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November 20, 2006

「戦略的な情報システムの事例集」を更新

 土曜日に、戦略的な情報システムの事例集のページを、約3カ月ぶりに更新しました。

 載せた事例は、合計で430を超えてしまいました。なかなか整理しきれないので、「重要」という項目(列)を設け、自分が情報化戦略等の授業の中でケーススタディとして利用した事例を中心に、約2割ほど選び出しました。授業や自己学習で使う事例を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

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November 18, 2006

Eビジネス研究所を訪問しました

 昨日、Eビジネス研究所で代表理事をされておられる木村誠さんとお会いして、Eビジネス業界の状況などについて、意見交換させていただきました。

 Eビジネス研究所は、JANES-WAYという大きなイベントや、定期的なEビジネス研究会を開いています。そのように、Eビジネスの最前線で広い人脈をお持ちの方ですので、貴重なお話をうかがうことができました。

 また、木村さんには、ご自身のブログで私の著書を紹介していただき、ありがたい限りです。

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November 14, 2006

サービスやビジネスモデルの分野のイノベーションを促進するための新しい知的財産権の提案

 安倍総理大臣は、日本社会への新たな活力となり、経済成長に貢献するイノベーションの創造に向けて、イノベーション25という長期的戦略指針を策定しようとしています。安倍総理大臣の所信表明演説で、20年後を見据えて経済成長に貢献する分野を戦略的に伸ばしていく方針の1つとして打ち出したものです。

 高市イノベーション担当大臣からのメッセージの中に、『私たちが取り組む「イノベーション」は、単なる「技術革新」という狭義の概念ではなく、広く社会のシステムや制度をも含めた「革新・刷新」であります』とあります。また、構成メンバーに、アートコーポレーション(アート引越センター)の寺田千代乃社長が含まれています。そのため、サービスやビジネスモデルの面のイノベーションについても検討の中に入れてもらえる可能性があります。そのように、いい機会ですので、提案をしてみたいと思います。イノベーション25のサイトでは、12月末まで広く意見を募集しています。また、日本学術会議のイノベーション推進検討委員会でも、学術関係者を対象に意見を募っています。

提案の背景
 サービスやビジネスモデルは、特許としては消極的に考える人が多い。また、サービスやビジネスモデルの独占はふさわしくないと考える人が多い。特許の要件には「自然法則を利用」したものという前提がある。ビジネス方法特許のように、IT活用の面の工夫があれば特許化できる(ただし、特許査定率は極めて低い)が、純粋なビジネスモデルでは特許にできない。しかし、革新的なサービスやビジネスモデルを一番最初に考えた人・会社に対して何らかの恩恵を与えるべきである。何らかのインセンティブがあったほうが、革新的なサービスやビジネスモデルの創出を促進できるためである。
 著作権では、オープンソースやCreative Commonsといった新たな考え方が出てきている。ソフトウェアや作品の著作権の主張を弱め、共有と協調を進めることで、より価値の高いものの創出につなげる考え方である。そのため、オープンソースやCreative Commonsのように非独占の概念を取り入れながらも、革新的なサービスやビジネスモデルを一番最初に考えた人・会社に対して何らかの恩恵を与え、かつ、さらに革新を促進することのできる新しい知的財産権を提案する。

提案内容
 サービスやビジネスモデルの分野のイノベーションの発展を促進するための新たな知的財産権として、「元祖権」(もっといい言葉があるかもしれないが、分かりやすいため、とりあえず使用)を提案する。
 元祖権を取得できた場合には、「自分が元祖」と正式に主張できるだけでなく、他社が、それと同じサービスを実施する場合には、最初に発案・実施した会社が元祖であることを表示することを義務付ける制度である。独占はしないし、ライセンス料の請求もしないが、他社が真似した場合に、元祖権を持つ企業が必ず営業的な効果を得られるようにする制度である。
 例えば、A社が転勤引越支援サービスで「元祖権」を取得した場合、まずA社は、自分のサービスのカタログやWebページに「転勤引越支援サービスでは自分が元祖」と正式に記述できる。同時に、S社が同じ転勤引越支援サービスを真似して実施する場合には、S社のそのサービスのカタログやWebページに、「このような転勤引越支援サービスの元祖はA社」または「A社式 転勤引越支援サービス」というような元祖表示(とその問合せ先の表示: 12/3 追加)を行うことを義務付ける。また、同時に商標登録していれば、第三者に対しても、「○○はA社の登録商標(転勤引越支援サービスでは元祖)」と表示する義務を負わすようにする。
 この権利を得るためには、革新的なサービスやビジネスモデルを発案した人や企業が申請。登録されるためには、特許とは違って実施していなければならない。また、登録商標が不使用で取消されるように、実施を止めてしまった場合には取消理由にできるようにする。
 特許と異なるのは、
 ・物品でなく、サービスやビジネスモデルに絞る。
 ・「自然法則を利用した」という条件は不要。ただし、「高度のもの」は特許と同じ。
 ・実施することが条件。
 ・先発明主義。
 また、特許法の35条のような条項も設けることで、職務発案(特許の「発明」とは区別したい)の場合、発案者に相当な対価が渡るべきである。そうしたほうが、インセンティブが高まる。

 「元祖」というのは卑近な言葉ですので、笑い話のように聞こえるかもしれませんが、まじめな提案です。関心を持たれた方は、是非コメントをお願いします。今後さらに具体化したいと考えます。協力してくれる方を歓迎します。

[追記](2006/12/3)
 やっと、イノベーション25に意見を送りました

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November 12, 2006

ミスキャンブログでの炎上事件

 今月上旬、ミスキャンブログの女子大生カリスマブロガーの坊農さやかさんのブログが、NHKに取り上げられた直後に炎上する、という事件がありました。なお、現時点では沈静化しています(かなりのコメントは削除されたようです)。

 この事件は、J-CAST ニュースに取り上げられています。ブログでも、山崎秀夫さんのブログなど、多くのブログで話題になっています。

 また、原因となった2006年11月3日放送のNHK「ニュースウォッチ9」の画像は、YouTubeにあります(多分違法なコピーなので、間もなく削除されるでしょう。このタイトルからして悪意的であり、炎上をあおった感じです)。

 この炎上は、放送を見て、「企業から金貰って提灯記事を書いてるブロガー」と決め付けられたためのようです。なお、私はミスキャンブログで企業から新商品などの紹介の依頼を受けていることを以前から知っていたので、この放送を見ていても、「高級レストランで試食ができてうらやましい」位の感じでした。

 この炎上事件は、放送(21:30頃)から、炎上(2チャンネルには22:50時点で既に炎上中と書かれていたらしい)まで、あまり時間がかかっていないのを見ると、常習犯による事件と思われます。ミスキャンブログの読者は女性中心なので、本来の読者とは違う人達に「荒らされた」、と見ることができます。その点、坊農さやかさんには気の毒だと思いました。また、現役女子大生芸能プロ社長の日記にも飛び火したようです。

 私の感想としては、時としてブログの中でこっそりと広告(バイラル広告)が行われている、ということを利用者が知るべきだと思いました。特に、amebaブログはネット広告会社のサイバーエージェントが運営しているため、広告の臭いがプンプンすることを認識するべきです。はてなやNifty(cocolog)には、このような広告をしてもらいたくはありませんが、ブログと広告との結びつきは常識として知っておくべきです。そうすれば、こんな騒ぎは起こらないでしょう。具体的には、高校の情報の授業の中ででも、このような話をするべきでしょう。なお、私は、10月に自分の担当するe-ビジネスの授業の中で、個人のブログの中で広告される場合があることを、ミスキャンブログを例に出して説明しました。また、自分のWebページの中にも、利用者のブログ/SNS上の宣伝/販売の動向についてまとめています。

 以前、企業ブログの失敗例のエントリでご紹介した、ウォークマンブログ炎上事件については、炎上した時点のログ(正確にいうとキャッシュのログ)を保存できましたので、かなり正確に状況を確認できましたが、今回は都合の悪いコメントがすぐに削除されるといった攻防戦がおこなわれたようなので、あまり状況を確認できていません。将来、「炎上に関する研究」をするかもしれないので、できるだけ生のデータを取っておきたいのですが。。。

 ところで、ブログ炎上事件をウォッチしている、炎上blogというブログを見つけました。

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November 10, 2006

レコメンデーションの動向

 2003~2004年頃には、一時、ネットでレコメンデーションやパーソナライゼーションを行うことの有効性について疑問視する声が高まりました。ウェブパーソナライゼーションを酷評するレポート発表という2003年のニュースがありましたし、ブログではリコメンデーション(レコメンデーション)の現実と幻ネットにおけるレコメンドは有効かといった意見が以前ありました。

 それが、ロングテール理論の中で、レコメンデーションは、多くにニッチ商品の中から自分にあった商品を見つけるための「フィルタ」の代表的な機能として位置づけられたため、昨年あたりから重要性が見直された感じです。

 レコメンデーションの仕組みとしては、それまでの各個人の購買履歴などをもとに人工知能技術を使ってお薦めする機能や、協調フィルタリングの仕組みを使った協調レコメンデーションなどがあります。後者の一番単純なものは、Amazonのサービスで「この本を買った人はあの本も買っています」と薦めるものですが、さらに利用者間の近似性を求めて推薦する技術もあります。(なお、以前のエントリの中で指摘しましたように、ロングテールの和訳本の中で、「協調フィルタリング」は、「集合知を利用したフィルタ」と訳されています。間違いではないですが、おせっかいすぎる意訳だと私は感じます。)

 これらの技術の詳細については、情報の科学と技術 2006年10月号「情報のフィルタリング」特集にある、 「推薦システム-情報過多時代をのりきる」や「情報フィルタリングの利用システム:情報推薦システム」といった論文が参考になるでしょう。

 また、直接推薦するのでなく、SNSのような場で、好みの似た人同士のコミュニケーションの場を設けることで、他の人の購入商品を参考にしてもらって、購入につなげようとする狙いのサービスも出てきました。例えば、ZOZORESIDENCEは、ZOZOTOWNで購入した服などをレジデンス内の自分の部屋(ネット上)においた上で、他者とのコミュニケーションを行えます。

 実際の効果ですが、月刊「ネット販売」の2006年6月号 特集:レコメンド活用最前線において、ファンケルや楽天ブックスなどにレコメンデーション技術を提供しているシルバーエッグ・テクノロジーの社長へのインタビュー記事の中で、レコメンデーション導入によって3~10%程度の増収効果をもたらしていると言っています。ただし、運用でコンスタントに「仮説→実行→検証」を繰り返さないと数字はあがらないと警告しています。

 ところで、ネットを通した宅配DVD レンタルサービスのNetflix(ロングテール本にも出てきた)が、先月、映画推薦システムの向上者に賞金100万ドルという、「Netflix Prize」の創設を発表しています。レコメンデーション技術をさらに高めるため、他者のアイデアを求めています。

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November 07, 2006

「ソフトウェアパテントは必要悪 論」は大きな間違い

 CNETのブログに「ソフトウェアパテントは必要悪」論というエントリがありましたが、この内容を鵜呑みにしないほうがいいでしょう。

 「ソフトウェアの特許を簡単に認めすぎている現行の法律」という現在認識は、日本では誤りです。先月24日のエントリで示したように、特に、ビジネス方法特許の分野は審査が厳しいですが、他のソフトウェア特許も審査はそれほど甘くはありません。

 欧州では、さらにソフトウェア特許に対して厳しいですが、オープンソース(特にOS)が特許で訴えられて差し止めされる、といった事態を警戒しているという背景が大きいようです。
 「米国の(ソフトウェアパテントの取得に対しての)寛容なアプローチが、テクノロジー業界におけるイノベーションや投資を増加させているという証拠は一切ない」という英国の法廷の裁判官の発言が引用されていますが、「イノベーションや投資を全く増加させていない」という証拠も出ていないわけで、現状、米国のアプローチを全く否定することはできないのです。ちなみに、ベンチャーキャピタルは一般的に、特許を持っていたほうが投資に熱心になります。特許は参入障壁として働きますし、もしも事業がうまくいかなくて精算する際に、特許を売却できるからです。

 「日本と米国は、優秀なソフトウェアエンジニアであれば、誰でも思いつきそうなアイデアをパテントとして認め過ぎである。」という認識も一般には正しくありません。中島さんのような超優秀なソフトウェアエンジニアにとっては簡単なことかもしれませんが、一般のソフトウェアエンジニアには特許にするのはそんなにたやすいことではありません。私もいくつかソフトウェア特許を持っていますが、まずアイデアを生むのに調査や発想にすごく時間がかかりますし、特許資料にしあげるのも時として学術論文を書くくらいエネルギーを使います。まれに、幸運にも、十分に練らないアイデアが特許になることもありますが、これは例外的なもので割合としては少ないです。

 「だからと言ってパテントを申請しておかないと、他の会社に先に申請されて痛い目に会うかも知れない。そんな理由だけで、弁護士に高いお金を払ってせっせとパテントを申請しているのが、今のソフトウェア会社の現状である。」という認識も正しくありません。中島さんのお付き合いしている企業の多くはそうかもしれませんが、一般化すべきでありません。知的財産権の意識の高い企業は、このような「必要悪」といった意識はなく、研究開発への投資の重要性と特許化による知的財産の蓄積・活用を理解しているのです。

 ソフトウェア特許を軽視する発言はブログによく見かけますが、IT分野のイノベーションを低めることになりかねないので危惧しています。最近ネットベンチャーの特許出願が少なくなっているのは特に問題です。開発合宿のような方法でちょっとした機能をたった1日で作ってしまうよりも、特許にする位、アイデアを十分に練ることが望ましいのです。技術力は特許で評価される場合が多いことを、ソフトウェア分野の企業でも再認識するべきです。

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November 02, 2006

ロングテール理論の全体像

 和訳本の訳のチェックをしながら、ロングテール理論の全体像をまとめてみました。ネットによって、流通・経済・市場が、なぜ、どのように変わりつつあるかを説明している本です。このような図にまとめてみると、よく分かると思います。
(2006/11/6 図を少し修正)

Longtail_1


[追記](2006/11/7)
 Chris Anderson本人のThe Long Tailブログの10/25付けのエントリに、The Economics of Abundanceが著されていました。ロングテール本でも出てくるキーワードを、整理しなおした感じです。新理論という感じではありません。米国でも、上図のようなロングテール理論の基本的な考え方がなかなか理解されていないのかもしれません。なお、池田信夫さんのblogでは、Abundanceは「過剰」と訳されています。

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