松下電器 vs ジャストシステム 特許問題
私は、大学教員になる前には一般企業でソフトウェアに関する仕事をしており、その中で数年ほどはソフトウェアの特許に関する仕事をしていましたので、最近報道された松下電器 vs ジャストシステム の特許事件には、関心は高いです。特に、私はオンラインヘルプの特許(「ヘルプ画面表示方法およびヘルプ画面表示装置」特許第3488525号)を以前発明しているため、気にかかる事件です。
まず、松下が特許侵害で訴えているオンラインヘルプの特許(特許第2803236号)は、俗に "context-sensitive help" と呼ばれる機能のことです。松下電産がその分野で強い技術を多く持っている、というわけではないでしょうが、侵害しているかが分かりやすいので、訴えたのでしょう。ソフトウェアの特許では、内部の仕組みを権利化することが多いですが、それでは外から見て侵害しているかが分かりにくいです。ところが、この特許は、アイコンやヘルプを表示する方法を権利化しているので、訴えやすいと言えるでしょう。
なぜ、ジャストシステムがターゲットになったのか、全く分かりませんでしたが、
ジャストシステムの会見の記事を読んでみて、これでは狙われてもしかたない、と感じました。まず、「当社が負ければ、世界中に問題がおよぶ」とジャストシステムが言っていますが、松下はPCを販売していますので、マイクロソフト側は、特許で訴えられないような契約を結んでいるはずです。独禁法で、欧米で大きな問題になり、日本でもニュースになっています。そのことを知らないのは非常識です。また、「パソコン用ソフトに、ワープロ専用機の特許が適用されるのは認められない」という主張も耳を疑います。ソフトウェア特許の事情をよく分かっていないと思います。
一番いいのは特許自体をつぶす(無効にする)ことですが、それをせずに、特許侵害していないことだけを訴えているだけでは、弱い特許部門だと思われるでしょう。このような弱い特許部門は、狙われてしまっても仕方ないと思います。ジャストシステムさんがんばって、と言いたくなります。
また、松下は文書検索の特許を多く持っているため、ジャストシステムはターゲットとして魅力的だったのでは、とも感じました。松下は、パナサーチという文書検索ソフトを開発しているため、ジャストシステムよりも文書検索の特許を多く持っています。「文書検索」というキーワードや、「G06F 17/30」という特許IPC分類で、両社の特許を検索してみると分かります。文書検索は、内部の仕組みを特許化することが多いので、今回の特許のように簡単には訴えることはできないでしょうが、一度ジャストシステムをたたいておけば、いくらかは特許料を取れるのではないか、という算段かもしれません。あくまでも推測ですが...
他のブログを検索してみましたところ、
「差し止めになったとしたら暗黒時代の幕開け」という御意見の方や、「松下のやり方は、PC業界や消費者に悪影響を与える」という御意見の方や、「妥当な判決で、松下の作戦勝ち」という御意見の方など多種多様です。いろいろと考えさせられる事件ですが、ライブドアとフジTVとの間のいざこざよりもこちらのほうが高度な議論ができると思います。

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