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December 04, 2005

アマゾンの「なか見!検索」と書籍流通の変革

 11月からアマゾンのなか見!検索が日本でも始まっています。ゼミ生に使わさせてゼミの授業の中で感想を聞いたところ、立ち読みよりも便利、といった意見も出ました。アマゾンで買い物したことのない学生は、検索できてもページの参照ができないことを不満に感じていました。「なか見!検索」の対象になる本がまだ少なすぎるが、アマゾンの売上げ増進に役立つのでは、という意見もでました。確かに、書誌情報の検索では求める本が見つからないときでも、「なか見!検索」で見つかることにより、コンバーションレート(購入に達する割合)が高まると思われます。
 アマゾン対抗の動きもあります。先週、店舗間の協調として、神保町の書店ネットが報道されました。神保町の三省堂書店は、10月から、町内の他書店と在庫情報を共有し始めたとのこと。探している書籍が三省堂になければ、在庫のある他の書店に案内する仕組みで、書店街全体としての顧客サービスを充実させて、神保町からの顧客離れを防ごうとしているようです。
 それ以外にも、リアル書店では顧客サービスをいろいろと工夫する余地があります。例えば、FSP(Frequent Shoppers Program)を導入するという手もあると思います。アマゾンが「なか見!検索」で既存顧客か否かをチェックしてサービスレベルを変えているように、リアル書店でも、優良顧客を優遇する手法を検討するべきです。ポイントカードを導入し、優良顧客(例えば、前年10万円以上その書店で書籍を購入した顧客)には空港のラウンジのような部屋でソファに座りながら本を選ぶことができるように(飲み物のサービスや相談サービスなども付加)すれば、顧客囲い込みとして効果的だと思います。少なくとも、一般に年間10万円以上書籍を購入する大学教員には魅力的であり、ネット書店では極力買わずに店で買うようになるでしょう。そのように、経験マーケティングの考え方で、リアル書店ならではの書籍購入時の経験の質を高めることが効果的でしょう。
 5月8日のエントリに示したように、出版・書籍販売の業界は、取次(書籍の卸)が中心になって、全体最適への動きも本格化してきました。先週、「トーハン桶川SCMセンター」(桶川計画) が部分稼動というニュースもありました。出版社との間での共同倉庫や情報システム連携によるSCMです。
 アマゾンは、「なか見!検索」を通して、どんなテーマの本を出せば売れそうか、という市場ニーズも分かるようになるでしょう(書籍の内容を検索して購入している客の傾向から)。また、市川に最近完成した巨大倉庫を活かして取次を通さない流通経路を拡大するようです。アマゾンでの返本率の低さは、出版会社にとっても、とても魅力的のようです。
 ともかく、ネットとリアルの両面で、これからも業界変革が進みそうです。というか、変革してゆかないと生き残れないでしょう。ところで、booplogというブログでは、出版業界のニュースを継続的に紹介してくれていて、とても役立ちます。

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Comments

リアル書店の今後のアプローチが面白いと思いました。
一年間は客がそれまで待っててくれるかという不安もありますが、優良顧客カードをもらった人達はいつでもジュース飲み放題とかっていう特典がつくと絶対に囲いこみできそうですよね。

Posted by: 通りすがり | February 12, 2006 at 02:18 PM

naoyannさん
コメントありがとうございます。リアル書店ももっと工夫するべき、という主張の一例でして、もっといい案があるかもしれませんが... 
まずは、御礼まで。

Posted by: hatakama | February 13, 2006 at 05:48 PM

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