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October 24, 2006

特許審査短縮とビジネス方法特許の状況

 10月20日に、特許庁から、新たな特許行政の基本方針であるイノベーション促進のための特許審査改革加速プランが発表になりました。

 審査官を増やしたり、技術調査の民間受注の拡大をしたり、特許審査の効率化を図るなど、いろいろと策を立てるとのことですが、審査順番待ち期間の目標を見ると、険しい状況です。今年の目標は28ヶ月のところ、2006年8月時点で25.4ヶ月と目標としては短縮できています。しかし、5年前に審査請求期間の短縮をしたことで、一時的に審査請求が急増しているため、審査順番待ち期間は、平成20年に30ヶ月未満、平成25年には11ヶ月という目標(今年1月に策定)になっています。つまり、少なくとも2年間は審査順番待ち期間は拡大してしまうのです。この平成20年・平成25年の目標について、10/20の発表では短縮できると名言していません。まだまだ厳しいということでしょう。

 また、10ページに、「本年度中に、大学等の研究者が特許と論文情報の統合検索を行うことを可能とするため、固定アドレスで特許公報データを直接照会できるシステムの運用を開始する(特許・論文統合検索システムの提供)」とあります。これは、研究者や学生にとってはありがたい話です。期待したいです。

 大阪ではたらく弁理士さんのブログでも指摘されていますが、表題に「イノベーション促進のための」と付いています。安倍内閣では、イノベーションを重視して、イノベーション担当の大臣もできましたので、特許庁がその動きに気を使っているのを強く感じます。

 ビジネス方法特許(ビジネス関連発明)についての発表も先月ありました。先月28日に、ビジネス関連発明の最近の動向についてが更新されました。特許査定率は、2005年も8%(全分野の平均値は約50%)に留まっているとのことですが、グラフを見ると2004年よりもほんの少し上昇している感じです。これまでは、特許庁から「特許にならないビジネス関連発明の事例集」や「ビジネス関連発明に対する判断事例集」が公表される前に出された特許出願の審査が多かったわけですが、これからは、それらの事例集を見て書かれた出願の審査が増えてゆくので、特許査定率の向上に期待がもてるでしょう。

 経営の視点から考える知財発想法のブログでは、特許庁の発表の他、ビジネスモデル特許本の話題が出ていました。本以外にも、NTT-ATのビジネスモデル特許情報が終了してしまったり、サンジーバーの「ビジネスモデル特許はこう読む」というメールマガジンが終了してしまったりして、少し寂しい感じがします。

 ビジネスとしては、最近、カブドットコムや、ウェブマネーが、特許のライセンス収益を得る方針を発表しています。ビジネス方法特許を取ったところが、もっと積極的に特許をビジネスに活かすようになれば、他の企業ももっと出願や権利取得に積極的になるでしょう。

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Comments

幡鎌先生 はじめまして。
わたしのブログを参照していただきありがとうございます。
実際のところ、わたし自身、ビジネス方法特許やコンピュータプログラム(特許)は専門から少しはずれて、あまり詳しくはないですが、これらの種類の特許については、取得可能性の範囲を模索する段階を経て、権利活用の段階に入ってきているのは実感できます。タイミングよく(?)今朝の報道によれば、アメリカで、IBMがアマゾンを訴えたようですね。

Posted by: 栗原弘幸 | October 24, 2006 at 11:05 PM

栗原様
コメント、ありがとうございます。
確かに、ソフトウェア特許も権利活用の段階になってきていると思います。
ただし、米国のように訴訟にはなかなかならないですね。水面下で牽制や警告が行われているようですが、松下がジャストシステムを特許で訴えて、不買運動まで起こったように、日本では訴えるのに慎重にならざるを得ないようです。
それでは、今後ともよろしくお願いします。

Posted by: hatakama | October 24, 2006 at 11:50 PM

今後、次の特許はビジネスモデル特許として、注目されると思われますので、紹介します。

特許2836284号: 取引処理システム

請求項:  
少なくとも顧客識別データを記憶した取引媒体と、
この取引媒体を受け付けて取引を処理する取引処理装置と、
この取引処理装置から送られてきた取引データを管理するホスト装置と、
を有する取引処理システムであって、
前記ホスト装置は、各顧客の管理用端末装置の識別番号を記憶する識別番号記憶手段と、
前記取引処理装置から取引データが送られてきたとき、その顧客の管理用端末装置に前記取引データを送信する手段と、
を備えた
取引処理システム。

Posted by: 久野 | November 08, 2006 at 07:05 AM

久野さん
コメントありがとうございます。
クレジットカードのオーソリが終わった後に、非同期に自宅に引き落とし情報が通知されるという特許ですね。
現在実施するとしたら、eメールでの通知が考えられます。この特許の権利範囲として、そこまでカバーできそうに思えます。
面白い特許と思いますので、私のWebページに追加しておきたいと思います。(数日か数週間か後になりそうですが)

Posted by: hatakama | November 08, 2006 at 10:31 AM

そうですね。携帯電話への電子メールでの通知という方法が、この特許における「顧客の管理用端末装置に前記取引データを送信する手段」としてありそうです。
関連しそうなシステムの情報がありそうな検索式を作成してみました。

http://www.google.co.jp/search?num=20&hl=ja&inlang=ja&as_qdr=all&q=%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89+%E6%90%BA%E5%B8%AF+%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB+%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%B9+%E9%80%9A%E7%9F%A5+%E5%87%BA%E9%87%91+ATM+-%E9%80%81%E9%87%91&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=lang_ja

特許戦略には、うまい用語を用いた検索式を設定することが重要だと思いました。

Posted by: 久野 | November 08, 2006 at 10:30 PM

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