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October 30, 2005

日経BPの知財Awarenessの中の解説へのコメント

 日経BPの知財Awarenessというサイトに土生弁理士が今月3日書かれたソフトウエア特許に関する現状とその行方という解説を見つけました。その中で、ビジネス関連発明(ビジネス方法特許/ビジネスモデル特許)の動向について解説されていました。かなり適切な内容だと思いますが、少しコメントを加えたいと思います。
 土生弁理士の解説の中の「実際に権利化された特許を分析すると,権利範囲が実施態様に沿って非常に限定された権利になっており,対象となるビジネス自体をその特許権だけで独占することは困難である。」というのは同感です。かなり限定された請求項しか権利化できないことが多いです。しかし、この状況に対して、周辺特許の出願や、元の出願を何回も分割することでより広い請求項を特許化することで、権利化を強めようとしている企業も見かけます。例えば、凸版印刷のマピオン特許は、特許第2756483号だけでなく、現在では周辺特許も含めると計10個の特許になっています。凸版印刷におけるデジタルコンテンツビジネスと権利問題という同社の法務部長によるセミナー資料の中で、「マピオン特許網」という表現がされています。また、以前ご紹介したJALの特許も、1つだけでなく、 元の出願を分割して、もう1つ特許化して、権利範囲を広げています。
 「ビジネス関連発明(ビジネス方法特許)に関する特許の成立は継続基調」ですが、特許庁の方針に対応して、このような特許戦略を取らないと、しっかりした権利化ができないということです。

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October 28, 2005

クチコミを広げる目的のブログ

 これまでいくつかのビジネスブログを紹介しましたが、今日は、クチコミを広げる目的のブログを2つご紹介します。
 まず、凸版印刷とクロスワープが始めたインターネットクチコミプロモーションでは、ブログやSNSで広告動画ファイルを自由に紹介・配布し、そこからコンテンツを視聴したユーザーが、配布した人に対してコンテンツ紹介に対する「クチコミ評価」を行い、その評価のポイントの総数を競うというもの。このプロモーションは、AISAS/AISCEASでの位置付けとしては、最初のAttentionと呼ばれる認知段階でしょう。こんな新しい商品/サービスがあるよ、ということを気付かせるために、ネットのクチコミを使おうとしています。
 次に、ラーメン花月が行なった花月マスターのキャンペーンでは、常連客のクチコミをネットにばらまこうといった狙いのブログを設けています。ラーメン花月は、キャンペーン期間に15杯以上食べた常連客を「花月マスター」として、一人ずつ花月マスターのブログの中で紹介しています。10/17の日経MJに記事がありました。ブログなのにコメントやトラックバックはできないようですが、日経MJの記事の中に、「初めは使える機能を限定し、運用しながら拡張する計画」と書かれているので、これから色々とできるようになるのでしょう。このプロモーションのAISAS/AISCEASにおける位置付けは、最後のShareの段階でしょう。自分の賞状の画像へのリンクバナーをブログやホームページに簡単に張れるようにしていて、「花月ラーメンのココが好き」といったクチコミがネットに多く出てくることを期待しているようです。マーケティング一日一考のブログに仕掛け人やその他の企画の情報がありました。開発は有限会社アンジーが行なったようで、その会社社長のブログに、花月マスターを先週納品と書かれていました。MovableTypeシステムで開発したブログとのことです。
 ビジネスブログで、トラックバックしてくれた人に何か景品を出す、といったクチコミの促進方法がこれまではありましたが、この2つの例のようにクチコミを広めてもらう方法がいろいろと工夫されてきています。

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October 22, 2005

ソフトウエア特許がソフトウエア分野のイノベーションを阻害している?

 先週、経済産業省より、「ソフトウエアの法的保護とイノベーションの促進に関する研究会」の中間報告として、ソフトウエア特許がソフトウエア分野のイノベーションを阻害している、といった内容の報告がありました。報告書(PDF)は、こちらへ。日経BPの記事あり。
 一目見て、かなり極端な意見であると感じました。ソフトウェア特許に慎重な立場の日本IT特許組合でさえ、コメントの中で、「ごく一部のソフトウェア特許は、イノベーションを減退させやすい」と置き換えるべきであろう、と指摘しています。
 ソフトウェアのイノベーション促進のために、特許に代わり、著作権による保護や、オープンソースという手段がある、と報告書にあります。しかし、著作権による保護については、同じような機能のソフトウェアを新規に開発されれば保護にはなりません。また、オープンソースによるイノベーションはまだまだ一部です。ですので、企業の研究開発によるイノベーションを促進するためには、ソフトウェア分野でも特許が一番重要だと思います。
 ただし、オープンソースのOSを使っている会社が、特許でOSの利用を差し止められては大いに困るのは確かです。このような場合の対応策を行政で考えてもらえることは結構なことだと思います。
 経済産業省ではコメントを受け付けていますので、もう少し考えてから、コメントしたいと考えています。

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October 21, 2005

インターネットマーケティング(AIDMAからAISAS/AISCEASへ)

 10/18の日経産業新聞に、電通が「ネットアクティブ 男女の情報&消費生活」という報告書の中で、従来のマーケティングでの購買行動のモデルAIDMAに代わり、ネットではAISASという商品購入過程になるため、新たな広告作りが求められると提言、と書かれていました。(Eコマース関連記事と私見のブログにコピーあり)。

AIDMA = マーケティングで顧客の購買行動を分析する枠組み
 Attention → Interest → Desire → Memory → Action
 (注意)     (関心)   (欲する)  (記憶)   (購入)

AISAS = ネットでの購買行動のモデル
 Attention → Interest → Search → Action → Share
 (注意)     (関心)   (検索)   (購入)   (共有)

 私も、以前より似たようなことを考えていました。利用者のネットでの購買行動を見ると、やはり、ネットではAIDMAではなさそうです。
 ・ネットではすぐに購入可能であるためMemoryは無いはず。
 ・買うにしてもどこが一番安いか?
 ・しかし、購入者は迷いがち。ショッピングカートに一度入れても捨ててしまう率は高い(6割位)。
 ・ネットでは、購入後の意見共有も盛ん。

 ですので、「電通さん、いい提案をしてくれた」と感じました。しかし、ネットを検索すると、AISASは電通が言い始めたのでなく、以前からある考え方でした。特に、宣伝会議2005.5.1号 P.57-58 に載って、広まったようです。その宣伝会議の解説には、AISCEASというもっと細かな段階分けがされていました。確かに、こちらのほうがネットでの購買行動を的確にモデル化できていると思いました。

AISCEAS = ネットでの購買行動のモデル(宣伝会議)
 Attention → Interest → Search → Comparison → Examination → Action → Share
                        (比較)      (検討)

 このAISCEASの提唱者は、アンヴィコミュニケーションズという会社で、ブログもありました。

 来週のe-ビジネスという科目でネット広告のことを取り上げるので、この辺りの話をさっそくしゃべる予定です。

[追記]

 その後、次のような記事も書いています。

AISASと普及理論との関係(2007)

AISASベースの統合モデル(2012)

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October 14, 2005

ノエビア、販売店ブログで販路拡大

 12日の日経産業新聞の「IT導入の現場」に、「ノエビア、販売店ブログで販路拡大」という記事がありました。ブログを直接的な営業の手段として大規模に利用する先進的な事例です。既に、500店以上の販売代理店がブログを開設していて、ブログを通して、顧客と密なコミュニケーションを取ることで、ノエビア商品を販売促進しています。
 販売代理店に対しては、NOEVIR BIZPARKというブログシステムにより、5-10分でオリジナルのブログを作成できるようにしていて、さらに、商品画像を簡単にブログに貼り付けることができ、その画像を利用者がクリックすると、ノエビアのECサイトに飛んで注文を受け付けることができるようにしています(注文に応じて販売代理店には手数料収入が入ります)。9/21に始まったサービスですが、次々と販売代理店のブログが増えていて、今後の展開が注目されます。ノエビアのリリース文(PDF)に狙いや仕組みが発表されています。ネット販売での手数料は会員登録をした販売代理店に支払われるとのことなので、ブログで新規顧客を開拓したいという狙いも強いようです。
 化粧品業界の情報システム利用では、対面販売の接客をITで支援したり、ネットの口コミを活用する動きがこれまでにありましたが、今回のノエビアの取り組みはネットでの接客をブログで効果的に行なうことができるかを試す大規模な実験といえるでしょう。
 ブログを検索したところ、Eコマース関連記事と私見ブログに10/12の日経産業新聞の記事のコピーがありました。「ビジネスブログ・トピックス」のコスメブログの解説には、ノエビア以外に、資生堂ビューティークリエーション研究所やAAC化粧品のブログも紹介されています。

[追記](2006/4/6)
 日経MJ2006年4月5日号の1面によれば、ノエビア各支店に技術インストラクターを配置したこともあり、ブログ数は1500に達したとのこと。

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October 05, 2005

Yahoo Japanの検索結果の表示が変わりました

 今週から、Yahoo!検索のリニューアルにより、Yahoo Japanの検索結果の表示の仕方が変わりました。これまでは、Yahoo Japanで検索すると、まず、Yahoo!カテゴリに登録された内容が上位に表示されていました。この仕組みは、「階層状に複式化されたドキュメントからの情報検索(特表2001-522097)」という特許出願をしている仕組みで、米国では、Information retrieval from hierarchical compound documents(USP 5,991,756)として特許成立している、Yahoo独特のものでした。今回は、その仕組みを少し後ろに持ってくる感じで、Googleのような検索エンジンに対抗するようにしたものです。検索結果の表示の中で、Yahoo!カテゴリについては1行だけ表示され、必要であれば、1回クリックすると従来のような表示もできます。ですが、Yahoo!カテゴリよりも、キーワードによるロボット検索が重視されるようになりました。
 この変更は、「ロングテール」と呼ばれるような、利用者からの検索用語の多様性が明らかになってきたためのようです。つまり、利用者が探している内容が、Yahoo!カテゴリに入っていることが少なくなってきたためのようです。しかし、この変更で、Yahooのリスティングビジネス(Yahoo!カテゴリへの有料登録による広告収入)に影響が出るかもしれません。そのような影響がありえても、検索のインタフェースを変更する決定をしたことに、YahooがGoogleのビジネスを強く意識していることが分かります。

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October 02, 2005

松下電器 vs ジャストシステム 特許問題 (2)

 2月にご紹介した松下電器 vs ジャストシステム アイコン特許訴訟事件に対して、予定通り9/30に知財高裁から判決が出ました。朝日新聞では1面で報じていましたので、見た人も少なくないと思います。
 結論としては、松下の特許が無効と判断されました。そのため、特許侵害もなくなったわけです。4月の特許法改正で、特許侵害裁判でも同時にその特許の有効性を判断できるようになったため、このような判決がでてきたようです。
 判決の解説は、知財ブログ只今療養中さんのブログなどで解説されていますので、関心のある方はご覧下さい。
 松下の立場から見ると、この特許が無効化される危険性がどの位かを、訴訟を起こす前に確認したほうがよかったと思います。Context-Sensitive Helpのことが分かる研究者に聞けば、無効化される危険性がかなり高いことが分かったはずです。このように無効化されてしまえば、もう持ち球として使うことができないのです。持っていれば、広く侵害を訴えることができるものだったので、警告された場合のカウンターとして防御にも使えたでしょう。松下の知財部門の知財で攻める方針は悪くないと思いますし、ジャストシステムに警告したことも問題ないと思います。しかし、この微妙な特許1つだけで訴訟するのは自重したほうがよかったでしょう。
 先週後半はひどい風邪で寝込んでいましたが、やっと回復したしたので、明日は教壇に立てそうです。

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