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December 31, 2008

今月、従来メディア(放送・新聞・音楽等)のネット展開で大きな動き

 大晦日になってしまいましたが、今月は、コンテンツホルダーとしての従来メディアのネット展開において、いくつか興味深い動きがありましたので、まとめておきます。

 まず、1日からNHKオンデマンドが始まりました。Business i.の記事によると、「NHK杯フィギュア」や「NHKスペシャル地球大進化」などが人気で、サービス開始1週間で会員登録者数8000人、ページビューは約230万とのこと。まずまずのようです。しかし、以前に書きましたように、私は有料サービスには不満です。日経BPの記事にあるように、英国のBBCでは見逃し視聴のVODサービス「iPlayer」は無料です。IT Mediaの記事によると、NHKは「3年で単月黒字にもっていき、4年で赤字を回収する」という算段。しかし、公共サービスとしては、見逃し視聴サービスは、収益のことよりも利用者の便益を考えて欲しいものです。

 新聞では、産経新聞が無料でiPhoneへの配信を始めました。産経新聞の紙面を丸ごとiPhoneへ無料配信するサービスです。日経が快挙か暴挙か?と書いているように、思い切った感じです。IT Mediaの記事によると、電子新聞サービスは失敗続きで「自信をなくしていた」状態だったが、それでも「挑戦しなければ」と取り組んだもの。いつまで無料で提供するかは未定で、「なんとか軌道に乗せるため、ビジネスモデルを検討中」で、有料化や新たな広告モデルを探っていく。アプリを使って「来年春までいろんな実験をしたい」とのことです。
 実験としてはおもしろいでしょう。iPhoneを利用しているのは、紙の新聞をあまり読まないような若者が中心でしょう。そのような層に限って、どのようなビジネスモデルが成立しそうかを試すことは、効果的かもしれません。

 芸能事務所では、吉本が、ニコニ・コモンズに「よしもと素材」を提供開始しました。先月、手塚治虫作品がニコニ・コモンズに登録されて驚きましたが、今回はお笑い素材も二次創作できるようになり、ニコニ・コモンズもおもしろくなってきました。ただし、二次創作作品はニコニコ動画だけに投稿できるようなので、こちらも実験的なものといえるでしょう。

 音楽では、EMIミュージックが、ナップスターへ広く邦楽を提供し始めました。EMIが保有する邦楽楽曲から、700を超えるアーティスト・約27,000曲を、定額制聴き放題で聴けるようになりました。Napsterのサイトに、EMIアーティスト特設サイトもできています。私のようにナップスター利用者にとってはありがたいことですが、ユニバーサルミュージックのネット利用とは対照的です。
 日経の記事ユニバーサルミュージックの喜本孝取締役「1曲を3回売る」によると、ユニバーサルミュージックでは、配信を新人デビューやCDの販促に効果的に活用し、配信とCDで共に売上高を伸ばしている。6月にCDの営業部門と配信の両組織を統合。1人の歌手、1枚のアルバムをパッケージとデジタルの総力戦で売る体制に変えた。1曲を3回買ってもらう狙い。まずは着うたをCD発売の約1カ月前に先行配信する。反響をみてヒットが見込めそうな曲を選抜し、CD化やその発売時期を検討。CD発売時期に前後して、話題性を高めるために着うたフルの配信も連動してスタート。
 EMIミュージックは、ユニバーサルミュージックのような方法とは違うやり方として、ナップスターでの話題作りを試そうとしているように感じます。

 書籍関係では、無料立ち読み(Yahoo!ブックス)が、書籍や雑誌の無料立ち読みサービスを強化しました。Internet Watchによると、無料立ち読みの対象を全ジャンルに拡大。閲覧できる書籍数は約1000冊、雑誌は約300誌。今後も毎月1000冊以上追加、とのこと。だいたい10ページ程度無料で読めるようで、ありがたいです。これは、Amazonの「なか見検索」に対抗したものでしょう。

 このように、従来メディアがかなり積極的にネットを活用し始めました。今のところは、試しながら徐々にという感じですが、来年はもっと大きな動きがあると私は予想しています。

 それでは、よいお年を。

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December 24, 2008

久しぶりに国際コンファレンスに出席して

 先週金・土曜に、一橋大で開かれたPatent and Innovationという国際コンフェレンスで発表してきました。これは、欧州の研究者を中心とするApplied Econometric Association(AEA: 応用計量経済学会)という学会の国際コンフェレンスで、特許/イノベーションをテーマとした研究者が発表する場でした。70~80人程度参加していて、ほぼ半数は日本人でした。

 私は、経済学の研究者ではありませんので、少し場違いという感じもしましたが、特許/イノベーションを研究する上で、ここ1年位はそれらに関する経済学の本や論文をいろいろと読んでいましたし、私の研究について意見を聞いてみたいという目的で参加しました。全般的に知識不足でしたが、海外の人の発表にもある程度ついてゆけた、という感じです。
 私の発表は、ポスターセッション(白板にスライド資料の紙を貼り、見に来た人に個別に説明)でしたが、数十人(半分は海外の人)の研究者の方々に説明して、意見をうかがうことができました(私がいない時に、スライド資料を見てくれた人はもっといたと思います)。私のポスター発表を熱心に聞いてくれる人がほとんどでしたし、経済学の研究者の方々からinterestingといった意見をもらえたので自信になりました。特に、インドとオーストラリアの研究者の方が、特に関心を持ってくれました。インドはサービス産業が盛んですし、オーストラリアはInnovation Patent (実用新案に近い制度) がある国だからなのかもしれません。
 この国際コンフェレンスで発表したのは、元祖権に関する論文で、To Promote Service Innovation: Proposal for a New Intellectual Property Right to Protect and Share Innovative Servicesという論文です。

 最近、このような国際コンフェレンスには参加していませんでした。やはり、国際コンフェレンスは毎年か隔年くらいに参加したほうがいいと感じました。勉強になりますし、世界が何に関心を持っているかを感じることができるためです。来年は、eビジネス関連の国際コンフェレンスで発表できればと考えています。

 なお、今週月曜で年内の授業が終わり、本日は演習の授業の補習と大学院1年の中間発表会があり、これで年内の大学の仕事は終わりです(課題と小テストの採点はありますが)。11~12月はとても多忙だったので、やれやれという感じです。

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December 09, 2008

革新的なサービス企業の事例を聞きました

 先週金曜(12/5)午後、都心へサービス・イノベーション人材:科学技術関係人材の新たなフロンティアというシンポジウムを聞きに行きました。産業技術総合研究所が主催で、サービス産業生産性協議会や筑波大が共催したシンポジウムでした。そのシンポジウムでは、積極的にITを活用している2つの企業(イーグルバス、がんこフードサービス)の事例が聞けました。両社とも、経済産業省による「ハイ・サービス300選」で選定された企業です。

 まず、イーグルバスは、川越市を中心とするバス会社ですが、旅行会社出身者が興した会社で、最初は介護バス・送迎バスから始め、観光バス、路線バスへと展開。路線バスは、赤字バス路線を再生すべく、住民へのアンケートやIT活用を積極的に行なっています。イーグルバスのCO-EDOシステムは、バスの総合運行管理支援を目的としたシステム。最近取り組んでいるダイヤ効率化システムは、GPSで停留所の位置を捉え、車内に設置したセンサーによって停留所で乗降する人数をカウントし、区間ごとの乗車密度を取得することによってダイヤの効率化を測定する、というもの。バス会社でこのような積極的なIT活用は初めて聞きました。

 がんこフードサービスは、外食業務の工程管理をかなり厳密に行なっています。原価管理では、「材料費」にとどまらず、「調理」「配膳」「接客」「洗い物」等、全工程の原価計算がレシピを組むだけで行えるシステムを開発して、ビジネス面の意思決定や改善を行なえる体制を取っています。また、利用客の情報共有を徹底して、無駄のない業務を行なっています。

 その後パネルディスカッションもあり、私には役立った内容でしたが、このシンポジウムの参加者はかなり少なく、50人程度でした。国がサービス・イノベーションの旗を振っても、なかなか積極的になってこない感じです。サービスといっても広いので、細かな業種毎に推進しないといけないでしょうか?

 人材育成としては、MOTのように、問題意識が高く業種特有の課題が分かっている社会人に対して、サービス業務・ビジネスを改革できるようになるための教育プログラム(社会人大学院など)を提供することが有効ではないかと感じました。

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