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May 22, 2007

ドコモのCMの傲慢さはCS軽視の経営姿勢に起因

 最近、ドコモのCMに傲慢さを強く感じます。この根本的な原因は、ドコモがCS経営(顧客満足度を重視した経営)をしていないことに起因していると感じています。

 反撃してもいいですか?というキャッチコピーは、熱烈なドコモファンだったら、小気味良く感じるかもしれません。しかし、たっぷり利益を出しているのに通話料を値下げしようとしないドコモに、共感する人は少ないでしょう。かつては1兆円を超えていたドコモの営業利益ですが、2007年3月期(予想)では減ったとはいえ、それでも7,735億円。純利益も4,573億円と、まだまだ儲けていますので。どうしても「反撃」を表に出したいのであれば、例えば、ドコモダケ一家が、予想外犬のような犬にいじめられていた後、家族で協力して反撃に出る、といったシナリオであれば、ケータイ利用者に少しは共感を感じてもらえるかもしれません。

 他のブログでも、earlybirdさんのブログにNTT ドコモのDoCoMo 2.0 自爆 CM「反撃してもいいですか?」の傲慢とカン違いというきつい批判や、そこへトラックバックしているブログにも厳しい意見が幾つか出ています。また、大前研一氏も「ニュースの視点」のトヨタの“謙虚さ”とDoCoMoの“傲慢さ”から見える経営の本質の中で批判しています。

 日経産業新聞2007/5/17によると、ドコモ社長はナンバーポータビリティの失敗を「イメージ戦略で失敗した」と見なしているとのこと。そのため、過激なCMで注目を得ようとしたようです。しかし、根本的な問題は、ドコモが利用者の顧客満足度をしっかりと捉えようとしていないことにあると考えます。ドコモのトップは、顧客満足度が低いことを認識できていないのです。ドコモのトップよりも、回りに学生の多い私のほうが、ドコモの顧客満足度が低いことを理解できているのかもしれません。ドコモには、「顧客の声や不満」を経営陣まで伝える仕組みが無いのでしょう。

 情報システムでいうと、NTTドコモのデータウェアハウスを活用した管理会計と情報分析は評価が高いです。DREAMSというシステムで、全業務システムのデータを集めてデータウェアハウスで一元管理して管理会計をきちっと行っています。日次決算により、2日前までの損益情報はすべて集計しています。この辺りは、NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦という本に詳しく載っています。また、そのデータウェアハウスから、様々な分析を行っています。分析力のマネジメントという本でも、ドコモの情報分析の取り組みを高く評価しています
 しかし、データウェアハウスをどのように活用しているかというと、顧客の行動を予測し、解約を防ぐ(CIO誌の記事)によると、チャーン解約(他社に乗り換えるための解約)が増えそうな顧客セグメントをデータマイニング技術でいち早くキャッチして、そのセグメントに対して引きとめ策を打っている、ということです。解約の芽を早期に摘むことで、大きな痛手にならないようにしているわけです。つまり、利用者の満足度はあまり重視していないのです。利用者の満足度は低くても解約さえされなければドコモはいいのです。このような姿勢が、ナンバーポータビリティで大敗する結果につながったと言えるでしょう。

 顧客満足度で劣っているのに、広告戦略だけではどうしようもありません。ソフトバンクモバイルは、テレビCMの主役に「ホワイト選手」や「予想外犬」を抜擢して広告制作費を圧縮するなどの経営努力で、通話料の安いプランを出していることを、多くの利用者は分かっていると思います。それに対して、今回ドコモは8人もの有名タレントをCMに起用したことから、当分は通話料の値下げを期待できないと感じる利用者も多いでしょう。その点からも、今回のドコモの広告は、とても能天気だと感じます。

 また、最新の電車の中刷り広告で、新しくCMに起用した8人のタレントの写真を載せた横に、「全員のフルネーム、きちんと言えますよね?まさか・・・。」と書いているのも傲慢に感じます。「ドコモ様が、せっかくCMに選んだ有名タレントなんだぜ。出演料は超高いんだぜ。それなのに、名前も知らないの?」と言いたげです。利用者にとってはカチンときます。

 このようなCS(顧客満足度)軽視の展開をしていると、ドコモさんこそ、ご覚悟くださいと警告したくなります。ドコモは、自らを省みる姿勢を持つことが急務だと感じます。

[追記] (2007/5/27)
 Forbes日本版の最新号(2007年7月号)に、NTTドコモの中村社長と一橋大の佐山教授との対談が載っていました。その中で、ドコモ社長は「社員の満足度」を高める方針であると言っています。ところが、「顧客満足度」という言葉は全く出てきません。従業員満足を高めようとする企業(ルミネや加賀屋など)は、一般に、顧客満足度の向上につなげるために従業員満足も高めようとします。ところが、ドコモは違うようです。ドコモの経営姿勢の問題は根深いと感じました。

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