« May 2008 | Main | July 2008 »

June 26, 2008

凸版印刷のマピオン特許の無効審判

 昨日午前、特許庁で行われた特許の無効審判の口頭審理を聴きにゆきました。2005年に、JAL対ANAのビジネス方法特許の口頭審理等に行ったことはありましたが、久しぶりで行きました。なお、私はときどき、特許庁の口頭審理のページを見て、ビジネス方法特許関連の口頭審理がないかチェックしています。

 昨日は、ビジネス方法特許の代表例として知られる凸版印刷のマピオン特許の無効審判に関する口頭審理でした。なお、マピオン特許については古谷国際特許事務所のページの解説などがあります。特許庁のビジネス方法の特許についてという資料の中でも例として紹介されています。以前より、Google Mapのようなネット上の地図に広告を載せる仕組みはこの特許を侵害するのではといったことが言われていましたので、いつかは問題になるのではないかと思っていましたが、遂に大日本印刷から無効審判をおこされました。

 昨日の口頭審理では、大日本印刷側は、その特許の出願以前に、パソコンマッピングの利用例の1つの営業支援システムで、地図からデータを入れている公知例があったり、住宅地図に対応した電話帳データベースに広告の情報が含まれている公知例があることから、このマピオン特許のほとんどの請求項は、「容易に思いつく」レベルであるとして、「進歩性」を否定して取消を求めていました。昨日聞いた限りでは、マピオン特許(と分割により後に追加で成立した特許)の一部の請求項は取り消される(つまり、権利範囲が狭くなる)可能性がありそうです。

 このようなビジネス方法特許は、もともと進歩性が弱いものが多いため、新たなビジネスモデルを構築しえた、という面の効果をもっとアピールしたほうがいいと感じました。

 近況ですが、6月は、日々の講義以外に、2つの委員会活動、学会発表2件、高校訪問、オープンキャンパス、他大学の講義などで、目が眩むような忙しさです。7月中旬までもう少し、しんどそうです。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 01, 2008

アマゾンとアップルのイノベーションに対する姿勢は対照的

 この春、アマゾン・アップル・任天堂などでのイノベーションに関して、雑誌記事がいろいろ出ました。

 まず、BusinessWeekが選ぶ革新的企業50社というランキングが、2008年4月28日号にカバーストーリーとして載りました。1位はアップル、2位グーグル、3位はトヨタ自動車。意外だったのは、6位のタタ・グループで、任天堂の上に来ました。

 アマゾン創業者のベゾスCEOが語るは、同じBusinessWeekの号の記事(Bezos On Innovation)の翻訳。このインタビュー記事で、アマゾンがマーケット重視のイノベーションを志向していることが分かります。

事業領域の拡大を考える時、「我々はその分野で全く技術を持っていないのに、なぜそれをやらなければならないのか」と企業は手始めに考えてしまう。その考え方では企業は限界に直面する。世界は変化し、かつて最先端だった技術も今や顧客にとって無用の技術になっている。「顧客が何を必要としているか」を問うところから始めることで、はるかに手堅い戦略になる。その後で技術的に不足している点を検討すればよい。
When [companies] think about extending their business into some new area, the first question is "why should we do that—we don't have any skills in that area." That approach puts a finite lifetime on a company, because the world changes, and what used to be cutting-edge skills have turned into something your customers may not need anymore. A much more stable strategy is to start with "what do my customers need?" Then do an inventory of the gaps in your skills.

 次に、Fortune誌2008年3月17日号のWhat Makes Apple Goldenというアップルに関する記事の翻訳「アップルはなぜ金のリンゴになったのか」が、月刊アスキー2008年6月号に載っていました。この記事で、アップルが、利用者の求めるものを作る、というよりも、自分達が利用者をリードしてゆくタイプのイノベーションを志向していることが分かります。また、先進的な技術やデザインで常に自分自身を変えていく姿勢がうかがえます。

「アップルにとってひとつの鍵は、自分たちが本当に夢中になれる製品を作ることなんだ。」とジョブズは言う。
"One of the keys to Apple is that we build products that really turn us on," says Jobs.
アップルはマイクロソフトのような企業を一気に抜き去っただけでなく、米国実業界に黄金律を打ち立てた。ブランドを創り、それを変身させ、破壊的イノベーションの時代に合うように生まれ変わらせるという、全く新しいビジネスモデルである。
Apple not only has upstaged the likes of Microsoft but has set the gold standard for corporate America with an entirely new business model: creating a brand, morphing it, and reincarnating it to thrive in a disruptive age.

 ところで、アップル(ジョブズ)に関しては、Inside Steve's Brainという本が4月に発売され、池田信夫ブログなどで話題になっています。Wiredの編集者が書いた本らしく、ジョブズについて宗教など様々な面を取材して頭の中を解剖したような本のようです。私は、そのような内容の本を、洋書では読み気はしません。和訳本が出てから読みたいと思っています。

 ということで、アマゾンとアップルのイノベーションに対する姿勢は対照的であることが、これらの記事で再確認できました。

 任天堂については、オープンイノベーションの姿勢が強まっている感じです。The Tom Sawyer of InnovationというNewsweek (May 19, 2008) の記事は、Wiiのリモコン(WiiMote)の仕様がハックされて、いろいろな用途に利用され始めていることが取り上げられています。一種の「再発明」(Rogersの本を参照のこと)と言えるでしょう。
 BusinessWeekのOpening Up The Wiiという記事は、独立系デベロッパー向けのWii用ソフトウェア開発サービス「WiiWare」について取り上げていて、"win-win for both Nintendo and game designers" と評価しています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« May 2008 | Main | July 2008 »