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July 21, 2008

「データウェアハウス」という大学院向け集中講義の内容

 先月から今月の土曜夜に、母校の夜間大学院 筑波大学大学院ビジネス科学研究科(GSSM)において「データウェアハウス」という集中講義で社会人学生に教えました。社会人学生は、業界のことが分かっているため、一般の学生よりも理解が早いように感じます。企業でマーケティング・企画・情報システムなどを担当している人達が中心で、こちらが逆に教わることもありました。

 2007年1~2月にも同じ科目を担当しましたが、今回も半分程度は同じ内容でした。

 今回は、データウェアハウスや企業情報システムの基本をさっと講義した後、DavenportのCompeting on Analyticsという洋書の1章を読ませました。なお、同じ題名の論文は、DHBRでは「分析力で勝負する企業」と訳されています。データウェアハウスやBIツールを企業でどのように活用するべきか(分析する情報や、分析の体制作りなど)について、IT経営の研究者/コンサルタントの視点から著した書籍です。1章に全般的な話題がまとまっているため、このような大学院レベルの授業では適していると思い、選びました。十数名受講生がいて、だれもDavenportを知りませんでしたが、だいたい興味深く聴いていた感じでした。なお、Ian Ayresの "Super Crunchers"(邦題は「その数学が戦略を決める」) という本も似た話題を扱っていますが、Davenportの本のほうが経営学寄りで、分析力で勝負できる企業になるために組織体制やロードマップまで述べられています。

 事例としては、前回取り上げたNTTドコモの事例の他に、新たにJCBをケーススタディしました。その他、流通・金融・製造業でのデータウェアハウスの事例をいろいろと紹介しました。ネットでの事例としては、クラウドソーシング、ウェブのアクセス解析(クリックストリーム分析や、利用者の振舞いによるカテゴリー分析など)、offermatica(現Ominitureの “Test&Target”)のようなABテストによる自動LPOなどの動向を解説しました。このような事例から、今後のデータウェアハウスの活用について、何らかのイメージをつかんでもらいたいところです。また、ビジネスディベートも行なってみました(論題は、「社内の情報分析体制として、ほぼ全員がBIツールを利用できるようにすべき」「情報分析のしかたについて、外部の人に分析してもらうのに積極的になるべき」の2つ)。

 ところで、ガートナーは毎年、全世界のCIOに対してアンケート調査した結果を公表しています。その中で、データウェアハウスを含むBI(ビジネス・インテリジェンス)技術は、CIOが優先するテクノロジでグローバルでは2006年から3年連続1位になっていて、日本でも2007年の第9位から2008年は第3位に急浮上しています。そのように、多くの企業はビジネス・インテリジェンス技術を活用して、分析力で競争していこうという姿勢が強くなったきました。そのようなことを話して、この科目の重要性を学生に認識させました。

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