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April 26, 2006

研究者の幸福とは?(人工知能学会のボードゲームで考える)

 人工知能学会の若手グループ研究人生を楽しむ会が「IT研究者のためのゲーム型キャリアデザイン学習教材(ボードゲーム)」を開発して公開することが、ITmediaのニュースや朝日新聞などで報道されました。人工知能学会20周年記念企画事業「AI若手研究者のためのキャリアデザイン能力育成事業:幸福な研究人生に至る道」で開発されたゲームです。

 研究人生を楽しむ会は、「研究者社会の活性化による創造的社会の実現」を狙った活動としていますが、私にはとてもそうは思えません。このようなボードゲームにより、打算的な研究者が増えて、逆に創造的ではなくなると思えます。ボードゲームに出てこないような新たな道を自ら切り開こうとする研究者のほうが、研究でも創造的になれるのではないでしょうか? 研究人生を、昇進ゲーム、研究者の棲み分け、論文稼ぎ/研究資金調達といった面を中心に考えるのはとても空しく感じます。

 研究者の幸福とは何でしょうか? 優れた研究・教育を行なった結果として昇進もしますし、業績が積み重なってゆきます。しかし、昇進を研究者の目標にすべきでないでしょう。あくまでも結果です。研究者は精進して精一杯研究や教育に尽して、社会貢献するべき、というのが正道ではないでしょうか? ですので、これから研究者を志す人には、このようなボードゲームはお勧めできません。教育上よくありません。

 学会の中で内輪で楽しむとか、仮に研究する人生のような内々の場で議論したり、匿名ブログでの話であればそれほど問題はないかと思います。しかし、おおっぴらにするのは止めてもらいたいです。Happy Academic Life 2006ゲーム大会を開催したり、国立情報学研究所が報道発表するのは、恥ずかしいことだと思います。

 ブログを検索してみると、このゲームをしてみたい、という人がかなり多くいます。やはり、「研究人生を楽しむ」ことは魅力に感じるのでしょう。賛成しておられる研究者の方もいます。素晴らしい! こういう遊び心を発揮出来るっていうのは、学会が元気な印なのではないかという御意見を述べられている方は、教育上のことも考えていただきたいです。業績至上主義を煽ることにならないだろうか?これはひどい!たちの悪い冗談か何かですかというご意見のように、この学会はおかしいのでは、と感じるほうが普通だと思います。

 もともと人工知能学会にはモラルに問題のある研究者が見られました。このようなゲームの開発があったことで、よりモラル劣化が進んでいることが分かりました。悲しむべき状況です。ということで、昨日、小職は人工知能学会を退会いたしました。つきあい上入会していて、ちょうど今年度の会費を支払おうと思っていたところだったのですが、すぐに退会手続きを取りました。このゲームが付録でつく学会誌5月号は受け取りたくないですので。

[追記]
 人工知能学会から、退会手続き完了の連絡を受けました。学会誌5月号の付録は受け取らずにすみました。
 やはり、「研究人生を楽しむ」という表現は許せないですね。「充実した研究人生を送る」ならば、好きではないですが、許せる範囲でしょう。また、「幸福な研究人生に至る道」は、「堅実に研究人生を歩む道」くらいの表現にしてほしかったです。「楽しむ」や「幸福」は、主観的な概念であり、人によって意味が違うことを認識してほしかったです。

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最近たまたま、仕事の選択やキャリアの形成をめぐって、これから社会に出たり大学生になろうとしている若い人たちに私たち年長者が伝えるべきことについて 興味深い意見をいくつかネットで見かけた。 意見(1)。 研究人生を、昇進ゲーム、研究者の棲み分け、論文稼ぎ/研究資金調達といった面を中心に考えるのはとても空しく感じます。(中略) 研究者は精進して精一杯研究や教育に尽して、社会貢献するべき、というのが正道ではないでしょうか? ですので、これから研究者を志す人には、このようなボードゲームはお勧めでき... [Read More]

Tracked on May 01, 2006 at 04:47 AM

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