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September 27, 2008

世界では音楽配信の無料化が進んでいる

 今週米国でサービスが開始されたMySpace Music(http://www.myspace.com/music、日本ではサービスされていないので別なページにルーティングされる)は、4大音楽レーベルと共同で立ち上げた音楽配信サービスであり、米国ではかなり注目されています。MySpaceは、もともとミュージシャンが多く参加しているSNSですし、メディア・パブによるとミュージシャン向けDIY広告サービスも同時に始まったようです。そのように総合的な音楽の配信/コミュニティサイトとなることを狙ったサービスです。ITmediaの記事もあります。

 そして、MySpace Musicでは、単に音楽を購入する利用形態だけでなく、ある程度の曲数であれば無料で聴ける(30秒だけでなく1曲丸々)のも特徴です。CNetの記事MySpace Music makes its debutによると、4大レーベルの音楽を100曲まで自分のプレイリストに入れて無料で聴ける(ただしストリーミング)とのことです。
 これまでも、RhapsodyFreeNapsterImeemRuckusなど、広告収入によって無料で音楽の聴けるサイトはありましたが、無料で聴ける曲/アルバムはかなり限定されていました。MySpace Musicでは、大半の新曲が無料で聴けるので魅力的です。
 また、MySpace Musicではスポンサーとして、McDonald's、トヨタ、Sony Picturesなどが広告やマーケティングキャンペーンを実施予定。例えば、トヨタは火曜に無料音楽を提供するとのことです。

 また、携帯への音楽配信に関しては、欧州で次のような発表が今月ありました。
 ・Nokiaの「Comes With Music」 = 1年間アクセス無制限の音楽配信サービス
 ・Sony Ericssonの「PlayNow plus」 = 楽曲のダウンロードと再生を無制限に行える

 このような音楽配信の無料化の動きのあおりで、サブスクリプションサービスのNapsterにも動きがありました。今月15日には、Best BuyがNapsterを買収という報道がありました。Napsterはまだ黒字化していませんし、会員数も伸び悩んでいて、けっこう苦しんでいた上に、MySpace Musicのサービスが始まるというので、このような身売りにつながった感じです。私は、1年位Napsterを使っていますが、固定料金で聴き放題というのは快適です(洋楽はNapsterでかなり聞けます)。日本のNapsterには利用者がプレイリストを投稿できる「ミンナノプレイリスト」があり、私も少し使ってみていますが、感想を言い合うようなコミュニティの場が無いのは大きな問題でしょう。Napsterは、日本ではTowerRecordsも出資してサービスしているので、この買収が今後どのように影響するかはよく分かりませんが、このままのサービス内容では未来は危ういと思います。

 今後、日本でもMySpace Musicがサービスされるか(その場合、どの位のレーベルが参加するか)かが興味深いところです。

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September 25, 2008

[書評] 高島秀之「NHK改革」

 NHKに関しては、今月NHKオンデマンドのサービス発表や、国際放送会社の設立が報道されました。同時に、NHKは、「インターネット実施基準」(NHKが放送した番組などをインターネットで提供する際の基準)の変更案を公表し、9月30日まで意見募集サイトで意見を募っています。

 そのようなNHKの今後の在り方の問題について考えるために、先月発刊されたこのNHK改革という本が役立つと思います。NHKでプロデューサー(「中学生日記」など)をされていた高島秀之氏による書籍です。この本は、公共サービスとしてのNHKの問題点を分析していて、NHKの今後の在り方を考えるために有用な本だと思います。具体的には、次のような事件/改革について詳細に解説されています。
  ・ETV2001の番組改組事件
  ・受信料制度
  ・NHK改革の流れ
  ・デジタル化対応
  ・関連団体の問題

 政治が報道の世界に口出しするようなことはあってはならないわけで、「ETV2001の番組改組事件」のような問題が起こらないような監視体制が望まれます。インターネット対応としては、基本的なオンデマンドサービスは早く実施してほしいと思っています。
 また、個人的には、公共性のある番組/サービスと公共性のあまりない番組/サービスとを分けて、受信料は主に公共性のある番組/サービスに使い、公共性のない番組/サービスは広告収益/キャラクター収益などで運営してもいいのでは感じています。例えば、サラリーマンNEOや音楽番組などは、あってもいいですが公共性はあまりないですので、CMを入れてもいいと思います。また、大相撲では、取組と取組の間の時間には、画面の1/3位を広告に使っても問題ないでしょう。受信料を下げるために、こんなことも検討してもらいたいです。

 NHKが今月出してきたオンデマンドサービスの案では、「番組アーカイブ業務」は、「本業務のうち、専ら受信料を財源として行うもの以外のもの」という扱いです。そのため、放送後1週間程度に期間配信する「見逃し番組サービス」も有料とのこと。このようなサービスはよく使うと思うので、受信料を支払っている家庭には無料にするのが適切と感じます。

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September 21, 2008

グーグルに求めたい!「コミュニティを作り、意見を求める体制作り」

 先月始まったGoogleストリートビューについて、ネットでいろいろな問題が指摘されています。
 ・今、ネット上で熱い論議を巻き起こしているGoogleストリートビュー問題とは? (NBonline)
 ・「Google ストリートビュー“問題”を考える」シンポジウム(インターネット先進ユーザーの会 MIAU)
 ・グーグルのすごさとその限界が見えてきた(歌田明弘氏のブログ)
 ・Googleマップ「ストリートビュー」約7割がプライバシーに不安(InternetWatch)
 ・「ストリートビュー」に批判相次ぐ キスシーンやラブホ画像次々削除(J-CASTニュース)
 ・何でも見れちゃう「ストリートビュー」 ドロボーの物色に「悪用の危険性」(J-CASTニュース)

 グーグルの担当者は、故郷の様子を久しぶりに見て、懐かしさで「涙が出そうになった」ということですが、このような主観的な動機でサービスが推進されたとすると、あまり感心はしません。どのように世の中のためになるかや、迷惑にならないかを十分に(しかもオープンに)議論すべきだったと思います。最初に始めた北米でいろいろと問題が出ていたのですから、日本で開始する際には慎重になるべきでした。
 しかし、一般には、日頃それほど使わないような機能だと思います。カカクコムのマンション情報サイトとグルメサイト、「ストリートビュー」に対応というニュースにあるように、住居探しなどの際には役立つとは思いますが、空き巣が入りやすそうな家を探すなどの悪意的な利用もされやすいでしょう。

 グーグルに求めたいのは、「コミュニティを作り、意見を求める体制作り」です。若さで突っ走って、いろいろと迷惑をかけるというのは避けるべきです。
 コミュニティから意見を求めなければいけない理由は、主に次の2点でしょう。
 ・ネット弱者を配慮するため
 ・出歯亀(でばがめ)的なメディアにならないため

 ネット弱者の配慮の点では、ストリートビューでは、普段ネットを使わない人も考慮した始め方をすべきでした。例えば、サービス開始前(または直後に)、新聞広告を出し「このようなサービスを始めますが、迷惑な方はお知らせください」くらいのメッセージを市民に伝えたほうがよかったでしょう。ネットだけで意見を求めるだけでは不十分でしょう。

 出歯亀的なメディアにならないために、ページランクのアルゴリズムでも考慮が要ります。現状、リンクが多くされていれば、どんな内容のページでもGoogleの検索結果の上位にきてしまいます。例えば、自殺できる化学物質を日用品から作る方法など、一部の人からはリンクされていても、一般の人からは「あまり人に見せるべきでない」と思われているページは、検索結果の上位に来ないような仕組みが必要です。「ネガティブリンク」とでもいうようなものを集める仕組みが望まれます(例えば、表示すべきでないページをHTML上のコメントに書くと、それをGoogleが集めてページランクに反映するなど。なお、このような仕組みでは、全くの自動化は難しいでしょう。最終的には人/コミュニティが判断しなければいけない?)。本屋では、自殺の方法の本を入り口の近くには決して置かないでしょう。大きな本屋で置く場合にも、店の奥のほうで、子供の手が届かないような高い棚に置くような配慮がされるでしょう。このような配慮がネットでもされるべきです。なお、Wikipediaでは、このような問題については、管理者(ボランティア)のコミュニティでしっかりと議論されています。

 このような問題が今後も出てくるようであれば、何らかの規制や立法が必要になるかもしれません。

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September 13, 2008

MarkeZine Day 2008 を聞きにゆきました

 昨日、神田のベルホールで開かれたMarkeZine Day 2008を聞きにゆきました。だいたい知っているような内容でしたが、知識に漏れがあってはいけませんし、全体の傾向や世の中の関心を感じるために行きました。
 各セッションの話の内容は、おいおいMarkeZineのサイトに出てくると思いますので、特に強く感じた2点について書きます。

 まず、A/Bテストについて、4つものセッションで話題/資料に出てきたのは興味深かったです。Omnitureの製品にはこのような機能があることは知っていましたが、SEM(アウンコンサルティング)、レコメンデーション(ブレインパッド)、メールマーケティング(アルトビジョン)のセッションでも、A/Bテストの話が出てきました。例えば、メールマーケティングで、10万人に送信するメールの場合、AとBの2つのバージョンを用意しておいて、まず1万人にA、別な1万人にBを送信。その反応を見て、翌日、反応の良かったほうのバージョンを残りの8万人に送る、といった手法のことです。
 企業でのデータ分析/活用の事例を多く集めた、分析力を武器とする企業や、その数学が戦略を決めるというような本でも、このような実験的な手法の重要性が言われています。特にネットでは、利用者の反応をすぐに取り込んでマーケティングに活かすことが、当たり前になりつつある感じです。

 また、オムニチュアのセッションでは、SiteCatalystと他社のアプリケーションを連携させるOmniture Genesisが興味深かったです。この日最初の湯川鶴章氏の講演でも取り上げられていました。SalesForceがSaaSのオープン化で成功したように、オムニチュアは他社との連携に力を入れている感じでした。具体的には、まず、ダブルクリックのClickM@ilerと連携して、10月からメール広告とWebサイトアクセスを関連付けた効果測定を可能にするとのこと。この連携については、日経BPのニュースや、9/12の日経産業新聞に記事が出ています。メールを開封あるいはクリックした後に、リンク先である広告主のサイトをどのように閲覧し、買い物などをしたかまで追跡できるようにするとのこと。
 Omniture Genesisは、つまりマッシュアップ的なことを可能とするツールのようであり、興味深かったです。

 朝10時から夜7時までだいたい聞きました(少し船をこいでしまいました)が、最新の考え方や手法の再確認ができたので、聞きにいってよかったです。今月下旬から、「eビジネス」という授業を始めるのですが、2コマくらいかけて、e広告やネットマーケティング(クチコミマーケティングを含む)を解説する予定ですので、参考になりました。

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September 07, 2008

開発合宿で有名な旅館でゼミ合宿

 先週の木・金曜(9/4~5)、3年のゼミ生7名と伊東へゼミ合宿に行ってきました。3年前のゼミ合宿で泊まった山喜旅館をまた使いました。

 1日目は、午後1時に伊東駅で待ち合わせて、すぐに旅館に行って勉強を始めました。今回は、まず少し英語を読ませました。まじめな原書を合宿で読むのではつまらないので、Wiredで2チャンネルについて取り上げている記事を1時間少々読みました。2チャンネルが、海外の人の目にはどのように映っているかを知ることで、いい面と悪い面がより理解できると思い、この記事を読みました。みなさん、興味深く読んでいた感じでした。その後は、夕食まで、ビジネスゲームを行いました。一昨年のゼミの授業中に行なったビジネスゲームの「ピストロ・マネジメント」と「製造業者と小売商」を行ないました。特に「製造業者と小売商」は盛り上がりました。このような交渉型のゲームは合宿の際にゆったりと時間を取って行なうと効果的と感じました。価格交渉の体験ができるため、座学とは違う実践的な経営/会計の勉強になるので、お勧めです。
 2日目は、みんなで船で初島に行きました。日中とても暑かったので正直疲れましたが、いい運動にはなりました。参加したゼミ生のみなさん、お疲れさまでした。

 ところで、泊まった山喜旅館ですが、古い作り(昭和15年築)で設備も今ひとつなのですが、無線LANや会議室が使えるなどの理由で、ITベンチャーの「開発合宿」(ソフトウェア開発のために行なう数泊の合宿)で結構使われているようです。「古い旅館の和室でみんなでちゃぶ台を囲んで座椅子でコーディングする」というのが、なぜか開発効率がいいようです。私達が泊まった日にも、ゼミ合宿以外に、1社、ITベンチャーのグループが泊まっていました。一昨年には、AERAの開発合宿に関する記事に、この旅館の部屋の写真が載っていました。今年の3/11のテレビ東京WBSの中でも、この旅館での開発合宿のことが取り上げられたようです。また、「かいはちゅ.com」(開発合宿好きの技術者のためのコミュニティブログ)の合宿場所一覧に、この旅館が紹介されています。ブログ検索してみると、今年だけでも、いろいろなITベンチャーが5月4~5月4月3月2月に開発合宿を行なっています。その他、旅館名は書かれておらず、伊東の古い旅館で開発合宿した、というブログの書き込みもいろいろと見かけますが、多分、山喜旅館のことだと思います。

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