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July 28, 2008

春から夏にかけての研究状況(日本知財学会や経営情報学会での発表など)

 春から夏にかけての研究状況です。

 先月の日本知財学会の学術研究発表会では、ビジネス方法特許の問題点とサービス向けの知的財産制度の提案という論文を発表しました。同学会で昨年発表した時よりも、聴いてもらえたという感じです。同じ日の別なセッションでPATENT ISLANDというサイトを運営されている久野さんからイノベーションのための第2世代知財(発表要旨:Word文書)という御発表があり、その中で私の提唱する元祖権をリファーしていただきました。ありがたいかぎりでした。

 関連して、フルペーバーを学会誌に投稿中で、査読を受けているところです。英語の論文も書いていて、国際会議に投稿中("To Promote Service Innovation: A Proposal of New Intellectual Property Right to Protect and Share Innovative Services" というタイトル)です。"Protect and Share" というのを是非アピールしたいところです。うまくいけば、12月に発表できます。ただし、経済学などの理論を適用するなどの理論武装が、さらに必要そうです。

 ビジネス方法特許やサービスイノベーションの問題点と元祖権について、分かりやすく解説した書籍を年度内に出版したいと考えていて、夏休みにある程度執筆してしまう予定です。しかし、どのようなタイトル・構成にするか迷っています。最近、Against Intellectual Monopolyという本が出版されました(オンライン版もあり)が、この位インパクトのあるタイトルを付けてもいいのではないかと考え始めました。

 先月の経営情報学会の全国大会では、情報戦略教育のための事例活用方法という論文を発表しました。こちらは、私が大学で情報化戦略という授業等で事例を活用した教育を実践していますが、そのノウハウを論文にしたものです。小生は、そのような教育のために戦略的な情報システムの事例集を作っていますが、現状ではどちらかというと産業界の人達の利用が多い感じです。教育目的でもっと利用してもらいため、そのような学会発表をしました。

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July 21, 2008

「データウェアハウス」という大学院向け集中講義の内容

 先月から今月の土曜夜に、母校の夜間大学院 筑波大学大学院ビジネス科学研究科(GSSM)において「データウェアハウス」という集中講義で社会人学生に教えました。社会人学生は、業界のことが分かっているため、一般の学生よりも理解が早いように感じます。企業でマーケティング・企画・情報システムなどを担当している人達が中心で、こちらが逆に教わることもありました。

 2007年1~2月にも同じ科目を担当しましたが、今回も半分程度は同じ内容でした。

 今回は、データウェアハウスや企業情報システムの基本をさっと講義した後、DavenportのCompeting on Analyticsという洋書の1章を読ませました。なお、同じ題名の論文は、DHBRでは「分析力で勝負する企業」と訳されています。データウェアハウスやBIツールを企業でどのように活用するべきか(分析する情報や、分析の体制作りなど)について、IT経営の研究者/コンサルタントの視点から著した書籍です。1章に全般的な話題がまとまっているため、このような大学院レベルの授業では適していると思い、選びました。十数名受講生がいて、だれもDavenportを知りませんでしたが、だいたい興味深く聴いていた感じでした。なお、Ian Ayresの "Super Crunchers"(邦題は「その数学が戦略を決める」) という本も似た話題を扱っていますが、Davenportの本のほうが経営学寄りで、分析力で勝負できる企業になるために組織体制やロードマップまで述べられています。

 事例としては、前回取り上げたNTTドコモの事例の他に、新たにJCBをケーススタディしました。その他、流通・金融・製造業でのデータウェアハウスの事例をいろいろと紹介しました。ネットでの事例としては、クラウドソーシング、ウェブのアクセス解析(クリックストリーム分析や、利用者の振舞いによるカテゴリー分析など)、offermatica(現Ominitureの “Test&Target”)のようなABテストによる自動LPOなどの動向を解説しました。このような事例から、今後のデータウェアハウスの活用について、何らかのイメージをつかんでもらいたいところです。また、ビジネスディベートも行なってみました(論題は、「社内の情報分析体制として、ほぼ全員がBIツールを利用できるようにすべき」「情報分析のしかたについて、外部の人に分析してもらうのに積極的になるべき」の2つ)。

 ところで、ガートナーは毎年、全世界のCIOに対してアンケート調査した結果を公表しています。その中で、データウェアハウスを含むBI(ビジネス・インテリジェンス)技術は、CIOが優先するテクノロジでグローバルでは2006年から3年連続1位になっていて、日本でも2007年の第9位から2008年は第3位に急浮上しています。そのように、多くの企業はビジネス・インテリジェンス技術を活用して、分析力で競争していこうという姿勢が強くなったきました。そのようなことを話して、この科目の重要性を学生に認識させました。

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July 17, 2008

アスクルの間接材購買代行ビジネスとクロスマーチャンダイジング

 今年春頃からアスクルはとても興味深いビジネス展開をしています。

 まず、間接材購買代行ビジネスとして、SOLOEL(ソロエル)というBPOサービスを、4月から提供開始。第一号ユーザーはアサヒビールのようです。アスクルは、今年2月に工場系間接材にも進出しましたが、間接材の品目の幅を増やすだけでなく、購買業務にさらに踏み込むことにしたということです。
 日経BPの記事によると、アスクルは「SOLOEL」を提供するために、約26億円を費やして調達システムを新たに構築した、とのこと。昨年、次世代ビジネスモデル『アスクル2.0』を構築中という話が出ていましたが、それが姿を現したもののようです。日経情報ストラテジー2008年8月号に「アスクル 次世代ビジネスモデルが判明 購買業務の見える化に商機」という解説記事もあります。
 なお、コクヨ系のジョインテックスでは、e-Switching Serviceという最適調達品目の分析や集中ソーシング化によるコスト削減提案サービスを既に行っています。SOLOEL(ソロエル)は、それ以上のサービスのようです。ディーコープの見積@Deeのようなサービスのように見えます。

 また、日経MJ 2008/7/7にアスクル、ネット購買の傾向分析、20社で共同研究という記事が出ていました。取引先約20社と組み、ネット販売のマーケティング研究を始めるというもの。6月に「WEBマーケティングコンソーシアム」を設立し、エプソンやキヤノン、日清食品、ライオンなど家電、食品、日用品メーカー取引先約20社が参加。アスクルの通販サイトで各社の商品を実験的に販売。売れ行き情報は全社で共有。
 このような共同のマーケティング研究は、「大アスクル」構想の一環として評価できます。なお、個人消費者向け小売業では、購入者と購入品の関連性を分析することはよく行われています。また、行動ターゲティング広告でも、複数のサイトをまたがったターゲティングを行います。アスクルは、個人向け通販サイト(ぽちっとアスクル)だけでなく、中小企業向け通販サイトでもこのような分析を行うようです。BtoBマーケティングにおいて、おもしろい試みだと思います。

 アスクルは、物品だけでなく、サービスについても、今年3月にアクスルお仕事サポートというサイトを開設。日経MJ 2008/06/27に紹介されていましたが、6月からは航空券、宿泊予約、花手配などを提供し始めました。
 このように、アスクルのサイトで表示される商品メニューは、数年前よりもとても広がっています。中小企業の購買のポータルに近づいてきた感じです。

 やっと今週月曜で春学期の授業が終わり、昨日で定期試験問題もできあがったため、一息つけました。今週土曜に非常勤の筑波大大学院の講義があり、それと試験の採点が終わると、研究に集中できます。夏休み中は、ブログも週に2回位の更新を目指したいと思います。

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