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February 26, 2007

NECフィールディングのサービス品質革命

 昨日、サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」 NECフィールディングの挑戦!(高橋安弘著、ダイヤモンド社、2004年)という本を読みました(本の構成Amazonのページ)。今年、私はサービスイノベーションに関する研究を進めており、事例の本をいろいろと読んでいます。その中で、このNECフィールディングの例は、ITを活用したサービスイノベーションを考える上でとても参考になると感じました。また、ディズニーや加賀屋などの事例ともいろいろ通じる点を感じました。

 この本のポイントを箇条書きでまとめておきます。

NECフィールディングの経営の卓越性の本質を理解する5つのポイント(高橋) P.26
1. 事業の本質を「サービス業」であると位置づけたこと。
2. 「CS」を経営の基盤に位置づけたこと。
3. 「アフターサービス分野」に事業ドメインを絞り込んだこと。
4. 戦略推進の「卓越した仕組みと強固な体制」が存在すること。
5. 自立を機に「マネジメントロジック」を意識的に転換したこと。

サービスを2つに分けて考えている(鳥居顧問) P.40
・「当たり前のサービス」--- システムの安定性を提供するなど
・「期待を超えるサービス」--- 顧客価値そのものを高めるような提案により、付加価値を提供

自らあげている競争力の源泉(コアコンピタンス) P.48
・ナレッジマネジメント力
・展開力

事業戦略 P.51-55
・ITヘルスケア --- ITのライフサイクル全体のわたってそのシステムの状態を最適に維持し、システムが最大限の効果を発揮できるようなサポートサービスを展開。
・プロアクティブ・メンテナンスをベースに、フィールディング・ソリューション(クロスセルなど)へも。

サービス品質の2つの要素 P.57
・サービスの機能的側面 --- 本質的要素
・サービスの提供プロセス --- かならず「人と人が接する」

CS活動 P.66-81、P.107
・CSIP(CS改善活動)による好循環 → E-CSP活動(そこまでやるか、フィールディング)へ
・SQA(Service Quality Activity)活動
・DSC(Do See Check)活動
・CSI(顧客満足度指数)による評価。目標展開マネジメント。

取得した規格/賞
・2003.4 = COPC (Customer Operations Performance Center) 規格 --- コールセンター業務の国際的な品質保証規格
・2003.10 = ISMS規格 --- 情報セキュリティ関連の国際規格
・2003.11 = 2003年度日本経営品質賞を受賞

システム
・顧客の声の蓄積と活用
  TRUST Ⅲ --- ナレッジを蓄積する社内データベース。常にマイニング。 P.47
  CSVOICE --- 「お客様の声」管理システム。BRやCSMAILも。 P.101-104
・サービス業務
  サービスプロセス統合技術支援システム P.122
  iモードディスパッチシステム(CE支援ソリューション) P.124-125
  PRIDE (作業手順自動作成・配信システム) P.125 --- ダイキンのe-SWATシステムに似ている?
  ヘルプデスクサポートシステム P.130
・ロジスティクス
  あるパーツ川崎 P.131-138
・提案用
  e-Promotionシステム P.160

 その後、昨年2月には、ITサービスマネジメントの国際規格のISO20000を取得しています。

 なお、特許を検索したところ、現在までに次のような特許が成立しています。
 「コンピュータの修理システムと方法、修理支援センタの処理装置、及びプログラム」(特許3866583)
 「顧客からの連絡要求受付システム,方法,受付サーバおよびプログラム」(特許3866675)
 「CTIシステムおよびCSレベル判断方法ならびに音声分析サーバおよびプログラム」(特許3872066)
 「大規模システムに接続された複数の携帯端末の運用管理システムと方法」(特許3880453)

 他の情報源として、次のような解説がネットにあります。
 ・NECによる事例解説
 ・ITmediaによるコールセンターの解説記事

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February 15, 2007

「データウェアハウス」という大学院の集中講義を担当

 所属する大学の講義と試験はほぼ終わりました(明日の再試験を残すだけです)。

 しかし、先月から今月にかけて、母校の夜間大学院 筑波大学大学院ビジネス科学研究科(GSSM)において「データウェアハウス」という集中講義で社会人学生を教えていて、まだ余裕がありません。その集中講義は、1日2コマで5夜講義しますので、計10コマです。ケースを深読みすることを通して、最終的には、企業がデータウェアハウスをどのような戦略に基づいて、どのように導入・活用するべきか、を考えさせるような授業にしました。ご参考までに、授業の構成をまとめておきます。

1日目 (1/24)
 データウェアハウスの歴史や技術の概要を中心に学習。MIS/DSS/SIS・CRM/SCM・IT投資などのIT経営の基本、RDBやBI(OLAP)ツールの概要、RFM分析やデシル分析などの顧客分析方法も。

2日目 (1/31)
 流通の情報化の概要とデータウェアハウスの事例を学習。
 ウォルマートの事例は、「ウォルマートに学ぶデータ・ウェアハウジング」という本や、流通雑誌の「リテールリンク」に関する記事を利用。
 セブンイレブンの事例は、日経コンピュータの「セブンイレブンの研究」などを利用。

3日目 (2/10)
 NTTドコモの事例を中心に学習。NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦(経営システム研究会、日刊工業新聞社、2004年)や、顧客の行動を予測し、解約を防ぐ(CIO誌)などを使って、データウェアハウスの狙いや活用方法について学習。
 また、JCBやクレディセゾンなどのクレジットカード会社の事例も学習。

4日目 (2/14)
 銀行のデータウェアハウス活用として、鹿児島銀行青森銀行東京三菱銀行名古屋銀行の事例を紹介。
 病院のデータウェアハウス活用として、岐阜大学附属病院や、鹿児島大学附属病院のDPCBANK(第9回情報システム大賞で経営改革賞受賞)の事例を紹介。また、メーカーのマーケティングでの活用事例も。
 経営面の文献として、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2006年4月号の分析力で勝負する企業(T・H・ダベンポート)を紹介。既に授業の中で様々な事例を学んでいるので、このような論文を参考にして、データウェアハウス/BIの導入目的や活用方法などのポイントを各自まとめてもらうことをレポート課題にしました。なお、このダベンポートの論文では各事例はとても簡単に述べられているだけですが、来月刊行される予定のCompeting on Analytics: The New Science of Winning (Thomas H. Davenport, Jeanne G. Harris)では、事例がもっと詳細に記述されているらしいです。私は早速、Amazonで予約しました。

5日目 (2/21) --- 予定
 次のような内容を予定しています。
 ・経営におけるデータウェアハウスの重要性
 ・データウェアハウス/BIに関連した研究
 ・今後のデータウェアハウス/BIの課題・展望
 ・ディスカッション

 社会人学生は学習の熱意が高くて、こちらも力が入ります。

[追記](3/1)
 授業を終えた後、分析力のマネジメントという本を読みました。SAS Instituteの人が書いた本なので、SASの宣伝かと思っていましたが、BIを効果的に導入するためのまずまずの方法論だと感じました。SASでも、ドコモの事例での情報分析の取り組みを高く評価しています。また、この本の中の「情報はビジネスの副産物ではなく血液である」(P.30) という表現は特に気に入りました。
 それと、Davenportの最新本"Competing on Analytics"が昨日(2/28)届きました。3月出版の予定が早まったようです。こちらは、ぼちぼち読み進める予定です。

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February 06, 2007

レポートの採点

 先週金曜から昨日までの4日間に、eビジネスという科目の214人分のレポートを採点し、成績を付けました。結構、疲れました。

 ITproのPLATFORM WATCHというサイトのグーグルが奪う「本質を考える力」というコラムに最近の学生の傾向として、

レポートの提出を求めると,教科書や参考書などの文献を読まずに,検索エンジンで入手できる範囲内の情報だけを,加工もしないで切り貼りしてレポートを仕上げてしまう。
 とあるように、最近は、Webで調べたことをレポートにそのまま載せてくる学生がかなりいます。私はレポート課題で「○○について論じること」と指定していて、他から丸々コピーすると大きく減点すると授業中に警告しています。ですので、感想の部分までそっくりコピーしていると分かったレポートの点数はかなり低くしています。

 しかし、すべてのレポートについてコピーかどうかをチェックするのは時間的に苦しいです。そこで、授業中に小テストを行っていまして、特に小テストの成績が悪い学生でりっぱなレポート内容を出してくる学生については、Webからのコピーかどうかを疑ってしつこくチェックすることにしています。このようなやり方で、今回は、Webから丸々コピーしていた学生を十数人ほど見つけ、だいたいは不合格にしました。学生が検索して見つけるような情報は、割と簡単に見つけることができますので。

 こんなことはしたくはありませんが、Webからのコピーを提出されて単位を与えてしまっては、「考える力」が付かないためです。もちろん、しっかり調べた上で、自分なりに考えた内容をまとめてくれたレポートの得点は高くしています。私の場合は、少々の勘違いなどはマイナスにはしません。

 上記のコラムの中の

最近,筆者はグーグルなどの検索エンジンの普及が大学教育に大きな影響を及ぼし,大学教育の表層化が始まったと考えている。学生はその時点で注目されている技術やトピックス,最新情報の入手に汲々(きゅうきゅう)としている。しかも,それらの技術情報は検索エンジンを使って得られたものが大半で,本質的な技術情報ではなく,表層化された技術情報である。
 という指摘についても、「eビジネス」の授業では、頭が痛いところです。私としては、流行のビジネス方法や技術だけを教えるのでなく、基本的な経営手法・マーケティングの考え方・既存の流通業との関係・ビジネス方法特許なども教えることで、浅い知識にならないように考慮しているつもりです。

 なお、今回の課題は以下のようなものでした。(合わせて、A4で3枚程度)
1. CGMを活用したBtoCのeビジネスについて、一例をあげ、その仕組みやビジネスモデルの可能性や問題点を論じること。
2. BtoBのeビジネスを促進するための具体的な仕組みをあげ、その可能性と課題を論じること。

 このような抽象的な出題にしますと、学生の関心が分かりますし、私の知らなかったビジネス/サービスを学生から教えてもらえる場合もあります。

 ブログを検索したところ、釈迦楽さん(ある大学の文学部教授の方)も、剽窃レポートを多く見つけてガッカリしておられるようです。

 また、プログラミングのある生活というコラムで早稲田大学客員講師の前野譲二さんのお話の中に次のようなレポート採点方法(eメールで提出させた場合のようです)を見つけました。ここまでする気持ちは分かります。

 ある先生は剽窃を見つけるために、レポートの採点の過程を少し自動化しているほどです。まず、指定した文字数を下回るバイト数のテキストを提出してきたら自動的に切る。所定の文字数を超えているレポートを対象に、文章を細切れにして検索エンジンに投入し、何かが引っ掛かってきたら、検索結果の文章を入手して、一定の条件を満たしていたら報告をするといった具合だそうです。  実際に、レポートの一部を元にして検索エンジンに投入すると、丸写しに近いことをしていたら、出てくる場合は出てくるんですよね。残念ながら、そういう学生が多いのは事実で、それを本当にやめさせなければいけないと思います。
 この時期は、ブログ検索でレポートの採点や、レポート AND 剽窃で検索すると、レポートの採点に忙しい大学教員のブログを多く見つけることができます。

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