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February 02, 2008

イノベーション関連の書籍のご紹介

 昨年後半に出版されたイノベーション関連の書籍を3つ紹介しておきます。

 イノベーションの普及は、エベレット・ロジャーズ著。"Diffusion of Innovations" という有名な本のFifth Edition(2003年)の翻訳。従来は、第2版の翻訳本が1990年に出版されていましたが、かなり古い内容で既に絶版状態でした。Rogersの理論では、イノベーションの採用者カテゴリーが有名ですが、その他、イノベーションの決定過程、イノベーション属性、普及ネットワークの理論が出てきます。また、イノベーション普及を促進させる役割のチェンジエージェントやチャンピオンについての理論や研究も書かれています。古い事例が多いですが、様々な既存研究(リード・ユーザーの考え方も)が紹介されているので、イノベーション理論に関心のある方は必読の本でしょう。

 オープンビジネスモデル 知財競争時代のイノベーションは、ヘンリー・チェスブロウ著。この本を翻訳された栗原さんは昨年11月、ご自身のブログに翻訳書「オープンビジネスモデル」まもなく刊行と書かれています。チェスブロウの前著(オープン・イノベーション)は、個別の企業の事例を分析したような本でしたが、この本は業界全体での傾向まで分析しています。また、イノベーションの二次市場が出現していることを指摘して、この二次市場をうまく活用して、場合によってはパテントトロールを出し抜くようにすべきと提案しています。ビジネス方法特許戦略(原著のタイトルは、「屋根裏のレンブラント」)という2000年のリベット著の本では特許発掘の重要性が叫ばれていましたが、このチェスブロウの本では発掘だけでなく他社の特許を買うことにも積極的になるべきと述べているのです。
 なお、パテントトロールについてですが、先週金曜(1/25)のテレビ東京WBSの特集(眠れる知的財産)でエイディーシーテクノロジーが取り上げられていました。この企業は、日本でパテントトロールのようなことをしていてメーカーから嫌われているのですが、特許の訴訟を行うだけでなく、個人・中小企業の特許を管理し技術の移転先を紹介するような業務も行っていることが紹介されていました。

 技術とイノベーションの戦略的マネジメント (上) は、ロバート・A・バーゲルマン、スティーヴン・C・ウィールライト、クレイトン・M・クリステンセンの編集。分厚い本ですが、さらに下編もあります。研究者向けにいろいろな論文を集めた、Readingsと呼ばれるような本です。研究者や大学院生にとってはありがたい本です(原書を読めばいいのかもしれませんが)。ただし、原書を翻訳するのに5年位かかってしまっています。ネット関連の論文(例えば、音楽配信の事例など)は、かなり昔のことに感じました。

 ところで、本日のニュースで、「マイクロソフトがヤフーに買収提案」と報じられていました。しかし、私の意見としては、両社のビジネスモデルは大きく異なるため、賛成しかねます。

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