クリス・アンダーソン「フリー 無料からお金を生みだす新戦略」
ロングテールの本で有名なクリス・アンダーソンが書いたFree: The Future of a Radical Priceという本が7月に出版され、私は先月から読んでいます。
間もなく翻訳本も出るようで、キャンペーンサイトも作られています。期間限定で先着1万人に本書の全編が無料公開されたようです(既に1万人に達しています)。これは、クチコミを誘発する手口ですね。前作は日本ではあまり売れなかったようなので、こんなキャンペーン方法はいいやり方だと思います。
私のゼミでは昨年、この本の元になったWiredの論文「Free! Why $0.00 Is the Future of Business」を読みました。この本は、だいたいその論文の延長という感じで、例や説明が細かくなったり整理されたりして内容が充実しています。
本のポイントは、無料ビジネスの分類でしょう。
1) 直接的な相互補完(Direct Cross Subsidies)
商品本体は安価または無料にして、消耗品や通信費で収益を上げるタイプ。ジレットの髭剃りが本体は安くして替え刃で利益を出した例や、日本での100円PCのような例など。
2) サードパーティ市場
サードパーティが無料のマーケットを提供するタイプ。消費者と広告主を結びつけるなど。日本でのフリーペーパーのような例など。
3) フリーミアム(Freemium)--- free(無料)とpremiumを組み合わせた造語
一部のプレミアム利用者は有料(サービス内容も上)で、その他の利用者は無料というタイプ。プレミアム利用者の利用料で、無料の利用者の費用までまかなうというもの。
4) 非貨幣市場(Nonmonetary Markets)
Wikipediaのように対価なしで貢献してくれる利用者がいることで無料になるタイプ。
また、ネットではほぼ限界費用ゼロになる場合がかなりあることや、知的財産権の問題などもからめて、いろいろと考察されているので、結構楽しめる本です。経営学部や経済学部の学生にはおすすめできます。アマゾンで、和訳本(フリー 無料からお金を生みだす新戦略)の予約ができます。
少し不満なのは、ロングテール理論との関係や、CRMのような手法などとの関連も重要だと思うのですが、ほとんど述べられていません。その辺りが少し物足りない感じです。 なお、前作のロングテールの本は和訳が少し変だったので、この本の和訳本を入手できたら、また訳をチェックしてみるつもりです。
それから、この本にはあまり詳しい記述はないようですが、クリス・アンダーソンは、「オープンソース・ハードウェア」と呼ばれるビジネスモデルのプロジェクトを開始したことが、この本のPrologueと4章に少し書かれていました。調べてみると、彼のブログに、A business model for open source hardwareという記事がありました。このようなプロジェクトの動向は、今後の知財制度を考える上で重要といえます。

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