グーグルの20%ルールは義務づけ? Forbes「躍進グーグルの型破り経営 (Google Thinks Small)」より
本年もよろしくお願いします。
さて、Forbes日本版2006年2月号のFrom the worldに、「躍進グーグルの型破り経営」という翻訳記事があったので、買って読みました。どのように、グーグルが、Google Map、Google Print、Gメールなど、様々な新ビジネスを生み出しているかを理解したいと考えているためです。
その記事の中に、「グーグルはあくまでも社員のビジョンを重視し、社員は社内で過ごす時間の20%を、自分が担当している業務以外の関心を持つ分野に使うことが義務づけられている」という文章がありました。
グーグルがこのような20%ルールを採用していることは、CNET Japanの記事で知っていました。しかし、これまでのその手のルール(3Mなどの研究開発志向企業で採用。3Mでは15%)は、「ある程度以内の時間を担当業務以外の分野に使ってもいい、または使うことを奨励」といった制度を設けるものでした。そのため、グーグルもその程度と思っていましたが、「使うことが義務づけられている」というのは驚きでした。
検索してみたところ、この記事の原文(Google Thinks Small)がForbes.comにありましたので、20%ルールのところを確認しました。Workers are asked to spend 20% of their time on something that interests them, away from their main jobs. と書かれていました。"asked to spend" なので、「義務」と訳しても間違いではないでしょうが、もしかしたら、「奨励」位の意味かもしれません。
その他では、社員の間で先週何を行ったか(5行以内にまとめる)を共有するなど、情報共有を徹底している点も特徴的でしょう。
たぶんスペースの問題でしょうが、原文の一部は訳されていませんでした。しかし、訳されていない部分にも、興味深い内容がありました。We need generalists. というのも意外でした。研究開発を中心とした企業なので、技術的なスペシャリストを採用しているかと思っていましたが、様々なプロジェクトに参加するのに視野の広い人材のほうがいいようです。Googleの経営に関心のある方は、原文も読んだほうがいいと思います。
このGoogleの組織戦略とYahooの戦略(シンプルルール戦略など)を比べると、スピード重視は同じですが、大きく異なっていることを強く感じました。Googleは、上記のような20%ルール、情報共有、そして社員が様々なプロジェクトに参加することで、多様で素早いビジネス展開を可能にしているのだと感じました。
[追記](2006/3/12)
Forbesの日本語訳の記事の通り、グーグルの20%ルールは「義務付け」が正しかったです。ウェブ進化論という本の、P.86-88に「20%-80%ルール」として紹介されていました。「できない場合には評価に傷がつく」そうなので、義務付けといっていいでしょう。この本の著者の梅田望夫さんは、My Life Between Silicon Valley and Japanというブログを書かれているように、シリコンバレー企業の状況にとても詳しい方であり、グーグルに勤める友人もおありのようなので、間違いはないでしょう。
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