« July 2008 | Main | September 2008 »

August 29, 2008

CGMマーケティング事例を集めています

 「eビジネス/eコマースの動向と技術」の中のCGM (Consumer Generated Media) のページを本日更新しました。この分野は、数年前から、新しいサービスやマーケティング事例が多く出てきているので、内容の追加は大変でした。日々情報を集めていますが、整理してWebページに追加するのに、丸2日程度かかりました。なお、最近は、CGMと言わずにUGC(User Generated Content)ということが多くなった感じがしますが、まだCGMのままです。

 CGMのページの中で、特に、CGMマーケティング事例を充実させました。40例くらい集めました。SNSやブログ等を効果的に活用して、消費者が参加するようなマーケティング事例がいろいろと出ています。このように並べてみると、最近では既存の成功事例のマネのようなことも行われているのが分かります。
 結果が出ていないのでまだ追加していませんが、DeNAの中高年向けSNSで懐メロ募集・CDに収録する企画や、mixiの公認コミュニティにてフルーツカルピス開発プロジェクトの例も、これまでの他社の成功例を真似したような感じです。このような動きを見ると、CGMを利用した利用者参加の活動には、同業他社の工作員(というかスパイ)が個人的に参加して、ノウハウを盗んでいるのかもしれません。

 また、映画についてクチコミを起こそうという事例も、5つ集めておきました。映画については、CMを打つよりもクチコミのほうが効果的と言われます。ですので、どうにかしてクチコミが広まるようにと、いろいろと工夫されている感じです。

[追記]
 日経MJ 2008/8/22の1面の「SNSが知恵袋」という特集記事にも、SNSを活用した商品開発の主要例が表になっていました。大学の事務室が休みで閉まっていて受け取れなかったため、見落としていました。失礼しました。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

August 25, 2008

マクミラン「市場を創る」での特許制度への批判

 先月位から、知的財産権/技術革新/インセンティブに関する経済学の本をいろいろと読んでいます。これまで、クリステンセンやロジャーズなどの本は読んでいましたが、もう少し広い範囲について経済学からどのような分析がされているのか知っておきたいためです。例えば、経済学の考え方で分かったのは、ミクロ経済学の生産関数の考え方でプロセスイノベーションについてある程度分析できる、ということです。ただし、プロダクトイノベーションに関しては、一般的な経済学の考え方では分析するのは難しそうです。いろいろと特殊な考え方が出てきます。

 そのような経済学の書籍の中で、ジョン・マクミランによる市場を創る ― バザールからネット取引までという本は勉強になりました。経済学者による「市場」に関する本ですが、特許に関する章やネット取引に関する記述があったので、一通り読みました。知的財産制度に対して、市場の観点からかなり批判的な内容でした。その批判ですが、特許制度の根本的な問題点を的確に捉えていると感じました。ここでは、その本の中から特許に関する内容を抜粋しておきます。

P.47

「特許制度は、理想的な解が存在しない問題に対する妥協の解決策である。」
「しかし、特許システムにはマイナス面もある。」
「特許は、発明を生み出すことに成功しているが、一方でその使用を抑制してしまう。」

P.149

「新しいアイディアは経済を牽引する。」
「アイディアの市場が機能することは、一国の良好な経済活動のために不可欠である。その市場がうまく機能するためには、知的財産権の保護は過少でも過大でもいけない。」
「アイディア市場がうまく機能するためには、特別な種類の財産権が存在する必要がある。知的財産権は、アイディアが広く伝達されうることを認識したものでなければならない。アイディアの財産権にできることはせいぜい、アイディアの利用のされ方をコントロールすることである。」

P.152

「特許によってプレミアムが稼げるとの期待は、イノベーション努力に拍車をかけることになる。特許は創造性を促進する。しかしながら、特許には欠点もある。特許は、法的に認可された取引の制限である。一度アイディアがこの世に存在するようになると、その使用を制限することは非効率である。」
「アイディアに対する独占権を与えることは、それを創造する人に対して報いることに成功しているが、それにはアイディアを過度に使用しづらいものにしてしまうというコストが伴う。特許は、文字通り、高い値段を設定するライセンスなのである。」
「理想的には、イノベーターはアイディアの生産的な使用を阻害することなく、報酬を受け取るべきである。しかし、これを実現する方法を見つけることは難しい。」

P.165

「特許はアイディアの財産権を定義する唯一の方法ではない。」 として、特許の買上げメカニズムや、研究トーナメントを紹介。

 なお、このような特許に代わる制度(例えば、パテント・バイアウト)の提案については、スザンヌ・スコッチマーによる知財創出 イノベーションとインセンティブという本に詳しく解説されています。

 どうでもいい話ですが、マクミランの本の中のP.155のある「マイクロソフト、0と1の特許を取る」という風刺的記事の原文は、Microsoft Patents Ones, Zeroes (The Onion. March 25, 1998)です。特に他社の回避策が傑作です。以前から知っていましたが、今読んでも笑えます。

 こういった経済学の観点からの本を読んでいると、現在、特許制度を根本的に考え直すような時期にあると切に感じます。マクミランの本の中の「特許制度は、理想的な解が存在しない問題に対する妥協の解決策」というのは、とても適切な表現だと感じました。また、「知的財産権の保護は過少でも過大でもいけない」というのは、レッシグが「知的財産を保護するのは、それを作る十分なインセンティブを確保するためだけだ」と言っているのと共通しているように感じます。やはり、過大でない知的財産権についてもっと考えてゆくべきでしょう。私の考案中の新しい知的財産権「元祖権」は、発明の使用をなるべく抑制させない権利であるため、このような権利について、世の中に問うてゆくことは有意義である、とあらためて感じました。
 そこで本日、元祖権の概要という資料をWebに公開しました。学会の場以外でも、元祖権についてもっと広く発信してゆきたいと考えています。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

August 22, 2008

平成19年度電子商取引に関する市場調査

 今週月曜、経済産業省から「平成19年度我が国のIT利活用に関する調査研究」(電子商取引に関する市場調査)が発表になりました。関連した日経BPの記事もあります。その発表によると、2007年の国内のBtoC EC市場規模は、5.3兆円(前年比21.7%増)となっています。2006年は前年比27%増でしたので、2007年は少し成長率が落ちました。今後、急激には下がらないとは思いますが、市場の成長率は徐々に下がって行くと思われます。

 このような傾向のせいか、昨日の日経産業新聞に「日本ネットVB、中印で事業展開」という記事が出ていたように、ネットベンチャーにとって、成長率の高い中国・インドが魅力的に感じて、進出するところが増えているようです。なお、今回の経済産業省の調査では、米国だけでなく、アジアの4カ国(中国、台湾、韓国、マレーシア)についても、BtoC EC市場の実態を調査しています。このような情報は、ネットベンチャー等がアジア諸国へ海外進出するか検討する上で参考になるので、望ましい情報だと思います。

 今回の経済産業省の調査では、「消費者の販売/販売促進」活動についても調査がされています。アフィリエイト・プログラムとドロップシッピング経由のEC販売額は5530億円で、BtoC EC市場規模の約1割が消費者を経由した購買額、としています。この辺りも重要な傾向だと思います。

 なお、現在eビジネス/eコマースの動向と技術のページの情報を更新中です。BtoCビジネスのページは、 この経済産業省の調査のデータも加えて一応更新しました。夏休みのうちに、「モバイルEC」についても、そのページ内にまとめたいと思っています。「ネット広告/ネットマーケティング」と「CGM」のページも夏休み中に更新予定です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 13, 2008

CCC、グループのネット企業3社を「TSUTAYA online」に統合

 昨日、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)から、子会社のネット3社を統合し、通販・宅配・配信を総合サイトに集約することが発表されました。リリース文によると、「3社の経営資源・ノウハウの融合により、TSUTAYAグループのインターネット分野における顧客価値向上と競争力強化・スピード向上、及び店舗サービスとの連動強化を目指します」とのこと。Internet Watchでも報道されています。

 この統合は、とても適切だと感じています。利用者から見れば、1つのサイトでいろいろなサービスが受けれればいいわけですし、クチコミ(レビュー・評価)を多く見れたほうが望ましいのです。クチコミは、別々のサイトで収集・管理するよりも、1つのサイトに統合したほうが多く集められるわけです。TSUTAYA DISCASコミュニティでのクチコミを、DVDを購入しようとする人にも見せられるようにできると効果的でしょう。その意味でも、ネット3社を統合して、総合サイトに集約することは大きな意味があると思います。

 このようなことは、TowerRecord・Napsterでも考えたほうがいいと感じています。TowerRecord・Napsterは相互にリンクされていますが、もっと緊密な連携が望まれます。例えば、聴き放題のNapsterで利用者からのクチコミをもっと集めるようにして、それをTowerRecordのCD購入画面で見せることができれば効果的でしょう。

 また、日本経済新聞の記事によると、TSUTAYA店舗の在庫が検索できる新サービスも始めるとのこと。このようなマルチチャネル販売への積極的な姿勢も評価できます。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

August 06, 2008

ヤフージャバンとオーバーチュアによる「インタレストマッチ」

 先月、ヤフージャバンとオーバーチュアから、インタレストマッチという新しい広告商品が発表になりました。提供開始は秋からのようですが、おもしろい狙いの広告商品だと感じています。ITmediaINTERNET WatchWeb担等で取り上げられています。入札制のクリック課金の広告ですが、単にコンテンツ連動型の広告ではなく、利用者の過去の閲覧履歴や、性別・年代でターゲティングして絞り込み、より効果的な広告表示を行う仕組みです。

 オーバーチュアの公式ブログにも、今月1日、興味関心連動型広告『インタレストマッチ』提供についてというエントリーで、詳しい展開方針が出ました。かなり多くのページで露出される予定です。

段階的に拡大し、最大200億PV(Yahoo! Japanの月間PVの約半分)。

さらには、「アドパートナー」を通じての配信も予定。

 月刊ネット販売8月号にもオーバーチュアの興味関心連動型広告の効果とは?という記事があります。ヤフーを取材した上で書かれたものです。

インタレストマッチの正体は、「コンテンツマッチ」+「行動ターゲティング」。

広告効果は従来のコンテンツマッチの「5~6倍になる」(ヤフー・広告本部長)。

 また、インタレストマッチのFAQによると、

ヤフーが開発を担当、オーバーチュアが営業・運用のノウハウを提供して生まれた新サービスであり、ヤフーがオーバーチュアを統合したことによるシナジー効果の第一弾

ということは、昨年8月にヤフーがオーバーチュアを子会社化してから設計が始まったと思われます。「日本発」の新サービスとのことなので、特許が出願されているかもしれませんが、公開されるとしたら来年以降になりそうですね。

 従来のコンテンツマッチから見ると「精度の向上」、行動ターゲティング広告から見ると「広告商品のロングテール化」という狙いが見えます。グーグルに対抗する上で強い武器になると思います。
 また、いろいろと考えをめぐらせていて気がついたことがあります。インタレストマッチでは、入札で上位になれなくても、上位入札者と異なる利用者層をターゲットにしていれば、広告の露出が期待できるのでは?SEMサービス企業は、このようなコツを見つけていく必要があるでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« July 2008 | Main | September 2008 »