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November 29, 2005

客室のネット予約を一元管理

 昨日の日経MJに「客室のネット予約を一元管理」というタイトルで、マップジャパンのサイト番頭というサービスの紹介がありました。これは、一般の宿泊利用者からは見えないBtoBの仕組みですが、旅行業界のeビジネス化にとって重要なサービスです。
 私は、昨年から今年初めにかけて、旅行業界のeビジネスについて調査してきました。現在、楽天トラベル・じゃらんネットなど、宿泊予約のネット化は進展しています。しかし、ネットで予約が入った際の予約サイトから宿泊施設への通知は、9割以上がまだFAXで行なわれているという話です。また、一般に宿泊施設はリスク分散のため、複数の予約サイトに空き室を提供しますが、それぞれの予約サイトにどの位の部屋数を提供するか迷うところですし、それぞれの予約サイトでの予約状況を見て提供部屋数を変えることも必要になるでしょうが操作はとても煩雑です。
 そのような問題に対して、既に、プラスアルファというベンチャー企業が、手間いらずという宿泊施設向けの予約サイトコントローラソフトウェアを販売しています。このソフトウェアは、金融のアカウントアグリゲーションがHTMLを切り貼り(スクレーピング)しているのと同じようなやり方で、複数の予約サイトとのやりとりを一元管理しているとのことです。「手間いらず」により、宿泊施設は、ネットでの予約状況を一元的に参照でき、さらには共有在庫のように扱う(複数の予約サイトに同じ空き室を登録して、一カ所で売れた際にすぐに他のサイトへの登録部屋数も減じる)ことができ、空き室を効率的に管理できます。
 マップジャパンの「サイト番頭」は、「手間いらず」と同様に、複数の予約サイトの予約管理を一元化できるとのことです。詳細は発表になっていないのでよく分かりません。「手間いらず」のように共有在庫のように見せることができるか否かが大きなポイントだと思います。予約状況を一覧表示するだけかもしれません。
 マップジャパンは、これまで、大手旅行代理店からの予約情報を宿泊施設に一元的に提供するビジネスでシェアトップでした。仕組みとしてはTL-Xという端末を宿泊施設に提供してきました。そのマップジャパンが、予約サイト対応を本格的に始めたのですから、業界にとっては大ニュースです。
 サイト番頭の仕組みとして、宿泊予約サイトからの通知を受けるのをTravelXMLに統一した点はとても評価できます。楽天トラベルもTravelXMLでマップジャパンに情報を渡すことに同意したようなので、業界としてのTravelXML普及が進み始めたようです。しかし、利用するための専用機器(X-WAN)、というのは解せません。PCをインターネットにつないで利用すればいいと思いますが、マップジャパンのビジネスモデルとして、宿泊施設とのネットワーキング(TL-Xから継承)を保ちたいという意図でしょうか?
 詳細が分かりましたら、また書き込みたいと思います。

[追記] (2005/12/2)
 プラスアルファ社の「手間いらず」を利用されているホテルの方のブログ(ホテルの裏側の話など)を見つけました。やはり便利なようです。また、儲かるホテル旅館のホームページ予約サービス研究というブログでも紹介されていました。

[追記] (2006/1/20)
 マップジャパンの方がご指摘いただきましたが、楽天トラベルはTravelXML形式でなくCSV形式でマップジャパンに情報を渡すとのことです。ですので、まだTravelXMLの普及が進んできたとはいえないですね。早とちりでした、失礼しました。

[追記] (2011/9/28)
 「サイト番頭」で検索してこのページを見つける人がまだいるようですので追記します。シーナッツ(マップジャパンの一部事業を引き継ぐ)は、旅行会社用の予約管理システム(TL-X)とネット販売用のサイトコントローラー(サイト番頭)を合体させて、TLリンカーンという製品にしました。ひとつの画面で、旅行会社とネット販売の残室数・販売数をリアルタイムで一元管理できるとのこと。

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