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November 08, 2005

携帯電話上にバーコードを表示して個人認証する特許の無効審判

 本日午後、特許庁での口頭審理を聞きにゆきました。9月に、JAL対ANAの口頭審理を聞きにいきましたので、今回が二度目です。今日の傍聴人は私を含め計15名でしたが、5~6人は特許庁の人のようでした。
 今日は、ジェネスという会社が持つ特許第3207192号「認証方法および装置」に対してデンソーウェーブが起こした無効事件(無効2005-80099)の口頭審理でした。この特許技術は、携帯端末(携帯電話等)上にバーコードを表示して個人認証を行う仕組みで関するもので、携帯電話へのクーポン配信/割引きや、携帯電話で請求情報をバーコード表示して決済するサービスで、使っている可能性があります。私のホームページでは、モバイル広告/携帯マーケティングのところに、ジェネスのサービスやこの特許のことを以前から載せています。なお、このジェネスの特許については、この無効審判の前に、成立直後に5箇所から異議申立てがされましたが、異議申立て不成立で維持が決定しました。つまり、もめている特許です。
 ビジネスとしては、デンソーウェーブはQRコード対応スキャナやQRコード生成ソフトウェアの販売はしてますが、システム全体の開発まではしていないようですので、ジェネスから警告されているとしたら、間接侵害の警告だと思われます。
 無効審判でデンソーウェーブ側は、2種類の材料で進歩性がないことを主張していました。1つは、たぶん「発券システム、券発行装置及び券使用装置」(特開平10-069553) のようです(口頭審理の場では公開番号を言ってくれませんでしたが、出てきた用語で検索したところ見つかり、図の特徴も一致するので、この公知例でしょう)。これは、旅館宿泊のクーポン等をバーコードで出力する発明ですが、デンソーウェーブ側は、特許第3207192号の特許は認証というよりも発券システムとも見ることができ、この公知例は途中に決済の処理が余分に入っているが、他の流れは同じであり、この公知例から容易に思いつく(進歩性なし)と主張していました。
 もう1つ、ワンタイムパスワードを生成する公知例を提示して、ワンタイムパスワードを生成するのと、この特許でバーコードを生成するのはよく似ている(つまり、進歩性が乏しい)、という主張もしていました。
 なお、ジェネス側は、この無効請求を受けて、既に訂正請求を行って(認められて)請求項を狭くし、新規性は逃れていました。無効審判の最中に、訂正請求ができることは知りませんでした。いろいろと勉強になります。
 進歩性の判断ですので、どちらにころぶか分かりませんが、一部の請求項は無効化されてしまうかもしれません。
 知財高裁の傍聴にも行ってみたいのですが、なかなかスケジュールが合いません...

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