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June 29, 2007

パブリックコメント制度に関する問題点

 知的財産推進計画2007に関連した話題ですが、日経IT-PLUSのサイトに先週掲載された「アップル」名乗るパブコメが提起した2つの問題という岸博幸氏のコラムがネットで話題になっています。

 私的録音録画補償金制度などの著作権制度に関しての岸博幸氏の意見については、池田信夫ブログ小倉弁理士のブログを見てもらえばいいかと思います。私は、日本知財学会に入会していて、7月1日には学会発表もしますが、著作権よりも特許・イノベーションのほうが専門ですので、著作権制度の問題については、意見を控えたいと思います。今回、私はパブリックコメント制度について、少し考えてみました。
 
 私も以前、パブリックコメントを提出したことがあります。私が提出したパブリックコメントのフォーマットでは、「氏名」の欄に、「企業・団体の場合は、企業・団体名、部署名及び担当者名」と注意書きがあるだけでした。なお、公開する際は、担当者名は外して公開しているようです。パブリックコメントは、「意見提出期間を定めて広く一般の意見」を求めるものです。社印などは不要ですし、組織でオーソライズされたオフィシャルな見解を出すようには特段定められていないようです。ですので、ある組織の担当者が自分の意見を、所属する組織の名前で出すことを禁止してはいないと解釈されます(道義的には、組織内でオーソライズされた見解のほうが望ましいでしょうが)。組織内で意見調整したり、トップに了承を求めたりするのも面倒です。
 実は、私が以前提出したパブリックコメントでも、学科の名前で提出したのですが、時間がなかったので(学科会議は月に1回であるため)、学科としての正式な了承を得ずに提出しました。事後に口頭で話した程度でした。

 ですので、例のパブリックコメントはアップルジャパンからの意見として公開されていますが、アップルジャパンの一社員が個人的な意見(または、部署のレベルの意見)として提出したのかもしれません。アップルがノーコメントだからといって、「なりすまし」と騒ぐのは大げさだと思います。パブリックコメント募集元が、必要に応じて(その企業から出るはずのない変な意見が出された場合など)、提出された意見の担当者に本人確認すればいいだけです。そんな手間とも思えません。または、提出された時点で、担当者に提出受付確認メールを送るといった方法もあります(「貴殿が提出していないようでしたら、ご返事ください」という文面付きで)。

 岸博幸氏は、官僚出身だけあって、性悪説で見てしまうのでしょうか?元官僚の方には、性善説に立脚するWikinomicsのようなことは理解できない人かもしれません。また、産業振興という観点から、レコード会社の事業を心配してしまって、著作者個人のことはよく見えないのかもしれません。また、岸氏は、アップルのパブリックコメントは「常識ではありえない一方的批判」と言っていますが、この辺りも官僚的な意見だと思います。アップルの意見はある程度筋が通っています。しっかり言っているのは気持ちがいい位です。弁理士の方でも、意見書にこの位しっかり述べる人はいます。岸氏は政府・官僚に対して一企業は「へりくだる」のが当然、とでも言いたいのでしょうか?

 岸氏は、パブリックコメントを募集する際、もし「なりすまし」のコメントがきたら、ということを心配されています。しかし、私がもっと問題だと感じるのは、パブリックコメントに対する回答の問題です(一部変更:2007/6/30)。
 意見公募手続等の概要によると、行政手続法の【結果の公示等(第43条)】には次のように定められています。

・命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、(1)命令等の題名、(2)命令等の案の公示日、(3)提出意見、(4)提出意見を考慮した結果及びその理由、を公示しなければならない。
 一般に、「(3) 提出意見」は公開されています。しかし、知的財産推進計画2007では、「(4) 提出意見を考慮した結果及びその理由」を公開してはいません(一部変更:2007/6/30)。  どう検討されたかは、パブリックコメントを出した企業・個人にとって大きな関心事です。1つ1つ回答してくれとはいいませんが、似たような意見が多く出ていた場合には、答えるのが筋でしょう。例えば、知的財産推進計画のパブリックコメントでは、個人からの意見としてJASRACを批判する意見が多く出されていました。このような意見に対して、知的財産戦略本部は考慮したか否かという検討結果を何も答えてはいません。それでは、パブリックコメントを出した人達にはとっては納得がいかないでしょう。単に「ガス抜き」しているようです。

 このように、パブリックコメント制度では、【結果の公示等(第43条)】の (4) の公開を徹底するべきです。そうでないと、この制度の意味はとても弱いものになります。

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June 27, 2007

GoogleもWikinomicsの力をうまく使っている

 話題になっていたWikinomicsの翻訳本ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へが今月発刊されました。先週の経営情報学会の全国大会でも、仲間との昼食中にこの本の話題が出ました。コミュニティとのコラボレーションを活かす方法についての、事例の分析や方法論の提案がされている本です。内容ですが、知っている話が多かったですが、IBMがオープンソースコミュニティをうまく使っている話がとても詳しかったり、鉱山でのオープンソース型探査の例などが取り上げられているなど、いろいろと勉強になります。

 関連した話として、今月CNETに、米GoogleのKevin Gough シニアプロダクトマーケティングマネージャーへのインタビュー記事GoogleはなぜSaaSやGearsを手がけるのかが出ていました。この記事でGoogleのアプリ戦略がよく分かります。少し抜粋します。

 Google Appsは10万以上のユーザーがすでにいる。我々は売上を伸ばすというよりは、むしろ、ユーザーの数を増やすことを重視している。ライセンスが多く売れるのは良いことだが、使ってもらえなければあまり意味がない。本来の目的を達成することはできないからだ。というのも、多くのエンドユーザーに実際に使ってもらえれば、それだけ多くのフィードバックが得られることになり、イノベーションが循環する。これが重要だ。Googleは、世界中で使ってもらえるよう、製品の技術を公開している。Googleだけがイノベーションできるわけではない。(公開により、世界の多くの人々の意見、英知を集めることができる)ここがまたきわめて重要な点だ。

 このように、GoogleもWikinomicsの力をうまく使っていることが分かります。「イノベーションが循環する」というのは、利用者コミュニティとのコラボレーションがあってこそですから。

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June 24, 2007

Apple社のイノベーション

 Econimist(June 9th 2007号)の表紙の見出しは "Apple and the art of innovation" でした。その中のLessons from Appleという記事では、Appleのイノベーション方法に関して、4つの学ぶべき点(lesson)があげられています。


  • Innovation can come from without as well as within.
  • Apple illustrates the importance of designing new products around the needs of the user, not the demands of the technology.
  • Smart companies should sometimes ignore what the market says it wants today.
  • Apple is to "fail wisely".

 また、記事中の "Stay hungry, stay foolish" というのは、Appleの特徴をよく表していると思います。(追記:この言葉は、スティーブ・ジョブスが2005年6月にスタンフォード大学卒業祝賀スピーチを締めくくった言葉でした。かなり知られた言葉のようです。原文その日本語訳があります。)

 この記事に対して、WiredはAppleは「ネットワーク・イノベーション」企業ではないと異論を唱えています。Economistが1つ目のlessonの中で、P&Gが行っている「ネットワーク・イノベーション」(オープン・イノベーションとも呼ばれる) をAppleが行っていると指摘していることに、Wiredは「見当違い」(quite wrong) と言っています。

 私もWiredの意見と同感です。Appleは、使いやすさやデザインなどで、利用者の新文化を作り上げるのに長けた企業といえるでしょう。NIH(not invented here)などのオープン・イノベーションの考え方とは異なります。どちらかというと、Wiiのイノベーションの例のほうに近いでしょう。なお、Economistの記事の2つ目以降のlessonには異論ありません。4つ目のlessonの話では、Newtonの失敗も、その後に活かしていると思われます。

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June 19, 2007

AISASに対応する4P --- Product(商品)

 ネット時代になって購買心理過程はAISASに変わってきました。そこで、マーケティングの4P(Product,Place,Price,Promotion)は、どのようにAISASに対応するべきかを、しっかり分析したいと考えています。とりあえず、4Pの中の「Product(商品)」についてまとめてみました。

 その商品の話題をネットで口コミによりShareしてもらえるように、Product(製品)に話題に仕込む(または埋め込む)ことが重要といえるでしょう。どんな商品がネットで話題になっているかを調べると、定番商品(例えば、メリットシャンプー等)は、ほとんどネットで話題にならないことが分かっています。話題になるためには、何らかの驚き(ギャップ)が必要です。

 今月に行われたNET Marketing Forumでのユニリーバの講演によると、3月に日本市場に投入したスプレータイプの男性用香水「AXE(アックス)」は、「AXEを使うと女性にモテる」というシンプルな効果をアピールしたためか、話題が広がったようです。男性としては関心のある点ですので。

 少し古い話ですが、昨年9月のWeb広告研究会によるWABフォーラムの中の「Web2.0時代のCGMについて」というトークセッションで、ネットで口コミの話題になるには「ネタの濃さ」が重要と、カレンの四家正紀氏は言っています。アサヒビールの横山和幸氏は、「企業が情報を操作するのではなく、顧客がCGMを使って伝えたいと思うような商品を作るべき」と言っています。これが本筋でしょう。

 また、定番商品でも何とか話題が広がるように、話題性を埋め込む例もあります。ピノという定番のチョコアイスには、あまり宣伝していませんが、願いのピノというの別な形(星型等)のピノを僅かに混ぜているとのこと。その星形のアイスを食べると、願い事が叶うといわれているなんて、噂を広めようとしているようです。「願いのピノ」とブログ検索すると、確かにネットで話題になっているのが分かります。なぜか、星形のピノは「幸せな気分」を演出してくれるようです。

 製品に関連したキャラクターを使ってネットで話題にする方法もよく行われています。商品自体でなく、キャラクターについてネットで話題にしてもらう手法です。コカコーラの「コークスキー」や、ファイバー美人大学の「美人大学警備員」と「悪の親玉アクダマーキン」が、今月のNET Marketing Forumで話にでています。

[追記](2010/11)
 このエントリーに対してのスパムコメントが多いため、コメントを受け付けないようにしました。何か御意見などありましたら、他のエントリーに書き込んでいただきますよう、よろしくお願いします。

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June 14, 2007

任天堂がWiiの開発でとった戦略(ブルーオーシャン戦略)

 任天堂がWiiの開発でとった戦略が、いろいろなところで話題になっていますね。私のゼミでも先週取り上げました。

 備忘録がてら、主な資料をまとめておきたいと思います。

Wii:ゲーム機戦争を制した「逆転の発想」(1)
  [Wiredの翻訳記事、by Chris Kohler、原文の日付は2007/6/11]

 競合する2社に後れを取ったゲーム機メーカーは例外なく、やがてレースから脱落してしまった。米Atari社、NEC、セガがそれに当てはまる。そして4年前、ほぼ誰もが、任天堂も同じ運命をたどると考えていた。
 任天堂自身も、おそらくそう考えたのだろう。だからこそ、市場から独自のニッチを切り取れるような製品の開発を決定したのだ。それは、他とはまったく異なるゲーム機で、たとえ3位に落ちたとしても、その特殊性ゆえに、存続可能なビジネスモデルが成り立つ製品が望ましい。
 ソニーやMicrosoft社との競争をやめると決断したまさにその時、任天堂の反撃が始まったのだ。

ソニーと任天堂を隔てるもの
  [アイキットソリューションズ 生島大嗣氏、2007年6月8日]

 任天堂は新発想の最新鋭ゲーム機「Wii」を送り込む。この機種の特徴は、コントローラにある。本体の性能を向上させるのではなく、今までのゲーム機にないユーザーインターフェースを用意することでゲーム機を進化させたのだ。PS3より早く発売できたこともあり、新型コントローラを備えたWiiは売れた。
 どうしてこれら二社にこのような明らかな戦略の差が生まれたのだろうか。戦略の違いを生んだ要因を推測していくうちに思い当たったのが、「成功体験の罠」というものである。

任天堂「Wii」を生んだ「ブルー・オーシャン戦略」とは?
  [日経情報ストラテジー発ニュース、W・チャン・キム教授へ取材した記事、2007年4月27日]

 Wiiは「非顧客」を顧客化した典型的な事例だ。これまでゲームであまり遊ばなかった小さい子どもや大人にも満足してもらえるゲームを出すことで、ブルー・オーシャン(新市場)を開拓した。

・任天堂トップ直撃! 岩田社長が語る「Wii誕生の目のつけ所」 [プレジデント2007/3/5号]

 正解は静かに去っていったゲームファンが教えてくれた。
 今いるのは互いにノンガードで殴り合う血まみれのレッドオーシャンだけれど確実に市場はある。向こうは血の流れていないブルーオーシャンかもしれないが市場になるかどうかわからない。ロジカルな分析では答えは出せません。
 それでも腹をくくったのは、この方向性は絶対正しいという自分なりの自信があったからです。

・お母さんを狙え 任天堂Wiiの戦略 [日経ビジネス2006/11/27号]

 任天堂の目指す原点は人が驚くものを作ることであって、最先端の技術はそのための手段に過ぎない。限られた時間と予算で作り上げたものを示してお客さんに驚いてもらうには、どんなバランスがよいのか。そのバランスを考えた結果、任天堂は最先端の技術を追求する以外の道を選ぶ――岩田らは社内に向かってこう語り続けた。
 「ゲームに関心のなかった人にも邪魔に思われないような、特に家庭のお母さんに嫌われないようなゲーム機というのがキーワードでした」 岩田はこう振り返る。
 この2004年末時点で、ゲーム機本体とコントローラーの開発のめどはついた。販売価格も「努力すれば娯楽機器として許容される範囲内にちゃんと手が届く」(竹田)という確信を得た。 しかし、新しい据え置き型ゲーム機の開発はまだ終わりではなかった。「どうすれば家族全員に関係のあるゲーム機にできるか」という課題を解決する必要があったのだ。「Wiiはテレビにチャンネルを増やすような機械にしましょう」 岩田はこう書いたメモを宮本と竹田に渡し、2004年末から2005年初めにかけて、そのための方策を話し合った。

[追記](2007/6/30)
 Business 2.0にも、How the Wii is creaming the competitionという記事がありました。この記事の和訳を、月刊asciiの8月号に見つけました。

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June 12, 2007

楽天のTBSへの経営参加は意味がない

 楽天がTBS株の追加取得を表明して経営参加を求めたり、帳簿開示を求めたりしていることが、読売新聞Business-iなどで報じられています。

 しかし、私は、楽天がTBSへ経営参加しようとすることに強く疑問を感じます。楽天は、もはや「流通の巨人」になりつつあります。国内の楽天グループ運営サイトの流通総額は、2006年では約6400億円。これは、百貨店ランキングに当てはめるとベスト5位の位置付けです。米国では、ネットの流通(小売)企業はe-tailerやe-retailerと呼ばれるなど、流通業全体での地位が高まってきています。

 ですので、楽天は流通業の中でM&Aを行うのが本筋でしょう。TBS株を買い増すよりも、新興のアパレルモールやBtoB企業などを買収するなどして、流通業での地位をさらに磐石なものにするべきでしょう。テレビ局のようなコンテンツ企業のビジネスモデルは、流通業のビジネスモデルと全く異なります。TBSを買収してもシナジーを生みにくいはずです。

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June 10, 2007

リコメンデーションサービスを好意的に感じている利用者は結構多い

 ホットリンクがインターネット調査で、ECサイトで商品を推薦するリコメンデーション(リコメンド)サービスに対するユーザーの認知度と評価を調べた結果が、7日のCNETのニュースで報じられていました。その調査結果によると、利用者の53.2%がECサイトのリコメンデーションを今後も希望しているなど、リコメンデーションを好意的に感じている利用者が多いことが分かります。ECサイトで商品を薦められた経験について、54.3%が「ある」と回答。そのうちの64%が商品選びの際に参考になったと答えている、とのこと。商品をおすすめされた経験がある回答者の中で、実際に薦められた商品を購入した経験のある利用者は37%でした。ということは、利用者の約2割がリコメンデーションで薦められた商品を購入していることになります。思ったよりも多いです。また、なぜ、おすすめされたいと思うかという質問に対しては、「選択の幅が広がるから」との回答が79.6%で最も多かった、とのこと。このことから、利用者はロングテール志向から、リコメンデーションを期待していることが分かります。

 ただし、ホットリンクのプレスリリースを見てみると、有効回答者数はたった103名だったとのことです。母数が少なすぎるので、結論付けることはできないでしょう。また、この調査で、リコメンド機能のプライバシーについて、23.9%が「大変気になる」、52.2%が「少し気になる」と回答していて、ECサイト側はプライバシーの問題への注意が必要でしょう。

 また、2月にWebマーケティングガイド(セプテーニ)が実施したオンラインショッピングに付随するサービスについてのインターネットリサーチでも、レコメンド機能をどのように思いますかの問に、「非常に便利である」が8.7%、「まあまあ便利である」が39.9%という回答になり、半数近くの48.6%のユーザがレコメンド機能をポジティブに考えているという結果が出ています。

 関連情報ですが、私は、昨年11月に、レコメンデーションの動向をまとめました。また、パーソナライゼーション/レコメンデーションというページも作っていますので、関心を持たれた方は是非ご覧ください。

 なお、私は今月1日に、教えて!家電教えてーな(SNS)などのリコメンデーションサービスや、リコメンデーションエンジンの開発を行っているALBERTという会社にうかがって、リコメンデーションに関して意見交換してきました。ALBERTの山川会長はマーケティングの専門家だけあって、技術力だけでなく、マーケティングにおけるリコメンデーションサービスの可能性をしっかり考えておられる企業だと感じました。今後の事業展開を期待したいです。

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June 07, 2007

日経ネットマーケティングの創刊発表

 今週、日経BPから、月刊専門誌「日経ネットマーケティング」が発表されました。10月に創刊とのこと。ネットマーケティングについては、月刊ネット販売アイ・エム・プレスといった雑誌がありますが、大手の日経BPからも専門誌を出してもらえると、情報収集で助かりそうです。

 日経BPは、昨年あたりから、ネットマーケティングというサイトを設けたり、NET Marketing Forumというイベントを催すなどしていました。それらを通して、市場調査をした結果、紙の雑誌としてペイできるという結果になったのでしょう。

 ちょうど、昨日(6月6日)から今日(7日)にかけて東京ミッドタウンでNET Marketing Forum 2007が開催されていました(行きたかったのですが、講義があり行けませんでした)。そこでの講演の概要が、NET Marketing Forum 2007 レビューのページにいろいろと出てきています。その中では、ネットマーケティングを積極的に実践している一般企業(日本コカ・コーラ、ユニリーバ・ジャパン、大塚製薬など)の講演に興味深いものが多いです。そのイベントは6日・7日両日ともすべてのセッションが満席だったとのこと。ネットマーケティングへの関心の高まりが感じられます。

 「日経ネットマーケティング」は、「専門誌」なので購読料は結構高く年間(12冊)で3万1500円です。分量も多くなくて、リリース文によると、各号は約36ページとのこと。なので、日経ニューメディアのような専門雑誌と日経ビジネスのような大衆誌の中間的な雑誌のようです。ただし、調査データのダウンロード料も含まれるようなので、それを考えると高くないかもしれません。しかし、どの程度の調査データをダウンロードできるかを早く知りたいです。ネット広告やeマーケティングに関するネット上の情報源が多いので、ネットに出ないような質の高い情報(ネットマーケティングのプロ向け)だけを載せるつもりだと予想されます。

 日経ネットビジネス(2003年1月号をもって休刊)のようには、ならないでほしいです。

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June 06, 2007

知的財産推進計画2007より

 先週木曜(5月31日)に、政府から知的財産推進計画2007が発表されました。

 構成は、
  第1章 知的財産の創造
  第2章 知的財産の保護
  第3章 知的財産の活用
  第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
  第5章 人材の育成と国民意識の向上

 今回は、第4章が特徴的です。この中で、テレビ番組や映画などのデジタル映像に関し、ネット配信などの二次利用を容易にするため、2年以内に新たな法律を整備する方針が出されたことが、Business.iなどで大きく報じられています。

 また、同時に公表された「知的財産推進計画2006」の見直しに関する団体からの意見の中のアップルジャパンの意見(パブリックコメント)が話題になっています。
 アップルジャパンは、科学的且つ客観的証拠に基づかない理由に依る私的録音録画補償金制度は即時撤廃すべきである、と主張しています。そのパブリックコメントの中では、文化庁の著作権課長の責任をも追求していて、かなり攻撃的です。CNETで報じられているためか、こちらのほうがブログでは話題になっています。「知的財産推進計画 アップル」とブログ検索すると、話題の広がりが分かります。
 また、IBMは、特許の質の向上や、オープンソースを特許訴訟から保護するべき、といったことをパブリックコメントしています。

 それ以外に、私が関心を持った点は、次の項目。

第1章 知的財産の創造
3.大学、研究機関において知的財産を活用し、創造を促進する
(5)特許情報等を活用する
②特許情報等の活用による研究開発の戦略化を促す
ⅲ)研究テーマの選定等、研究で使用するための使いやすいパテントマップ作成のためのソフトを2007年度中に開発し大学等に提供する。また、パテントマップを使えるように開発したeラーニングソフトを普及する。(P.34)

 パテントマップ作成のためのソフトを公開してもらえるのはありがたいです。

第2章 知的財産の保護
3.利用者の利便性を高める
(1)特許電子図書館等を通じた産業財産権情報の利用環境を整備する
b)2007年度中に、産業財産権情報をインターネットを通じて無料で提供する特許電子図書館(IPDL)に全文テキスト検索機能を追加する。また、2007年度以降、現在大学等に限って提供されている特許情報の固定URLサービスについて、要求されるシステム性能等に関する実証調査を行った後、その提供範囲を一般にも順次拡大する。(P.42)

 固定URLサービスを早く一般にも拡大してもらいたいです。

第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
Ⅰ.世界最先端のコンテンツ大国を実現する
1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する

(1)ビジネススキームを支える著作権制度を作る
⑤ネット上のビジネスマーケットを構築する
2007年度中に、コンテンツ製作者が企画提案や作品等の情報提供を行うとともに、国内外の事業者や配信事業者、ファンド等がこれら情報を入手し、コンテンツ配信ビジネスにつなげるためのネット上でのビジネスマーケットを構築する。(P.91)

(3)一般ユーザーがコンテンツを利用する環境を充実する
①ネット検索サービス等に係る課題を解決する
情報化時代におけるネット検索サービスが、国民生活の利便性の向上のみならず、産業政策や文化政策上重要であることにかんがみ、ネット上での検索サービス等に伴うサーバーへの複製・編集等や検索結果の表示に関する著作権法上の課題を明確にし、所要の法整備の検討を行い、2007年度中に結論を得る。また、新たなコンテンツへの検索・解析技術の開発・国際標準化や適切な保護ルールの検討などを2007年度から開始する。(P.94~95)

 (1)⑤のビジネスマーケットはどんなものでしょうか? 気になります。また、(3)①は、Google News問題のようなことでしょう。確かに、日本でも、著作権法上の課題の明確化が急がれます。

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June 05, 2007

平成18年度電子商取引に関する市場調査

 先月11日、経済産業省から、平成18年度電子商取引に関する市場調査(国内および米国)が発表になりました。ECOMと共同で調査したものです。日経BPの記事もあります。この市場調査は毎年行われているもので、昨年発表された内容については、私のブログで以前取り上げました。今月、この調査に関するECOMセミナーがありますが、その発表者からする推測すると、今回はNTTデータ経営研究所が調査したようです。

 調査結果ですが、まず、2006年の国内のEC市場は、BtoBが224兆円(3.5%増)、BtoCが4兆4000億円(27%増)です。やはり、BtoC市場の伸び方が顕著です。

 米国のEC市場の調査もしていますが、先月14日に発表されたShop.org主催・Forrester Researchによる調査The State of Retailing Online 2007ITmedia の記事あり)と、BtoC市場のデータがかなり違っています。2006年のオンライン売り上げは、Forrester Researchによる調査では前年比25%増の2199億ドル(約26兆3900億円)ですが、経済産業省の調査では前年比21%増の19兆2700億円であり、7兆円も差があります。Forrester Researchによる調査では、アパレル分野の伸びが顕著で、PCのネット販売の売上を上回ったことが報じられています。しかし、経済産業省の調査では、アパレル分野の大きな伸びについてはつかみきれていないようです。もしかすると、総合小売業のデータの中に含まれてしまっているのかもしれません。

 なお、アパレル分野のネット通販の伸びの理由ですが、日経産業新聞2007年5月10日の「日米 ファッション仮想時代、最適な洋服選びにネット革命」という記事に、米国ではネットを通じ友人のコメントを見ながら試着することができるサイトも出てきた、など、利用者が買い物しやすくする工夫がいろいろとされていることが理由の1つのようです。
 日本でも、今年4月にマイボイスコムが行ったオンラインショッピングの利用に関する調査Internet Watchの記事もあり)で、オンラインショッピングの利用経験のトップは「書籍・雑誌」(47.9%)でしたが、わずかな差の2位は「衣料品」(46.0%)でした。この結果からも、アパレルのネット販売が日本でも伸びているのが分かります。

 他の経済産業省の調査結果でおもしろかったのは、日米でのECサイト選択時のセキュリティ意識の違いです。米国では、「情報送信時の暗号化などのセキュリティ対策」「パスワード入力時に、他者から見えない」「パスワード入力時に、履歴が残らない」といった項目の数値が、日本よりもずっと高いです。米国のほうが、セキュリティに関する知識がしっかりしているのでしょう。

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June 02, 2007

静かに消えてゆくSNSも

 昨年から今年にかけて、多くのSNSが生まれました。そろそろ、淘汰が始まりつつあるようです。

 まず、ムトウのhappyQUESTが4月20日に終了しました。昨年9月に開始しましたが、3月には会員に終了予告のメールが流されて、4月にあっけなく終わりました。7ヶ月の命でした。既に、ドメインごと無くなっています。現在、かろうじて、Googleのキャッシュが残っています。そのキャッシュには、次のようなムトウからのメッセージが残っていました。

日ごろより、(株)ムトウをご愛顧いただき、ありがとうございます。

誠に勝手ながら、happyQUESTは、2007年4月20日午前10時を持ちまして、すべてのサービスを終了いたしました。

これまで当サービスをご利用いただきました皆様には、ご不便をおかけいたしますこと、心よりお詫び申しあげますとともに、これまでのご愛顧に深く感謝申しあげます。
当サイト内の顧客情報や書き込みデータなどは、弊社が責任をもってすべて削除させていただきました。
また、当サイトで発行していたhQポイントは、サービス終了と同時に消滅しております。
弊社ショッピングサイトでは、最新のお買い物情報をお届けしておりますので、どうぞ引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申しあげます。

※ happyQUEST終了は、運営会社の諸事情によるものであり、当サイトで活躍してくださったタレントさんには、一切関係がございません。

平成19年4月20日
株式会社 ム ト ウ
http://www.mutow.co.jp

 なお、月刊ネット販売 6月号によると、happyQUESTの開始時には目標会員数を07年3月末に35万人と掲げていたが実際には数万人規模だった、とのこと。そのため、「事業の選択と集中」の方針から、採算性を重視して、終了という選択をしたとのことです。もともと、眞鍋かをり頼みで会員を集めようとしたのが失敗だったのではないかと私は思います。
 「書き込みデータなどは、弊社が責任をもってすべて削除」というのは寂しいですね。コミュニティがまるまる消えてしまうのですから。

 他にも、無くなったのではないかと思われるSNSがいろいろ出てきました。例えば、ブロロというクルマ愛好者向けのSNSも、消えてしまったようです。

 SNSを作る際には、長期的に運営することを覚悟した上で、始めてもらいたいものです。

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