書籍販売・出版業界(特に取次)の情報化
書籍販売・出版の業界は、SCMが進んでいないと言われてきました。書店での販売状況が出版社になかなか伝わりにくく、返本が多いため、書店からの発注に対して出版社が少なめに出荷するなど、疑心暗鬼になっている、という話を聞いたことがあります。書店では、文教堂が販売状況を出版社に提供するなどしていますが、取次(書籍の卸)の取り組みはまだまだでした。しかし、最近、取次を中心にした動きが活発です。
5月4日の日経MJに、書籍の取次(卸)の日販の出版社向けの情報提供サービスが載っていました。市中在庫状況が分かるようにしたり、返本の実態を把握できるようになるようです。具体的には、4/18付けの日販のリリースによると、www.projectのインフラ「オープンネットワークWIN」(出版社向け情報提供)に、①「市中在庫分布」の表示機能、②「チェーン店別実績」の表示機能、③ SCM店・データ開示店の集計機能の3機能が追加になったとのこと。
また、取次は書店向けに、書店の店頭在庫などを管理するASPサービス(一種のリテールサポート)も提供しています。大阪屋の書店向けシステムWeb-OPASは、2003 年 12 月から稼働しています。Microsoftのサイトの事例紹介に詳しく載っています。日販やレコード卸の星光堂も似たような仕組みを提供しているようです。書店の囲い込みには有効でしょう。また、4月に始まったほんつなというコミュニティサイトは、大阪屋のコミュニケーションポータルで、出版社や書店などのブログを見つける仕組みのようです。BK1のブログよりも双方向性がありそうなので、期待したいです。ただし、出版社の編集者の方のブログに、「ほんつな」に協力する編集者は、どれだけいるのだろうというご意見を見つけました。
3月7日の日経MJの1面には、「出版界 流通改革、返本洪水せき止めろ」という記事がありました。こちらは主に物流の仕組みについてで、トーハンの桶川計画と呼ばれる大規模な流通センター(共同倉庫)や、出版共同流通の話が載っていました。物流面でも、大きな改革が進行中です。将来はICタグも利用されるようになりそうですし、物流改革と情報システムによって、効率化が進むと思われます。読者としては、書籍の値段が少しは下がってくれることを願いたいです。
なお、こちらも3月のニュースですが、本屋業界ニュースのブログに、出版社と書店の直接取引の物流、決済業務を行う新会社「エックスチェンジ有限会社」設立、という情報がありました。取次を通さない仕組みは、ヤマト運輸のネット書店などでは行なわれていますが、どうなるでしょうか?
これらの情報は、近いうちに、書籍・出版(業種毎のeビジネス)に追加する予定です。
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