自治体でのオープンソースの利用が、急速に進みそうな気配です。いろいろと事例が出てきましたし、検討しているところも多いようです。そこで、現在の動向や事例を、行政向けサイトやブログ等を参考にまとめてみました。
自治体での情報システムのコスト削減策として、共同運用による運用費用の削減が広く行なわれていますが、オープンソースによる開発費やライセンス費用の削減に取り組むところが増えています。また、コスト削減だけでなく、分割発注して地元の中小ベンダーに発注したい(大手ベンダーに囲い込まれたくない)という背景もあるようです。この辺りの事情は、オープンソース・ジャパン社長によるオープンソース導入で地域経済活性化をという解説があります。また、コストが高くなる原因については、kssqさんのブログに詳しく解説されています。自治体サイドから見た調達の課題は、日経BPガバメントテクノロジーの特別座談会に調達する側からの本音が載っています。長崎県はオープンソース利用によって約60%を地元ベンダーへ受注できたと喜んでいます。ベンダー側でも、三菱総研はオープンソースと政府というサイトを作って、オープンソース利用の動向を発信しています。これは、手嶋守さんのブログに紹介されていました。
事例としては、香川県のWebサイト管理システム・山梨県のコンテンツ管理システム・熊本県八代市のコミュニティ・サービス・倉敷市の市立学校を結ぶコミュニケーションポータル・東京都目黒区の各種サーバなど、とても増えています。また、オープンソースのコンテンツ管理システムXOOPSのサイトを見ますと、多くの自治体で使われているのが分かります。
LINUXやオープンソースのDBMS/開発ツールの利用だけでなく、開発したアプリケーションをオープンソース化(GPLのような公開ルール以外に、自治体にのみ公開するなどを含む)しようという動きがあります。これは、特にシステム基盤を自治体間で共有することで、開発・運用のコストをさらに削減しようという狙いのようです。高知県、京都府、岡山県など8自治体で基幹業務をオープンソース化する例・八戸市の出生届に関するマルチ電子申請の例・兵庫県洲本市でオープンソースを活用し地域振興を試みるOSCAプロジェクトの例など、最近になって目につくようになりました。
また、オープンソース化する際には、プログラムの著作権の問題も重要になります。やはり自治体側で著作権を持たないと、自由に公開や共有はできません。佐賀市とITベンダーが共同で持つ契約で基幹システムを開発したという記事の中で、韓国では当たり前のように著作権に関しては自治体もしくは国側に帰属される、とありました。これからは、日本の自治体でもプログラムの著作権の自治体側への帰属を主張することが多くなるでしょう。開発時には多少はコスト高になるかもしれませんが、オープンソース化などのメリットは大きいです。
ただし、オープンソースは、特許には弱いです。ソフトウェアの特許は、どのようなロジックで処理するかを記述して権利化しますので、ソースを公開してしまうと、侵害していることの言い訳ができません。そのため、欧州ではソフトウェア特許には消極的です。なお、ビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)は、アプリケーションやシステム全体の特許であり、どのようにビジネスに役立つかも含め記述するものなので、自治体のオープンソース化にはあまり関係してこないと思います。
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