV社はインベンション・キャピタルの社会的な有用性をいろいろとうたっています。しかし、このようなファンドが、発明の実施を阻害する恐れも多分にあります。IV社が集めた特許が、メーカーが自社で研究した同様の発明よりも少し早く出願されたものであった場合、そのメーカーにとっては二重投資になるのでライセンスには躊躇するかもしれません。そのため、発明の実施は遅れることになりかねません。パテントトロールほど悪質ではないかもしれませんが、「地雷」のような存在となります。そのようなことが多くなれば、メーカーが自社で研究するインセンティブは薄れるかもしれません。また、単に、ライセンス料の交渉がまとまらず、実施できないことも十分ありえます。そのようにイノベーション促進にならない場合も少なくないでしょう。

 IV社は、まるで「地上げ屋」のようだと言われますが、IV社のようなインベンション・キャピタルを行う企業がいろいろと生まれると、インベンション・キャピタルの間で「特許ころがし」のようなことが行われるかもしれません。また、金融商品として、特許ポートフォリオを対象とした証券化などが考えられるかもしれません。そのように発展してしまうと、怖いのはバブルです。金融の世界では、バブルは避けられない現象でしょう。バブルが弾けると、その後遺症として、資金の引き上げが行われるのが常です。つまり、発明のための資金が急にしぼんでしまうことで、イノベーションに大きく影響してしまうのです。なお、発明に投資することは、先物取引に似ているようにも感じられます(違う面も多いですが)。普通の先物取引と違い独占排他権付きなので、かなりいやらしいです。

 健全には、実施企業/素材開発企業/研究開発企業に直接資金が投じられるべきです。そのほうが発明の実施に近づきます。社外のアイデアや発明は、イノセンティブ等の仲介企業を通して、自分で集めることが望ましいでしょう。IV社のように、間に入って特許ポートフォリオを築くような企業は、発明の実施にとって望ましくありません。IV社によって、一時的に研究のための資金の回り方がよくなるかもしれませんが、マイナスの面も見ておくべきです。そして、規制すべきか否かを議論するべきです。独占禁止法上、特許を買い集めて市場を独占することは違法とみなされるはずと言われています。しかし、自分で事業化せずに、単に特許を買い集めて、通常実施権(非独占)で複数企業にライセンスすることは、現在の法律では違法にはならないでしょう。ですので、インベンション・キャピタルには、何らかの規制を考えるべきでしょう。例えば、自ら実施しない企業が特許を買い集めた場合、差し止め請求権を制限するのがいいでしょう。強制ライセンスは手続きで複雑で使いにくいので、差し止め請求権の制限がふさわしいと思います。一般企業はCSR等の倫理感を持つ必要がありますが、投資ファンドには倫理感はありません。高い利回りを求めて、何をしてくるか分からないのです。特許の独占排他権は、発明の奨励のためであって、金融商品としての高い利回りのためではないのです。

 長期的には、独占排他権の無い知財制度に移るのが理想的だと私は考えています。先月オーストラリアで発表した論文は、そんな未来がテーマです。サービス分野では完全なコモンズ制度が可能と思っています。また、工学的な分野では、税金のように製品販売価格に発明の分を1割程度(すべてパブリックドメインかオープンソースならばゼロ)上乗せして販売し、それを発明の貢献者に分配する制度も提案しています。つまり、どの発明でも自由に利用できるが、社会的に有益な発明した人/企業には分配が多くなるという仕組みです。このような制度のもとでも、IV社のようなことが可能でしょう。将来の配分を予想して、その配分の権利を譲渡してもらう代わりに、事前に発明資金の前払いを行うビジネスです。このようなビジネスは、パテントトロールのようには決してならないので、とても健全なビジネスになると思います。

[追記] (2010.2.13)
 とても重要な指摘と思われるため、この本からIV社に関しての元キヤノンの丸島儀一氏の発言を引用しておきます。p.164

 ノーベル賞級の優秀な研究者に技術のトレンドを読ませ、今後どういう技術が必要になるかのポートフォリオを組んで、特許を取ったり買い集めたりするようだ。でも、最初に取る特許はあくまで机上のもので、先読みの特許にすぎないから、それがすぐにイノベーションにつながるわけではない。だから、投資ファンドを通して特許取りや買い集めが活発になれば、それでイノベーションが促進されるという考えは私には理解できません。むしろ、イノベーションの促進をガード(保護)するのが特許本来の目的であって、IVのビジネスモデルは本末転倒ではないかとさえ考えています。

 ブログ検索したところ、メーカーの知財部にお勤めのUMEさんのブログでも取り上げられていました。知財に関わる多くの方に、IV社の問題を考えていただきたいです。

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February 03, 2010

コピペルナー(コピペ検出ソフト)を使ってみました

 私が秋学期に担当している「e-ビジネス」の授業では、毎年レポートを提出させて、成績を付けていますが、今年度は紙でなくWordファイルを提出させて、コピペルナーというコピペ(レポート等へネット上で調べたものをコピー&ペースト)の検出ソフトにかけてみました。このソフトは、ITmediaのニュースなどで紹介されていましたが、金沢工業大学の杉光一成教授が考案したものをアンクが商品化したもので、実際に教育現場でコピペに悩んでおられた経験から考案されたものということだったので、先々月に発表されたのち、すぐに購入しました。そして、昨日と今日とでコピペルナーを使いながら、レポートを採点しました。

 コピペルナーを利用する上で、まず検索キーワードを指定します。これは、レポート課題について、学生が検索しそうなキーワードを列挙(5つまで)することで、そのキーワードでコピペルナーがWebを検索して、比較する文書をダウンロードしておくためです。そして、Webからのダウンロードが終わったのち、学生が提出したレポートファイルとの文書比較(コピペ判定)が行われます。Webからのダウンロードに時間がかかりました(5キーワードの50文書で約40分)が、97個のレポートのコピペ判定は約3分で終わりました。

 このような仕組みなので、レポート課題のテーマがとても広い(例えば、「最近の経済ニュースから1つ選び、...」)と、全体で共通のキーワードを指定したマルチチェッカー(複数のファイルを同時に判定)ができません。それぞれのレポート内容に応じて(または、グループ分けした上で)、キーワードを入力しなければならなくなり、使いづらくなります。コピペルナーを有効利用するためには、レポート課題はテーマを絞ったほうがいいでしょう。

 コピペ判定の結果は、それぞれのレポート毎にコピペ割合という値が計算され、その値の大きな順に一覧表示され、その一覧からレポートを選んでクリックすると、その文書のどの部分がコピペかを色で示してくれます。私が使った結果では、コピペ割合が6割以上のものがいくつかあり、これらの詳細を見てみるとほとんどの部分がコピペでした。また、コピペ割合が2割程度でも、文章の細かなところを少しずつ変えているだけで、内容はほとんどコピペのものがありました。ですので、コピペ割合が数割程度でも、詳しく確認したほうがいいでしょう。

 私は、「レポートが提出された後、コピペルナーにかけますよ」と事前に学生に伝えておきました。このようなことを言うだけでも、コピペをある程度防止できるかもしれません。

 あまり詳しく書いてしまうと、学生に研究されてしまい、「コピペルナーに発見されないコピペのしかた」というような書き込みが2ちゃんねるに載ってしまうかもしれないので、この程度にしておきます。

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