« January 2008 | Main | March 2008 »

February 29, 2008

情報爆発プロジェクトと情報大航海プロジェクト

 文部科学省の情報爆発プロジェクト成果報告会が、来週の月・火曜にあります。行ければ行こうと思っています。

 このようなプロジェクトに、文部科学省が研究費を出すのはいいことだと思います。国立大学の教員は研究費をどう捻出するかに苦労していると聞きます。問題は、どう事業化につなげるかでしょう。産学連携や、大学発ベンチャーにつなげる体制が取れるかが課題でしょう。

 もっと問題なのは、情報大航海プロジェクト(経済産業省)のほうでしょう。こちらは民間企業に補助金を出しています。第五世代コンピュータの頃より、このような分野にお金を出して、まともな成果は上がっていません。

 3月17日に秋葉原で開かれる情報価値の共創による国際競争力強化にむけてというシンポジウムの中で、情報大航海プロジェクトについての取り組みや成果について紹介があるようです。時間が取れれば行きたいと思っています。

 情報大航海プロジェクトでは、検索エンジンの「オルタナティブ」を開発するということを掲げています。しかし、個人的には、行政がオルタナティブ開発に関わる必要はないと思っています。それよりも、企業が検索エンジンを開発したくなるインセンティブを与えるような要件を明確にしたほうがいいと思います。例えば、「学校で使う検索エンジンの仕様」を作って研究開発をうながし、採用された企業に利用料を払う、といったやり方で行政から金を出したほうがいいと思います。

 文部科学省と経済産業省で、このような似たプロジェクトを別々に行っているのも問題でしょう。縦割り行政の弊害です。

 また,検索エンジンは、社会的な影響力の大きさから、少しは規制をしたほうがいいと思います。特に、ページランクの付け方です。グーグル八分のような問題が起きないようにするためには、そのようなページランク操作の説明義務を負わせることが必要だと思います。また、「厚労省」検索で “偽サイト”が最上位になんて事件が起こらないような、注意義務も課せるべきでしょう。go.jp のサイトのもともとのページランクが低すぎたのでしょうか? 中国のような言論統制ではなく、常識的な公正さを求めた不正検索防止法といった法律があってもいいでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 19, 2008

中小企業IT経営力大賞

 先週、経済産業省が「中小企業IT経営力大賞」を発表しました。経済産業省からの報道発表がありました。日経BPのニュースも出てています。これまで、IT経営百選という名称でしたが、今回は中小企業に絞って募集・選考されました。

 記念式典が、今週木曜(2/21)午後、虎ノ門パストラルにて開かれます。詳細や申込み方法は、IT経営応援隊のページに載っています。表彰式の前に、メリーチョコレート原社長(IT経営応援隊 会長)の基調講演と、事例紹介/パネルディスカッションを聞くことができます。

 結果としては、大賞は、東洋ボデー八幡ねじヤマサキの3社でした。八幡ねじは、雑誌・新聞でIT活用について何回か報道されているので知っていましたが、他の2社は知りませんでした。木曜の記念式典に行く予定なので、その場でよく勉強したいと思います。

 この賞についてブログ検索をしてみたところ、さすがにIT経営力大賞に応募している会社だけあって、IT経営実践認定企業を受賞した企業の中では自社でブログを書いているところが多かったです (特に関西の企業)。各社とも、既に「中小企業IT経営力大賞」ロゴマーク(結構かっこいい)をブログで使っています。なお、IT経営にかなり自信を持っていて、大賞を逃して悔しがっている企業もあるようです。

 私のホームページで、戦略的な情報システムの事例集を作っておりますが、現在は大企業中心です。中小企業についても、詳しい情報が入れば追加してゆきたいと思っています。

| | Comments (8) | TrackBack (1)

February 06, 2008

コマツのKOMTRAXシステム

 今週月曜(2月4日)のカンブリア宮殿のゲストは、コマツの坂根会長でした。この番組の後半では、コマツのIT活用方法としてコムトラックス(KOMTRAX)というシステムが取り上げられていました。

 このシステムは、結構有名です。日経情報ストラテジー2001年3月「GPS搭載のネット建機で顧客サービスを最優先」、日経産業新聞2006/6/2「建機の遠隔管理KOMTRAX」など、いろいろな新聞/雑誌記事で紹介されていますし、がっちりマンデー(2007年12月16日)というTV番組でも取り上げられていました。なお、他の建機メーカーも同様な取組みを行っていると聞きます。
 このコムトラックスシステムは、顧客企業にとって役立つシステムであることがコマツの顧客向けページに説明されています。GPSと無線(たぶんドコモのDopaのようなケータイメールを機械が発信する仕組み)を使い、コマツから購入した建設機械の稼動状況やセンサー情報を各顧客が分かるのです。同時に、コマツはすべての建設機械の状況が分かるというシステムです。異常や交換時期の情報も分かるので、予防保守等のサービスが可能ですし、コマツにとっては営業にも役立つ情報です。夜中にエンジンがかかると盗難ではないかと警告メールを管理者に送信する、というようにセキュリティにも役立ちます。

 しかし、今週のカンブリア宮殿では、コムトラックスシステムの情報が、コマツの経営の意思決定に役立つことが紹介されていました。これは知りませんでしたので、驚きました。コマツの会社内では大きなスクリーンに、全世界(特に、日本と欧米)でのコマツの建設機械のリアルタイムの稼働状況が表示されています。つまり、どこでどの位稼働しているかが鳥瞰できるのです。建設機械ですので、建設の作業がどの位盛んかということも分かり、そこから景気に関することも分かるというのです。どの地域の稼動状況が落ち込んで、どの地域は堅調か、あるいは、どのモデルが比較的堅調かが分かるわけで、そういうことはものすごく経営判断に決定的、とのことでした。例えば、昨年後半には、アメリカでの売れ行きは落ちているが、1台1台の稼動時間は11月までは増えていた。しかし、12月はちょっと落ちた、という状況から景気感を感じ取るとのことです。役立った例としては、中国政府が2004年に金融引き締めをした際、機械がどんどん止まっているのがコムトラックスで分かったので、すぐに工場の生産をストップした、とのことでした。生産をすぐにストップしていなかったら、不良在庫が多く生まれていたということです。

 この番組のコムトラックスシステムの部分(10分程度)は、来年度、私が担当している「情報化戦略」という授業で学生に見せようと思っています。

 簡単に特許検索してみましたが、コムトラックスシステムに関連する特許としては、次のようなビジネス方法特許(すべて未成立)をコマツが出願していました。
「作業機械の賃貸料算出システム、作業機械の賃貸料算出方法、およびこの方法をコンピュータに実行させるためのプログラム」(特開2003-067658)
「機械の管理支援システム、その管理支援方法およびその管理支援プログラム」(特開2003-178155)
「入出庫遠隔監視管理システム」(特開2005-149003)

[追記] (2008/4/9)
 日経ビジネス2007/6/4号特集 「製造業の進化形 コマツが究める 理と利 7万台の地を這うアナリスト」という記事の中で、コムトラックスシステムについて詳しく取り上げられていました。

[追記] (2009/11/6)
 コムトラックスシステムに関連すると思われる特許として、「メンテナンススケジューリング装置及び方法」(特許4179600)や、「移動体の作業報告に基づく管理装置」(特許4349477)を見つけました。特許4349477には、夜中にエンジンがかかると警告メールを管理者に送信する仕組みも入っていました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 02, 2008

イノベーション関連の書籍のご紹介

 昨年後半に出版されたイノベーション関連の書籍を3つ紹介しておきます。

 イノベーションの普及は、エベレット・ロジャーズ著。"Diffusion of Innovations" という有名な本のFifth Edition(2003年)の翻訳。従来は、第2版の翻訳本が1990年に出版されていましたが、かなり古い内容で既に絶版状態でした。Rogersの理論では、イノベーションの採用者カテゴリーが有名ですが、その他、イノベーションの決定過程、イノベーション属性、普及ネットワークの理論が出てきます。また、イノベーション普及を促進させる役割のチェンジエージェントやチャンピオンについての理論や研究も書かれています。古い事例が多いですが、様々な既存研究(リード・ユーザーの考え方も)が紹介されているので、イノベーション理論に関心のある方は必読の本でしょう。

 オープンビジネスモデル 知財競争時代のイノベーションは、ヘンリー・チェスブロウ著。この本を翻訳された栗原さんは昨年11月、ご自身のブログに翻訳書「オープンビジネスモデル」まもなく刊行と書かれています。チェスブロウの前著(オープン・イノベーション)は、個別の企業の事例を分析したような本でしたが、この本は業界全体での傾向まで分析しています。また、イノベーションの二次市場が出現していることを指摘して、この二次市場をうまく活用して、場合によってはパテントトロールを出し抜くようにすべきと提案しています。ビジネス方法特許戦略(原著のタイトルは、「屋根裏のレンブラント」)という2000年のリベット著の本では特許発掘の重要性が叫ばれていましたが、このチェスブロウの本では発掘だけでなく他社の特許を買うことにも積極的になるべきと述べているのです。
 なお、パテントトロールについてですが、先週金曜(1/25)のテレビ東京WBSの特集(眠れる知的財産)でエイディーシーテクノロジーが取り上げられていました。この企業は、日本でパテントトロールのようなことをしていてメーカーから嫌われているのですが、特許の訴訟を行うだけでなく、個人・中小企業の特許を管理し技術の移転先を紹介するような業務も行っていることが紹介されていました。

 技術とイノベーションの戦略的マネジメント (上) は、ロバート・A・バーゲルマン、スティーヴン・C・ウィールライト、クレイトン・M・クリステンセンの編集。分厚い本ですが、さらに下編もあります。研究者向けにいろいろな論文を集めた、Readingsと呼ばれるような本です。研究者や大学院生にとってはありがたい本です(原書を読めばいいのかもしれませんが)。ただし、原書を翻訳するのに5年位かかってしまっています。ネット関連の論文(例えば、音楽配信の事例など)は、かなり昔のことに感じました。

 ところで、本日のニュースで、「マイクロソフトがヤフーに買収提案」と報じられていました。しかし、私の意見としては、両社のビジネスモデルは大きく異なるため、賛成しかねます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« January 2008 | Main | March 2008 »