プラットフォーム指向からマッシュアップ指向へ
今年になって、マッシュアップに関するニュースが増えてきている感じです。1月には、マッシュアップ向けAPI公開として、ケンコーコムウェブサービス(β版)や楽天ウェブサービスが公開されました。 先月には、オリコンがAPI公開を発表しています。
一昨日、楽天から、楽天トラベルの施設情報API・空室検索APIなども公開されました。既に公開されているじゃらんWebサービスへの対抗ということでしょう。
先月公開されたホスティング型のマッシュアップ開発ツールYahoo! Pipesもマッシュアップにとって大きなニュースです。マッシュアップをビジュアルに構築できるというツールにより、手軽にマッシュアップ開発が可能となりました。ただし、このツールは、各種ウェブサイトからのデータフィードを操作してコンテンツを集めるタイプのマッシュアップですので、APIを利用して開発するものよりもできることは限られそうです。
IT業界での戦略の面から見ると、これまでの「プラットフォーム指向」(Windowsやiモード課金のようなプラットフォームを押さえることが重要)の考え方から、「マッシュアップ指向」(数多く生み出されるマッシュアップからサービスコンポーネントとして選ばれることが重要)に変わりつつあるということでしょう。その概要を図に表してみました。なお、検索サイトという新しいタイプのプラットフォームも重要ですが、ここでは表していません。
アフィリエイト等の利用者側のビジネスモデルがさらに浸透し、イノベーション理論でいう再発明と呼ばれる現象もあるため、マッシュアップがさらに増殖することが予測されるのです。そのため、マッシュアップからサービスコンポーネントとして選ばれることがネットでの生き残りでキーになるかもしれません。
なお、企業向けでも「マッシュアップ」と書かれているニュースがあります。たとえば、IBMとGoogleが企業ポータルにおけるマッシュアップ支援で協力というニュースなど。しかし、企業向けについては、かなり意味が異なります。企業システムがSOA指向で開発されるようになり、自由にサービスを組み合わせることができることを言っています。企業システム向けの場合は、応答時間などのサービス品質が大きな問題(そのため有料?)ですし、マッシュアップが増殖的に生み出されるわけではないなど、一般向けのマッシュアップとは状況が異なってきます。
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