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January 10, 2009

新しいタイプの商標と保護主義

 遅くなりましたが、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、昨日夜のテレビ東京のワールドビジネスサテライトで、新商標(新しいタイプの商標)について、報道されました。産業構造審議会 知的財産政策部会 商標制度小委員会の「新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ」で、新しいタイプの商標を認めることが決まったとのことでした。たぶん、昨日午前に行なわれた第5回のWGで決まったのでしょう。まだ、第5回WGの議事録はネットで公開されていませんので、詳細はよく分かりません。ですが、10月の第3回の議事録は公開されていますので、それでだいたいのWGの感じは分かります。「輪郭のない色彩、動画、ホログラム、音、位置」を商標法の保護対象に追加する方向のようです。

 私としては、商標法の保護対象を拡大することには反対です。表現のアイデアが、過度に保護されるようになっては問題でしょう。識別機能を持つからといって、そのアイデアを他社が使えなくなるのは危険です。表現の創造性をしぼめてしまう危険性があります。ある程度の模倣は認めるべきでしょう。

 知的財産制度の政策決定は、大企業に有利なように決められてしまう傾向があります。新しいタイプの商標もそうですが、大企業を保護するための政策をとりがちです。これではいけません。社会全体のことを考えて、知的財産制度の政策は決められるべきです。

 昨日のワールドビジネスサテライトの特集は、保護主義の行く先はでした。各国が自国の産業を守るために関税を高めることによって、国際的にみると貿易が減るためにさらに不況が進むことが危惧される、というのです。それと似ていて、知的財産制度でも過度な保護は望ましくないのです。レッシグが言っているように、「コントロールと創造性のバランスを取ること」が原則でしょう。

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Comments

どうも、「知的財産権は独占排他権でなければならない」とか、「知的財産権が独占排他権として定義されている」いうドグマの存在が悪影響をしているように思います。

知的財産の創作者に一定のメリットや尊敬を与えることは大切ですが、知的財産の活用を大幅に阻害することは悪影響が大きくなりすぎます。
知的財産権システムは、参入障壁であると把握するのではなく、「知的活動空間から知的財産を経済活動空間に流し込むパイプラインシステムである」と把握することが必要と思います。
http://www.patentisland.com/memo169.html

元祖権などの知的財産権の新たな潮流が勢いを持ち、今よりも効果的に知的財産が社会の進歩に寄与することが必要と思います。

Posted by: 久野敦司 | January 27, 2009 at 07:00 AM

 久野さん。コメントありがとうございます。
 おっしゃる通り、知的財産の活用(利用)が十分できるような制度設計が望まれると思います。「パイプラインシステム」という表現が興味深いですね。経済活動空間に流し込む際に、レッシグの提唱するように、なるべく「コモンズ」として共有できることが望ましいと私は考えます。
 以下に、3つの本から引用しておきます。

レッシグ「コモンズ」
「アイデアの経済のねらいは、生産するインセンティブを作り出して、生産されたものをなるべく早く知的コモンズに移すことだ。」(P.183)

中山信弘「工業所有権法(上)特許法」
「特許制度の目的は、独占的な実施を認めることにより利益を保証し、発明へのインセンティヴを増すことにあり、インセンティヴだけを考慮するならば、特許権の効力は強ければ強いほど良いことになるが、その効力は常に公共の利益とのバランスにより決定されなければならない。」(p.362)

スコッチマー「知財創出 イノベーションとインセンティブ」
「知的財産権は発明者の保護と、消費者の保護、そして競争相手に改良の機会を与えることとの、適切なバランスを考えて設計されるべきだからだ。」(P.276)

Posted by: hatakama | January 28, 2009 at 12:42 AM

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