松下電器 vs ジャストシステム 特許問題 (2)
2月にご紹介した松下電器 vs ジャストシステム アイコン特許訴訟事件に対して、予定通り9/30に知財高裁から判決が出ました。朝日新聞では1面で報じていましたので、見た人も少なくないと思います。
結論としては、松下の特許が無効と判断されました。そのため、特許侵害もなくなったわけです。4月の特許法改正で、特許侵害裁判でも同時にその特許の有効性を判断できるようになったため、このような判決がでてきたようです。
判決の解説は、知財ブログや只今療養中さんのブログなどで解説されていますので、関心のある方はご覧下さい。
松下の立場から見ると、この特許が無効化される危険性がどの位かを、訴訟を起こす前に確認したほうがよかったと思います。Context-Sensitive Helpのことが分かる研究者に聞けば、無効化される危険性がかなり高いことが分かったはずです。このように無効化されてしまえば、もう持ち球として使うことができないのです。持っていれば、広く侵害を訴えることができるものだったので、警告された場合のカウンターとして防御にも使えたでしょう。松下の知財部門の知財で攻める方針は悪くないと思いますし、ジャストシステムに警告したことも問題ないと思います。しかし、この微妙な特許1つだけで訴訟するのは自重したほうがよかったでしょう。
先週後半はひどい風邪で寝込んでいましたが、やっと回復したしたので、明日は教壇に立てそうです。

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Comments
知財ブログのpattomです。TBありがとうございました。すばらしいブログで関心しております。また、HP掲載の研究等大変興味深く拝見しました。今後ともよろしくお願いします。
Posted by: pattom | October 03, 2005 11:30 PM
pattomさん
お越しいただきありがとうございます。
知財ブログさんのほうも、なかなかの内容とお見受けいたします。ときどき伺いますので、よろしくお願いします。
Posted by: hatakama | October 04, 2005 04:05 PM
“只今療養中”のPecanです。遅くなりましたが、TBありがとうございました。当方の拙いblogにも先生のリンクをたどってかなりの人がいらっしゃっているようです。
ビジネスモデル特許についてはほとんど接する機会がなく自分の理解の及ばない部分も多いのですが、これを機に意識を持っていきたいと思います。
Posted by: pecanfudge | October 30, 2005 11:41 AM
Pecanさん
お越しいただきありがとうございます。
“只今療養中”のブログを時々見させていただいております。特許男のことも、Pecanさんのブログで知りました。おもしろかったです。
ありがとうございました。
Posted by: hatakama | October 30, 2005 07:40 PM
はじめまして。
この記事に触発されて、「特許無効化の成功確率を考慮した、権利行使に使用する特許権の構成と件数」という標題の記事を書いてみました。
http://www.patentisland.com/memo116.html
ありがとうございました。
Posted by: 久野 | January 14, 2006 08:07 PM
久野さん
コメントありがとうございます。
無効資料の発見確率が8割とすると、特許が5件あると、すべてを無効化できる確率は33%になり戦意が減退する、というのは、とても分かりやすいですね。ありがとうございます。
私は、企業にいた頃は開発部門にいましたので、回避する場合のことも気になります。特許を回避することで、コストアップ・性能劣化・機能不足になることが多いです。例えば、1つの特許を回避すると2割のコストアップになるとすると、5件の特許をすべて回避すると、1.2の5乗で2.5倍ものコストアップになってしまって、競争力が無くなってしまう、という計算式も浮かびました。
Posted by: hatakama | January 17, 2006 12:45 PM
幡鎌さん
知的財産権の分野は、権利だけに法律論が主流です。しかし、知的財産とは、財産的価値のある情報ですので、数学や情報処理技術の対象となるはずです。さらには、知的財産権の活用、知的財産の活用には、ゲームの理論や組み合わせ最適化問題や人工知能などが必要となります。しかし、このような方向の研究はほとんど行なわれていません。
ユビキタスネットワークでは、センシング機能、ID機能、知識情報、アクチュエータ、コンピュータが分散配置されるとともに、ネットワークで結合したものとなります。このようなネットワークを用いて、いつでもどこでも人間の要求に応じた各種のサービス提供をネットワークがするように進化していきます。そうすると、一時的なサービス提供のために、センシング機能、ID機能、知識情報、アクチュエータを組み合わせて何らかの適切な機能を一時的に自動形成することになるでしょう。
http://www.patentisland.com/memo59.html
このような時代には、知的財産に関する数学や人工知能の適用が必要になると考えます。先の私のコメントも幡鎌さんのコメントも、知的財産分野への数学の適用の先駆けになっているように感じました。
Posted by: 久野 | January 21, 2006 03:51 AM