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March 31, 2006

日本でもeコレクトの特許が成立

 佐川急便とJCBが共同出願しているeコレクトの特許が米国で成立したことは昨年5月のエントリで書きましたが、日本でも特許成立と佐川急便が発表したというニュースが、昨日の日経日経BPのサイトに出ていました。

 たぶん、「宅配便のカード決済方法およびカード決済システム」(特願2002-521793、PCT/JP2001/007224) が成立したのでしょう。拒絶査定を受けましたが、査定不服審判が通って成立したようです。

 まだ特許公報は出ていないので、どんな請求項で成立したのか分かりませんので、内容のコメントは差し控えます。
 この出願の拒絶理由通知書が、特許電子図書館の審査書類情報照会(3/27に機能追加)で見ることができます。
 13.04.2004:拒絶理由通知書 (詳細は略)
  第29条第2項(進歩性)
   1.特開平7-93411号公報
   2.特開平10-105614号公報
   3.特開平5-204956号公報
  第36条
  第29条第1項柱書

 このようにいろいろと指摘されています。また、審判でも一回拒絶理由をもらって補正しているようなので、成立した特許の請求項は公開時のものとは大きく異なっていると思われます。

 また、分割出願として、特願2004-175825と特願2004-344773があります。特願2004-175825のほうは、特許電子図書館で経過情報を見ると、
  出願審査請求書(他人): 差出日(平17.4.15)

とあります。どうも、他社が20万円近く払って審査請求したようです。特許法では、「何人も」審査請求できることになっていますが、このようなものを見たのは私は始めてです。関心を持たれていることが分かります。

 権利の行使については、「宅配便を手掛ける同業他社に対し有償でこのサービスのライセンス供与を進める」とのことなので、いきなりは利用の差し止めは求めないようです。ですので、大きな問題にはならないでしょう。

 宅配業界では、金融業界と同様にビジネスモデル特許への関心が高いです。
 例えば、最近のヤマト運輸の新サービスの宅急便e-お知らせシリーズ宅配ロッカー発送サービス宅急便店頭受取りサービスのリリース文で「特許出願中」と記されています。牽制し合っている感じです。

 eビジネスに関連する宅配/物流の動向と特許は、物流・流通(eビジネス・eコマースの動向と技術)というページにまとめております。

[追記](2006/4/3)
 この特許のニュースは、クレジットカードのお話クレジットカード予備校といったブログでも紹介されました。

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March 30, 2006

新聞の「会社人事・機構改革」欄から学べること

 3月は、新聞に「会社人事・機構改革」が多く載る時期です。私は、日経産業新聞と日経MJを講読していますが、この時期は会社人事・機構改革欄の情報が多く、「そのスペースは要らないから記事をもっと多く載せてよ」と言いたくなります。知人が異動していないかをチェックするために、その欄を見る人が多いようです。しかし、会社人事・機構改革欄から学べることもありそうです。最近の新聞の会社人事・機構改革欄を見ていて、次のような部署名が気になりました。

イノベーション推進本部
 東芝にこのような名前の本部ができました。東芝の子会社でも、イノベーション推進部といった名前の部署ができています。知的財産部は別にあるので、この本部が何を目指してしているかがよく分かりません。企業戦略やビジネスモデルなどの面のイノベーションを推進するための組織かもしれません。最近は、中国などへ特許資料による技術流出が多いと指摘されていますので、特許の面だけでなく、「イノベーションを推進する施策」を考える部門かもしれません。または、昨年8月の東芝の経営方針説明会の資料に、「研究開発から事業化のプロセスイノベーション」(未来カタログなどを使用)という項目があるので、「死の谷」などの対策向けのプロセスイノベーションを重要視して作った本部かもしれません。御存知の方は教えてください。

顧客政策室
 阪急百貨店にこのような名前の部署ができていました。他の百貨店についてネットで調べてみると、松阪屋や高島屋に同じ名前の部署があり、伊勢丹や京王百貨店には「顧客政策部」があるようです。やはり、デパート業界はRFM分析等で優良顧客を選別して、顧客生涯価値を狙った経営をしていかないと生き残れない、という意識から、このような部署ができているのでしょう。

ものづくりセンター・ものづくり推進部
 多くのメーカーでこのような名前の組織ができています。やはり、団塊世代の退職のために、技術の伝承が問題になっているのでしょう。

生態系ソリューション部
 清水建設の部署名。ビオトープのための部署でしょうか?

トータルカーライフ事業戦略推進
 オートバックスセブンの部署名。カー用品の販売には、カーライフの視点が重要ということでしょう。

知画部
 オリエンタルランドにあった部署名(今月、経営戦略部に統合)。何をしていたのでしょうか?

 「会社人事・機構改革」の欄をきっちりと読むのは苦痛ですが、このような読み方をすれば、その業界/企業では何を目指しているかの理解に少しは役立つでしょう。

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March 29, 2006

ICタグの活用事例(3)

 3月10日のRETAILTECHの展示会報告のエントリで日本版フューチャーストア実験でのICタグの使い方のことを少し紹介しました。また、昨年8月5月にも、ICタグの事例をまとめました。
 今回は、それ以外の最近のICタグ事例をまとめてみました。行政の補助を受けた実証実験が多いため、年度末に近づいて実証実験の成果報告の発表が多くなっています(年度内に予算消化し実証実験の成果も出さないといけないのでしょう)。利用されているICタグの種類では、通信距離の長いUHF帯の利用が多いようです。

 まず、一番の話題はヨドバシカメラです。ヨドバシでは、今年5月からICタグを利用して、メーカーが製品をヨドバシに納入する際の検品作業を効率化するシステムを本稼働させる予定です。日経コンピュータ 2005/10/31号に、迫り来るヨドバシ・ショックという記事があります。実験段階を経ないで、実運用に入るようです。丸紅子会社のマイティカードがUHF帯のICタグシステムを納入

 出版業界のICタグ利用は、日本出版インフラセンターが2007年からの実運用を目指して、実証実験をしています。平成16年度電子タグ実証実験結果が公開されています。最近は、日本レコード協会と共同で経済産業省の支援による電子タグ実証実験を行ったようです。リリースによると、この実証実験ではUHF帯と13.56MHzの電子タグを使っています。
 新星堂は、上記の実証実験にも参加していますが、ブエナビスタホームエンターテイメント(ディズニーのDVD販売部門)・アクセンチュアと共同で実験も行っています。こちらは、どの商品がどれだけ顧客の手に取られたかを正確に把握できるようにして、顧客の迷いを認識(顧客が手には取っているが購入にまでは至っていない商品を特定)できるようにした試み。

 東京シャツと丸紅は、UHF帯ICタグを商品管理に用いるための実証実験を、東京シャツの八重洲店で行っている。実験期間は2006年2月1日から6カ月。業務効率化のポイントは、(1)入荷時の検品処理、(2)売り上げ精算、(3)棚卸し作業。棚卸し作業は、バーコードを使う場合、八重洲店にある約3500点の商品の棚卸しにのべ8時間かかっていたが、これを今回の実験では、のべ1時間を目指している。日経RFIDテクノロジのコラム(第1回)(第2回)(最終回)あり。
 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、ICタグを用いて、青山商事が取り扱うスーツの生産から販売までの工程を管理する実証実験を行なった。青山商事は、実用化が見込めれば2007年にも全店舗に導入する意向。実験中の記事あり。顧客は情報端末でICタグからスーツの情報を引き出しながらコーディネート可能。

 海外の事例として、ジレットとメトロの事例が日本でも紹介されています。
 CIO Onlineに、米国でのジレットの事例がありました。ジレットは、ウォルマートのRFIDパイロット・プロジェクトに参加していますが、RFID連携で製造・流通プロセスの改革に挑んでいます。ICタグにより、ウォルマートの配送センターや店舗に商品が到着したことをチェックできるだけでなく、店舗の倉庫から販売フロアへ商品が移動したこともジレット側で知ることができる、というのはメーカーにはありがたいことでしょう。
 日本でも参考にしたドイツのメトロのフューチャーストアは、CeBIT 2006という欧州の展示会の出展で、Future Storeの実店舗で試験運用しているものを展示しました。さらに、ICタグが製品に付いて家庭でも利用されることを見越してか、ユーザー宅でのICタグの活用事例も紹介しているとのこと。これまでのメトロのフューチャーストアの試みについては、日経BPリアルタイムリテールの解説があります。

 食品関係では、やはりトレーサビリティの用途で利用されることが多いです。
 T-Engineフォーラム(代表:坂村健東京大学教授)が農林水産省などと共同で進めているユビキタス食品情報基盤システム実証事業が、三越・生協・サミットで行なわれました。サミットの実験では、肉や魚のパックを個別に追跡可能になったとのこと。
 日本酒の配送温度を適切に保つために、NTTデータ、トッパン・フォームズ、日本アクセス、日野自動車によるICタグ実験を3月27日から4月10日まで実施。日本酒の箱にアクティブ型で300MHz帯のICタグを付ける。輸送中にICタグに温度データを書き込むのだと思っていましたが、そうでなく、NTTデータのセンターに温度/湿度センサーのデータを常時送信するようです。ビンに付けるICタグは商品管理用で、センター側で各箱の温度状態データと結びつけるとのこと。それならば、なぜアクティブ型か、という疑問が生じますが。
 マテリアルフローのサイトに青果物EDI協議会のRFID活用トレーサビリティ実験の記事がありました。「ちば2004年アクションプラン実験事業」の一つとして、「千葉ブランド」農産品の確立を狙ったもの。
 菱食の広島フルライン物流センターでは、ICタグ付きのクレート(通い箱)を採用することで物流の効率化、誤配防止を狙っています。

 メーカーでの生産管理や在庫管理での利用も増えています。
 日経産業新聞2006.1.12によると、コマツは2006年度中に国内の全ての建設機械工場にICタグ(荷札)を使った生産管理システムを導入。部品を運ぶ台車やパレットにICタグを取付けて、部品ごとに細かく生産状況を把握。どこで部品が滞留しているかなどを突き止め、生産効率の改善に役立てる、とのこと。
 富士ゼロックスは、日中韓サプライチェーンにおける電子タグ実証実験で、製品、ケース、パレット、コンテナなどにUHF帯のICタグを貼付し、グローバルサプライチェーンにおけるモノの可視化、品質トレーサビリティの確保、受発注などの基幹システムとの連動におけるICタグの効果を検証。
 ヨークスは、手袋の生産管理にICタグを利用したシステムを導入。ICタグを使って手袋製品の進捗状況をリアルタイムに確認できるとのこと。
 リンタツは、ステンレスの在庫管理向けにICタグを利用したシステムを導入。出荷時の作業時間が半分になり,棚卸しにかかる時間も60%削減できるようになった、とのこと。

 ICタグに関するブログとしては、Ubicomp+Shoppingブログに、いろいろな事例や技術動向の情報が多く出ています。

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March 27, 2006

祝!特許電子図書館でPDF公報を文献単位でダウンロード可能に

 特許庁配下の独立行政法人「工業所有権情報・研修館」が運営している無料サービスである特許電子図書館で、本日からPDF公報を文献単位でダウンロード可能になりました。

 特許電子図書館のトップページに次のように書かれています。

 3/27(月)より、以下のサービスをリリースしました。
 (1) 特許・実用新案公報DBおよびテキスト検索において、
    PDF公報を文献単位にダウンロードおよび印刷が可能となります。

 以降は略

 実際に使ってみると、ロボットで自動的にPDF公報をかき集められることを心配しているのか、PDF公報の表示の前に次のような認証画面が出ます。

認証画面「下のイメージに表示されている認証用番号を入力して送信ボタンをクリックすると、PDFの表示、またはダウンロードが始まります。」

 というように、4桁の数字がイメージで表示されるので、これを読み取って入力すると、PDFの表示/ダウンロードがされました。この操作は少し面倒ですが、この位の不便は問題ないと思います。これまで、PDF公報が1ページ単位でした表示できませんでしたので、今回の機能アップはとてもありがたいことです。学生に自分で特許をダウンロードして読んでみなさい、と気軽に言うことができるようになりました。

 また、メニューの「審査書類情報照会」では、拒絶理由通知書などが見れるようになりました。どんな理由で拒絶されたかが手軽にわかりますので、こちらも便利です。
 ただし、特許電子図書館はメンテナンスが多いのが不満です。

 27日からと書かれていますが、この機能の内容は既に公表されていたようです。ブログを検索してみたところ、intmasterさんのブログにこの件に関する昨日のエントリがありました。

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March 24, 2006

ヤフー・セカンドライフの報道

 今週、ヤフーが来月から中高年向けサイト「ヤフー・セカンドライフ」を開設すると報道がありました。FujiSankei Business i. によると、従来のヤフーと違い「顔の見える情報発信者を設定」するとのことです。AllAbout.co.jp のガイドのように、「達人」や「サポーター」が登場するようです。これにはちょっと驚きました。

 中高年には、このように「人」の顔で情報を提示したほうが、ポータルの情報を信じてもらいやすいのでしょう。どんな感じで利用されることになるかを注目したいと思います。

 エキサイトはF1層(20歳~30代前半の女性)をターゲットにしたポータル作りで成功していますが、ヤフーのようなポータルが、団塊世代を競って狙いにきている感じです。団塊世代のネット利用が増えてきているためでしょうか。

 また、ヤフーは先週から、Yahoo!ブログ検索(ベータ版)も開始しています。多くのブログから検索しているようですし、検索結果画面に「検索ワードの注目度」も出ます。テクノラティが混んでいる時には使おうかと思います。

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March 22, 2006

「戦略的な情報システムの事例集」を更新

 本日、戦略的な情報システムの事例集のページを、約5カ月ぶりに更新しました。さぼっていたため、更新が延び延びになっていました。約30ほど事例を追加したため、合計で377事例となってしまいました。多くなり過ぎたので整理したかったのですが、春休み中には無理そうです。夏休みの宿題になりそうです。

 この事例集は、研究や教育のために役立ててもらうことを一番に考えています。同じ大学のある教員の方は、このページをExcelで編集し、オートフィルタして必要な事例を探している、と言っていました。研究や教育で使う方々には、そのように、必要なものを選ぶような使い方を想定しています。また、いろいろなIT企業の方々にも使っていただいているようです。最近、ある大手IT企業の方(面識のない方)から、urlが間違っているとの指摘を受けたり、あるソフトウェア会社の方から、「リンクしていいですか?」(よく聞くとイントラネット内から)という質問を受けたりしています。

 最近、Google Newsのようなニュースアグリゲータが、著作権問題で物議をかもしています。そのため、「人力の事例アグリゲータ」としては、事例の内容を抜粋したりまとめている部分の著作権は、その事例の著作権者に帰属することを明記しておきました。再利用された場合にやっかいな問題が生じるのを避けるためです。なお、全体として見ると、私のデータベース著作物と言って間違いないでしょう。

 最近、ランディスという会社が、事例ナビというサイトを作り、5月下旬に正式にオープンの予定とのことです。日経BPの記事で知りました。初年度で5000事例の掲載が当面の目標とのこと。がっばっていただきたいです。

 事例を集めている身からは、各雑誌や各サイトが、事例の概要をCaseXMLとでもいうような標準形式でネットに公開してもらえるとありがたいです。また、追加/更新した場合には、RSSで発信してもらえると処理しやすいです。このような標準化を期待したいですが。。。

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March 18, 2006

今日は卒業式でした

 今日は、文教大学湘南校舎の卒業式でした。今年度、私のところの4年のゼミ生は、全員無事に卒業できましたので、楽しく卒業式に出席できました。

 本日卒業するゼミ生には、次の本を贈りました。

   人生を励ます黄金の言葉(中野 孝次 著、講談社+α文庫)

 大学教員になって3年ですが、未熟者ですので、若者に適切な人生のアドバイスを行なうことの難しさを実感しています。「人生の師」には、そうそうなれそうにありません。卒業したら、直接教えてくれる先生はいません。ですので、これからの人生で何か困ったり悩み事が生じたら、本を読んで先人の知恵を手掛かりにして解決しないといけない場合が多いでしょう。
 そのため、書店でこの手の名言集をいろいろと探しました。他の本として、いい言葉は、いい人生をつくる(斎藤 茂太 著)という本も役立ちそうでした。こちらの本のほうが、名言に基づいて、どのような考え方をするといいかを具体的に分かりやすく示していたので、実用的だと思いました。しかし、若者には悩んだ時のヒントを与えてあげるだけでいいと思いました。ですので、内容は少し難しいですが、中野孝次氏が書かれた本のほうを贈りました。

 この写真では9名ですが、今年度私のところのゼミの卒業生は11名です。高橋さんと小柳さんは来るのが遅れ、集合写真には間に合いませんでした。ごめんなさい。(後で、高橋さんの写真を追加しました。)

 卒業、おめでとうございます。
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March 16, 2006

「ウェブ進化論」はあまりお勧めしません

 ウェブ進化論という本が売れているようです。しかし、私はゼミ生にはあまり勧めていません。1~2年の学生や他学部の学生で、グーグルのことをほとんど聞いたことのない人の入門用には、読んでもらってもいいかもしれません。安い新書ですし読みやすい文章なので、入門書としてさっと読むのには向いていると思います。

 しかし、次の点からあまり勧めていません。

・図が少ないのが難点。この本の中に図は2つしかありません。例えば、ロングテールのことを図なしで理解してもらうのは難しいです。ロングテールのことを初めて聞く人がどれだけ理解できるか疑問です。

・適切ではない表現がかなり見られます。タイトルに「進化論」を持ち出すのは、書籍販売のマーケティング上のテクニックでしょうか。最先端だけを書いて、それで全体の進化の方向だと訴えています。コンサルタントはこのようにインパクトのある表現をしがちですが、私には耐えられないです。ネットでは様々な動きがあり、こんなに単純化するのは問題です。「こちら側」と「あちら側」もやめてほしいです。誤解を生みやすい表現です。もしかして、この本の著者は、「ネットのあちら側」と「対岸という面のあちら側(シリコンバレー)」とを重ね合わせることで、多くの若者をシリコンバレーに呼び込もうとしているのではないか、と疑ってしまいます。P.34の「神の視点」も不適切です。ネットサービスでは「全体を俯瞰」することは多くの企業が行なっています。グーグルがしていることは桁が違うかもしれませんが、それで簡単に「神」を持ち出してもらいたくないです。というように、大学教員には書けないような大胆な表現をしていると思います。直感的には分かりやすいかもしれませんが、誤解を生みやすいのです。このような表現が好きな人もいるかと思いますが、私は嫌いです。

・「グーグルに勤める友人」からの話が何カ所か出てきます。ジャーナリストが書く本であれば、きちんとその会社のマネージャクラスの人にインタビューします。経営学者でも、キーマンにヒアリングしようとします。友人の話から判断するのでは、少し物足りないです。また、その友人について、グーグルに何年勤めているや、何の仕事をしているか、といったプロフィールの記述が無いのも不親切です。どのくらい信用できるか分かりません。また、P.62-63 に出てくるグーグルの考え方は、どこからの引用か(または、だれから聞いた話か)が明示されていません。

 この本は、雑誌のコラムやブログのエントリを再編集した本なので、その程度の本と思って読んだほうがいいかと思います。ゆめゆめ「名著」だと期待しないほうがいいと思います。

 グーグルについては、次のような本もあります。グーグルに関心をお持ちの方は、必要に応じてこれらの本も読んだほうがいいでしょう。

ザ・サーチ --- ジャーナリストが時系列でグーグルのこれまでをしつこく記録しています。

検索エンジン戦争 --- グーグルの会社の中のことにはあまり触れず、グーグルを中心に検索技術の流れについて解説しています。著者は、インプレスのINTERNET Watchというサイトで検索エンジンの裏側というコラムを担当されている方。

なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか--- 調査や取材は少し物足りないですが、企業文化や制度(20%ルール等)を含め経営理論に基づいてグーグルの経営を分析。

 他にも、1月にご紹介したForbesの記事や、TBSのがっちりマンデー川田亜子アナがグーグル日本法人のオフィスを取材した様子/画像などもグーグルを理解する上で参考になります。

[追記]
 今月から、グーグルの公式ブログGoogle Japan Blogが始まっていました。 このブログの内容も、グーグルを理解する上で役立ちます。「仕事も遊びも真剣」だそうです。

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March 10, 2006

RETAILTECH JAPAN 2006の感想

 昨日(3月9日)、ゼミ生3名と、有明の国際展示場で行われているRETAILTECH JAPAN 2006という展示会に行ってきました。私のゼミでは、eビジネス以外に、流通の情報システムも学ばせるのですが、座学だけでは実感が得にくいので、このような展示会に連れてきているのです。

 まず、東芝テックや富士通フロンテックなどがセルフレジを展示していました。数年前にこの展示会で展示している会社はありましたが、今回は実際に使ってみている人が多かったです。そのため、日本でも普及しそうな予感がしました。NIKKEI NETの記事があります。

 また、大手ITベンダーはそろって、買い物用カートに情報端末搭載を搭載したものを展示していました。富士通・イオン・大日本印刷がジャスコで日本版フューチャーストア実験中のお買い物ナビカートは、ICタグ付きの棚札にICカードリーダをかざすことで商品情報などを情報端末に表示できます。NECも情報端末の買い物用カート(買い物客の動線の記録も可能)を出展していました。NIKKEI NETの記事があります。見落としましたが、日立製作所も「センサーカート」(試験段階の製品) を出展していたようです。しかし、コストの問題がありそうなので、これらの普及はまだ少し先になりそうに感じました。

 「お買い物ナビカート」以外にも、他の「日本版フューチャーストア」(経産省の電子タグ実証実験)の展示も興味深かったです。ファミマ三越で行われている実証実験が、ゼミ生には好評でした。日本版フューチャーストアについては、Internet Watchの記事もあります。

 商業施設などで案内や巡回を行なうためのロボットenonが展示されていました。このロボットは、これまでテレビで見たことはありましたが、実際見てみると動作が結構かわいかったです。ゼミ生の女子学生も気に入ったようでした。尋ねられた商品が置いてある場所を示すのに、今のところは向きで知らせるだけですが、将来的には商品が置いてある場所まで案内するとのことでした。

 日立のミラグラフィ(ミラー型ディスプレイ)に、電子タグから製品情報を映し出すデモもおもしろかったです。アパレル商品であれば、その商品と合いそうな他の商品も映し出すような使い方も想定しているようでした。昨年9月の自動認識総合展では、シャツに合うネクタイを鏡に自動表示するデモをしていたようですが、今回の展示会では、そのデモは見れませんでした。

 その他では、流通システムの価格破壊のガルフネットが興味深かったです。SLAがどうなのか少し気になりますが、勤怠・売上・発注管理をまとめてASPで1店舗あたり月2万円と格安です。また、POSとケータイへの販促をつなげるiPOSは、現場からいち早くプロモーションができるというユニークな考え方だと思いました。自動発注やカテゴリーマネジメントの出品もいくつか見かけました。流通では一般的になってきたようです。

 私はざっとしか見ませんでしたが、隣で開催されていたIC CARD WORLDに関してはInternet Watchの記事があります。大学教員としては、FCFのICカード(キャンパスカード)を使った大学向けのソリューションが興味深かったです。

 出版物では、Chain Store Ageを発行しているダイヤモンドフリードマンから、Retail Technologyという別冊が出ていました。これは最新の話題がよくまとまっていました。また、Retail Technologyという情報サイトも、4月にオープンするとのことなので、期待したいです。

 RETAILTECH JAPANは、最終日でないのにかなり混雑していました。流通での積極的なIT活用は当たり前になったのだと感じました。会場では、中国語を話している人もかなり見かけました。中国からも注目されているようです。

 これらの情報は、近いうちに私の物流・流通(eビジネス・eコマースの動向と技術)のページに反映させます。

 昨日のうちにアップするつもりですが、ココログのメンテナンス作業の不具合から、遅くなってしまいました。

 本日、卒業者の発表がありました。私のゼミの4年生は全員、卒業分の単位を取得でき、無事卒業できることになりました。卒業おめでとう!

[追記](2006/3/11)
 食品スーパーマーケット最新情報ブログでRETAILTECH JAPAN2006のセルフレジのことが取り上げられていました。「セルフレジを使う顧客の目的は、店員や他の顧客に買い物の中身を見られたくないという心理が強く働く」とのことです。そのような面には気が回りませんでした。普及する上で、大事な点かもしれません。

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March 05, 2006

JALの中期経営計画に関して

 3月2日に発表されたJALの中期経営計画に関しての感想です。

 私のゼミから今年JALグループの企業に就職する学生もいるため、JALには是非がんばっていただきたいと考えております。また、以前JAL対ANAの特許問題を調べたりし、航空業界の情報システム利用には関心がありました。そのため、私は航空業界の事情にはあまり詳しいほうではないですが、中期経営計画への感想を考えてみました。

 まず、中期経営計画のリリース文にはないのですが、計画本文(PDF)には最初にあがっている「企業文化・意識改革の推進」はとても望ましい施策と感じました。この施策はあまりマスコミには報道されていませんが、サービスマネジメントでは「フロントライン」が最重要です。サウスウェスト航空のような事例を参考にして、ぜひ企業文化・意識改革を推進してほしいです。また、組織図を「逆さまのピラミッド」にするといった施策は、トップが言い出さないとできませんので、トップのリーダーシップが大切です。

 システム基盤強化の項目として、eビジネス関連やイレギュラー対応能力強化があがっていますが、イールドマネジメントへの情報システムの活用も積極的に考えたほうがいいかと思います。例えば、ANAは、PROSというシステムで、1便当たりの収益を最大化するために、最適な運賃(割引や団体も)やその座席配分を自動的に決定するシステムを導入し、導入前と比べ約80億円の増収効果(2004年)をあげています。また、ANAは最適機材配置モデルのための「ウイークエンドFAM」というシステムで、平日・週末における路線便数計画や運航機材の使い分けなどを実施して効果をあげています。具体的には、平日に出張客が多い路線で使う大型機を、週末にはリゾート地への路線の機材と交換して使うなど策をとっています。このようにANAでは情報システムの活用で収益向上に効果をあげているので、JALでも早急な対応が望まれます。

 JALでは、地方空港からリゾート地への国際線で、搭乗率がかなりよくても、収益が悪くなって撤退する路線がいくつかあったようです。これは、運賃の安い団体客が多く、ビジネス需要が少ないため、客単価が低いためのようです。このような路線では、上記のような機材の効率的利用や情報システムを活用しても利益が出ないようであれば、子会社に格安航空会社を設立して、その子会社に運航させることも考えてもいいと思います。需要はあるのですから、サービスの質を落としてでも、安易に撤退せずに路線の維持を図るべきでしょう。もちろん、格安航空会社を設立する場合は、JAL本体のイメージダウンにならないように、JALの名前が付かないような航空会社名にすべきでしょう。

 また、2006年度に黒字化することは目標にするべきではないと思います。まずは、利用者の信用を取り戻すことが先であり、運賃の値上げ(今年4月に予定)はその後のほうが望ましいと思います。そうでないと、負のループに陥ってしまうことも危惧されます。財務面だけでなく、バランスドスコアカードのような考え方で、顧客満足度なども考慮した抜本的な経営品質向上策を検討していただきたいです。2006年度に黒字化することを絶対目標にした計画に見えます。「企業文化・意識改革の推進」が進んで、もっと現場の声が計画にも反映されるようになることを期待します。

 中期経営計画とは関係ありませんが、マイレージ戦略でも注意が必要でしょう。日経産業新聞2006.2.7に「JALのマイルでANAにも乗れる!?  ポイント経済大膨張」という指摘がありました。マイル/ポイントの交換ができるルートをたどってみると、JALのマイルを、ローソン→楽天のポイントと経由することで、ANAのマイルに変えることができるらしいです。これでは顧客の囲い込みにはなりません。注意が必要です。

 人事面では、クーデターを起こすほどのエネルギーを持つ人材には、新事業開発(格安航空会社の設立など)をたくすなど、人材の有効な利用を考えるべきでしょう。航空業界は今後も厳しい状況が続くと予想されていますので、先手先手と手を打つことが望まれます。

 なお、ブログを検索してみたところ、航空業界に詳しい方からのJALの中期経営計画に対する感想として、ウイングトラベル編集長 石原さんのブログに感想が出ていました。

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March 02, 2006

ブログ検索サービス(4)

 ブログ検索サービスについて、これまで、11月9月8月にご紹介しましたが、まだまだ増えているようです。Internet Watch等でブログ専門検索のリンク集もまとめられ、最近はブログ検索サイトもレスポンスが遅い場合が多くなりました。多くの利用者が使い始めたようです。

 今日は、最近発表されたサービスをいくつか紹介します。

 まず、BuzzTunesという「評判検索」のベータ版は、BlogWatcherと似ていて、ブログ記事を「ポジティブ記事一覧」と「ネガティブ記事一覧」を分けて表示してくれます。ただし、スタート時(2006年2月23日)の検索対象ブログサイト数は約30万件とのことで、検索結果は少ないです。今後、検索対象ブログサイト数の増加を期待します。CNETの記事あり。

 Amebaクチコミ評判検索も評判が分かるサービスで、具体的に、株式銘柄・番組・スキー場などについて「今週の好感度ランキング」や個別の評判の時間的推移が分かります。そのようなジャンル毎に評判を比較したい場合には使えそうです。CNETの記事あり。

 So-netのBlog Keyword Visualizerは、キーワードの共起関係(同じ文の中に出現している関係)を分析してトリー状に表示してくれるようです。インストールしないと使えないので、暇な時に試してみたいと思います。japan.internet.comの記事あり。

 NHKのつながるテレビ@ヒューマンという番組でも使われているkizasiによるブログクチコミサーチのベータ版も公開されていました。

 企業向けの有償サービスとしては、検索サービスのガーラが、以前から2チャンネルや掲示板での誹謗中傷や風説のモニタリングサービスe-miningを提供していましたが、ブログにも対応しているようです。2006.02.28のテレビ東京のWBSで放送されていました。
 また、ガーラは電通と組んで電通バズリサーチというブランドイメージ等についてネットの口コミを自動分析するサービスを行っています。28日のCNETの記事によると、そのサービスに関して、企業向けのブログ評判分析サービスのブログウォッチャーエンタープライズ(東工大奥村研究室の技術をベース)を提供しているホットリンクと業務提携契約を締結したとのこと。そのように、企業向けにもブログでの評判が重要視されてきました。

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March 01, 2006

雫石スキー場の様子やガーラ湯沢遭難記など

 2/26~28 に、家内と雫石スキー場(雫石プリンスホテル)に行ってきました。2/26午後は雨で、2/27は吹雪で凍えてしまったため、2日間は早めに切り上げてしまいました。しかし、2/28は天気がよく、新雪の下はゴリゴリでしたが、まあまあ気持ちよく滑れました。視界がよく、岩手山や八幡平のほかにも、遠く早池峰山まで見えました。冬に早池峰山を見るのは初めてでした。夏と違い、神々しく見えました。ブログを検索してみたところ、takacさんのブログに、2/28に雫石スキー場から見えた山々の写真がありました。ありがたいです。その日、ゴンドラ降り場の近くで写真を取っている方を見かけましたが、その方のブログかもしれません。

 雫石プリンスホテルでは、FOMAの電波が来ていなかったのには驚きましたし、メールのチェックができずに困りました。私のケータイが壊れたのかと思いました。帰ってからドコモのサイトで確認したところ、雫石プリンスホテルのあたりは「平成18年6月末までの拡大予定エリア」になっていました。ですので、来シーズンは大丈夫でしょう。

 雫石では3日間のうち2日間は天候に恵まれませんでしたが、2/25にガーラ湯沢に行った人のことを考えると、よかったほうだと考えてしまいます。ブログにガーラ湯沢遭難記というのがありました。その夜、ガーラ湯沢では、何時間も多くの人が寒い屋外でゴンドラを待ち続け、その後、完全にゴンドラが止まったためギュウギュウ詰めでゲレンデのレストランに宿泊したようです。こんな体験記がすぐに読めるのがブログのいいところでしょう。(検索サービスのガーラという会社の情報を検索していたところ、たまたま見つけたものです。) 他に、遭難しかけた人のブログも見つけました。大きく揺れるゴンドラとは恐怖ですね。

 今シーズンのスキーは、1月に鯵ヶ沢に行ったのと今回と、2回だけでした。鯵ヶ沢でも見通しがいい日があり、海の向こうに渡島大島がうっすら見えました。これまで7回ほど行っていましたので、北海道は何回か見えましたが、渡島大島まで見えたのは初めてでした。今シーズンは、スキーはあまり上達しませんでしたが、景色だけは楽しめた感じです。

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