NECフィールディングのサービス品質革命
昨日、サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」 NECフィールディングの挑戦!(高橋安弘著、ダイヤモンド社、2004年)という本を読みました(本の構成、Amazonのページ)。今年、私はサービスイノベーションに関する研究を進めており、事例の本をいろいろと読んでいます。その中で、このNECフィールディングの例は、ITを活用したサービスイノベーションを考える上でとても参考になると感じました。また、ディズニーや加賀屋などの事例ともいろいろ通じる点を感じました。
この本のポイントを箇条書きでまとめておきます。
NECフィールディングの経営の卓越性の本質を理解する5つのポイント(高橋) P.26
1. 事業の本質を「サービス業」であると位置づけたこと。
2. 「CS」を経営の基盤に位置づけたこと。
3. 「アフターサービス分野」に事業ドメインを絞り込んだこと。
4. 戦略推進の「卓越した仕組みと強固な体制」が存在すること。
5. 自立を機に「マネジメントロジック」を意識的に転換したこと。
サービスを2つに分けて考えている(鳥居顧問) P.40
・「当たり前のサービス」--- システムの安定性を提供するなど
・「期待を超えるサービス」--- 顧客価値そのものを高めるような提案により、付加価値を提供
自らあげている競争力の源泉(コアコンピタンス) P.48
・ナレッジマネジメント力
・展開力
事業戦略 P.51-55
・ITヘルスケア --- ITのライフサイクル全体のわたってそのシステムの状態を最適に維持し、システムが最大限の効果を発揮できるようなサポートサービスを展開。
・プロアクティブ・メンテナンスをベースに、フィールディング・ソリューション(クロスセルなど)へも。
サービス品質の2つの要素 P.57
・サービスの機能的側面 --- 本質的要素
・サービスの提供プロセス --- かならず「人と人が接する」
CS活動 P.66-81、P.107
・CSIP(CS改善活動)による好循環 → E-CSP活動(そこまでやるか、フィールディング)へ
・SQA(Service Quality Activity)活動
・DSC(Do See Check)活動
・CSI(顧客満足度指数)による評価。目標展開マネジメント。
取得した規格/賞
・2003.4 = COPC (Customer Operations Performance Center) 規格 --- コールセンター業務の国際的な品質保証規格
・2003.10 = ISMS規格 --- 情報セキュリティ関連の国際規格
・2003.11 = 2003年度日本経営品質賞を受賞
システム
・顧客の声の蓄積と活用
TRUST Ⅲ --- ナレッジを蓄積する社内データベース。常にマイニング。 P.47
CSVOICE --- 「お客様の声」管理システム。BRやCSMAILも。 P.101-104
・サービス業務
サービスプロセス統合技術支援システム P.122
iモードディスパッチシステム(CE支援ソリューション) P.124-125
PRIDE (作業手順自動作成・配信システム) P.125 --- ダイキンのe-SWATシステムに似ている?
ヘルプデスクサポートシステム P.130
・ロジスティクス
あるパーツ川崎 P.131-138
・提案用
e-Promotionシステム P.160
その後、昨年2月には、ITサービスマネジメントの国際規格のISO20000を取得しています。
なお、特許を検索したところ、現在までに次のような特許が成立しています。
「コンピュータの修理システムと方法、修理支援センタの処理装置、及びプログラム」(特許3866583)
「顧客からの連絡要求受付システム,方法,受付サーバおよびプログラム」(特許3866675)
「CTIシステムおよびCSレベル判断方法ならびに音声分析サーバおよびプログラム」(特許3872066)
「大規模システムに接続された複数の携帯端末の運用管理システムと方法」(特許3880453)
他の情報源として、次のような解説がネットにあります。
・NECによる事例解説
・ITmediaによるコールセンターの解説記事
Comments