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October 31, 2006

Amazonやbk1で拙著「eビジネスの教科書」の購入が可能に

 本日、やっと、Amazonや、bk1や、セブンアンドワイで、拙著「eビジネスの教科書」の購入ができるようになりました。

オンライン書店ビーケーワン:eビジネスの教科書

 章構成は、6月のエントリーにあります。

 昨年の年末位から今年の6月にかけて執筆いたしましたので、古くなってしまった内容もあります。最新の情報については、eビジネス/eコマースの動向と技術のページをご覧ください。

 なお、今から書き始めるとしたら、CGMとロングテールについて、それぞれ1つの章をあてたい位です。それほど、その2つのキーワードの重要性が増しています。

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October 27, 2006

ロングテールの本の訳についての不満

 Chris AndersonのThe Long Tailの原書を、9月の下旬から10月にかけてゼミで読みました。全体の十数%(Introduction・3章・4章)ですが、しっかり読みました。
 その後、読んだ部分について、その和訳本である早川書房のロングテール 売れない商品を宝の山に変える新戦略の訳と突き合わせてみました。この和訳本は、こなれた訳で読みやすいですが、原書と突き合わてみると和訳に少し不満を感じました。以下に、主な不満点を上げてみます。

Introduction (はじめに)

原文 P.8の23-24行目
 non-hits --- from healthy niche product to outright misses
翻訳 P.18の15列目
 売れない商品 - 健康関連のニッチ商品から全くの失敗作まで
→ 「健康関連の」でなく「健全な」と訳したほうがいいのでは? 失敗作ではないが、ニッチなので少ししか売れない、という意味で "healthy" と表現したのでは?いきなり「健康関連」が出てくるのは変です。

原文 P.11の8-9行目
 the bottlenecks that stand supply and demand in our culture
翻訳 P.22の1列目
 文化の供給不足という障害(ルビで「ボトルネック」)
→ 意訳せずに「文化における需要と供給の間のボトルネック」と訳して欲しかったです。この場面ではこれでも正しいですが、一般には需要側のボトルネックもありえるので、正確に訳したほうがいいでしょう。

第3章

原文 P.41の下から8-7行目
 simply unified the elements of a supply-chain revolution
翻訳 P.57の6列目
 供給改革の諸要素をただ統合した
→ 「供給改革」ではなく、「サプライチェーン改革」と訳してほしいです。なお、P.59 では、そのまま「サプライチェーン」と訳して、解説を付けています。

原文 P.44の4行目
 This time-scheduling system brought efficiency to mail order
翻訳 P.60の6列目
 この発送締め切りシステムは通信販売の需要を増やした。
→ 「このスケジューリングシステムは、通信販売の効率を高めた」でしょう?原文には、「需要」とは書かれていません。ここの訳は不正確です。

原文 P.49の下から2行目
 brand loyalty
翻訳 P.67の左から4列目
 ブランドへの顧客の信頼
→ マーケティング用語ですので、「信頼」よりは「ブランドロイヤリティ」と訳して欲しいです。また、この語を含む段落と次の段落の順番が原文と逆です。

第4章

原文 P.52の6行目
 bottlenecks of distribution
翻訳 P.70の3列目
 流通の制約

原文 P.53の下から7行目
 distribution bottlenecks
翻訳 P.71の左から4列目
 流通経路の狭さ
→ 同じなのに、訳が違っています。専門用語ですので、両方とも「ボトルネック」と訳して欲しかったです。なお、これ以降にも、この表現が多く出てきます。

原文 P.53の2行目
 That ratio is growing exponentially
翻訳 P.70の左から1列目
 ニッチ商品の割合は急速にもっと高まる。
→ 「指数的に」が省かれています。学術書ですので、省くべきでないです。

原文 P.57の表
 Connect Supply and Demand
翻訳 P.76の表
 需要と供給の一致
→ 「一致」では誤解されます。「需要と供給を結びつける」としたほうがいいでしょう。

 この本は、全体的にくだけた表現が多いですが、専門用語も多いので、翻訳する上で大変かもしれません。また、訳者は、出版社から「訳は分かりやすく」と要求されていたのかもしれません。私としては、もっと「堅い」訳にしたほうが、学術書としての価値は高くなると思います。

 ということで、著者の真意を正しく知りたい人は、原書も購入したほうがいいでしょう。

[追記] (2006/10/31)

 まだすべてチェックし終えていませんが、もう少し追加しておきます。

原文 P.68の16-17行目
 they are stastically optimized to excel over time and large numbers
翻訳 P.89の左から5列目
 時間と情報が増えれば確実性が高まるだろうと楽観視されている
→ ここでは、optimizeは「楽観視」でなく「最適化」と訳すべきです。「時間と情報が増えることで、統計的に最適化される」と訳したほうが意味が取れます。

原文 P.69の16-17行目
 no single one of which is authoritative
翻訳 P.91の24列目
 どれ一つとして正式ではない
→ ここでは、authoritativeなので「正式ではない」よりも「権威があるわけではない」と訳したほうが意味がはっきりします。

原文 P.151の下から1-2行目
 tuned in real time on the basis of checkout data
翻訳 P.193の7列目
 販売データをもとにさらに微調整される
→ ここでは、「リアルタイムで」は略さないほうがいいです。というのは、ここで言われていることは、日本で「リアルタイムPOS」と呼ばれる仕組みのことと思われるためです。「リアルタイムPOSのデータでさらに微調整される」と訳してもいいでしょう。

原文 P.169の17行目
 Another part of the answer is demographics
翻訳 P.214の左から5列目
 別の理由として、人々の意識変化というのも挙げられる
→ 「demographics」は、一般には「人口動態」と訳します。「意識変化」は意訳しすぎでしょう。

 その他、大きな間違いではないですが、コメントしておきます。

 P.16の5行目とP.26の下から2行目に、"positive feedback loop" とあります。訳本では、「いい循環」と訳されていますが、理系の人には、「正のフィードバックループ」のほうがイメージしやすいでしょう。

 5章で、Wikipedia等について、"probabilistic system" と何箇所かで表現されていて、訳本ではこれを「確率システム」と訳しています。しかし、一般にはこの語は「確率論的システム」と訳します。The Long Tailブログの日本語訳でも「確率論的」と訳しています。ちなみに、反意語は「決定論的」。

 P.75の12行目の "I've done that with my own blog" を訳本(P.98)で「僕もブログのライセンスをとった」と訳されていますが、「クリエイティブコモンズに則ったライセンス形態のもとに置いた」ということを言っているはずです。

[追記] (2006/11/2)

 主な点を再度追加します。網羅的にチェックしたわけではありませんが、これでお終いにします。

原文 P.182の節タイトル
 THE RISE OF MASSIVELY PARALLEL CULTURE
翻訳 P.232の節タイトル
 巨大な並列文化の隆盛
→ "massively parallel culture" は、"massively parallel computing/machine"(超並列計算/マシン) をもじったものだと思います。ですので、「超並列(マッシブ・パラレル)な文化」とでも訳したほうがいいのでは? The Long Tailブログの日本語訳でも「超並列」と訳しています。

原文 P.208の14行目
 created a platform
翻訳 P.266の3列目
 足場を築いた
→ この文は、以降で説明されるSalesforce.comによるSaaSのプラットフォームのことでしょう。ですので、「足場」よりも「プラットフォーム」のほうがいいでしょう。

原文 P.217の下から1行目
 collaborative filtering
翻訳 P.276の左から1列目
 集合知を利用したフィルタ
原文 P.223の14行目
 collaborative filtering
翻訳 P.284の10列目
 集合知を利用したフィルタ
→ この語は、日本では「協調フィルタリング」と訳されることが多いです。Wikipediaにもあります。

原文 P.218の1-2行目
 This is difference between push and pull
翻訳 P.277の1-2列目
 問題は押しつけか引き出しかだ
→ ここでのpushとpullは、マーケティング用語での「プッシュ型」(押しのマーケティング) と「プル型」(顧客を引き寄せるマーケティング) の意味と同じでしょう。

原文 P.219の下から8行目
 One distribution method doesn't fit all
翻訳 P.279の8列目
 法則3 - 流通経路を拡げよ
→ ここで言いたいことは、日本で「マルチチャネル販売」と呼ばれていることです。ですので、「流通経路(チャネル)の種類を増やせ」と訳したほうが、意味がはっきりするでしょう。また、法則3の最後の文の「市場」の前に「潜在的な」が抜けています。

 私は、この本の翻訳者は比較的よい仕事をしたと思います。点数でいえば、80点は与えていいかと思います。しかし、この本はeビジネス分野や流通分野でとても重要な意味を持つ本であり、学生にはじっくりと読んでもらいたい本です。学生がこの本の内容を十分に理解する上で、一部の訳し方が障害になりかねないと危惧されたため、このように細かく調べて指摘いたしました。あら探しをしたわけではありません。

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October 24, 2006

特許審査短縮とビジネス方法特許の状況

 10月20日に、特許庁から、新たな特許行政の基本方針であるイノベーション促進のための特許審査改革加速プランが発表になりました。

 審査官を増やしたり、技術調査の民間受注の拡大をしたり、特許審査の効率化を図るなど、いろいろと策を立てるとのことですが、審査順番待ち期間の目標を見ると、険しい状況です。今年の目標は28ヶ月のところ、2006年8月時点で25.4ヶ月と目標としては短縮できています。しかし、5年前に審査請求期間の短縮をしたことで、一時的に審査請求が急増しているため、審査順番待ち期間は、平成20年に30ヶ月未満、平成25年には11ヶ月という目標(今年1月に策定)になっています。つまり、少なくとも2年間は審査順番待ち期間は拡大してしまうのです。この平成20年・平成25年の目標について、10/20の発表では短縮できると名言していません。まだまだ厳しいということでしょう。

 また、10ページに、「本年度中に、大学等の研究者が特許と論文情報の統合検索を行うことを可能とするため、固定アドレスで特許公報データを直接照会できるシステムの運用を開始する(特許・論文統合検索システムの提供)」とあります。これは、研究者や学生にとってはありがたい話です。期待したいです。

 大阪ではたらく弁理士さんのブログでも指摘されていますが、表題に「イノベーション促進のための」と付いています。安倍内閣では、イノベーションを重視して、イノベーション担当の大臣もできましたので、特許庁がその動きに気を使っているのを強く感じます。

 ビジネス方法特許(ビジネス関連発明)についての発表も先月ありました。先月28日に、ビジネス関連発明の最近の動向についてが更新されました。特許査定率は、2005年も8%(全分野の平均値は約50%)に留まっているとのことですが、グラフを見ると2004年よりもほんの少し上昇している感じです。これまでは、特許庁から「特許にならないビジネス関連発明の事例集」や「ビジネス関連発明に対する判断事例集」が公表される前に出された特許出願の審査が多かったわけですが、これからは、それらの事例集を見て書かれた出願の審査が増えてゆくので、特許査定率の向上に期待がもてるでしょう。

 経営の視点から考える知財発想法のブログでは、特許庁の発表の他、ビジネスモデル特許本の話題が出ていました。本以外にも、NTT-ATのビジネスモデル特許情報が終了してしまったり、サンジーバーの「ビジネスモデル特許はこう読む」というメールマガジンが終了してしまったりして、少し寂しい感じがします。

 ビジネスとしては、最近、カブドットコムや、ウェブマネーが、特許のライセンス収益を得る方針を発表しています。ビジネス方法特許を取ったところが、もっと積極的に特許をビジネスに活かすようになれば、他の企業ももっと出願や権利取得に積極的になるでしょう。

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October 20, 2006

「BtoB」のページを追加

 本日、「eビジネス/eコマースの動向と技術」の中に、BtoBのページを載せました。これまでは、eマーケットプレイスのみでしたが、調達サイト・ビジネスディレクトリ・業界インフラも含めて、「BtoB」のページにしたものです。これは、「eビジネスの教科書」の本の中に「4章 BtoB」をもうけたため、BtoBの最新情報をWebに載せておくようにしたものです。

 なお、Web 2.0 でにぎやかなBtoCに比べて、BtoBのニュースはネットにはあまり出てきません。日経産業新聞や業界雑誌で始めて知ることができる場合が多いです。一昨日、CNETにDeNAがBtoBマーケットプレイスを開設へという記事が載りましたが、他の記事に比べて反響が少ないです。なお、このようなBtoBマーケットプレイスを成功させるのは、とても難しいと思います。決済面で利便性を出そうとしているようですが、参加するサプライヤーを増やしたり、カタログを横断検索する機能や納品予定日で絞り込むといった付加機能が望まれます。BtoCと違って、BtoBでは相手はプロですので、意味のない仲介は避けられてしまうでしょう。ラクーン・MonotaRO・チップワンストップなどのやり方が参考になるでしょう。

 「eビジネスの教科書」はやっとできあがって、昨夜届きました。しかし、大きなミスを見つけてしまいました。Googleの"AdWords"の"s"が抜けていて、"AdWord"になっていました。直したつもりが、修正落ちでした。さっそく昨夜のうちに出版社にメールしておいたところ、今日には正誤表を作ってくれて、これから出荷する分には正誤表を挟んでいれてくれるようです。しかし、献本した先には正誤表が間に合わずに入っていないと思います。失礼いたしました。また、カバーの表紙の色がきついピンク色で、これには私も驚きました。しかし、以前刊行されていたWiredの雑誌版の表紙を連想してもらえれば、という考え方もできます。レトロという感じでしょうか。なお、書店に並ぶのは来週後半になりそうという話ですし、アマゾンやbk1の書誌検索でもまだ出てきません。

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October 16, 2006

「eビジネスの教科書」という本が今週出版

 6月に入稿しましたeビジネスの教科書という本ですが、校正に手間取りまして出版が遅れていましたが、今週中に出版される予定です。

 大学関係者には80箇所ほど献本します。そのうち約30人は知り合いですが、他は会ったことのない方々です。次のように調べました。「eビジネス論」や「電子商取引論」といった科目があったり、それらを研究テーマにしているゼミのある大学を、検索エンジン等で調べてみたのです。そうしますと、私が調べただけでも、約50もの大学にそのような科目やゼミがありました。網羅的に調べれば、100大学以上あると思われます。まずは、私が見つけたその約50の大学で、eビジネスや電子商取引を教えておられる先生方に献本いたします。

 そのような分野を教える際に、教材に苦労されておられる先生方が多いと思われたためです。シラバスがWebに載っているところでは、5年前の本を教科書に使っているところもありました。問題が多いと言われる「ウェブ進化論」をゼミで輪読されている先生もおられます。最近は、Web2.0やグーグル関連の本が多く出版されていますが、大学の授業で使うためには内容が偏っています。今回私が書きました本は、すごく自信のある本というわけではありませんが、そのような大学の科目の教材や参考書に利用できるように書いたつもりなのです。ヤフー・アマゾン・楽天などの主要ネット企業の事業開始時から、Web 2.0・CGM・ロングテール・AISASといった最新の動向までをカバーしましたし、BtoBやクリック&モルタル(マルチチャネル販売)についても、多くのページを割いて説明しています。また、事例に基づいて、経営学・マーケティングなどの基本的な理論や考え方から分析しております。経営学部・商学部といった文系の学部でも利用できるようにするためです。

 なお、出版に合わせて、eビジネス/eコマースの動向と技術のページも、その本に合わせて今週中に変更する予定です。本の読者への情報提供、という位置付けにするためです。

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October 03, 2006

「クリック&モルタル、BtoBtoC」のページを追加

 本日、「eビジネス/eコマースの動向と技術」の中に、クリック&モルタル、BtoBtoC のページを追加しました。今月発売になる予定のeビジネスの教科書の6章で取り上げているため、これまで調べた情報/リンクをまとめてWebに載せたものです。

 先月21日に、アイ・エム・プレスにうかがって、この辺りについて、西村社長と有坂さんとお話してまいりました。

 ネットとリアルの関係を、私は次のように表現しています。クリック&モルタル以外にも、クロスメディアマーケティング、通販会社のネット展開など、いろいろと関係してきます。
C_and_m

 クリック&モルタルは、「マルチチャネル販売」として店舗小売業では積極的に展開する企業が増えています。ただし、「リアルとネットのシナジー」の域で終わってしまっていいかという問題もあります。ネット企業と真っ向から競うためには、店舗をはるかに超える品揃えが必要になりますので、そのようなロングテール対応をいかに図るかが大きな課題になるでしょう。

 秋学期の授業が9月下旬から始まりましたが、ゼミでは "The Long Tail" の原書を読んでいます。しかし、和訳本がもう出版されてしまったようですね。もう少し後になるかと思っていました。

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