今月、従来メディア(放送・新聞・音楽等)のネット展開で大きな動き
大晦日になってしまいましたが、今月は、コンテンツホルダーとしての従来メディアのネット展開において、いくつか興味深い動きがありましたので、まとめておきます。
まず、1日からNHKオンデマンドが始まりました。Business i.の記事によると、「NHK杯フィギュア」や「NHKスペシャル地球大進化」などが人気で、サービス開始1週間で会員登録者数8000人、ページビューは約230万とのこと。まずまずのようです。しかし、以前に書きましたように、私は有料サービスには不満です。日経BPの記事にあるように、英国のBBCでは見逃し視聴のVODサービス「iPlayer」は無料です。IT Mediaの記事によると、NHKは「3年で単月黒字にもっていき、4年で赤字を回収する」という算段。しかし、公共サービスとしては、見逃し視聴サービスは、収益のことよりも利用者の便益を考えて欲しいものです。
新聞では、産経新聞が無料でiPhoneへの配信を始めました。産経新聞の紙面を丸ごとiPhoneへ無料配信するサービスです。日経が快挙か暴挙か?と書いているように、思い切った感じです。IT Mediaの記事によると、電子新聞サービスは失敗続きで「自信をなくしていた」状態だったが、それでも「挑戦しなければ」と取り組んだもの。いつまで無料で提供するかは未定で、「なんとか軌道に乗せるため、ビジネスモデルを検討中」で、有料化や新たな広告モデルを探っていく。アプリを使って「来年春までいろんな実験をしたい」とのことです。
実験としてはおもしろいでしょう。iPhoneを利用しているのは、紙の新聞をあまり読まないような若者が中心でしょう。そのような層に限って、どのようなビジネスモデルが成立しそうかを試すことは、効果的かもしれません。
芸能事務所では、吉本が、ニコニ・コモンズに「よしもと素材」を提供開始しました。先月、手塚治虫作品がニコニ・コモンズに登録されて驚きましたが、今回はお笑い素材も二次創作できるようになり、ニコニ・コモンズもおもしろくなってきました。ただし、二次創作作品はニコニコ動画だけに投稿できるようなので、こちらも実験的なものといえるでしょう。
音楽では、EMIミュージックが、ナップスターへ広く邦楽を提供し始めました。EMIが保有する邦楽楽曲から、700を超えるアーティスト・約27,000曲を、定額制聴き放題で聴けるようになりました。Napsterのサイトに、EMIアーティスト特設サイトもできています。私のようにナップスター利用者にとってはありがたいことですが、ユニバーサルミュージックのネット利用とは対照的です。
日経の記事ユニバーサルミュージックの喜本孝取締役「1曲を3回売る」によると、ユニバーサルミュージックでは、配信を新人デビューやCDの販促に効果的に活用し、配信とCDで共に売上高を伸ばしている。6月にCDの営業部門と配信の両組織を統合。1人の歌手、1枚のアルバムをパッケージとデジタルの総力戦で売る体制に変えた。1曲を3回買ってもらう狙い。まずは着うたをCD発売の約1カ月前に先行配信する。反響をみてヒットが見込めそうな曲を選抜し、CD化やその発売時期を検討。CD発売時期に前後して、話題性を高めるために着うたフルの配信も連動してスタート。
EMIミュージックは、ユニバーサルミュージックのような方法とは違うやり方として、ナップスターでの話題作りを試そうとしているように感じます。
書籍関係では、無料立ち読み(Yahoo!ブックス)が、書籍や雑誌の無料立ち読みサービスを強化しました。Internet Watchによると、無料立ち読みの対象を全ジャンルに拡大。閲覧できる書籍数は約1000冊、雑誌は約300誌。今後も毎月1000冊以上追加、とのこと。だいたい10ページ程度無料で読めるようで、ありがたいです。これは、Amazonの「なか見検索」に対抗したものでしょう。
このように、従来メディアがかなり積極的にネットを活用し始めました。今のところは、試しながら徐々にという感じですが、来年はもっと大きな動きがあると私は予想しています。
それでは、よいお年を。


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