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May 28, 2005

オープンソースによる外食チェーン向け受発注システム「セルベッサ」

 本日、東京理科大学で行われた日本知財学会の学術研究発表会に行ってきました。午前には分科会毎のセッションがあり、私は「知的財産のオープン化戦略の有効性と課題(知財ビジネス分科会)を聞きました。パネルディスカッションの中で前川徹氏(富士通総研。90年代のニューヨークからの前川レポートで有名)が紹介したオープンソースによる外食チェーン向け受発注システムセルベッサの話が興味深かったです。
 オープンソースといえば、OSやDBMSなどシステムソフトウェアがほとんどですが、ニユートーキヨーが開発し1999年7月より稼動しているセルベッサは、あえてオープンソース化し、他の外食チェーンでも利用されているとのことです。オープンソース化した狙いは、(1)保守・サポート企業が増えるはず、(2)開発者のモラルアップになる、(3)開発会社の倒産や開発者のリタイア等のリスクに対応できる、といった狙いとのことです。一見、知的財産を捨てるようにもみえますが、オープンソースコミュニティをうまく使おうといううまい知恵だと感じました。これからも、このような例がでてくるかもしれません。
 私は聞きませんでしたが、セルベッサについては一般発表で横浜国大の竹田助教授からも発表があったようです。竹田助教授のオープンソースの研究のページにセルベッサ関連の論文などがあります。
 最近では、PostgreSQL対応(もともとはOracleを利用)したニュー・セルベッサが開発されていて、先月無償公開されたとのことです。
 日本知財学会の大会で、私が研究しているビジネス方法特許についてはほとんど議論されてないのは、少しさびしかったです。

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May 24, 2005

e-コレクトの特許

 昨日の日経産業新聞の17面「こうすれば売れる わが社のこだわり」に、佐川急便のe-コレクトが載っていました。その中で、米国では取得したとのことでしたので、調べてみました。Card payment method and card payment system for door-to-door delivery (US特許番号 6,848,615)という特許が今年2月1日付けで登録になっていました。宅配は "door-to-door delivery" と訳していました。この発明はJCBとの共同出願で、国際出願(特WO2002/017174)していたのは知っていましたが、早くも米国で成立していました。方法とシステムの請求項でした。このようなビジネス方法特許(ビジネスモデル特許)の審査は、米国のほうが甘めなので、日本では必ずしも成立するかは分かりません。
 なお、昨日の日経MJには、ヤマト運輸も宅配便カード決済を始めることが載っていました。カードビジネスのネタ帳というブログにも解説があります。万が一、上記の特許が日本でも成立するとこれは問題になるかもしれません。また、ヤマト運輸の発表時期に合わせて、佐川が上記の記事を載せるように計ったとすればすごい技です。

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May 21, 2005

論文発表など

 昨日午後、電子情報通信学会 ソフトウェアインタプライズモデリング(SWIM)研究会という場で、旅行業界でのeビジネスとその情報システム利用の動向と課題という論文を発表してきました。私は、経営情報学会というどちらかというと文科系の学会でよく発表していますが、ソフトウェア開発に関する研究者が中心であるSWIM研究会は二度目の発表でした。
 学会という場では、いつもそうですが、何らかのありがたい御意見をいただけます。自分で研究していると、熱心に研究すればするほで視野が狭くなりがちであり、学会の場で、他の研究者の方からの指摘で、「そんな見方やアプローチ方法もあるのか」といった点に気付かされます。昨日もありがたい御意見をいただけました。
 旅行業界のeビジネスについては一通り調べて課題をあげるところまでできたので、今後は様々な業界での先進的なBtoBの仕組みについて、ビジネスも含めたモデリングに関して研究してゆく方針です。ネタやアイデアをこれから練っていって、夏休みにまとめる予定です。
 また、昨日午前中は、有明の国際展示場でのIPA X2005というイベントに行ってきました。私は、初級シスアド(IPAが行っている情報処理技術者試験の1つ)取得のための科目も大学で担当しているため、情報収集してきました。IT経営百選にも興味がありましたが、昨日はあまり情報提供がありませんでした。ビジネスショウ自体は規模が縮小していましたが、このようにIPAが何を行っているかを紹介するオープンなイベントを開くことは、IPA予算の透明性につながるいい取り組みだと思います。

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May 10, 2005

JTBの海外個人旅行販売戦略

 昨日の朝日新聞の夕刊に、JTBの海外旅行に関する広告がありました。JTBは30億円を投じて海外旅行予約販売システムを構築して5月から利用し始める、ということを、日経情報ストラテジー5月号の記事(ネットの記事を読むためには登録要)で知っていたので、これがそうかと分かりました。パッケージツアー商品、航空券、ホテルといった商材を一元管理できるようにすることで販売を促進し、自由旅行分野でHISに食い込むことを狙っているようです。
 体制としても、海外個人総合旅行販売戦略を刷新というリリースや、日経産業のJTB 海外旅行の販売体制を一新という記事に詳細が載っています。個人自由旅行を企画する専門担当者を、主要店舗に計80人規模で配置。パッケージツアーと窓口を一本化して販売機会を拡大し、パック旅行に飽き足りない顧客層を取り込もうという意図です。まずは、首都圏と関西圏を中心とした59店舗に社内資格「トラベルコーディネーター」を取得した専門担当者を置くようです。関連して、自由旅宣言というページも作られていました。
 情報システムだけなら、すべての支店から利用できるようにすることは簡単でしょうが、やはりJTBでもすぐにすべての支店の販売員が自由旅行を扱えるようにはできなかったのでしょう。HISでも「はずれ」の販売員はいました。私の場合、HIS等に電話して航空券を頼む場合、応対した販売員と少し話をしてみて知識に問題ないと分かった時点で、航空券をお願いすることにしています。ストップオーバーなどの用語を出して知識を確認してみるのです。海外旅行は高価な買い物ですので、販売員の知識が不十分では、顧客満足度を下げてしまいます。JTBとしても、社内資格などで十分に教育した上で、自由旅行を扱えるようにする支店を増やしてゆくのでしょう。2006年度中に全販売店に広げる予定だそうです。
 また、このJTBの店舗向けのシステムの一部をネットで公開して、オンラインでも予約できるようにもする計画があると、どこかで見ました。日本でもやっと、ネットで「ダイナミックパッケージング」が始まりそうです。こちらも期待したいです。なお、Expediaが日本進出するという話もあるようです。2月の情報ですが、noglogさんのブログの情報を見つけました。

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May 08, 2005

書籍販売・出版業界(特に取次)の情報化

 書籍販売・出版の業界は、SCMが進んでいないと言われてきました。書店での販売状況が出版社になかなか伝わりにくく、返本が多いため、書店からの発注に対して出版社が少なめに出荷するなど、疑心暗鬼になっている、という話を聞いたことがあります。書店では、文教堂が販売状況を出版社に提供するなどしていますが、取次(書籍の卸)の取り組みはまだまだでした。しかし、最近、取次を中心にした動きが活発です。
 5月4日の日経MJに、書籍の取次(卸)の日販の出版社向けの情報提供サービスが載っていました。市中在庫状況が分かるようにしたり、返本の実態を把握できるようになるようです。具体的には、4/18付けの日販のリリースによると、www.projectのインフラ「オープンネットワークWIN」(出版社向け情報提供)に、①「市中在庫分布」の表示機能、②「チェーン店別実績」の表示機能、③ SCM店・データ開示店の集計機能の3機能が追加になったとのこと。
 また、取次は書店向けに、書店の店頭在庫などを管理するASPサービス(一種のリテールサポート)も提供しています。大阪屋の書店向けシステムWeb-OPASは、2003 年 12 月から稼働しています。Microsoftのサイトの事例紹介に詳しく載っています。日販やレコード卸の星光堂も似たような仕組みを提供しているようです。書店の囲い込みには有効でしょう。また、4月に始まったほんつなというコミュニティサイトは、大阪屋のコミュニケーションポータルで、出版社や書店などのブログを見つける仕組みのようです。BK1のブログよりも双方向性がありそうなので、期待したいです。ただし、出版社の編集者の方のブログに、「ほんつな」に協力する編集者は、どれだけいるのだろうというご意見を見つけました。
 3月7日の日経MJの1面には、「出版界 流通改革、返本洪水せき止めろ」という記事がありました。こちらは主に物流の仕組みについてで、トーハンの桶川計画と呼ばれる大規模な流通センター(共同倉庫)や、出版共同流通の話が載っていました。物流面でも、大きな改革が進行中です。将来はICタグも利用されるようになりそうですし、物流改革と情報システムによって、効率化が進むと思われます。読者としては、書籍の値段が少しは下がってくれることを願いたいです。
 なお、こちらも3月のニュースですが、本屋業界ニュースのブログに、出版社と書店の直接取引の物流、決済業務を行う新会社「エックスチェンジ有限会社」設立、という情報がありました。取次を通さない仕組みは、ヤマト運輸のネット書店などでは行なわれていますが、どうなるでしょうか?
 これらの情報は、近いうちに、書籍・出版(業種毎のeビジネス)に追加する予定です。

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May 04, 2005

ICタグの販売現場での活用(三越など)

 本日の夕方6時のNHK総合のニュースで、三越日本橋本店の婦人靴売り場でICタグが使われ始めたというレポートがありました。この話は、日経BP リアルタイムリテールの事例紹介で知っていましたが、映像を見てどのように使うかがよく分かりました。一般に百貨店の靴売り場では、店頭に出ている靴の十倍近くの数が倉庫に保管されているとのこと。他のサイズ/色の靴が無いかを店員に尋ねると、かなり待たされるのが普通でした。それを解消するためにICタグを活用しようというものです。タッチパネルPCを使って在庫を検索することができるようにしたシステムで、PCの前の台の上にICタグの付いた商品を置くだけでよいのです。そうすると、その種類の靴の他のサイズ/色の在庫状況をタッチパネルで調べることができます。テレビでは話は出てきませんでしたが、棚卸し時間も大幅短縮できるようです。タッチパネルPCについては、実験時点でのUNISYSの事例紹介の写真のほうがよく分かります。
 リアルタイムリテールの事例紹介によると、実験では、販売につながった接客時間は約12分と以前とあまり変わらないが、商品を紹介した回数がそれ以前の平均1.7回/1.8回から、3回弱に増え、成功率も高くなっていると思われ、販売につながらなかった接客時間は大幅に短縮された、とのこと。効果がありそうです。
 この話について、ファッション流通ブログde業界関心事によると、百貨店の靴売り場は、一般的に靴メーカーではなく、靴問屋さんの縄張りだそうで、靴問屋さんの重い腰が上がらなければ出来なかった話、ということです。
 海外での、販売現場でのICタグの活用については、官民合同ICタグ米国視察調査の結果報告に、プラダ・ソーホー店(ニューヨーク)でのICタグ利用が紹介されています。ICタグ付き商品を試着室のアンテナ付きクローゼットに持ち込むと、当該商品のデッサン、素材、色、サイズの情報やファッションショーのビデオが見られるなど、買い物を楽しくする情報が提供される仕組みになっている、とのこと。日経BP リアルタイムリテールのRFIDイノベーションセンター(独のメトログループ)の解説には、インテリジェント試着室や、スマートシェルフ(RFIDリーダーを設置した商品陳列棚で、どの商品が手に取られたか、つまり興味を持たれたか、が分かる仕組み)が紹介されています。
 他に、ICタグが販売現場で利用されている事例としては、日産カレスト座間の事例が、日経コミュニケーション2005/2/15号に紹介されています。中古車を探す顧客にPDAを貸与し、無線LANと無線ICタグを駆使し、PDAからは(1)車両の展示位置の検索,(2)車種や年式,修復歴など詳細情報の閲覧,(3)試乗の申し込み,(4)概算見積もり、ができるようにしたとのことです。
 今後も、ICタグの活用が進みそうです。

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