「データウェアハウス」という大学院の集中講義を担当
所属する大学の講義と試験はほぼ終わりました(明日の再試験を残すだけです)。
しかし、先月から今月にかけて、母校の夜間大学院 筑波大学大学院ビジネス科学研究科(GSSM)において「データウェアハウス」という集中講義で社会人学生を教えていて、まだ余裕がありません。その集中講義は、1日2コマで5夜講義しますので、計10コマです。ケースを深読みすることを通して、最終的には、企業がデータウェアハウスをどのような戦略に基づいて、どのように導入・活用するべきか、を考えさせるような授業にしました。ご参考までに、授業の構成をまとめておきます。
1日目 (1/24)
データウェアハウスの歴史や技術の概要を中心に学習。MIS/DSS/SIS・CRM/SCM・IT投資などのIT経営の基本、RDBやBI(OLAP)ツールの概要、RFM分析やデシル分析などの顧客分析方法も。
2日目 (1/31)
流通の情報化の概要とデータウェアハウスの事例を学習。
ウォルマートの事例は、「ウォルマートに学ぶデータ・ウェアハウジング」という本や、流通雑誌の「リテールリンク」に関する記事を利用。
セブンイレブンの事例は、日経コンピュータの「セブンイレブンの研究」などを利用。
3日目 (2/10)
NTTドコモの事例を中心に学習。NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦(経営システム研究会、日刊工業新聞社、2004年)や、顧客の行動を予測し、解約を防ぐ(CIO誌)などを使って、データウェアハウスの狙いや活用方法について学習。
また、JCBやクレディセゾンなどのクレジットカード会社の事例も学習。
4日目 (2/14)
銀行のデータウェアハウス活用として、鹿児島銀行・青森銀行・東京三菱銀行・名古屋銀行の事例を紹介。
病院のデータウェアハウス活用として、岐阜大学附属病院や、鹿児島大学附属病院のDPCBANK(第9回情報システム大賞で経営改革賞受賞)の事例を紹介。また、メーカーのマーケティングでの活用事例も。
経営面の文献として、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2006年4月号の分析力で勝負する企業(T・H・ダベンポート)を紹介。既に授業の中で様々な事例を学んでいるので、このような論文を参考にして、データウェアハウス/BIの導入目的や活用方法などのポイントを各自まとめてもらうことをレポート課題にしました。なお、このダベンポートの論文では各事例はとても簡単に述べられているだけですが、来月刊行される予定のCompeting on Analytics: The New Science of Winning (Thomas H. Davenport, Jeanne G. Harris)では、事例がもっと詳細に記述されているらしいです。私は早速、Amazonで予約しました。
5日目 (2/21) --- 予定
次のような内容を予定しています。
・経営におけるデータウェアハウスの重要性
・データウェアハウス/BIに関連した研究
・今後のデータウェアハウス/BIの課題・展望
・ディスカッション
社会人学生は学習の熱意が高くて、こちらも力が入ります。
[追記](3/1)
授業を終えた後、分析力のマネジメントという本を読みました。SAS Instituteの人が書いた本なので、SASの宣伝かと思っていましたが、BIを効果的に導入するためのまずまずの方法論だと感じました。SASでも、ドコモの事例での情報分析の取り組みを高く評価しています。また、この本の中の「情報はビジネスの副産物ではなく血液である」(P.30) という表現は特に気に入りました。
それと、Davenportの最新本"Competing on Analytics"が昨日(2/28)届きました。3月出版の予定が早まったようです。こちらは、ぼちぼち読み進める予定です。
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