May 06, 2008

[書評] 「顧客の時代がやってきた 売れる仕組みに革命が起きる」

 連休中に、「顧客」の時代がやってきた 「売れる仕組み」に革命が起きるという本を読みました。

 この本を一言で表わすとすると、次のような本と言えるでしょう。
 ネット化などにより「売り手主導型市場」から「顧客主導型市場」へと変化している中で、「リアル企業」がどのように対応すればいいか、ということを米国の動向から考えるための本。

 まず、この本が問題提起しているは、従来の「売り手主導型市場」(P.28) から、「顧客主導型市場」(P.29) への変化のことです。この「顧客主導型市場」は、「マス・ニッチ・マーケット」であると指摘していますが、ロングテール理論における「豊穣の経済」のことといえるでしょう。消費者から見ると「豊穣」に見えますが、売り手から見ると「顧客主導型」と見えます。
 アンダーソンのロングテールの本では、主にデジタル商品を対象にしているため、通常のリアル流通業の「売り手」が、このような 「顧客主導型市場 (豊穣の経済)」にどのように適応すればいいかの方法論について、ほとんど取り上げていません。他でも、リアル流通業に対してそのような方法論を提示した本は見かけませんので、この本の意義を感じます。

 内容としては、米国のスーパーストアや通販企業で、顧客主導型市場に生き残れるような優れた事例を紹介しています。さらに、先進事例として、8章では「エクスペリエンス・デザイン」を実践する企業の事例、9章では顧客のライフスタイル設計を支援する小売業(著者は「ライフスタイル・マーケター」と呼ぶ)の事例を紹介していて、興味深かったです。

 難を言うと、2章以降は図が少なくて少し分かりにくかったです。また、米国の先進事例と日本企業との違いについて、もう少し説明が欲しかったところです。

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April 23, 2008

主要なポータル等でトップページのデザイン変更

 ポータルやネットショップでのトップページのデザイン変更が相次いでいます。利用者の利便性とともに、広告効果の最大化を狙ったデザイン変更が多いようです。

 今月から、DocomoケータイのiMenuのトップメニューが変更されました。Googleの検索窓が設置されたことが結構話題になっているようですが、一番上には広告スペースができています。この広告スペースの値段は、日経MJ2008/4/7によると1日1000万円だそうです。結構高いです。4月1日には、GUCCIがブランディング広告を出したようです。見ていると数日毎に広告が変わっていて、会員募集の広告もあります。iMenuに、「企業・ブランド」カテゴリー新設というのも注目すべき動きでしょう。今年、企業のモバイルサイトやモバイルマーケティングの元年、と言っている人もいますので。

 PC向けでは、Yahoo!が1月1日にトップページのデザインを変更しましたが、そのトップページリニューアルは、MarkeZineによると広告領域の拡大やスーパーバナー廃止など、広告商品の変更という面もあったようです。

 3月19日のGoogle日本語版のトップページをリニューアルについては、Googleのブログで、多くのユーザーから、各種サービスへの入り口がわかりづらいと言われたことへのフィードバックを理由にあげています。Googleはトップページに広告を載せない方針なので、純粋に利用者のことを考えて、もっとサービスを利用してもらおうとするためのリニューアルのようです。

 Amazon.co.jpもサイトデザインをリニューアル中のようです。こちらは、商品ジャンルが増えすぎて、これまでのようなタブを使ったインタフェースではタブが載せきれなくなったためと思われます。

 その他、先月から今月にかけて、次のサイトでもトップページがリニューアル。
 ・goo
 ・BIGLOBE
 ・Infoseek
 ・livedoor

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April 11, 2008

イノベーションは顧客との対話から生まれる

 今週水曜(4月9日)の日経産業新聞の1面の「米欧企業 成長フロンティア 米ゼロックス①」という記事の中で、ゼロックスのCTOのゾフィー・ヴァンデブルークは、次のように述べていました。
「インベンション(発明)は研究所で生まれるが、イノベーション(革新)は顧客との対話から生まれる」

 この言葉は、とても印象的でした。新技術は大切であるが、それを顧客視点から見ることで、真のイノベーションが生まれるということでしょう。

 ググってみたところ、ヴァンデブルークさんは、次のような表現で同じようなことを語っています。

"Inventions are not innovations until they delight our customers."(Securing Innovationというブログより)

"I differentiate between invention and innovation. Innovation is when ultimately this service is rolled out and you actually can use it."(Fortune July 9, 2007より)

 また、XeroxのMessage From the CTOというWebページには、ゼロックスでのイノベーションのビジネス化の手順("explore phase" → "incubation phase" など)が公開されています。

 IBMのニコラス・M・ドノフリオ(エグゼクティブ・バイスプレジデント イノベーション&テクノロジー担当)も、日経コンピュータ 2008/03/24号で、似たようなことを述べています。
「21世紀のイノベーションとは、市場の知識と、技術あるいは製品・サービスが交差するところに生まれます。」

 イノベーションを担当する役員にとって、技術と顧客(市場)をどう結びつけるかが、共通の悩みのようです。

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April 10, 2008

[書評]「経営の未来 マネジメントをイノベーションせよ」

 先々月出版されたゲイリー・ハメルとビル・ブリーンによる経営の未来 マネジメントをイノベーションせよという本を先週から今週にかけて読みました。ネット書店の書評やブログを検索すると、好意的な書評が多いようですが、少し辛口な批判をしてみたいと思います。

 この本の価値を適切に評価するためには、イノベーション・マネジメント(トニー・ダビラ他、英治出版、2007年) やイノベーションの経営学(ジョー・テッド他、NTT出版、2004年) といったイノベーション経営の本と合わせて読んだほうがいいと思います。なお、これまでのイノベーション経営の本としては、MOT(技術経営)的な内容が多かったですが、「イノベーションの経営学」ではオープンソースコミュニティのことまで出てきますし、「イノベーション・マネジメント」の本では、サービスやビジネスモデルの面のイノベーションやオープンイノベーションの事例も多く出てきます。

 もともと、ゲイリー・ハメルは「コア・コンピタンス経営」という本で知られた人です。経営学の理論でいうと、資源アプローチ(リソースベースド・ビュー)という立場の学者で、その立場から未来のイメージを基にした戦略立案・企業改革・パートナーシップを提唱してきた人です。そのハメルが、「ここ数年、ロンドン・ビジネススクールの二人の同僚とともに、経営管理イノベーションの歴史を研究してきた」 (P.24-25) 結果として、まとめた本のようです。
 ですので、事例の分析はしっかりしていると思います。4章=ホールフーズ・マーケット、5章=W・L・ゴア、6章=グーグル、10章=主に、IBMの新規事業機会(EBO)プロセス、の事例分析は、一読の価値があると思います。

 ですが、結論や方法論の面では、もの足りなさを感じます。11章の「マネジメント2.0」については、著者自身が「予言」と言っているように、しっかりとした方法論とは思えません。他方、「イノベーション・マネジメント」の本では、イノベーション経営の方法論まで突っ込んで、7つのルールとしてまとめています。

 具体的には、「経営の未来」のP.37「図2-1 イノベーションの階層」では、製品・サービスイノベーション(テクノロジー)と戦略イノベーション(ビジネスモデル)を階層的に位置付けています。このように階層として見るのは、あまり適切ではないと思います。「イノベーション・マネジメント」の本のP.44「図2 イノベーションマトリクス」では、テクノロジーとビジネスモデルのイノベーションはどちらかというと並列的に示されていて、両方とも従来にない新しいものであれば、ラディカル(画期的)なイノベーションをもたらす、といった具体的な組み合わせを推奨しています。単純に階層的に見てしまうと、このような手法につながらないでしょう。
 「イノベーションの階層」と「イノベーションマトリクス」の図へ。

 結論としては、このゲイリー・ハメルとビル・ブリーンによる「経営の未来」という本は、イノベーション経営の入門書として、イノベーション経営の重要性を理解するのには適した本だと思います。しかし、実際にイノベーション経営を実践する場合には、この本の事例分析を参考にはできると思いますが、具体的な方法論については他の本(最初にあげた2冊など)を参考にしないといけないでしょう。

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April 07, 2008

eビジネスの教科書[改訂版] が出版されました

 拙著のeビジネスの教科書[改訂版]が、今月出版されました。ISBNは、978-4-7944-2284-2 です。2006年10月に初版を出しましたが、1年半経って内容の更新が必要になった(eビジネスの流れは速い)ため、改訂版を出しました。

 Books.or.jpで検索すると書誌情報が見つかります。また、4月8日時点で、Amazonにも書籍情報が載りました。

 大きく内容を追加したのは、2章「B to Cビジネス」と3章「ネット広告とeマーケティング」です。その他の章は、2006年時点の内容が多いです。どうしても最新の情報にする必要のあるところのみアップデートしました。市場データや利用者数などのデータは極力最新のものにしました。最新の動向を知りたい学生には、私のWebページのeビジネス/eコマースの動向と技術(書籍の「はじめに」にurlを記載)等から調べさせるように指導するといいでしょう。なお、全体的に、書籍の構成(章と節)は変えていませんし、ページ数は増えましたが価格も据え置いてもらいました。

 改訂版では、オビを付けました。オビに「多くの大学で採用」と書かれていますが、採用大学数(教科書または参考書として指定していただいたことが分かっている大学の数)は、15大学(今年度からの採用予定大学と本学も含む)です。なお、「多くの大学」という表現は、出版社側の判断で書かれたものです。私の本意ではありませんが、誇大広告にはあたらない表現かと思われます。

 すみませんが、上記書籍の中に誤りがあります。以下が正誤情報です。(創成社のWebページにも載る予定)


 P.60 WCM (Web Centric Marketing)

 P.60 WCM (ウェブセンタリングマーケティング)


 P.61 図表3-5 WCM (Web Centric Marketing) の概要

 P.61 図表3-5 ウェブセンタリングマーケティングの構造( (C)2006 Japan Intaractive Marketing, Inc.)[11]より

 失礼しました。

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March 31, 2008

試供品や体験を通した口コミマーケティング

 今月下旬にeビジネス/eコマースの動向と技術というWebページを一通り更新していましたが、やっと本日、更新作業が完了しました。

 特に、追加した情報量が多かったのは、CGMのページでした。SNS/ブログの利用やそれらを広告やマーケティングに活用する様々な動きが目立ちます。基本的には最新情報の追加でしたが、「CGMを利用したマーケティング/販売」の中に試供品や体験を通した口コミマーケティングという項目を追加しました。昨年8月に、バズマーケティングのために試供品配布というエントリで少し紹介しましたが、試供品を配るだけでなく、ブログや掲示板に書いてもらおう、という傾向が強くなってきたためです。この項目には、サンプル百貨店、モラタメ、Buzz Max、モノフェローズ、TRY TREND、バズポスト といったサービスへのリンクや簡単な説明を載せました。

 全体的に「eビジネス/eコマースの動向と技術」の更新では、最新のデータに変更する作業がたいへんです。また、サービスが終了してしまったものもあるので、気がついたものは削除したりしています。特許の情報も適宜追加しています。授業期間中も情報収集は続けていますが、忙しくてページの更新はできそうにないので(特に、6~7月は他の大学で教えたり、学会発表もあるため)、次の更新は8月になると思います。

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March 26, 2008

JASRACシンポジウム 動画共有サイトに代表される新たな流通と著作権

 昨日(3/25)午後、JASRACシンポジウム 動画共有サイトに代表される新たな流通と著作権を聴きに行ってきました。

 2007/11/28の日経新聞「著作権攻防 新ルールを探して(中)」という記事に、動画共有サイトに対して「ここまで普及すると、力で阻止するのが利用者、権利者のために良いとは思えなくなった」というJASRACの菅原常務理事の言葉が出ていたので、JASRACの方針をもう少し知りたくて、聴きに行きました。

 プログラム第1部の「著作権行政の現状と課題」(吉田大輔 文化庁長官官房 審議官)の講演の中では、最後のスライドで「排除」の論理から「共生」「活用」の論理へという方針のような言葉で締めくくっていたのが印象的でした。文化庁も、ネットでの文化の共有に熱心な姿勢が分かりました。また、3月13日の、知的財産戦略本部会合(第19回)で、「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の設置が決まったという話がありました。その専門調査会では、「課題解決に向けた立法的措置と契約による措置等の役割分担」や「ネット上の多数の創作者の関与により形成されるコンテンツの権利関係」(たぶん、Wikipediaのような創作の権利関係)などが検討されると予想されている、とのこと。この2つは、ネットからみの著作権問題では最重要な問題だと私は思います。

 プログラム第2部の「パネルディスカッション:テーマ=動画共有サイトに代表される新たな流通と著作権」については、既にITmediaの記事Internet Watchの記事がもう出ています。詳細はそれらをご覧ください。私が一番興味を感じたのは、ドワンゴ川上会長の「現状、ネット業界から、コンテンツ業界が儲かる仕組みを提案できていない」という話でした。「コンテンツ業界が儲かる仕組みまで考えるべきなのだが、それができる余裕はない」というような心境で言ったのだと思われます。ネット業界は利用者指向でないと生き残れませんので、こんな状況がしばらく続くのでしょう。「(制作者が) ネットに出すコンテンツはテレビとは異なるものになるはず」というような話もありました。「テレビとの役割分担がはっきりしてくるはず」というような意味で言っているようでした。この辺りは、動画共有サイトの存在意義に関わる話で、興味深かったです。なお、JASRACから昨年7月に動画共有サービスに対する利用許諾条件が示されていますが、ドワンゴはまだ契約していないとのことでした。

 JASRACは、動画共有サイトで流された音楽の著作権料さえ徴収できればいいのでしょう。JASRACの菅原常務理事は、動画共有サイトについて、「コンテンツの集め方が違うだけ」「社会的ニーズがあるのだろう」と語っていました。そのように、このシンポジウムでは、JASRACは動画共有サイトにある程度の理解を示しているように感じられました。(テレビ局とはかなり立場が違うようです。)

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March 20, 2008

昨日は卒業式でした

 昨日は、私の勤める大学の卒業式でした。

 いつも、卒業式の日には卒業するゼミ生に本を贈っています。働きだして、いろいろと悩むことがあると思うので、そんな時に少しでも助けになるような本を選んでいます。

 昨日は、プロ論【情熱探訪編】という新書本をゼミ生(卒論まで書いた学生)に贈りました。この本は、雑誌B-ingのインタビューをまとめた本で、最近新書になったものです。経営者などいろいろな「プロ」の人の熱意が伝わってくる本です。仕事に悩んだ時のアドバイスもいろいろと載っている本です。4月から社会人になるゼミ生には、何らかの「プロ」を目指してもらいたいため、この本を選びました。

 卒業おめでとう。

Proron

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March 18, 2008

サービス産業生産性協議会の「SPRINGシンポジウム 2008」

 昨日、サービス産業生産性協議会の「SPRINGシンポジウム 2008」を聴きにいってきました。

 この協議会は、2006年12月~2007年4月に経済産業省のサービス産業のイノベーションと生産性に関する研究会で基本構想が検討され、2007年5月にできた組織です。

 この協議会は、「日本のサービス業のイノベーションと生産性を達成」を目標としている、というので聴きにいったのですが、「イノベーション」といってもプロセスイノベーションのことが中心のようでした。何らかの新たなサービスのビジネスモデルを創造するといった新規のイノベーションを促進するのではなく、プロセスの向上/改善により生産性を高めましょう、というような目標でした。

 具体的には、ハイ・サービス日本300選をベストプラクティスとして選んだり、標準的なCSの指標を定めるなどして、「底上げ」を図っている感じです。しかし、サービス産業で「とんがった」企業がもっと出てくることによるイノベーションによって、経済が大きく発展すると思います。サービスを「輸出」することにもつながると思います。ですので、このような活動だけでは物足りないと感じています。

 最近、坂村先生の変われる国・日本へ イノベート・ジャパンという本を読みましたが、その本には次のように書かれています。(P.185)

政府は直接イノベーションを仕切るのではなく、イノベーションが盛んに生まれるような環境整備だけを行い、あとは天に任せるという姿勢が重要になる

 そのように、サービス業界でのイノベーションを促進するためには、イノベーションが自然と促進されるための制度を構築することがポイントでしょう。私としては今年、元祖権をもっとアピールしたいと思っています。まず、元祖権に関する論文を先月から今月にかけて仕上げまして、先週、日本知財学会誌へ投稿しました。査読に通って学会誌に載れば、少しは注目してもらえるでしょう。さらに、もっと分かりやすく書いて縦書きの本にして出版したいとも思っています。

 今月の他の仕事としては、先週、戦略的な情報システムの事例集を5カ月ぶりに更新しました。また、eビジネス/eコマースの動向と技術も更新中で、今月中にすべて更新する予定です。

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March 04, 2008

音楽配信に関しての最近の状況

 音楽配信に関しての最近の状況をまとめておきます。

 まず、米国での状況です。先週発表された米NPD Groupの調査によると、2007年に米国で消費者が入手した楽曲数は前年から6%増加。しかし、音楽購入支出の平均金額は1人当たり44ドルから40ドルへと10%減少。NPDは,2007年に音楽CDの購入をやめた消費者は100万人にのぼると見積もる。中でも若者のCD離れが顕著で,音楽CDを1枚も購入しなかった10代の若者は48%(前年の38%から拡大)。 同調査でiTunesについては、5000万人以上の顧客を抱え,2007年には40億曲以上を販売。そのため、音楽販売でアップルはBest Buyを抜き業界第2位になったとのこと。2006年にAmazonがバーンズ&ノーブルを抜いて「ネットと店舗販売の逆転現象」と騒がれましたが、アップルも間もなくWal-Martを抜きそうな感じです。

 先月発表された米Forrester Researchの予測では、2011年には米国で販売される音楽の売上の半分はダウンロード音楽になり、2012年にはCD売り上げを抜き48億ドル規模になると予測しています。一方、Naspterなどの会員制音楽配信サービスは緩やかな成長にとどまると予測しています。

 Forresterの予測にもあったように、サブスクリプションサービス(定額聴き放題)のNapsterが苦戦しています。米国Napsterが先月発表した2007年10~12月期決算は、15%増収で赤字縮小でしたが、有料加入者数は74万3000人で、前期からわずかに減少したとのこと。私は、Napsterを使っていますが、こんなに多くの曲を定額で聴けるのはありがたいと思っています。普及しない理由がよく分かりません。日本のNapsterの会員数は発表されていませんが、10万人に届いているかどうかというところでしょうか?ケータイユーザーは増えているようですが、PCユーザーは伸び悩んでいるようです。Napsterを使っていて感じるのは、"digital only" の曲が増えていることです。パッケージよりも、音楽配信のほうが音楽の提供をしやすいですので。

 日本の音楽配信ですが、日本レコード協会の2/21の発表によると、2007年における有料音楽配信の売上は前年比141%の754億8,700万円、ダウンロード数は126%の4億6,500万回。パッケージの販売は対前年比96%でしたが、パッケージと配信の合計では3年連続で前年を上回った形になり、日本のほうがまだ状況はいいようです。なお、これは日本レコード協会の発表なので、それに属していないレコード会社(いわゆるインディーズレーベル)の売上は入っていないと思います。インディーズのほうが、音楽配信をより頼っていると思われます。

 全世界では、国際レコード産業連盟(IFPI)が1月に発表した調査結果によると2007年のデジタル音楽の売上高は、音楽市場全体の約15%に達したとのこと。推定29億ドルで、前年の21億ドルから約40%増加。一方、CDの販売は世界全体で落ち込んでいて、音楽市場全体では2007年の売上高は縮小。なお、携帯電話とWebという販売チャンネル別の売り上げ比率は国によって大きく異なり、米国ではWebが67%,携帯電話が33%なのに対して,日本ではWebが9%で,携帯電話が91%。

 昨年9月には、インディーズのmF247(247ミュージックが運営)という音楽配信サイトがクリエイティブコモンズ(CreativeCommons)を採用したというのも重要な動きでしょう。つまり、JASRACを通さずに、かなり自由な制約で音楽を再利用できるようにしたということです。mF247のクリエイティブ・コモンズ・ライセンス付きでの作品の一覧があります。これらの曲は、自作動画につけるなど、かなり自由に利用できるわけです。CreativeCommonsサイトのニュースにもなっています。

 レコード会社のビジネスも大きく変わっています。例えば、コロムビアミュージックエンタテインメントについては、日経コンピュータ2008/2/1号にネットと楽曲DBで新しい収益モデル構築という詳しい解説があります。ネットに対応したシステム・組織に変えたとのことです。FujiSankei Business i.のインタビュー記事もあります。

 アーティストでは、昨年秋米人気歌手マドンナ、コンサート大手と140億円で契約というのが話題になりました。レコード会社を出て興行会社と契約したのです。何で儲けるかということを考えてのことのようです。

 私は、コンテンツ関連はあまり専門ではありませんが、音楽についてはこのくらいの動向程度はウォッチしてゆくつもりです。

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