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June 14, 2007

任天堂がWiiの開発でとった戦略(ブルーオーシャン戦略)

 任天堂がWiiの開発でとった戦略が、いろいろなところで話題になっていますね。私のゼミでも先週取り上げました。

 備忘録がてら、主な資料をまとめておきたいと思います。

Wii:ゲーム機戦争を制した「逆転の発想」(1)
  [Wiredの翻訳記事、by Chris Kohler、原文の日付は2007/6/11]

 競合する2社に後れを取ったゲーム機メーカーは例外なく、やがてレースから脱落してしまった。米Atari社、NEC、セガがそれに当てはまる。そして4年前、ほぼ誰もが、任天堂も同じ運命をたどると考えていた。
 任天堂自身も、おそらくそう考えたのだろう。だからこそ、市場から独自のニッチを切り取れるような製品の開発を決定したのだ。それは、他とはまったく異なるゲーム機で、たとえ3位に落ちたとしても、その特殊性ゆえに、存続可能なビジネスモデルが成り立つ製品が望ましい。
 ソニーやMicrosoft社との競争をやめると決断したまさにその時、任天堂の反撃が始まったのだ。

ソニーと任天堂を隔てるもの
  [アイキットソリューションズ 生島大嗣氏、2007年6月8日]

 任天堂は新発想の最新鋭ゲーム機「Wii」を送り込む。この機種の特徴は、コントローラにある。本体の性能を向上させるのではなく、今までのゲーム機にないユーザーインターフェースを用意することでゲーム機を進化させたのだ。PS3より早く発売できたこともあり、新型コントローラを備えたWiiは売れた。
 どうしてこれら二社にこのような明らかな戦略の差が生まれたのだろうか。戦略の違いを生んだ要因を推測していくうちに思い当たったのが、「成功体験の罠」というものである。

任天堂「Wii」を生んだ「ブルー・オーシャン戦略」とは?
  [日経情報ストラテジー発ニュース、W・チャン・キム教授へ取材した記事、2007年4月27日]

 Wiiは「非顧客」を顧客化した典型的な事例だ。これまでゲームであまり遊ばなかった小さい子どもや大人にも満足してもらえるゲームを出すことで、ブルー・オーシャン(新市場)を開拓した。

・任天堂トップ直撃! 岩田社長が語る「Wii誕生の目のつけ所」 [プレジデント2007/3/5号]

 正解は静かに去っていったゲームファンが教えてくれた。
 今いるのは互いにノンガードで殴り合う血まみれのレッドオーシャンだけれど確実に市場はある。向こうは血の流れていないブルーオーシャンかもしれないが市場になるかどうかわからない。ロジカルな分析では答えは出せません。
 それでも腹をくくったのは、この方向性は絶対正しいという自分なりの自信があったからです。

・お母さんを狙え 任天堂Wiiの戦略 [日経ビジネス2006/11/27号]

 任天堂の目指す原点は人が驚くものを作ることであって、最先端の技術はそのための手段に過ぎない。限られた時間と予算で作り上げたものを示してお客さんに驚いてもらうには、どんなバランスがよいのか。そのバランスを考えた結果、任天堂は最先端の技術を追求する以外の道を選ぶ――岩田らは社内に向かってこう語り続けた。
 「ゲームに関心のなかった人にも邪魔に思われないような、特に家庭のお母さんに嫌われないようなゲーム機というのがキーワードでした」 岩田はこう振り返る。
 この2004年末時点で、ゲーム機本体とコントローラーの開発のめどはついた。販売価格も「努力すれば娯楽機器として許容される範囲内にちゃんと手が届く」(竹田)という確信を得た。 しかし、新しい据え置き型ゲーム機の開発はまだ終わりではなかった。「どうすれば家族全員に関係のあるゲーム機にできるか」という課題を解決する必要があったのだ。「Wiiはテレビにチャンネルを増やすような機械にしましょう」 岩田はこう書いたメモを宮本と竹田に渡し、2004年末から2005年初めにかけて、そのための方策を話し合った。

[追記](2007/6/30)
 Business 2.0にも、How the Wii is creaming the competitionという記事がありました。この記事の和訳を、月刊asciiの8月号に見つけました。

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Comments

選択と集中もあったと思います。
他社の社内不協和音が聞こえ、
一丸となって取り組んでいないのが見えたとき、
集中したことが功を奏した。
ということではないのでしょうか。

N社は自分たちがやるべきことを選択し集中した。
S社のばらばらだったところが今から集中したところで、後の祭りかと・・

Posted by: かんた | July 05, 2007 at 05:11 PM

かんたさん
コメントありがとうございます。
たしかに「選択と集中」とも言えるでしょう。しかし、一般に「選択と集中」というと確実に市場があるところを選択して集中するのですが、N社は市場規模がどの位あるか分からないところに集中したということですよね。ゲーム市場ゆえにできたことだと思いますが。
私はS社のことはよく知りません。そんなに社内不協和音という感じだったのでしょうか? ただし、そのような他社の状況を知ろうとせずに、自分の会社のことだけを考えたほうがいいかと思いますが。。。

Posted by: hatakama | July 06, 2007 at 12:35 PM

私の言葉のつなげ方が酷すぎて混乱させてしまいました。
申し訳ございません。

以前このような記事を目にしました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20061110/113488/
これを読んだときにS社の「不協和音」があったのではないかと感じたのです。
おっしゃるとおりN社はそれをみていたかどうかはわかりませんよね。。


N社はゲームという枠を離れて家族で楽しめるメディアを作りに集中した。
S社はCELLというスーパーコンピュータをさまざまな製品に組み込むことで新しい価値やエンターテイメントを生み出すところに集中したかった(はず)。
(その提案の形のひとつがPS3であっただけかと・・)
お互い選択すべき道が見えたのに集中できた「所」とできなかった「所」があった。
どちらも新しい未来であり、実はかぶらないビジネスであったのに、です。
結局は「ゲーム機」という枠から普通の人もかかわっていた人も
ごく一部を除いて抜け出せていない気がして残念でならないのです。

(この記事にそぐわない無いようでしたら削除していただいてかまいません)

Posted by: かんた | July 10, 2007 at 03:08 PM

かんたさん
コメントありがとうございました。私はゲーム業界のことはあまり詳しくないため、失礼しました。確かに、S社はCELLというテクノロジープッシュに固執しすぎたのでしょうね。それで集中できなかったのでしょう。「ユーザーに、PS3を単なるゲーム機ではなく家庭用コンピューターとして認識してもらう」というS社の考え方は、利用者には受け入れにくいと思いますね。利用者をうまく巻き込めたか否かが、成否につながったようにも見えます。

Posted by: hatakama | July 11, 2007 at 06:40 PM

私の拙い論文記事を紹介頂きありがとうございます。
現在日経BPのサイトの都合で、この記事のURLは以下のように変更されていますのでお知らせします。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070724/136616/
生島

Posted by: 生島 | July 21, 2010 at 11:00 AM

生島さん
コメントありがとうございました。
さっそく修正しておきました。

Posted by: hatakama | July 21, 2010 at 09:22 PM

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