レポートの採点
先週金曜から昨日までの4日間に、eビジネスという科目の214人分のレポートを採点し、成績を付けました。結構、疲れました。
ITproのPLATFORM WATCHというサイトのグーグルが奪う「本質を考える力」というコラムに最近の学生の傾向として、
レポートの提出を求めると,教科書や参考書などの文献を読まずに,検索エンジンで入手できる範囲内の情報だけを,加工もしないで切り貼りしてレポートを仕上げてしまう。とあるように、最近は、Webで調べたことをレポートにそのまま載せてくる学生がかなりいます。私はレポート課題で「○○について論じること」と指定していて、他から丸々コピーすると大きく減点すると授業中に警告しています。ですので、感想の部分までそっくりコピーしていると分かったレポートの点数はかなり低くしています。
しかし、すべてのレポートについてコピーかどうかをチェックするのは時間的に苦しいです。そこで、授業中に小テストを行っていまして、特に小テストの成績が悪い学生でりっぱなレポート内容を出してくる学生については、Webからのコピーかどうかを疑ってしつこくチェックすることにしています。このようなやり方で、今回は、Webから丸々コピーしていた学生を十数人ほど見つけ、だいたいは不合格にしました。学生が検索して見つけるような情報は、割と簡単に見つけることができますので。
こんなことはしたくはありませんが、Webからのコピーを提出されて単位を与えてしまっては、「考える力」が付かないためです。もちろん、しっかり調べた上で、自分なりに考えた内容をまとめてくれたレポートの得点は高くしています。私の場合は、少々の勘違いなどはマイナスにはしません。
上記のコラムの中の
最近,筆者はグーグルなどの検索エンジンの普及が大学教育に大きな影響を及ぼし,大学教育の表層化が始まったと考えている。学生はその時点で注目されている技術やトピックス,最新情報の入手に汲々(きゅうきゅう)としている。しかも,それらの技術情報は検索エンジンを使って得られたものが大半で,本質的な技術情報ではなく,表層化された技術情報である。という指摘についても、「eビジネス」の授業では、頭が痛いところです。私としては、流行のビジネス方法や技術だけを教えるのでなく、基本的な経営手法・マーケティングの考え方・既存の流通業との関係・ビジネス方法特許なども教えることで、浅い知識にならないように考慮しているつもりです。
なお、今回の課題は以下のようなものでした。(合わせて、A4で3枚程度)
1. CGMを活用したBtoCのeビジネスについて、一例をあげ、その仕組みやビジネスモデルの可能性や問題点を論じること。
2. BtoBのeビジネスを促進するための具体的な仕組みをあげ、その可能性と課題を論じること。
このような抽象的な出題にしますと、学生の関心が分かりますし、私の知らなかったビジネス/サービスを学生から教えてもらえる場合もあります。
ブログを検索したところ、釈迦楽さん(ある大学の文学部教授の方)も、剽窃レポートを多く見つけてガッカリしておられるようです。
また、プログラミングのある生活というコラムで早稲田大学客員講師の前野譲二さんのお話の中に次のようなレポート採点方法(eメールで提出させた場合のようです)を見つけました。ここまでする気持ちは分かります。
ある先生は剽窃を見つけるために、レポートの採点の過程を少し自動化しているほどです。まず、指定した文字数を下回るバイト数のテキストを提出してきたら自動的に切る。所定の文字数を超えているレポートを対象に、文章を細切れにして検索エンジンに投入し、何かが引っ掛かってきたら、検索結果の文章を入手して、一定の条件を満たしていたら報告をするといった具合だそうです。 実際に、レポートの一部を元にして検索エンジンに投入すると、丸写しに近いことをしていたら、出てくる場合は出てくるんですよね。残念ながら、そういう学生が多いのは事実で、それを本当にやめさせなければいけないと思います。この時期は、ブログ検索でレポートの採点や、レポート AND 剽窃で検索すると、レポートの採点に忙しい大学教員のブログを多く見つけることができます。
Comments
日本の大学でも見られるようになってきたのですね。
アメリカでもこの手のレポートの発見をなんとか自動化できないものかという試みがあります。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20010511204.html
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/19991216205.html
元は他の用途に広く使われている技術です。
Posted by: はしもと | February 08, 2007 10:07 AM
はしもとさん
剽窃レポートの発見の自動化についての情報、ありがとうございました。やはり、米国のほうが進んでいますね。全員に対して同じチェック方法を用いることで公平にはなるでしょう。このような機能を持ったeラーニングシステムが望まれます。
しかし、Webや他の人のレポートでなく、本や資料を写したりしたものは分かりません。レポートを他の人に書いてもらった場合にも、分かりません。また、自動チェック機能のアルゴリズムが知られてしまうと、学生側はそれをかいくぐる方法を見つけてしまうと思われます。
ですので、一番確実な方法は、時間がかかりますが、疑わしい学生を呼び出して自分で書いたはずのレポートの内容について質問することでしょうか。
まだまだ頭が痛いです。
Posted by: hatakama | February 09, 2007 02:15 PM